2023年9月の米国高配当ETFの分配金が決定しました。最新の分配金情報をもとに、米国が対象の高配当ETFのデータを徹底比較します。
日本の個人投資家に人気の高配当ETF、VYM、HDV、SPYD、DVYを徹底比較します。
序盤は4つの高配当ETFの基本データや直近の分配金について
前半は、4つのETFの上位組入銘柄やセクター比率などを比較
中盤は、利回り推移、過去に買っていた場合のYOC、増配率、トータルリターンなどをグラフで比較
後半は、増配率を使用した将来YOC予想を4つ紹介
最後に、ウィブル証券で口座開設をしよう
2023年9月の分配金は?
米国高配当ETFの2023年9月の分配金が出揃いました。
バンガード社の【VYM】は人気高配当ETFです。今回の分配金は0.7846ドルで、対前年同期2.3%増。
ブラックロック社の【HDV】の分配金は1.0781ドルで、対前年同期12.4%減。
ステートストリート社の【SPYD】は0.4409ドルで、対前年同期5.4%増。
ブラックロック社の【DVY】は1.4647ドルで、対前年同期8.8%増。
【HDV】のみが前年同期と比べてマイナスでした。
基本データを比較
今回取り上げる4つの高配当ETFの基本データです。バンガード社の【VYM】、ブラックロック社の【HDV】、ステートストリート社の【SPYD】、ブラックロック社の【DVY】です。
4つのETFの基本的な説明は以下の通りです。
【VYM】は平均以上の配当を出している銘柄を時価総額加重平均で組み入れます。大型株が多いです。
【HDV】は優位性のあるビジネスモデル、かつ財務が健全性な高配当銘柄が対象。配当加重方式です。大型株と配当利回りの高い銘柄が中心です。
【SPYD】はS&P500の中から配当利回りの高い80銘柄を均等に組み入れます。銘柄の組入順位はあまり意識する必要はないです。銘柄入れ替えのたびに、中身が大幅に変更となります。S&P500が対象のため、4四半期連続黒字銘柄が対象なので、市場での評価はそれなりにあります。
【DVY】は財務が健全で、配当の支払い実績と余力がある高配当銘柄が対象です。利回り加重のため、上位銘柄には規模が大きくないややマイナー銘柄も入ります。少し特殊ですね。
4つのETFの中では、オーソドックスな大型銘柄中心なのは【VYM】と【HDV】で、ややクセがあるのが【SPYD】と【DVY】です。
ETFの背景色は運用会社のコーポレートカラーにします。バンガード社はあずき色、ブラックロックが黒色、ステートストリート社は青色です。ただしブラックロック社は2つあるので、【DVY】は黄色にします。今後のグラフ内で使用するカラーをこれで統一します。
表内の数値が赤色は、他のETFよりも秀でているという意味です。オレンジ色は赤色に次ぐ2番手グループという意味です。
設定年は【DVY】が2003年ともっとも古く、【VYM】は2006年で2番目に古いです。
銘柄数は【VYM】が462と多く、残りの3つは100を下回る感じです。
経費率は【VYM】【HDV】【SPYD】が0.1%を切っており、かなり低いです。高配当御三家ETFと言われる由縁です。
運用総額は【VYM】がトップで約7.2兆円、【DVY】が2番手で約2.8兆円です。
現在の利回りは【SPYD】が約5.1%と高く、【HDV】が4.0%、【DVY】は3.9%、【VYM】が3.2%です。
高配当ETFの分配金推移を確認
【VYM】【HDV】【SPYD】【DVY】の4つの分配金の推移を見ていきましょう。
【VYM】の分配金推移
まずは【VYM】の分配金推移です。期ごとの分配金を重ねて1年ごとにしました。リーマンショックの影響で2010年が底です。2011年からはずっと右肩上がりです。
1年単位で見ると、12年連続増配とも言えます。今回の2023年9月の分配金0.7846ドルは、9月の分配金としては2番目に多いですね。
VYMの分配金と株価
分配金を1つずつ棒グラフにして、株価と比較しました。期によって結構差があります。リーマン・ショック以降、2011年頃からは安定して上昇しています。
株価と分配金は似たように伸びています。これは、分配金利回りがあまり変化ないという意味でもあります。
2020年3月のコロナ・ショックは、株価にダメージを与えましたが、分配金への影響はあまりなかったです。
【HDV】の分配金推移
【HDV】の分配金推移です。多少デコボコしていますが、長期で見ると着実に増えています。
今回の2023年9月は前年同期と比べて12.4%減ですが、3月や6月が好調だったため、年間通してなら、前年を上回りそうです。
HDVの分配金と株価
分配金を1つずつ棒グラフにして、株価と比較しました。
最近は期によって結構差が出てきています。2022年6月はかなり少なかったですが、その反動からか、2022年9月以降は3期続けて1ドルを超えました。
今回の2023年9月は1.0781ドルで、前年同期と比べて12.4%減ですが、比較対象となった1年前が過去最高額の1.2312ドルなので、あまり気にする必要はありません。1ドルを超えているので上々と言えます。
【SPYD】の分配金推移
【SPYD】の分配金推移です。分配金は多い時と少ない時の差が激しいですね。
今回の0.4409ドルは、1年前の同期と比べて5.4%増です。1年前の同期との比較では、前回6月は14.9%増、前々回3月は40.6%減、その前の2022年12月は297%増と、期によってバラバラです。
SPYDの分配金と株価
「分配金」を棒グラフにして、株価と比較しました。かなり差があります。少ないときは、多いときの半分ぐらいですね。
分配金は緑色の棒グラフで、左軸です。黒い線の0.4ドルぐらいが平均ですね。今回は0.4409ドルなので、平均よりも少し多いですね。
分配金は2回続けて多い、もしくは少ないことはあまりありません。2021年12月は0.1276ドルとかなり少なかったですが、続く2023年3月は0.6527ドルと増えました。
【SPYD】は1月と7月に均等加重で銘柄入れ替えを行うため、比率がリセットされて中身が大きく変わります。組入銘柄による分配金支払い月が異なることもあり、分配金の多い時と少ない時の差が激しくなります。
分配金ボラティリティが大きい銘柄と言えますね。
【DVY】の分配金推移
【DVY】の分配金推移です。
リーマン・ショック後の2009年は大きく減らしましたが、その後は堅調に伸びています。コロナ・ショックのあった2020年は前年に比べて少し減りましたが、2021年以降は増えています。
2023年も前年を上回るペースで好調です。
DVYの分配金と株価
「分配金」を棒グラフにして、株価と比較しました。
ほとんどのETFは期によって分配金が増えたり減ったりしますが、【DVY】は比較的安定しています。
ただし最近は結構変動がありますね。今回の1.4647ドルは過去最高額です。対前年同期8.8%増ですが、1年前もかなり多かったですね。
高配当ETFのセクター比率(GICS)
セクター比率を確認しましょう。GICSによる分類です。参考までにS&P500を対象としたETF【VOO】も入れておきます。
【VYM】は全体のバランスがいいですね。金融がやや多めです。
【HDV】は高配当ETFの中では珍しく、金融が少ないのが特徴です。財務の健全性を重視しているので、金融セクターはあまり入りません。
【VYM】と【HDV】は生活必需品とヘルスケアが2位と3位に入っています。この2セクターは比較的不況に強く、安定感があります。
【SPYD】は金融、不動産、公益事業が多いです。高配当ETFの中では不動産セクターは対象外が多いので、貴重ですね。
【DVY】は公益事業と金融で5割を超えており、少し偏っています。上位セクターは【SPYD】と少し似ています。
組入れ上位銘柄を比較しよう
4つの高配当ETFの組入上位10銘柄を比較します。
【VYM】と少し似ているのは【HDV】ですね。
1位のエクソン・モービル【XOM】は順位も同じです。【VYM】の3位のジョンソン・エンド・ジョンソン【JNJ】、7位のシェブロン【CVX】、9位アッヴィ【ABBV】、10位ペプシコ【PEP】も【HDV】の10位以内に入っています。太字にしておきます。
※クリックで拡大します
【VYM】は時価総額加重なので規模の大きい順です。【HDV】は配当加重なので規模と利回りの大きな銘柄が上位に入り、そのため、上位銘柄が少し似るわけです。
対して【SPYD】は均等加重なので、現在の上位銘柄は7月の銘柄入れ替えから株価が上がった銘柄です。なので、【SPYD】は組入順位と比率はあまり関係ないです。マイナーなものも多いです。
【DVY】は利回り加重なので、配当利回りの高い銘柄が上位に入ります。こちらもややマイナー銘柄が目立ちます。
上位10銘柄の比率は【HDV】が51%でかなり集中投資です。【VYM】は組入れ銘柄数が460と多いので、上位銘柄の比率は25%とそれなりに分散されています。均等加重の【SPYD】と利回り加重の【DVY】は上位銘柄の比率が20%を切っており低いです。
ETFの重複率は?
重複率についてまとめました。
高配当ETF同士なら【VYM】と【HDV】は34%重複しています。また【VYM】は【VIG】と53%も重複しており、【VTI】や【VOO】との重複率も30%台と高いですね。
つまり【VYM】は高配当ETFですが、米国市場全体のインデックスにも近いというイメージです。
そのほかでは【SPYD】と【DVY】が44%と似ています。この2つのETFは公益事業と金融が多く、セクターが少し似ていました。
また【DVY】は利回り加重、【SPYD】はSP500の利回り上位80銘柄が対象のため、配当利回りを重視しているのが共通しており、重複率が高くなります。
分配金利回り推移を確認しよう
それでは、過去10年の分配金利回りの推移を比較しましょう。分配金利回りは過去1年分配金から算出しました。株価は月に1度、月末のものです。
現在の分配金利回りは【SPYD】が最も高く5.1%、【HDV】が4.0%、【DVY】が3.9%と続き、最も低いのは【VYM】で3.2%です。
過去5年の平均利回りは【SPYD】が4.7%、【HDV】が3.6%、【DVY】が3.5%、【VYM】が3.1%です。
現在の分配金利回りは、いずれのETFも過去の平均と比べて0.4%ぐらい高いですね。ただし【VYM】だけは0.1%ほど高く、平均とあまり変わらないですね。
過去に買った場合の、現在のYOC(Yield On Cost)は?
過去にETFを購入していた場合、現在、取得価額に対する利回り(YOC)はどのくらいになっているでしょうか。グラフが左肩上がりなら、株価が好調で増配傾向です。常に現在から見たYOCという意味です。
一番右端の数値が現在の分配金利回りです。一番左端の数値は10年前に購入していた場合の現在のYOC。ただし【SPYD】だけは設定から10年が経過していないので、設定当初に購入していた場合のYOCです。
たとえばあずき色の【VYM】の現在の分配金利回りは3.2%ですが、10年前の2013年9月に購入していたら現在YOCは5.8%になっています。
いずれのETFも好調です。しいて言うなら【SPYD】は増配率がそれほど高くないですね。
一番好調なのは、オレンジ色の【DVY】ですね。現在の分配金利回りが3.9%で10年前に購入していたらYOCは6.5%になっています。これは10年増配率が【DVY】が優れているという意味でもあります。
株価リターン、トータルリターンを比較する
株価リターンを比較します。過去7年です。4つの高配当ETFに加え、参考までに、S&P500ETFの【VOO】も対象とします。
2016年9月に1万ドル投資した場合、2023年8月末の株価は【VOO】が2万700ドル、【VYM】が1万4700ドル、【DVY】が1万3100ドル、【HDV】が1万2500ドル、【SPYD】が1万700ドルになっていました。【VOO】がトップで、高配当ETFの中では【VYM】がやや優勢です。
トータルリターンはどうか?
続いてトータルリターンを比較します。トータルリターンとは分配金を再投資した株価リターンのことです。手数料や税金は考えません。
2016年9月に1万ドル投資して、分配金を再投資した場合、2023年8月末には【VOO】2万3500ドル、【VYM】が1万8400ドル、【DVY】が1万6800ドル、【HDV】が1万6200ドル、【SPYD】が1万4700ドルになっていました。
株価リターンと似たような結果です。こちらも【SPYD】は苦戦しています。
期間ごとのトータルリターンは?
1、3、5、7、10年のトータルリターンも見てみましょう。年率です。【SPYD】は10年のデータはありません。
ほとんどのデータで【VOO】が優勢です。3年リターンだけは高配当ETFの方が優れています。高配当ETFの中では【VYM】が全体的に成績が良いです。
【SPYD】は3年リターンは13.8%と素晴らしいですが、それ以外の期間は劣っています。
過去の増配率は?
増配率を見ていきましょう。表の上段は1年ごとの過去1年分配金と、前年からの増配率です。背景ピンク色がマイナスです。
表の下段は現在を起点とした1、3、5、7、10年の増配率。年平均をCAGRで計算します。背景のオレンジ色が濃いほど、増配率が高いという意味です。
この部分をグラフで見てみましょう。
3年、5年、7年、10年増配率をグラフ化
3、5、7、10年増配率です。【SPYD】は設定からやや日が浅く、10年のデータはありません。
【DVY】がやや優勢です。すべての期間で6%以上の増配率です。
【VYM】と【HDV】は似ていますね。7年と10年増配率は【VYM】が秀でています。
【SPYD】は3年と7年増配率が5%台です。分配金利回りがもっとも高いと考えると、この増配率は悪くないですね。
3、5、7、10年増配率を使った将来YOC予想
いま【VYM】【HDV】【SPYD】【DVY】を購入したら、将来の利回り(YOC)がどのくらいになるのかをシミュレーションします。現在の利回りに過去の増配率を当てはめて計算していきます。
増配率は3、5、7、10年の4パターンを使います。「再投資しない。税引き前」という設定にします。
現在の分配金利回りは【VYM】が3.19%、【HDV】が3.99%、【SPYD】が5.07%、【DVY】が3.88%です。
3年増配率は【VYM】が5.3%、【HDV】が5.9%、【SPYD】が5.8%、【DVY】が6.5%でした。
20年目のYOC予想は、首位は【SPYD】で14.7%、2番手は【DVY】で12.8%、3番手は【HDV】で11.8%、4番手は【VYM】で8.5%でした。
増配率が似ていたので、現在の分配金利回りがモノをいう結果になりましたね。
5年増配率から将来YOCを予想する
続いて5年増配率です。
5年増配率は【VYM】が5.6%、【HDV】が5.1%、【SPYD】が2.7%、【DYY】が6.0%でした。
20年目のYOC予想は、首位は【DVY】で11.7%、2番手は【HDV】で10.3%、3番手は【VYM】で9.0%、4番手は【SPYD】で8.4%でした。
5年増配率を使うと、【DVY】の成績が良いですね。
7年増配率から将来YOCを予想する
それでは7年増配率です。
7年増配率は【VYM】が6.6%、【HDV】が5.7%、【SPYD】が5.2%、【DYY】が7.0%でした。
20年目のYOC予想は、首位は【DVY】で14.1%、2番手は【SPYD】で13.4%、3番手は【HDV】で11.4%、4番手は【VYM】で10.8%でした。
7年増配率の場合でも【DVY】の成績が良いですね。
10年増配率から将来YOCを予想する
最後に10年増配率です。【SPYD】はデータがありません。
10年増配率は【VYM】が7.0%、【HDV】が6.5%、【DVY】が7.1%でした。
20年目のYOC予想は、首位は【DVY】で14.2%、2番手は【HDV】で13.2%、3番手は【VYM】で11.5%。
10年増配率でも【DVY】の成績が良いですね。
全体的に見ると、5年、7年、10年増配率の3回で【DVY】が最も良かったです。
【VYM】は現在の分配金利回りがこの4つのETFの中では低いので、増配率は同じぐらいですが、将来YOCはやや苦戦していました。【HDV】は安定しており、【SPYD】は期間によりけりですかね。
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まとめ
まとめです。2023年9月の分配金は【HDV】以外はプラスで、まずまず好調でした。
【VYM】の分配金は0.7846ドルで、対前年同期2.3%増。着実に増配しており、今後も期待できそうです。
【HDV】は1.0781ドルで、前年同期と比較すると12.4%減ですが、その時が過去最高額だったので、あまり気にする必要はありません。年間単位なら好調で、前年を上回りそうです。
【SPYD】は0.4409ドルで、対前年同期5.4%増。まずまず好調ですが、分配金のブレが大きいです。
【DVY】は1.4647ドルで、対前年同期8.8%増。今回は過去最高額です。
現在の分配金利回りは【SPYD】が最も高く5.1%、【HDV】が4.0%、【DVY】が3.9%と続き、最も低いのは【VYM】で3.2%。
増配率、過去に買った場合のYOC、将来YOC予想は【DVY】がトップです。トータルリターンは【VYM】が素晴らしいです。【HDV】は全体的に安定しています。