VTI、VOO、VIG、VYM、SPYD、QQQなど米国の主要12ETFの増配率から将来YOCを比べよう(2022年3月分配金反映版)

2022年3月の主要ETFの分配金がほぼ発表されました。最新の分配金情報をもとに、米国の主要ETF12銘柄の将来YOC比較などを行います。

 

スポンサーリンク

基本情報を確認しよう

まずは米国の主要ETF12銘柄を4つのカテゴリに分けます。

高配当系ETFが【SPYD】【HDV】【DVY】【VYM】の4つ。

連続増配系ETFが【SDY】【VIG】の2つ。

市場全体系ETF(インデックス)が【VOO】【VTI】【DIA】の3つ。

ハイテク・グロース系ETFが【VUG】【QQQ】【VGT】の3つです。

銘柄選択の基準は規模が大きい経費率が低い日本の個人投資家に人気です。たとえば、ベンチマークが同じS&P500のETF【VOO】【SPY】【IVV】の場合は、いずれか1つにしました。たいていは経費率の低いバンガード社のETFを使います。

 

分配金が特殊で資産額の上限1%を目指すカバードコールETFはありません。バリュー【VTV】、小型株や中型株【IJR】【IJH】【IWM】【VO】【VB】もかなり売れていますが、カテゴリ分類が難しいので、取り上げません。基本的には大型株です。セクターETFも基本的になしですが、【VGT】だけはハイテク・グロースの一つとして取り上げます。

 

まずは基本データです。他のETFと比較して優れている箇所は赤字にしました。あまり知られていないデータとしては、設定されたのが早いのが【DIA】で1998年1月、【QQQ】は1999年3月です。

組込銘柄数に対する上位10銘柄比率も興味深いデータです。ハイテク・グロース系ETFは上位10銘柄で約5割を占めており、結構集中投資です。GAFAMテスラなどですね。これらの企業の株価上昇が著しかったので、ハイテク・グロース系ETFの近10年のトータルリターンも素晴らしい結果になったと言えます。ちなみに【VGT】には現在アマゾン、グーグル、メタ(フェイスブック)などは入っていませんが、これらの銘柄は2018年までは情報技術セクターだったので以前は組み込まれていました。

 

スポンサーリンク

利回りとETFの規模は?

利回りは左側が高く、右に行くにつれて下がるようにしています。利回りで考えると、「増配」というカテゴリに組み込まれている【SDY】は高配当ETFに近く、【VIG】はインデックスに分類できそうです。

高配当の【SPYD】以外は、運用総額1兆円以上の超大型ETFです。とくに、全米【VTI】S&P500【VOO】は30兆円、そしてナスダック市場の大型銘柄を集めた【QQQ】は20兆円を超えています。

 

スポンサーリンク

トータルリターンを比較しよう

過去1、3、5、10年のトータルリターンを比較します。Portfolio Visualizerのデータです。

直近1年のリターンは、高配当がいいですね。過去3年以上のリターンは、右に行けば行くほどリターンが高いです。とくに過去3年と5年はハイテク・グロース系の強さが目立ちます。

 

スポンサーリンク

ETFの安定度はどうか?

ETFの安定度を比べてみましょう。こちらもPortfolio Visualizerを使用しました。過去10年のデータです。

最大ドローダウンは、計測期間における最大下落率です。マイナスの数値が小さいほど最大下落率が低いです。

シャープレシオとは、同じリスクを取った場合のリターンです。「(ファンドのリターン−無リスク資産のリターン)÷標準偏差」の値です。

ソルティノレシオはシャープレシオの改良版で、相場が軟調の際の成績を示しています。「(ファンドのリターン-無リスク資産のリターン)÷下方偏差」で計算します。

最大ドローダウンは、ハイテクグロース系【VUG】【QQQ】【VGT】と【VIG】がマイナス17%前後と安定しています。

シャープレシオとソルティノ・レシオの成績は、いくつかのグループに分けられます。最も素晴らしいのが【QQQ】【VGT】。2番手集団が【VUG】【VOO】。3番手は【VIG】【VTI】、4番手が【VYM】【SDY】【DIA】です。左端の3つの高配当ETFは今ひとつです。

 

スポンサーリンク

直近の分配金と前年同期を比較しよう

最新の2022年3月の分配金データと前年同期比較です。背景が赤なのが、前年同期と比べてマイナスです。【VIG】が35.2%増と素晴らしいです。【DIA】も14.9%増です。インデックスはいずれも好調ですね。高配当の【HDV】【DVY】、連続増配の【SDY】、グロースETF【VUG】が前年同期と比較してマイナスでした。

 

スポンサーリンク

過去の増配率を確認しよう

2022年3月の分配金決定後のデータです。3月の分配金を基準に、過去1年分配金額を11年間遡って計算し、それを使って過去1、3、5、7、10年増配率を算出しました。背景が赤の部分はマイナスです。1年前と比較して分配金のマイナスがなく、ずっと増え続けているのが【VYM】と【VOO】ですね。

【VGT】は分配金の支払いが四半期に一度になったのが2016年です。2015年より前の分配金は年1回や2回だったために、過去10年増配率などが計算できません。均等に4分割するという方法もありますが、やや強引なのでやめておきます。

 

増配率をグラフにする

上の表の増配率をグラフにしました。緑色の数字が過去5年増配率、オレンジ色が過去10年増配率です。過去10年増配率は6~9%に収まっています。ほとんどのETFが、過去3年や過去5年増配率は過去10年より数%低いですね。どちらの期間も同じように高い増配率なのは、連続増配ETFの【VIG】【SDY】です。

SDYの特別分配金の扱いについて

先ほどのグラフの注釈に、通常の分配金に特別分配金(ショート・ターム・キャピタルゲインなど)を含めるかどうかについての説明です。

連続増配ETF【SDY】は2013~17年にかけて、ショートターム・キャピタル・ゲインなどを12月に払いました。これを通常の分配金に加えて増配率を計算するかは、迷うところです。

そんなときは株価と分配金の比較をして決めましょう。規模が大きく良質なETFは、株価が右肩上がりに推移し、分配金も同じく右肩上がりとなり連動しています。これは利回りがどの時期も同じであるという意味もあります。濃い灰色の特別分配金を通常分配金に加えると、株価と年間分配金がバラバラになるので、加えないのが妥当と判断しました。

SPYDの特別分配金の扱いについて

【SPYD】は2017年12月に特別分配金(ショート・ターム・キャピタルゲインなど)を出しました。【SPYD】は株価はやや右肩上がり、分配金は横ばいです。これは微妙ですね。正直、どっちでもいいような気がします。どちらかというと通常の分配金に含めた方が、株価と分配金が連動しているように見えるので、含めることにします。

QQQの特別分配金の扱いについて

【QQQ】も2014年に特別分配金(ショート・ターム・キャピタルゲインなど)を出しました。【QQQ】は株価の上昇がすさまじいです。分配金も着実に上がっています。これは【SDY】同様に含めないで計算するのが妥当ですね。

 

スポンサーリンク

過去3年増配率を使った今後のYOC予想は?

主要12ETFの現在の過去1年分配金額と3、5、10年前の同時期の過去1年分配金額を比較して増配率を計算し、それを使って将来YOCを予想します。

YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの利回りのことです。それぞれのETFを2022年3月25日の終値で買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。

「分配金を再投資しない、税金は考えない」で検証します。普段は分配金を再投資するケース、税引き後のデータなども検証もしていますが、今回は対象ETFが12もありデータが多くなりすぎてしまうので、このパターンだけに留めておきます。

まずは過去3年増配率で検証します。

現在の利回りは【SPYD】3.54%、【HDV】3.16%、【DVY】2.91%、【VYM】2.73%、【SDY】2.62%、 【VIG】1.75%、【DIA】1.69%、【VOO】1.33%、【VTI】1.30%、【VUG】0.51%、【QQQ】0.48%、【VGT】0.72%です。

高配当、連続増配ETFの場合

最初は高配当ETF、増配ETFの6つを比較します。過去3年の年間増配率【SPYD】がマイナス0.9%、【HDV】が2.9%、【DVY】が4.5%、【VYM】が4.8%、【SDY】が11.5%、【VIG】が9.7%でした。

表の一番左の「スタート」が、それぞれのETFの現在の利回りです。過去1年の分配金から計算しています。

もっとも成績が良かったのは【SDY】。現在の利回りは2.6%とそれほど高くありませんが、増配率が11.5%と高水準だったため、20年後YOCは22.9%まで伸びました。

増配率が9.7%と高い【VIG】は堅実に伸ばして、20年後YOCは11.2%でした。

インデックス、ハイテク・グロースETFの場合

今度は、インデックス、ハイテク・グロース系ETFの6つを比較します。

過去3年の年間増配率【DIA】が3.0%、【VOO】が2.8%、【VTI】が1.8%、【VUG】がマイナス7.5%、【QQQ】が6.1%、【VGT】が7.8%でした。

もっとも成績が良かったのは【VGT】。現在の利回りは0.7%と低いですが、増配率が7.8%と高水準だったため、20年後YOCは3.2%まで伸びました。

【DIA】は増配率は3.0%とそれほど高くありませんが、現在の利回りが1.7%とこの中では高いので、20年後YOCは3.0%でした。

 

スポンサーリンク

過去5年増配率を使った今後のYOC予想は?

次に過去5年増配率で検証します。

高配当、連続増配ETFの場合

高配当ETF、増配ETFの6つを比較します。過去5年の年間増配率【SPYD】が0.1%、【HDV】が4.3%、【DVY】が6.3%、【VYM】が6.3%、【SDY】が8.7%、【VIG】が9.1%でした。

もっとも成績が良かったのは【SDY】。増配率が8.7%と高水準だったため、20年後YOCは13.8%まで伸びました。

増配率が9.1%と高い【VIG】は堅実に伸ばして、20年後YOCは10.0%でした。

インデックス、ハイテク・グロースETFの場合

今度は、インデックス、ハイテク・グロース系ETFの6つを比較します。

過去5年の年間増配率【DIA】が5.3%、【VOO】が6.1%、【VTI】が5.4%、【VUG】がマイナス1.9%、【QQQ】が7.5%、【VGT】が13.9%でした。

もっとも成績が良かったのは【VGT】。現在の利回りは0.7%と低いですが、増配率が13.9%と高水準だったため、20年後YOCは9.7%まで伸びました。

【DIA】は増配率は5.3%とまずまずで、現在の利回りは1.7%とこの中では高く、20年後YOCは4.8%でした。

 

スポンサーリンク

過去10年増配率を使った今後のYOC予想は?

最後に過去10年増配率で検証します。

高配当、連続増配ETFの場合

高配当ETF、増配ETFの6つを比較します。過去10年の年間増配率【HDV】が8.9%、【DVY】が7.1%、【VYM】が8.7%、【SDY】が6.7%、【VIG】が9.3%でした。【SPYD】は設定が2015年なのでありません。先ほど使用した過去5年のデータを掲載しています。

もっとも成績が良かったのは【HDV】。増配率が8.9%と高水準だったため、20年後YOCは17.6%まで伸びました。

増配率が8.7%と高い【VYM】は堅実に伸ばして、20年後YOCは14.5%でした。

インデックス、ハイテク・グロースETFの場合

今度は、インデックス、ハイテク・グロース系ETFの6つを比較します。

過去10年の年間増配率【DIA】が6.8%、【VOO】が8.7%、【VTI】が9.0%、【VUG】が6.3%、【QQQ】が13.3%。【VGT】は分配金の支払いが年4回になったのが2016年なので、厳密な過去10年増配率は出ません。先ほど使用した過去5年のデータを掲載しています。

もっとも成績が良かったのは【VTI】。増配率が9.0%と高水準だったため、20年後YOCは7.3%まで伸びました。

【VOO】は増配率は8.7%と高く、20年後YOCは7.1%でした。

 

スポンサーリンク

過去3、5、10年増配率を使った今後のYOC予想一覧

これまでの過去3、5、10年増配率を使用した将来YOC予想をまとめました。背景のオレンジ色が濃いほど、数値が高いです。

増配率は高配当もハイテク・グロースも似たような数値でした。将来YOC予想は現在の利回りががスタート位置になるので、これが結構重要です。そのため高配当ETFのほうが将来YOCが高く出る結果になりました。

 

スポンサーリンク

まとめ

将来YOC予想は、高配当や連続増配ETFに良い結果が出ました。【SPYD】だけは今ひとつでした。

【HDV】は過去10年増配率は高いですが、10年前が設定された初年度なので、分配金が極端に少なかったです。そのため、過去10年増配率が高くなったので、少し割り引いて考える必要がありそうです。

【VIG】はどの年の増配率を使用しても好結果でした。現在の利回りは1.7%で、高配当ETFとはかなり差があります。それにも関わらず、将来YOCが互角以上というのは素晴らしい結果と言えます

【VYM】は安定しています。どんなデータで検証しても欠点が少ないETFです。

【DVY】【SDY】は直近の分配金が1年前の同期と比較してマイナスでしたが、長期の増配率は高く、将来YOC予想もなかなかでした。

市場全体系【DIA】【VOO】【VTI】はいずれもまずまずでした。ハイテク・グロース系ETFは配当を出さない企業もあるので、あまり気にするデータではないです。ただ、【VGT】の増配率は素晴らしいですね。