バンガード社のETFは公式サイトで月1回更新されます。月末のデータが、翌月の15日頃に反映されます。今回2020年12月末のデータが更新されましたので、バンガード・SP&500連動ETF【VOO】の組込銘柄の変化や傾向について検証します。
基本情報を確認しよう
【VOO】と米国の(ほぼ)市場全体をターゲットにしている主要ETFを比較しましょう。配当利回りは【DIA】がもっとも高く、【VTI】が一番低いです。運用総額は【VOO】と【VTI】が圧倒的に多いです。
※「配当利回り」は過去1年の配当額から算出しました。モーニングスターレーティングは2020年12月末のものです
【VOO】のセクター別のファンド構成比は?
【VOO】に組み込まれている銘柄のセクター別の組込比率です。バンガードの公式サイトではVOOだけGICS(Global Industry Classification Standard)で分類されています。情報技術の割合が最も多く、27.6%と全体の4分の1以上を占めています。以下、ヘルスケア、一般消費財、通信サービス、金融と続いています。
【VOO】にはどんな銘柄が組み込まれているのか?
【VOO】の保有銘柄数は509銘柄です。組込銘柄の一覧を円グラフにしました。組込比率0.5%以上の銘柄は43あり、全体の約51.0%を占めています。組込比率0.5%未満は466銘柄で全体の約49.0%、円グラフの白い部分です。なお、上位組込銘柄の一覧は次項にあります。
【VOO】の上位組込銘柄はどんな会社か?
【VOO】の組込比率0.5%以上の銘柄です。ベンチマークはS&P500。データの中身は2020年12月末時点のものです。
組込比率0.5%以上銘柄の推移
2020年4月以降の組込比率1%以上の銘柄はどのように変化したのでしょうか? 最近3カ月は1カ月ごと、それ以前は2カ月ごとのデータです。12月はテスラ【TSLA】がS&P500に新たに組み込まれ、いきなり5位にランクインしました。
【VOO】上位20銘柄は主要ETFには組み込まれているのか?
【VOO】の組込比率上位20銘柄は、他のETFにどのくらいの割合で組み込まれているのでしょうか? 高配当、市場全体、ハイテクの主要9ETFへの組込比率(%)をまとめました。
【VOO】は上位20銘柄で全体の36.9%を占めています。【VOO】内の組込順位は、【VTI】とほぼ同じです。【VTI】の対象が全米全体と分散されているため、【VOO】の方が1つの銘柄の組込比率が少し大きくなっています。
※配当利回りは2020年12月末の株価から算出しました。組込比率はバンガード社のETF【VYM】【VIG】【VOO】【VTI】【VGT】は2020年12月末、その他のETFは1月15日のデータをもとにしています。【SPYD】は1月と7月の時点で均等に組込、【DIA】は株価の高い順の組込比率なので、この2つの組込比率はそれほど重要ではありません。
ファンドオーバーラップで他のETFとの比較する
ファンドオーバーラップを使って、他のETFとの重複割合を調べてみましょう。【SPYD】や【DIA】は対象がS&P500採用銘柄なので、【VOO】に組み込まれる可能性はほぼ100%になります。【VTI】の中には【VOO】がほぼすべて入っています。
【VOO】の配当はどう変化したか?
【VOO】は年4回配当金(分配金)が支払われます。3、6、9、12月に配当落ちがあり、その数日後に振り込まれます。2020年の配当額の合計は。前年2019年を4.8%下回りました。ただ、前々年の2018と比較すると、大幅に増えています。2019年の配当額が多すぎたという見方もできます。
今年に入ってからの配当利回りは?
2020年1月以降の【VOO】の株価と配当利回りを見てみましょう。過去1年の年間配当額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。2020年1月当初の配当利回りは1.8%前後で推移していましたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月23日には配当利回りが約2.6%まで上昇しました。現在は株価がコロナ・ショック前を上回り、配当利回りは1.50%です。
【VOO】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去に【VOO】を買った場合、現在の購入単価当たりの配当利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から5年前までの株価、配当利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、やや大雑把です。
2021年1月21日の終値は353.16ドル、過去1年の配当金額は5.3027ドルなので、現在の配当利回りは1.50%です。過去5年の平均配当利回りは約1.89%です。過去5年で株価は右肩上がりで、増配もしていますので、早い時期に買った方がYOCは上がります。2016年2月に買っていたら、現在YOCは約3.0%になっていました。
【VOO】の今後の配当予想は?
現在の過去1年配当金額(5.3027ドル)と1、3、5、9年前の同時期の過去1年配当金額(5.5709ドル、4.3679ドル、3.931ドル、2.372ドル)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の配当金とYOCを予想しました。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの配当利回りのことです。【VOO】株を2021年1月21日の終値353.16ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。棒グラフが配当金予想、折れ線グラフがYOC予想です。
年間増配率は過去1年がマイナス4.8%、過去3年が6.7%、過去5年が6.2%、過去9年が9.4%でした。現在の配当利回りは1.50%です。もっとも増配率が低い過去1年のペースで増配が続くと10年後のYOCは0.9%、20年後のYOCは0.6%になります。もっとも増配率が高い過去9年の増配と同じだと10年後のYOCは3.7%、20年後のYOCは9.0%になります。最近1年は減配していますが、それ以外の期間と同じような増配率で推移すれば、まずまずのYOCになりそうです。
まとめ
【VOO】は米国を代表する500企業の指数であるS&P500をベンチマークしているETFなので、良くも悪くもアメリカ次第です。
バイデン政権発足後も株価は上がり続けており、相対的に配当利回りが下がっています。追加購入する場合、タイミングが難しいですね。