日本の証券会社で購入可能な米国高配当ETF、VYM、HDV、SPYD、DHS、FDL、DIVを分析&比較

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2023年3月のETFの分配金が出揃いました。最新の分配金情報をもとに、米国が対象の高配当ETFのデータを徹底比較します。

前半部分では日本で購入可能な米国の配当系ETFを3つに分類します。その中から「高配当」に属する6つを徹底分析。VYM、HDV、SPYD、DHS、FDL、DIVです。

中盤では高配当ETF6種類を個別に分析、後半は高配当ETFをトータルリターン、増配率、将来YOC予想などで比較します。

 

■このページの概要■
序盤は6つの高配当ETFの基本データを比較
前半は、6つのETFのコンセプトや組込上位銘柄、セクター比率など基本データを1つずつ紹介
後半は、セクター、利回り推移、増配率、トータルリターン、将来YOC予想などをグラフで比較
最後に、今回のデータをランク付け、気になるトップは?

 

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  1. 今回紹介する6つの米国高配当ETF
  2. ETFのコンセプトは?
  3. ETFを会社ごとに分けて、概要を説明
  4. VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)
    1. 【VYM】の分配金の推移は?
    2. 【VYM】の過去1年分配金と株価の関係
    3. 【VYM】を過去に買った場合は?
  5. HDV(iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF)
    1. 【HDV】の分配金の推移は?
    2. 【HDV】の過去1年分配金と株価の関係
    3. 【HDV】を過去に買った場合は?
  6. SPYD(SPDR ポートフォリオS&P500 高配当株式ETF)
    1. 【SPYD】の分配金の推移は?
    2. 【SPYD】の過去1年分配金と株価の関係
    3. 【SPYD】を過去に買った場合は?
  7. DHS(ウィズダムツリー 米国株 高配当ファンド)
    1. 【DHS】の分配金の推移は?
    2. 【DHS】の分配金と株価の関係
    3. 【DHS】を過去に買った場合は?
  8. FDL(ファースト・トラスト・モーニングスター・ディビデント・リーダーズ・インデックス・ファンド)
    1. 【FDL】の分配金の推移は?
    2. 【FDL】の分配金と株価の関係
    3. 【FDL】を過去に買った場合は?
  9. DIV(グローバルX スーパーディビィデンド-米国低ベータ ETF)
    1. 【DIV】の分配金の推移は?
    2. 【DIV】の分配金と株価の関係
    3. 【DIV】を過去に買った場合は?
  10. 組込上位10銘柄の比較
    1. 上位10銘柄の他ETFへの組込状況は?
    2. ETFの重複率は?
  11. 高配当ETFのセクター比率
  12. 利回り推移を確認しよう
  13. トータルリターンを比較する
    1. 3年と5年のトータルリターンはどうか?
    2. 7年以上のリターンはどうか?
  14. 過去に買った場合の、現在のYOC(Yield On Cost)は?
  15. 2023年3月の分配金を確認しよう
    1. SPYDが減配の理由
  16. 過去の増配率は?
    1. 3年、5年増配率は?
    2. 7年、10年増配率は?
  17. 過去3、5、7、10年増配率を使った将来YOC予想一覧
    1. 3年増配率から10、20年後YOCを予想する
    2. 5年増配率から10、20年後YOCを予想する
    3. 7年増配率から10、20年後YOCを予想する
    4. 10年増配率から10、20年後YOCを予想する
  18. それぞれの項目をまとめると?
    1. ランキングの数をまとめると?
  19. まとめ

今回紹介する6つの米国高配当ETF

まず最初に、日本の証券会社で購入可能な配当系ETFを、種類と運用会社で分類します。種類は3つです。高配当、増配、バリュー。ただしこの分類の線引きはとても難しいです。はっきりとしたものではなく、やや強引に便宜上分けました。「高配当」と「増配」は、各社1つずつにしました。

運用会社は6つで、左からバンガード、ブラックロック、ステートストリート、ウィズダムツリー、ファーストトラスト、そしてグローバルXです。左の3つ、バンガード、ブラックロック、ステートストリートがビッグスリーで、規模がとても大きいです。

今回は「高配当」に属するVYM、HDV、SPYD、DHS、FDL、DIVを徹底分析して、比較します。

 ウィズダムツリー社は、配当系ETFがいくつかあります。その中のDLN、DON、DESは高配当というわけではなく、配当という分類だったため今回は除外しました。また、DGRSは増配に属しますが、小型株なので対象外とします。

 

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ETFのコンセプトは?

それぞれのETFのコンセプトを見てみましょう。「高配当」の6つは、それぞれ条件でスクリーニングして高配当銘柄を選んでいます。もっとも条件が緩いのが【VYM】で、利回りが平均以上の銘柄です。そのため、高配当の中では利回りが低いです。

利回りの高いのが右端の【DIV】です。配当利回り上位50銘柄が対象。【SPYD】もS&P500の配当利回り上位80銘柄のため、利回りは高いですね。【FDL】は配当成長率がプラスという条件もあり、増配要素があると言えます。

 

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ETFを会社ごとに分けて、概要を説明

今回ご紹介する高配当ETF6選の基本データです。数値が赤色は、他のETFよりも秀でているという意味です。オレンジ色は赤色に次ぐ2番手グループという意味です。

左からVYM、HDV、SPYD、DHS、FDL、DIVの順に並んでいます。今回のコンテンツのデータは基本的にこの順番で並びます。

経費率は【VYM】【HDV】【SPYD】の3つが0.1%を切っており、激安です。これが高配当御三家と言われる理由のひとつです。

分配金の支払いは基本的に年4回ですが、【DHS】【DIV】は年12回、つまり毎月分配型です。

現在の利回りは【DIV】が約7.2%とかなり高く、【SPYD】【DHS】が4%台です。なお、利回りは過去1年分配金を現在の株価で割った数値です。

 

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VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)

まずは【VYM】。正式名称はバンガード・米国高配当株式ETF。配当利回りが平均以上の米国大型株が中心です。時価総額加重平均なので、規模の大きな銘柄が上位に入ります。運用総額は約6.2兆円と高配当ETFの中では最大規模です。銘柄数は440となかなか多いです。

セクター比率はバランスがいいですね。首位は金融で約21%、以下、ヘルスケア、生活必需品、エネルギーと続きます。

上位10銘柄には石油のエクソン・モービル【XOM】、ヘルスケアのジョンソン・エンド・ジョンソン【JNJ】、日用品のプロクター・アンド・ギャンブル【PG】など世界的企業ばかりです。
【VYM】は連続増配ETFではありませんが、上位銘柄は連続増配している優良企業が目立ちます。

上位10銘柄で全体の約23%を占めており、20銘柄では約38%です。なかなか分散が利いています。

 

【VYM】の分配金の推移は?

それでは分配金の推移を見ていきましょう。

毎年着実に増えています。直近2023年3月は0.7172ドルで、3月としては最高額でした。

 

【VYM】の過去1年分配金と株価の関係

過去1年分配金と株価の比較です。

2020年3月のコロナ・ショックは、株価にダメージを与えましたが、分配金への影響はあまりなかったです。2022年は軟調相場でしたが、分配金は盤石でしたね。

 

【VYM】を過去に買った場合は?

株価、利回り、YOCを見てみましょう。YOCというのは、過去にこの銘柄を買った場合、取得価額に対する利回り、「Yield On Cost」の頭文字です。

グラフの黄色の線がYOCです。この線は株価と逆の動きをします。左肩上がりの場合は、株価好調&増配傾向になるため、早い時期に買うとYOCが上がります。なので、【VYM】はなかなか好調と言えます。

10年前の2013年3月に買っていたら、現在YOCは約6.0%になっていました。

利回りはあまり変動がなく、2.7~3.3%の間が多いです。3.3%を超えたら買いと言えそうです。

一番売れている高配当ETFで、利回りがそれなりに高く、株価上昇、増配も狙えます。

 

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HDV(iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF)

つぎはブラックロック社の【HDV】。正式名称はiシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF。

【HDV】は財務が健全で、持続的に平均以上の配当を支払う銘柄を集めたETFです。配当利回りの高い米国の大企業が中心です。リートは対象外です。四半期に1度(3、6、9、12月)、銘柄の入れ替えがあります。

配当加重方式なので、時価総額が大きく、利回りの高い銘柄が上位に入ります。運用総額は約1.4兆円とまずまず。銘柄数は75と平均的です。

セクターはヘルスケアが28%、エネルギーが24%で、この2つで約半数を占めており、少し偏っています。高配当ETFには珍しく、金融が少ないのが特徴です。同じブラックロック社の日本株高配当ETF【1478】も金融は少なかったです。ブラックロック社の高配当ETFは金融の比率が少ない傾向があり、暴落時に強さを発揮する可能性があります。

【HDV】は配当利回りと時価総額を掛けた数値のほぼ大きい順に組み込まれています。下の表のオレンジ色の部分です。上位10銘柄には石油のエクソン・モービル【XOM】、ヘルスケアのジョンソン・エンド・ジョンソン【JNJ】など、エネルギーとヘルスケアが目立ちます。この【HDV】も連続増配ETFではありませんが、上位銘柄は連続増配している優良企業が多いですね。

上位10銘柄で全体の約53%を占めており、20銘柄では約77%です。かなり集中投資ですね。

 

【HDV】の分配金の推移は?

分配金の推移です。

直近2023年3月は1.0421ドルで、3月としては最高額でした。3期続けて1ドルの大台に乗っています。

 

【HDV】の過去1年分配金と株価の関係

過去1年分配金と株価の比較です。

過去1年分配金と株価の比較です。どちらも右肩上がりで、堅調に推移しています。2020年3月のコロナ・ショックのダメージも少なかったですね。

 

【HDV】を過去に買った場合は?

株価、利回り、YOCを見てみましょう。【HDV】はなかなか好調と言えます。

過去10年で株価は上昇して増配率もなかなかだったので、早い時期に買った方がYOCは上がります。10年前の2013年3月に買っていたら、現在YOCは約6.1%になっていました。

利回りはあまり変動がなく、3.3~3.8%ぐらいがレンジです。現在は4%弱なので、狙い目かもしれないですね。

セクターがやや偏っており、上位銘柄に集中投資しているので、少しクセのあるETFと言えそうです。

 

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SPYD(SPDR ポートフォリオS&P500 高配当株式ETF)

つぎはステートストリート社の【SPYD】。正式名称はSPDR ポートフォリオS&P500 高配当株式ETF。

【SPYD】はS&P500指数の中から、利回りの高い80銘柄が対象のETFです。均等組み入れで、年2回、1月と7月末に銘柄の入れ替えがあります。運用総額は8400億円

セクターは不動産、金融、公益事業の順に多いです。先ほどの【VYM】や【HDV】のように、高配当ETFには不動産がほぼ入っていない場合が多いので、なかなか貴重です。

【SPYD】は均等加重方式で、1.25%ずつ均等に組み入れ、その後株価が上がった銘柄が上位となります。そのため、上位10銘柄については意識する必要はないですね。そして株価が上がって上位になった銘柄は、利回りが下がるので、次回の銘柄入れ替えでいなくなる可能性が結構あります。現在の上位10銘柄で有名なのは2位と3位ぐらいです。アルトリア・グループ【MO】がたばこ、3位のアッヴィ【ABBV】が製薬メーカーです。

上位10銘柄で全体の約14%で、均等加重なので、分散されています

 

【SPYD】の分配金の推移は?

分配金の推移を見ていきましょう。

直近2023年3月は0.3874ドルで、やや少なかったです。【SPYD】は均等加重のため、銘柄入れ替え時に中身が大幅に変化します。そのため分配金は多い時と少ない時の差が激しいです。

 

【SPYD】の過去1年分配金と株価の関係

過去1年分配金と株価の比較です。

どちらも横ばいか、わずかに増えているぐらいです。1回ごとの分配金の差は大きいですが、過去1年単位の分配金は、増減があまりなく、まずまず安定しています。

 

【SPYD】を過去に買った場合は?

株価、利回り、YOCを見てみましょう。

分配金が不安定のため、利回りも安定しないですね。過去のデータからは、5%前後なら買いと言えそうです。

コロナ・ショック時の2020年3月頃に購入しているとYOCは7.0%前後まで上がっています。こういうタイミングで上手く購入できるといいのですが。

 

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DHS(ウィズダムツリー 米国株 高配当ファンド)

つぎは【DHS】。正式名称はウィズダムツリー 米国株 高配当ファンド。

配当利回り上位30%が対象のETFです。配当加重方式を採用しています。時価総額が大きく、利回りの高い銘柄が上位に入ります。割安度や株価推移なども考慮して、銘柄の比率が決まります。

運用総額は約1700億円とやや物足りないです。毎月分配型というのがうれしいです。

 

セクターはエネルギー、金融、公益事業の順に多いです。エネルギーと金融は高配当ETFに多く組み込まれているケースが目立ちますので、オーソドックスなETFと言えます。

上位10銘柄には石油のエクソン・モービル【XOM】とシェブロン【CVX】、ヘルスケアのアッヴィ【ABBV】などが入っています。高配当ETFの上位銘柄は結構似ていますね。あとで比較表を作ります。

【DHS】の組込銘柄数は392と多いですが、上位10銘柄で全体の約40%を占めており、結構集中投資です。

 

【DHS】の分配金の推移は?

分配金の推移を見ていきましょう。

直近2023年3月は0.54ドルで、かなり多かったです。【DHS】の分配金は増加傾向ですが、前年の同月との比較はバラバラです。

 

【DHS】の分配金と株価の関係

過去1年分配金と株価の比較です。

どちらも順調に増えています。ちなみにこの2つが似たような伸びの場合、利回りが同じくらいで推移していることを意味します。

 

【DHS】を過去に買った場合は?

株価、利回り、YOCです。直近の分配金が多かったため、利回りは急上昇して4.3%弱まで上がりました。平均利回りは3.4%なので、今が買い時かもしれないですね。2014年1月頃に購入しているとYOCは6.5%まで上がっています。

【DHS】は高配当ETFには珍しい毎月分配型です。なかなか貴重です。

 

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FDL(ファースト・トラスト・モーニングスター・ディビデント・リーダーズ・インデックス・ファンド)

続いてファーストトラスト社の【FDL】。正式名称はファースト・トラスト・モーニングスター・ディビデント・リーダーズ・インデックス・ファンド。

5年間の配当成長率がプラス、配当性向100%以下でスクリーニングし、これらの条件に合う利回り上位100銘柄が投資対象です。配当金の支払い額で加重平均されるため、利回りが高く、時価総額の大きい銘柄が上位になります。【HDV】や【DHS】と同じです。リートは対象外です。

運用総額は6500億円。経費率が0.45%とやや高めです。

 

セクターはエネルギー、金融、生活必需品の順に多いです。エネルギーと金融は高配当ETFではおなじみなので、オーソドックスなETFと言えます。【DHS】も同じでした。

上位10銘柄には石油のエクソン・モービル【XOM】、通信サービスのベライゾン【VZ】、ヘルスケアのアッヴィ【ABBV】などが入ります。

【FDL】は配当利回りと時価総額を掛けた数値のほぼ大きい順に組み込まれています。上の表のオレンジ色の部分です。

上位10銘柄で全体の約56%を占めており、かなり集中投資ですね。銘柄入れ替えのルールとして、個々の銘柄の組込比率は最大10%、組込比率5%を超える銘柄の合計が50%を超えないように分散させます。

 

【FDL】の分配金の推移は?

分配金の推移を見ていきましょう。

直近2023年3月は0.3097ドルで、3月としては最高額でした。2020年までは着実に増配していますが、それ以降は1年単位では横ばいですね。

 

【FDL】の分配金と株価の関係

過去1年分配金と株価の比較です。

株価は順調に上昇していますが、過去1年分配金は2020年以降は横ばいですね。

 

【FDL】を過去に買った場合は?

株価、利回り、YOCを見てみましょう。【FDL】はなかなか好調と言えます。

過去10年で株価は上昇して増配率もなかなかだったので、早い時期に買った方がYOCは上がります。10年前の2013年3月に買っていたら、現在YOCは約6.5%になっていました。

利回りは結構変動しており、コロナショック時を除くと3~4%ぐらいがレンジです。

【FDL】はオーソドックスな高配当ETFですね。【DHS】と少し似ています

 

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DIV(グローバルX スーパーディビィデンド-米国低ベータ ETF)

最後はグローバルX社の【DIV】。正式名称はグローバルX スーパーディビィデンド-米国低ベータ ETF。

時価総額5億ドル以上、今年の配当が昨年の50%以上、ボラティリティが低いなどでスクリーニングし、条件に合う利回り上位50銘柄が対象。MLPやREITが含まれており、高い利回りを追求しているETFと言えます。

経費率は0.45%と少し高いです。毎月分配型です。

セクターはエネルギー、金融、資本財の順に多いです。

【DIV】は均等加重方式なので、銘柄入れ替え時の比率は2%ずつで、そこから株価が上がった銘柄が上位にいます。なので、上位銘柄を意識する必要はあまりありません

現在はエネルギーが多いです。銘柄の入れ替えは年1回で2月。つまりこの1、2カ月でエネルギーセクターが好調だったので、上位10銘柄はエネルギーだらけということですね。

上位10銘柄で全体の約22%です。均等組み入れなので、分散されています

 

【DIV】の分配金の推移は?

分配金の推移を見ていきましょう。

直近2023年3月は0.098ドルでした。2020年3月のコロナ・ショック以前は0.15ドルだったので、なかなか回復していません。

 

【DIV】の分配金と株価の関係

過去1年分配金と株価の比較です。

どちらも右肩下がりですね。分配金は2021年が底で、2022年は少し回復しました。さらに上昇が期待できるかは微妙ですね。

 

【DIV】を過去に買った場合は?

株価、利回り、YOCを見てみましょう。

株価が漸減傾向なので、早い時期に買ってもYOCは上がらないですね。平均利回りは7%ぐらいと高いですが、せめて株価が横ばいぐらいを期待したいですね。

【DIV】は高利回りに特化したETFです。金融危機ではかなりダメージを受けそうです。また、その後の回復も今ひとつです。難易度の高いETFと言えそうです。

 

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組込上位10銘柄の比較

ここからは後半戦。6つの高配当ETFのデータを比較していきます。

まずは6つのETFの組込上位10銘柄比較。エクソン・モービル【XOM】が4つのETFで首位です。

※クリックすると拡大します

太字は、複数のETFでトップ10に入った銘柄です。【DHS】は9銘柄、【HDV】と【FDL】は8銘柄が該当します。この3ETFの上位銘柄はかなり似ています。

エクソン・モービル【XOM】以外でも、アッヴィ【ABBV】、シスコ・システムズ【CSCO】、アイ・ビー・エム【IBM】が3つのETFのトップ10に入っています。

上位10銘柄の合計比率は【FDL】と【HDV】が50%を超えており、かなり集中投資です。【DHS】も約40%と高いですね。

 

上位10銘柄の他ETFへの組込状況は?

こちらは、6つのETFの組込上位10銘柄の、他のETFへの組込順位と比率(%)。合計比率の高い順に並んでいます。

※クリックすると拡大します

合計比率の上位10銘柄は【HDV】【DHS】が8銘柄、【FDL】が7銘柄です。このことからも、【HDV】【DHS】【FDL】の中身は、かなり似ていると言えます。3つのETFは配当加重で組み込むので、上位は時価総額の大きな利回りの高い銘柄になります。

 

ETFの重複率は?

それではETF同士の重複率を見ていきましょう。左側が高配当6ETF、右側に主要なETFとの重複率も調べました。背景色が濃いほど、重複率が高いです。

やはり【HDV】【DHS】【FDL】の重複率は高いですね。【DHS】【FDL】が52%、【HDV】【FDL】が49%、【HDV】【DHS】が44%です。

それ以外では【VYM】が【VIG】と約50%も重複しています。【VYM】は【VTI】や【VOO】とも30%以上重複しており、純粋な高配当ETFというよりは、インデックス寄りと言えます。

最下段の【DIV】はいずれのETFとも重複率が低いです。高配当に特化したETFが「わが道を行く」という感じですね。

 

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高配当ETFのセクター比率

それぞれのETFの組込銘柄のセクター比率を見ていきましょう。

まずは上段。【VYM】は金融が首位で、セクターのバランスが一番いいですね。

【HDV】はヘルスケアが首位で、2位がエネルギー。この2つのセクターで約5割を占めており、偏っています。

【SPYD】は不動産が首位。高配当ETFの中で不動産は対象外が多いので貴重です。

下段の3つ、【DHS】【FDL】【DIV】は首位がエネルギー、2位が金融で共通しています。

とくに【DHS】【FDL】は生活必需品、ヘルスケア、情報技術が上位というのも一緒で、かなり似ています

金融セクターは【HDV】を除く5つのETFで1番か2番目に多く入っています。エネルギーは【SPYD】以外の5ETFで上位ですね。

 

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利回り推移を確認しよう

それでは2017年以降の利回り推移をチェックしましょう。利回りは過去1年分配金から算出しました。株価は月に1度、月末のものです。

【DIV】の利回りがかなり高く、コロナ・ショックの頃は15%まで上昇しました。利回りを0%から15%まで表示すると、それ以外のETFが、ほぼ同じくらいなので分かりづらいですね。

それでは、2%から8%の表示にしてみましょう。

【DIV】が圧倒的で平均利回りは7%ぐらいです。次に利回りが高いのが、【SPYD】で平均利回りは4.6%ほど。

【FDL】【DHS】【HDV】は利回りも似ています。2017年以降の平均は、【FDL】が3.8%、【DHS】【HDV】は約3.5%で互角です。

【VYM】が最も低く、平均は3.1%ぐらいですね。

 

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トータルリターンを比較する

PortfolioVisualizerを使って、トータルリターンを比較します。トータルリターンとは分配金を再投資した株価リターンのことです。手数料や税金は考えません。2023年3月末基準のデータです。

まずはトータルリターンの推移。7年前に1万ドルを投資して、分配金を再投資した場合【VYM】が1万9000ドル【FDL】が1万8200ドル。この2つの成績が良いですね。【HDV】【DHS】は1万6800ドル、【SPYD】は1万6000ドルです。【DIV】は1万1200ドルと低調でした。

 

3年と5年のトータルリターンはどうか?

続いて、3年と5年のトータルリターンを比較します。年率(CAGR)で計算します。参考までに一番右端にS&P500ETF【VOO】のデータを表示します。

ここ1年配当株が好調のため、3年リターンはいずれも素晴らしいです。全体的に見ると【VOO】と互角ですね。中でも【FDL】が22%【SPYD】が20.3%で続いています。

5年リターンは【VOO】にやや劣ります。【FDL】が9.3%【VYM】が8.5%で続いています。

 

7年以上のリターンはどうか?

続いて7年と10年のトータルリターンを見てきましょう。

7年以上のスパンだと【VOO】に少し差をつけられました。7年のトータルリターンは【VYM】が9.6%、【FDL】が9.0%。

10年では【VYM】が10.2%、【FDL】が9.7%。

全体的に、高配当6ETFは【VYM】【FDL】が抜けており、【HDV】【SPYD】【DHS】は互角で、【DIV】のみが苦戦しています。

 

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過去に買った場合の、現在のYOC(Yield On Cost)は?

過去にETFを購入していた場合、現在、取得価額に対する利回り(YOC)はどのくらいになっているでしょうか? YOCとはYield on Costの頭文字のことです。3、5、7、9年前にETFを買っていたら、現在YOCがどうなっているかというデータです。

一番右端の紫色の棒グラフが現在の利回りです。下に数値も書いてあります。3年前はオレンジ色で、5年前は緑色7年前は青色9年前は赤色です。【SPYD】は9年前はありません。

【DIV】を除いて、いずれのETFも左肩上がりなので、過去に購入した方が株価が低く、現在YOCが高くなっています。

9年前に購入した場合は、【DHS】が6.2%と高い数値です。7年前や5年前に購入した場合も【DHS】が優勢です。

9年前の利回りと現在の利回りの差は【VYM】【FDL】が2.1%、【DHS】が1.9%、【HDV】は1.7%です。

【VYM】【FDL】【DHS】を過去に購入しているとYOCの値が伸びていると言えそうです。

 

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2023年3月の分配金を確認しよう

ここからは分配金や増配率などについて見ていきます。

直近の2023年3月の分配金データと前年同期比較です。【DHS】が315.4%増とかなり多いですね。【DHS】の利回りは通常3.5%ぐらいですが、このおかげで4.2%まで上がりました。

【HDV】は35%増と好調、残りの【VYM】【FDL】【DIV】もまずまずです。

 

SPYDが減配の理由

【SPYD】のみが40.6%減と悪いです。その理由は1年前の2022年3月が0.6527ドルで過去最高額だったため、そことの比較で大減配に見えるだけです。

【SPYD】は均等組み入れと、年2回の銘柄入れ替えのため、1回ごとの分配金額は安定しないです。長期で見れば、それなりに安定しているので、気にする必要はなさそうです。

 

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過去の増配率は?

増配率について見ていきましょう。2023年3月の分配金決定後です。表の上段は1年ごとの過去1年分配金と、前年からの増配率です。背景がピンク色がマイナスです。

表の下段は現在を起点とした1、3、5、7、10年増配率。年平均をCAGRで計算します。背景の青色が濃いほど、増配率が高いという意味です。この部分をグラフで見てみましょう。

 

3年、5年増配率は?

1年増配率はあまり意味がないので、3年と5年増配率を見ましょう。

3年増配率は【DHS】が8.5%と高く、【VYM】と【HDV】が6.5%ほどで続いています。

5年増配率も【DHS】が9.4%と突き抜けており、【FDL】が6.7%、【VYM】が6.2%で続いています。

 

7年、10年増配率は?

7年と10年増配率はどうでしょうか。7年増配率は【DHS】が8.0%、【FDL】7.2%、【VYM】が6.2%です。

10年増配率は【VYM】が7.4%、【HDV】が6.6%、【FDL】が6.2%。この3つのみです。

全体的には【DHS】が最もよく、【VYM】が2番目で、【FDL】【HDV】の順でしょうか。

 

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過去3、5、7、10年増配率を使った将来YOC予想一覧

3、5、7、10年増配率を使用した将来YOC予想をまとめました。表の下の部分です。背景のオレンジ色が濃いほど、数値が高いです。上が20年後YOC予想、下が10年後YOC予想です。

現在の過去1年分配金額と3、5、7、10年前の同時期の過去1年分配金額を比較して、幾何平均で年間増配率を計算し、それを使って将来YOCを予測します。

YOCとはYield on Costのことで、取得価額に対する利回りのことです。2023年3月31日の終値でETFを買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。「分配金は再投資しない、税金や手数料は考慮しない」で検証します。

 

3年増配率から10、20年後YOCを予想する

まずは3年増配率を使ってYOCを予想します。左側の濃い棒グラフが10年後YOC予想。右側の薄い棒グラフが20年後YOC予想です。黒い五角形が現在の利回り。ここがスタート地点です。

20年後YOCは【DHS】が21.8%と素晴らしいです。それ以外では【HDV】が13.8%と高く、【VYM】は10.9%です。

 

5年増配率から10、20年後YOCを予想する

5年増配率の場合はどうでしょうか。

ここでも【DHS】が25.9%まで上がります。次点は【FDL】が13.9%、【HDV】が11.9%、【VYM】が10.4%と続きます。

 

7年増配率から10、20年後YOCを予想する

7年増配率のYOCを予測しましょう。

20年後YOCは【DHS】が19.7%でやはり一番。【FDL】が15.0%で続き、【VYM】と【HDV】が10.5%前後です。

 

10年増配率から10、20年後YOCを予想する

最後に10年増配率のYOCをチェックしましょう。データがあるのは3つのETFです。

いずれもまずまずで、【HDV】が14.1%で一番。【VYM】が13.0%で続き、【FDL】が12.6%です。

どの期間を選ぶかによって、将来YOCは異なりますね。すべての期間で【DHS】が圧倒的でした。最近分配金がかなり好調で直近1年の分配金が多いため、利回りが上がっています。それでいて増配率も高いので、将来YOC予想も良好な結果になりました。

それ以外だと【HDV】【VYM】はいずれの期間でも安定していました。【FDL】は3年増配率が低いですが、5年以上だと良好でした。【SPYD】は今ひとつ、【DIV】は苦戦していました。

 

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それぞれの項目をまとめると?

これまで取り扱ったのデータをランクづけしました。「A」が最高で「B」「C」「D」の順です。YOC予想は増配率と利回りを組み合わせたものなので、表の真ん中より下は、内容が似ています。

相対比較で、やや強引に差をつけました。参考程度にしてください。

【VYM】が圧倒的かなと思ったのですが、【DHS】がかなり健闘しました。直近の分配金と過去1年分配金が好調のため、増配率や将来YOC、過去YOCなどのデータが素晴らしかったです。

【VYM】は現在の利回りが一番低いのを除くと、高い水準で安定しています。

【FDL】はトータルリターンが素晴らしかったです。【HDV】は堅実でした。

 

ランキングの数をまとめると?

ABCDの数値をまとめたデータです。

「A」の数は【VYM】【DHS】が6個で最多でした。次点が3個で【FDL】です。

「B」の数は【HDV】が最多で6個、次点は【FDL】で4個です。

「C」の数は【SPYD】が7個で最多。「D」は【DIV】が5個ありました。

 

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まとめ

【VYM】は時価総額加重平均なので、株価上昇が狙える。分配金のブレも少なかったです。

【HDV】【DHS】【FDL】は高配当銘柄を配当加重するので、中身が結構似ています。売れ行きと安全面なら【HDV】、毎月分配と最近の増配なら【DHS】、トータルリターンと歴史を重視するなら【FDL】でしょうか。

【SPYD】は分配金の差が激しいが、長期で見るとそれなりに安定しており、少しずつ増えている。S&P500銘柄なので、それなりに安全性はあります。

【DIV】は利回り重視のわが道を行くタイプ。難易度が高く、サテライトとして少し保有するならあり。毎月分配というのも面白い