【SPYD】の2024年3月の分配金は0.3729ドル。前年の同期と比べて3.7%減

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ステート・ストリート社のSPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF【SPYD】が、2024年3月15日に分配金を発表しました。0.3729ドルです(厳密には0.372942ドル)。1年前の同期は0.3874ドルでしたので、1年前の同期から3.7%減です。

2024年3月15日の終値は39.15ドル、過去1年の分配金額は1.8132ドルなので、過去1年間の分配金額から算出すると分配金利回りは4.63%になります。

※このページでの分配金利回りは過去1年間の分配金をもとに計算します。

■このページの概要■
序盤は【SPYD】の基本情報やコンセプトについて紹介
前半は、分配金データや株価、増配率などをグラフで説明
中盤は、【SPYD】の組み入れ銘柄やセクター比率など

後半は、【SPYD】の将来YOCを占う

 

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【SPYD】の基本情報

まずはSPYDの基本情報です。正式名称は「SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF」。ティッカー・コードは「SPYD」です。

ベンチマークは「S&P500 高配当指数」。S&P500指数を構成する銘柄のうち、配当利回りの上位80銘柄で構成されています。

設定されたのは2015年10月。約8年半が経過しています。

経費率は0.07%。ライバルの米国高配当ETF、VYM、HDVとほぼ同じです。

2024年3月15日の分配金利回りは4.63%。米国高配当ETFの中ではかなり高いです。分配金は3、6、9、12月の年4回。

最新の分配金は0.3729ドル。対前年同期3.7%減です。

直近の権利落ち日は3月15日。1営業日前に保有していれば分配金が貰えます。分配金の支払いは3月20日。

3月15日の終値は39.15ドル、1株から購入可能なので5800円ほど必要です。

 

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ベンチマークの「S&P500 高配当指数」とは?

それでは【SPYD】のコンセプトについて、見ていきましょう。このETFは「S&P500 高配当指数」との連動を目指します。

この指数をざっくりとまとめると、【SPYD】はS&P500採用銘柄からほぼ利回りの高い80銘柄を均等に組み入れます。銘柄入れ替えは年2回、1月と7月の最終営業日に発表されます。入れ替える銘柄を決める基準日は、その1カ月前、つまり12月末と6月末です。実際の銘柄入れ替えは1月末や7月末よりも5営業日前に行っています。

S&P500の採用条件は以下の通りです。

(1)米国企業である
(2)時価総額が53億ドル以上
(3)流動性が高く、浮動株が発行済株式総数の50%以上
(4)4 四半期連続で黒字の利益を維持している

時価総額加重平均で組み入れるため、規模の大きな会社が比率が高くなります。S&P500は、米国株式市場全体の時価総額の約78%を占めています。

さて、S&P500 高配当指数の銘柄選定のルールについて見ていきましょう。
全銘柄数は80です。

1)全体80銘柄の80%に該当する64銘柄は、S&P500の中から利回りの高いものを自動的に選びます。
2)残りの20%に当たる16銘柄は、既採用銘柄が利回り上位96銘柄(120%)の中に該当していれば残ります
3)その結果、全部で80銘柄に達しない場合は、現在組み込まれていない銘柄から利回りの高い順に選んで合計80銘柄にします

ちょっとわかりづらいですが、S&P500採用銘柄の利回りの高いほぼ上位80銘柄と考えてOKです。現在組込まれている銘柄は、利回りが上位80位よりわずかに低くても残留するというイメージです。

【SPYD】はS&P500の高配当銘柄のため、不人気銘柄の集合体と思われがちです。ただし母集団である「S&P500」に採用されるには「4四半期連続黒字」という厳格な条件があります。そのため、企業の安定性を示す一定の基準をクリアしています。

また、S&P500は四半期ごとに銘柄の入れ替えを行っており、S&P500から除外された銘柄は、【SPYD】からも除外されます。コロナ・ショックの影響で2020年7月には19銘柄が途中で除外され、61銘柄になっていました。

 

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【SPYD】の過去の分配金と増配率は?

【SPYD】が設定されたのは2015年10月です。分配金は年4回支払われます。

今回の【SPYD】の分配金が増配or減配なのかは、どのデータを比較するかによって異なります。もっともオーソドックスなのは、下の表の「分配金」の今回と前年同期の比較です。今回が0.3729ドル、前年の同期が0.3874ドル。「分配金の対前年同期増減率」3.7%減になります。

また、「過去1年分配金」を1年前と比較するのも参考になります。今回が1.8132ドル、前年の同期が1.7181ドルです。「過去1年分配金の対前年同期増減率」5.5%増となります。

※2017年12月は通常の分配金が0.3990ドル、特別分配金(ショート・ターム・キャピタルゲインなど)が0.3133ドルありました。このコンテンツでは2017年12月の分配金は通常の0.3990ドルのみで計算します。

 

分配金の推移は?

【SPYD】の分配金推移を見てみましょう。分配金を1年ごとに重ねました。

【SPYD】の分配金は多い時と少ない時の差が激しいですね。今回の0.3729ドルは、1年前の同期と比べて3.7%減です。

 

分配金と株価の関係は?

分配金を期ごとに棒グラフにして、株価と比較しました。期によってかなり差があります。少ないときは、多いときの半分ぐらいですね。

黒い線が分配金の平均で0.412ドルです。今回は0.3729ドルなので、平均よりもやや少ないです。最近は多い時と少ない時が交互にきています。

【SPYD】は1月と7月に均等加重で銘柄入れ替えを行うため、比率がリセットされて中身が大きく変更します。また、組入銘柄による分配金支払月の関係も重なり、分配金が多い時と少ない時にわかれます。

 

過去2回の分配金額の合計を比較する

こちらは、直近2回の分配金を重ねて棒グラフにしました。

最近の分配金は「2回続けて多い、もしくは少ない」ということはないですね。直近7回はだいたい同じくらいですね。

 

過去1年分配金の傾向は?

過去1年分配金を棒グラフにして、株価と比較しました。こうしてみると、中長期で分配金額は安定していますね。

黒色の線が過去1年分配金の平均で1.6661ドルです。直近は平均をやや上回っています。

赤い線が株価です。株価と過去1年分配金は似ていますね。どちらも横ばいというより、わずかに上昇傾向です。

 

年間分配金と株価の関係は?

「過去1年分配金」を1年ごとにまとめて年間分配金とし、株価と比較しました。株価は最新年を除いて年末のものです。

【SPYD】の分配金が最初に支払われたのは2015年12月です。2022年の年間分配金は1.9833ドルで過去最高です。2023年は1.8276ドル。前年より7.9%減です。

株価、年間分配金ともに少しずつ上昇しているように見えます。

 

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年間増配率は?

ここからは増配率について見ていきましょう。まずは年間増配率です。さらに過去3年の増配率の推移も確認しましょう。最初に分配金が支払われたのが2015年の12月なので、データは2017年からと少ないです。

年間増配率は2022年が28%増とかなり好調だったためか、その近辺の年はマイナスです。

過去3年増配率だと、2021年がマイナスですが、残りはプラスです。

 

分配金を前年同期と比較する

「分配金の対前年同期増減率」、「過去1年分配金の対前年同期増減率」をグラフにしました。

ETFの場合、「分配金の対前年同期増減率」で増配や減配を決めることが多いですが、大きく減ることも比較的あるので、あまり気にする必要はありません。赤い折れ線の部分です。2022年12月は表を突き抜けています。297.7%です。

それよりも「過去1年分配金の対前年同期増減率」の長期の傾向が重要です。紫色の階段面です。【SPYD】はこの値は増えたり減ったりします。安定感はないですね。直近の2024年3月は5.5%増でした。

 

増配率はどのように変化したか?

直近9回の分配金決定後の増配率を比較しました。ETFの場合、分配金額は期によってバラバラです。そのため、増配率も分配金が決定するたびに変化するということを頭の片隅に入れておくといいかもしれません。

【SPYD】は2021年12月の分配金が0.1276ドルとかなり少なかったため、2022年9月までは過去1年分配金に、2021年12月分が含まれていました。そのため、増配率はマイナスでした。

2022年12月以降は、過去1年分配金から2021年12月分がなくなったために、増配率がプラスになりました。

直近の増配率は右端です。1年増配率は5.5%と高いですが、3年はマイナス1.1%、5年と7年増配率は2%台です。

長期で考えると、年間2%ぐらいの増配で進みそうな気がします。

 

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2020年以降の株価と分配金利回りは?

2020年以降の【SPYD】の株価と分配金利回りを見てみましょう。過去1年の年間分配金額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が利回り(右軸)です。

2020年当初の分配金利回りは4.5%前後でしたが、2月半ば以降はコロナ・ショックで株価が下がったため、3月後半には分配金利回りが8.5%まで上昇しました。その後の分配金利回りは4.5~5.0%ぐらいに戻りました。

2021年12月の分配金が大幅に減ったために、2021年12月以降の分配金利回りは4%以下に減りましたが、その1年後に2021年12月分が含まれなくなるため、5%に回復しました。

2024年3月15日現在の分配金利回りは4.63%です。【SPYD】は分配金が決まるたびに、分配金利回りが変化するので、イメージするのが少し難しいですね。平均すると4.5%ぐらいです。

 

現在の【SPYD】の株価と分配金利回りの関係は?

年間分配金額が現在と同じだったら、分配金利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間分配金額が現在と同じ1.8132ドルが続いた場合の、分配金利回りと株価の相関図です。分配金利回りを0.1%ごとに株価を出しました。今後、【SPYD】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。

分配金利回り4.0%は株価45.3ドル、分配金利回り4.5%は株価40.3ドル、分配金利回り5.0%は株価36.3ドル、分配金利回り5.5%は株価33.0ドル、分配金利回り6.0%は株価30.2ドルです。

 

過去の分配金利回り、株価、YOCは?

過去に【SPYD】を買った場合、取得価額に対する利回り(YOC/Yield On Cost)はどのくらいでしょうか? 株価、分配金利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回です。

2024年3月15日の終値は36.62ドル、過去1年の分配金額は1.8132ドルなので、現在の分配金利回りは4.63%です。

過去の平均分配金利回りは4.55%なので、現在は平均と同じくらいです。

赤い線が分配金利回りです。安定していないですね。過去のデータからは、5%前後なら買いと言えそうです。

黄色の線が過去に買った場合の、取得価額に対する利回り(YOC)です。この線が左肩上がりの場合は、株価好調&増配傾向にあるといえます。設定当初の2015年11月に購入していたら、現在YOCは約6.1%です。コロナショック時の2020年3月に購入していたら、現在YOCは約7.4%です。

【SPYD】は株価、分配金額、分配金利回りいずれもやや不安定で、なかなかつかみどころの難しいETFです。ただ、早い時期に購入していれば、購入価格に対する利回り(YOC)が少しは高くなっています。

 

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【SPYD】の上位組込銘柄はどんな会社か?

それでは【SPYD】の中身について見ていきましょう。組入上位20銘柄の3月14日のデータです。上位10銘柄で全体の約13.5%、20銘柄で26.4%。80銘柄を均等にウェイトづけするので、結構分散されています。

【SPYD】はS&P500が対象ですが、配当利回りの高い80銘柄のため、超大型株はあまりいないですね。

世界的な代表銘柄の目安である時価総額1000億ドルを上回っているのは4銘柄4位のアイ・ビー・エム【IBM】、8位のアッヴィ【ABBV】、14位のシェブロン【CVX】、16位のシティグループ【C】です。残りの16銘柄はそれほど規模が大きくなく、メジャーな銘柄は少ないです。

【SPYD】1月末の銘柄入れから、現在までの2カ月弱の間で株価が上昇した銘柄の比率が高くなり、上位にいるだけです。なので、上位銘柄が重要というわけではなく、あまり気にする必要はないです。

 

【SPYD】のセクター別の構成比は?

【SPYD】に組み込まれている銘柄のセクター別の組込比率の推移です。GICS(Global Industry Classification Standard)による分類です。

トップが不動産約26%、金融が約21%、公益事業が約17%この3つのセクターで63%ほどなので、かなりの比重です。以下、生活必需品、素材、ヘルスケア、エネルギー、一般消費財と続きます。

【SPYD】は不動産セクターが多いのが珍しいです。高配当ETFの中ではREITを除外するETFが結構あるので、不動産セクターが多いのは貴重です。

 

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SPYDの将来YOCはどうなるか

いま【SPYD】を購入したら、将来、取得価額に対する利回り(YOC/Yield On Cost)がどのくらいになるのかをシミュレーションします。現在の利回りに過去の増配率を当てはめて計算していきます。

「分配金は再投資しない。税引き前」という設定です。

増配率は1、3、5、7年の4パターンを使います。増配率は1年が5.54%、3年がマイナス1.06%、5年が2.41%、7年が2.23%です。2024年3月15日現在の分配金利回りは4.63%です。

もっとも成績が良かったのは1年増配率(5.54%)を使用した将来YOC予想です。10年目のYOCは7.5%、20年目のYOCは12.9%です。

もっとも成績が悪かったのは3年増配率(マイナス1.06%)を使用した将来YOC予想です。10年目のYOCは4.2%、20年目のYOCは3.8%です。

実際は5年増配率や7年増配率の2%台に近い数値で進みそうな気がします。黒色とオレンジ色の線です。ほぼ重なっています。

7年増配率(2.23%)を使用した将来YOC予想は、10年目YOCは5.7%、20年目のYOCは7.0%です。

ただ、【SPYD】の分配金はブレがやや大きいので、将来の予想は難しいですね。

 

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まとめ

【SPYD】の2024年3月の分配金は0.3729ドル対前年同期3.7%減でした。

【SPYD】は、S&P500採用銘柄の配当利回り上位80銘柄を均等に組み入れます。

【SPYD】はS&P500の高配当銘柄のため、不人気銘柄の集合体と思われがちです。ただし母集団である「S&P500」に採用されるには「4四半期連続黒字」という厳格な条件があります。そのためSPYDの市場での信頼性は、それなりに高いといえます。

【SPYD】は均等組み入れで、半年に1回リセットされるため、分配金のブレが大きいです。最近は過去2回の分配金の合計額が安定しています。

1回の分配金の平均は0.412ドル年間の平均は1.661ドル

上位銘柄に超巨大企業は少ないが、他の高配当ETFは時価総額の大きな銘柄が中心の場合が多いのです。ポートフォリオの分散化という意味では、良いと言えます。

セクターのトップが不動産約26%金融が約21%、公益事業が約17%。この3つのセクターで63%ほどで結構多いですね。とくに不動産が多い高配当ETFは少ないため、貴重です

過去の分配金利回りの平均は4.55%。現在の分配金利回りは4.63%なので、平均的です。

5年や7年増配率は2%台です。長期的の増配率はこのくらいになりそうです。

 


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