ステート・ストリート社のSPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF【SPYD】が、2020年12月17日に配当金を発表しました。0.6066ドル(正式には0.606617)です。1年前の同期は0.4972ドルでしたので、1年前の同期から22.0%の増配です。
配当利回りを過去1年間の配当金額から算出すると、2020年12月17日の終値は33.58ドル、過去1年の配当額は1.6321ドルなので、配当利回りは4.86%になります。
【SPYD】の過去の配当金と増配率は?
【SPYD】が設定されたのは2015年10月です。下の表は過去の配当金の一覧です。
配当利回りの計算方法は、年4回配当金を支払う個別銘柄では、最新の配当金額を4倍した額が年間配当額となり、それを株価で割って配当利回りが算出されます。
ところがETFの場合は、組み込まれている銘柄によって配当金を払うタイミングが異なるため、期によってバラバラになります。そこで、最新の配当金と過去3回の配当金を足した数字、つまり過去1年分の配当額が年間配当額となり、それを元に配当利回りが算出されることが多いです。
今回の【SPYD】の配当が増配or減配なのかは、どのデータを比較するかによって異なります。もっともオーソドックスなのは、前年の同期との配当額の比較です。今回が0.6066ドル、前年の同期が0.4972ドルなので22.0%の増配になります。また、前年同期との過去1年配当額の比較では、今回が1.6321ドル、前年の同期が1.7463ドルなので、6.5%減配となります。
※背景が赤になっているのが減配です
2017年12月は通常配当が0.399ドル、特別配当が0.244ドルと0.0692ドルでしたが、すべて含めて0.7122ドルにしました
【SPYD】の年間配当額と年間増配率は?
【SPYD】の配当金を1年ごとにまとめてグラフ化しました。2020年は前年に比べてわずかに減りました。
【SPYD】の期別配当は?
2020年は6月と9月の配当を大幅に減らしましたが、今回の12月は回復しました。
【SPYD】の過去1年配当額を棒グラフで確認しよう
先ほどの表の過去1年配当額を棒グラフにして、【SPYD】の株価と比較しました。過去1年配当額は、株価とある程度は連動しています。こうしてみると、ほぼ横ばいです。
【SPYD】の配当額を棒グラフで確認しよう
こちらは期ごとの配当額を株価と比較したものです。過去2回からすると、今回はかなり増えました。【SPYD】は12月の配当が突出している時が3回ありますね。
今年に入ってからの配当利回りは?
2020年に入ってからの【SPYD】の株価と配当利回りを見てみましょう。過去1年の年間配当額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。配当利回りは4.5%前後で推移していましたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月23日には配当利回りが8.5%まで上昇しました。現在は株価が回復し、配当利回りは4.86%です。
現在の【SPYD】の株価と配当利回りの関係は?
年間配当額が現在と同じく1.6321ドルで変わらなかったら、配当利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間配当額が現在と同じ1.6321ドルが続いた場合の、配当利回りと株価の相関図です。配当利回りを0.2%ごとに株価を出しました。今後、【SPYD】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。
【SPYD】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去に【SPYD】を買った場合、現在の購入単価当たりの配当利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から約4年前までの株価、配当利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、やや大雑把です。
2020年12月17日の終値は33.58ドル、過去1年の配当金額は1.6321ドルなので、現在の配当利回りは約4.86%です。過去4年の平均配当利回りは約4.79%です。長期で見ると株価と配当額はあまり変動がないため、早い時期に買ってもYOCはあまり変わりません。コロナ・ショック時の2020年3月頃に買っていればYOCは7.3%前後まで上がっています。
【SPYD】の今後の配当予想は?
現在の過去1年配当金額(1.6321ドル)と1、2、3、4年前の同時期の過去1年配当金額(1.7463ドル、1.619ドル、1.7354ドル、1.5139ドル)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の配当金とYOCを予想しました。
YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの配当利回りのことです。【SPYD】株を2020年12月17日の終値33.58ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。棒グラフが配当金予想、折れ線グラフがYOC予想です。
年間増配率は過去1年がマイナス6.5%、過去2年が0.4%、過去3年がマイナス2.0%、過去4年が1.9%でした。現在の配当利回りは5.37%です。もっとも増配率の低い過去1年のペースだと10年後のYOCは2.5%、20年後のYOCは1.3%になります。もっとも成績の良い過去4年の増配率を当てはめると10年後のYOCは5.9%、20年後のYOCは7.1%になります。どの期間の増配率を当てはめるかで、将来YOCの結果が異なりますが、横ばいに進みそうな気もします。
【SPYD】のセクター別のファンド構成比は?
【SPYD】に組み込まれている銘柄のセクター別の組込比率です。GICS(Global Industry Classification Standard)で分類されています。金融の割合が最も多く、不動産、エネルギー、公益事業と続いています。金融と不動産の割合が多く、資本財がないのが特徴ですね。
【SPYD】の上位組込銘柄はどんな会社か?
【SPYD】の組込比率上位20銘柄です。データの中身は2020年12月初旬のものです。上位組込銘柄は、7月の銘柄入れ替え時と比較して株価が上がったため配当利回りが下がり、次回2021年1月の銘柄入れ替えで除外される可能性もありそうです。現時点のS&P500の上位80番目の配当利回りは3.6%ぐらいです。配当利回りが3.6%を切っていると除外対象ですね。上位銘柄はボーダーライン上が結構多いですね。
過去の組込比率上位20銘柄の比較
上位順位20銘柄の推移です。【SPYD】は毎年1月と7月に組み換えがあります。下の表では1月と7月の下旬に銘柄の入れ替えがありましたので、太い線を引いておきます。組み換え直後は比率が均等なので、順位にあまり意味はありません。ここ1カ月では情報技術、素材が上位に増えましたね。
まとめ
【SPYD】は6月の配当が悪く、前回9月の配当は大幅減でしたが、今回は復活しました。5~7月にかけて配当が大幅にカットされた19銘柄を除外した影響がありましたが、それが収まったようにも見えます。次回3月の配当ではどうなっているのでしょうか?
なお、例年通りだと、次回は3月半ば頃に配当金額が決定し、その翌日に配当落ちになりそうです。