SP&500連動ETF【VOO】が前年同期比3.4%の増配

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バンガード社のバンガード S&P500 ETF【VOO】が、2020年6月25日に配当金を発表しました。1.4333ドルです。1年前の同時期は1.3859ドルでしたので、1年前の同時期との比較では3.4%の増配です。

配当利回りを過去1年間の配当金額から算出すると、2020年6月26日の終値は277.12ドル、過去1年の配当額は5.3412ドルなので、配当利回りは1.93%になります。

 

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【VOO】の過去の配当金と増配率は?

【VOO】が設定されたのは2010年9月です。下の表は過去の配当金の一覧です。

配当利回りの計算方法を説明します。年4回配当金を支払う個別銘柄の場合は、最新の配当金額を4倍した額が年間配当額となり、それを株価で割って配当利回りが算出されます。

ところがETFの場合は、組み込まれている銘柄によって配当金を払うタイミングが異なるため、期によってバラバラになります。そこで、最新の配当金と過去3回の配当金を足した数字、つまり過去1年分の配当額が年間配当額となり、それを元に配当利回りが算出されることが多いです。

よって今回の【VOO】の配当が減配かどうかを調べるには、四半期ごとに過去1年分の配当金のデータを作成する必要があります。下の表の右から3番目が過去1年配当額です。今期の【VOO】の過去1年配当額は5.3412ドルで、前期の過去1年配当額は5.2938ドルなので、0.9%の増配といえるでしょう。ただし、この計算方法だと、減配かどうかの判断は今期と1年前の同時期の配当の比較によって決まります。なぜなら、残り3つの期はデータが同じだからです。

ちなみに前年の同時期との配当額の比較では、今回が1.4333ドル、前年の同時期が1.3859ドルなので3.4%の増配になります。また、前年の同時期との過去1年配当額の比較では、今回が5.3412ドル、前年の同時期の過去1年配当額が5.3367ドルなので、0.1%の増配となります。

そんなわけで、個別銘柄の減配とETFの減配は、少し意味合いが異なります。ETFで多少減配されたとしても、それほど神経質にならなくてもいいかもしれません。

※背景がになっているのが減配です

【VOO】の年間増配額と年間増配率は?

【VOO】の配当金を1年ごとにまとめてグラフ化しました。2020年は3月と6月の配当額で、今後9月と12月分が加わる予定です。

【VOO】の過去1年配当額を棒グラフで確認しよう

先ほどの表の過去1年配当額を棒グラフにして、【VOO】の株価と比較しました。過去1年配当額は、株価とある程度は連動しています。

【VOO】の配当額を棒グラフで確認しよう

こちらは期ごとの配当額を株価と比較したものです。前回の3月の配当額はコロナ・ショックの影響か悪かったですが、今回はかなり増えました。

 

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【VOO】の今後の配当予想は?

現在の年間配当金額(5.3412ドル)と1、3、5年前の同時期の年間配当金額(5.3367ドル、4.187ドル、3.788ドル)を比較して増配率を計算し、それを使って将来の配当金とYOCを予想しました。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの配当利回りのことです。【VOO】株を2020年6月26日の終値277.12ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。棒グラフが配当金予想、折れ線グラフがYOC予想です。

増配率は過去1年が0.1%、過去3年が8.5%、過去5年が7.1%でした。現在の配当利回りは1.93%です。もっとも増配率が低い過去1年のペースで増配が続くと10年後のYOCは1.94%、20年後のYOCは1.96%で現在からほとんど変化がなかったです。もっとも増配率が高い過去3年の増配と同じだと10年後のYOCは4.34%、20年後のYOCは9.77%になります。過去5年の増配率だと10年後のYOCは3.83%、20年後のYOCは7.62%になります。配当利回りはそれほど高くないですが、過去3、5年の場合は増配率がまずまずなので、YOCはそれなりに上がりそうです。

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【VOO】を買うタイミングを考える

下のグラフは過去5年の【VOO】の株価、配当利回り、YOCです。過去5年の配当利回りの平均は1.94%です。配当利回りは1.6~2.3%の間で推移していました。

黄色の線はYOC(Yield on Cost)です。過去5年に購入した場合、現時点での購入単価当たりの利回りが何%になっているかを、過去に買ったタイミングごとに示しています。配当利回り(赤い線)と連動した動きになります。

YOCを上げるコツは(1)増配率の高い銘柄を買う、(2)連続増配年数の長い銘柄を買う、(3)株価が低迷しているときに買うなどがあります。いずれの場合もなるべく早い時期に買った方が、YOCは上がっていきますが、長期にわたって株価が右肩下がりの場合は最近購入した方が数値が上がります。

【VOO】の株価は右肩上がりなので、早い時期に購入するとYOCは上がります。過去5年で最もYOCが高いのが2015年9月頃に買った場合で、現在約3.0%になっています。

今年に入ってからの【VOO】の株価と配当利回りは?

先ほどのグラフは少し大雑把なので、もう少し細かく1日ごとのデータで見ていきます。下のグラフは、2020年に入ってからの【VOO】の株価と配当利回りです。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。配当利回りは1.8%台で推移していましたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月23日には配当利回りが2.59%まで上昇しました。現在は株価が回復して、配当利回りは1.93%です。

 

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現在の【VOO】の株価と配当利回りの関係は?

年間配当額が現在と同じく5.3412ドルで変わらなかったら、配当利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間配当額が現在と同じ5.3412ドルが続いた場合の、配当利回りと株価の相関図です。配当利回りを0.2%ごとに株価を出しました。今後、【VOO】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。

 

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【VOO】のセクター別のファンド構成比は?

【VOO】に組み込まれている銘柄のセクター別の保有比率です。GICS(Global Industry Classification Standard)による分類です。情報技術が26.3%で他を引き離し、以下ヘルスケア、通信サービス、一般消費財、金融と続きます。

 

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【VOO】にはどんな銘柄が組み込まれているのか?

【VOO】の構成銘柄数は510銘柄です。下の表は組込比率0.5%以上の上位43銘柄です。全体の49.6%を占めています。残りの約50%に0.5%未満の467銘柄が入ります。

 

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【VOO】の上位組込銘柄の傾向は?

【VOO】の組込比率0.5%以上の上位43銘柄の一覧です。2020年5月末のデータです。時価総額加重平均を用いているので、ほぼ時価総額の大きい順になっています。広い意味でのIT系企業は、配当を支払っていない銘柄が多いですね。

 

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【VOO】の上位組込銘柄は、他のETFにも組み込まれているのか?

【VOO】の組込比率1%以上の43銘柄は、他のETFには組み込まれているのでしょうか? その一覧が下の表です。左からS&P500【VOO】、米国全体【VTI】、ナスダック【QQQ】、ダウ30平均【DIA】、連続増配【VIG】、高配当【VYM】【HDV】【SPYD】、です。表内の数字は組込順位一番上の行をクリックすると、その項目の順番に並び直します。同じ箇所を続けてクリックすると数値の大小が逆になります。試してください。

※「Tik」はティッカー・コード、「配利」は配当利回りです。配当利回りは2020年5月末のデータです

ティッカー 配利 VOO VTI QQQ DIA VIG VYM HDV SPYD
MSFT 1.1 1 1 2 5 2
AAPL 1.0 2 2 1 1
AMZN 3 3 3
FB 4 4 4
GOOGL 5 5 5
GOOG 6 6 6
JNJ 2.7 7 7 10 3 1 3
BRK.B 8 8
V 0.6 9 9 6 4
PG 2.7 10 10 14 6 3
UNH 1.4 11 11 2 5
JPM 3.7 12 13 18 2
INTC 2.1 13 12 7 23 4
HD 2.4 14 14 7
MA 0.5 15 15
VZ 4.3 16 16 24 5 4 12
T 6.7 17 17 6 1 25
NVDA 0.2 18 20 8
DIS 19 18 16 8
PFE 4.0 20 19 30 7 6 19
MRK 3.0 21 21 21 8 9
CSCO 3.0 22 22 11 25 9 8
BAC 3.0 23 23
XOM 7.7 24 24 26 10 2 46
ADBE 25 25 9
PEP 3.1 26 27 14 9 11 10
PYPL 27 28 10
NFLX 28 26 12
KO 3.5 29 29 27 12 7
CMCSA 2.3 30 30 15 10 13
WMT 1.7 31 31 12 1 15
CVX 5.6 32 32 20 14 5 20
ABT 1.5 33 33 12
ABBV 5.1 34 34 16 2
CRM 35 35
MCD 2.7 36 36 7 13 17
TMO 0.3 37 37
BMY 3.0 38 38 15 18
AMGN 2.8 39 39 16 19 11
COST 0.9 40 40 17 14
MDT 2.4 41 42 16
LLY 1.9 42 41 20
ACN 1.6 43 43 17

※【DIA】は株価の高いものが組込順位があがるだけなので、順位は関係ありません。【SPYD】は1、7月にSP&500の配当利回り上位80社を均等に買って、そこから株価が上がった銘柄の順位が高くなるだけなので、こちらも順位はほとんど関係ありません。

【VOO】と【VTI】は、ほとんど同じですね。【VOO】と【QQQ】の上位の並び順は結構似ています。【VYM】や【HDV】のトップ10は、【VOO】の10番目以降に並んでいます。

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トータルリターンを比較する

最後に【VOO】と【VYM】【QQQ】のトータルリターンを比較します。下のグラフは、2011年以降のトータルリターンです。最近5年では【QQQ】の伸びが凄まじいですね。

2011年初頭に1万ドル投資した場合、2019年5月末には【QQQ】が4万7200ドル、【VOO】が2万9300ドル、【VYM】が2万5200ドルになっていました。【VOO】と【VYM】はそれほど差がついていませんね。

1年ごとのトータルリターンを比較

それでは、1年ごとのトータルリターンを見てみましょう。2017年以降は【QQQ】の独壇場です。【VOO】は安定している動きですね。

2010年代前半のトータルリターンを比較

2011年から2014年末までのトータルリターンでは、【QQQ】がわずかに上回っているだけで、それほど差はついていません。つまり、ITが伸びたのはここ5年ということですね。

2011年初頭に1万ドル投資した場合、2014年末には【QQQ】が1万9900ドル、【VYM】が1万8300ドル、【VOO】が1万7700ドルになっていました。【VOO】が最も悪かったことになります。

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まとめ

【VOO】はS&P500に連動しており、米国株の基本となるETFです。配当利回りは少し低いですが、増配率はまずまずで、株価の値上がり益も期待できます。今はITが強いですが、今後異なるセクターが強くなっても組込順位を対応してくれるので、長年所有するのにもってこいといえます。

なお、例年通りだと、次回は9月24日頃に配当金額が決定し、その数日後に配当落ちになりそうです。