VYM、VTI、VIG、SPYD、HDVなど米国の主要15ETFの増配率から将来YOCを比べよう(2022年6月分配金決定版)

2022年6月の主要ETFの分配金が発表されました。最新の分配金情報をもとに、米国の主要ETF12銘柄の将来YOC比較などを行います。

 

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基本情報を確認しよう

まずは米国の主要ETF15銘柄をインカム、市場全体、ハイテク・グロースの3つに分類し、さらにインカムを「高配当」「中配当」「低配当」の3つに細分化します。計5つのカテゴリになります。

・高配当ETFが【SPYD】【HDV】【DHS】の3つ。

・中配当ETFが【DVY】【VYM】【SDY】の3つ。

・低配当が【VTV】【DGRW】【VIG】

・市場全体ETF(インデックス)が【VOO】【VTI】【DIA】の3つ。

・ハイテク・グロースETFが【VUG】【QQQ】【VGT】の3つです。

銘柄選択の基準は規模が大きい経費率が低い日本の個人投資家に人気です。たとえば、ベンチマークが同じS&P500のETF【VOO】【SPY】【IVV】の場合は、いずれか1つにしました。たいていは経費率の低いバンガード社のETFを使います。

 

分配金がやや特殊なカバードコールETFはありません。債権も取り上げません。小型株や中型株【IJR】【IJH】【IWM】【VO】【VB】は売れていますが、カテゴリ分類が難しいので見送ります。基本的には大型株です。セクターETFも基本的に取り上げませんが、【VGT】だけはハイテク・グロースの一つとしてピックアップします。

 

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運用会社は?

運用会社は5社です。バンガードが【VYM】【VIG】【VTI】などで最多の7ETF。ステートストリートが3つ、ブラックロック、ウィズダムツリーが2つずつ、そしてインベスコが1つです。

 

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基本データは?

まずは基本データです。ほぼ利回りの高い順に並んでいます。他のETFと比較して優れている箇所は赤字にしました。なかなかのデータはオレンジ色です。

高配当ETFの組み入れ方式は配当加重が目立ちます。利回りの低いETFは時価総額加重が多いです。GAFAMのような無配や低配当のハイテク・グロース銘柄は時価総額が大きく、これらが上位を占めているハイテク・グロース、インデックスなどのETFは利回りが低くなります。

設定されたのが早いのが【DIA】で1998年、【QQQ】は1999年です。ウィズダムツリー社の【DHS】【DGRW】、ステートストリート社の【DIA】は毎月分配金が支払われます。経費率はバンガード社のETFは0.1%を切っており低水準です。

 

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利回りとETFの規模は?

利回りは左側が高く、右に行くにつれて下がるようにしています。ただし高配当の【HDV】と中配当の【DVY】【VYM】はあまり差がありません。最近の【HDV】は株価が好調で分配金が今ひとつなので、利回りが通常より低くなっています。

ウイズダムツリー社のETF【DHS】【DGRW】以外は、運用総額1兆円以上の超大型ETFです。とくに、全米【VTI】S&P500【VOO】は34兆円、そしてナスダック市場の大型銘柄を集めた【QQQ】は22兆円を超えています。

また、バリューETF【VTV】は13兆円、グロースETF【VUG】は9.6兆円と規模が大きいです。規模が大きいわりに、日本の個人投資家にバリューとグロースETFを取り上げられる機会は少ないですね。

 

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トータルリターンを比較しよう

過去1、3、5、10年のトータルリターンを比較します。Portfolio Visualizerのデータです。黄色の数字が過去10年のトータルリターン、緑色の数字は過去5年リターンです。

直近1年のリターンは高配当が素晴らしく、ハイテク・グロースはマイナスです。過去3年以上のリターンは、右に行くほどリターンが高く、ハイテク・グロースの強さが目立ちます。過去10年リターンは【DVY】から【DIA】までの7ETFが12.7~13.2%に収まっており、ほぼ同じです。

トータルリターンのグラフを表にする

グラフをデータにすると、以下のようになります。成績が良いところは背景が濃いオレンジ色です。似たような色ばかりで、かなり接戦というのが分かりますね。

以前はハイテク・グロースやそれらを多く含むインデックスが圧倒的に好成績でしたが、2022年に入ってからハイテク関連が暴落しました。そのため、ハイテクの少ないインカム系(高配当、中配当、低配当)との差が縮まってきています。

 

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ETFの安定度はどうか?

ETFの安定度を比べてみましょう。こちらもPortfolio Visualizerを使用しました。過去10年のデータです。

最大ドローダウンは、計測期間における最大下落率です。マイナスの数値が小さいほど最大下落率が低いです。

シャープレシオとは、同じリスクを取った場合のリターンです。「(ファンドのリターン−無リスク資産のリターン)÷標準偏差」の値です。

ソルティノレシオはシャープレシオの改良版で、相場が軟調の際の成績を示しています。「(ファンドのリターン-無リスク資産のリターン)÷下方偏差」で計算します。

最大ドローダウンは、【VIG】がマイナス17.2%と安定しており、【DGRW】【VOO】【VTI】もマイナス20%前後とまずまずです。

シャープレシオとソルティノ・レシオの成績は、いくつかのグループに分けられます。最も素晴らしいのが【QQQ】【VGT】【VOO】【VIG】が続き、その後は【VYM】より右側の残りのETFが団子状態です。左端の【SPYD】【HDV】は今ひとつです。

 

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直近の分配金と前年同期を比較しよう

最新の2022年6月の分配金データと前年同期比較です。背景が赤色のところは、前年同期と比べてマイナスです。【DHS】が43.6%増と素晴らしく、【DIA】も40.5%増です。インデックスと低配当はいずれも好調ですね。

高配当の【HDV】、中配当の【DVY】、グロースETF【VUG】などが前年同期と比較してマイナスでした。

 

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過去の増配率を確認しよう

2022年6月の分配金決定後のデータです。6月の分配金を基準に、過去1年分配金額を11年間遡って計算し、それを使って過去1、3、5、7、10年の増配率を算出しました。1年前と比較して分配金のマイナスがなく、ずっと増え続けているのが【DGRW】【VIG】【QQQ】ですね。

【SPYD】【DHS】【DGRW】【VGT】は設定が最近のため、もしくは分配金の支払いが四半期に一度に変更になったため、過去7年や過去10年がないケースがあります。

【SDY】は2013~2017年の12月にキャピタルゲイン分配金をたくさん支払いました。通常はこれを含めませんが、「SDY※」は含めるケースとして計算しました。

表の下の方の増配率は、背景の青色が濃いほど、増配率が高いことを意味しています。

増配率をグラフにする

上の表の増配率をグラフにしました。どの期間も素晴らしいのが、連続増配ETFの【SDY】と【VIG】ですね。

【VYM】と【VTV】は高いレベルで安定しています。【DGRW】は5年と7年増配率が抜きん出ています。【QQQ】もなかなかですね。

SDYの特別分配金の扱いについて

先ほどのグラフの注釈に、通常の分配金に特別分配金(ショート・ターム・キャピタルゲインなど)を含めるかどうかについての説明です。

連続増配ETF【SDY】は2013~17年にかけて、ショートターム・キャピタル・ゲインなどを12月に払いました。これを通常の分配金に加えて増配率を計算するかは、迷うところです。

そんなときは株価と分配金の比較をして決めましょう。規模が大きく良質なETFは、株価が右肩上がりに推移し、分配金も同じく右肩上がりとなり連動しています。これは利回りがどの時期も同じであるという意味もあります。濃い灰色の特別分配金を通常分配金に加えると、株価と年間分配金がバラバラになるので、加えないのが妥当と判断しました。

※増配率の計算や、それを使った将来YOCのデータは、特別分配金を含めるパターンも用意しました

SPYDの特別分配金の扱いについて

【SPYD】は2017年12月に特別分配金(ショート・ターム・キャピタルゲインなど)を出しました。【SPYD】は株価はやや右肩上がり、分配金は横ばいです。これは微妙ですね。正直、どっちでもいいような気がします。どちらかというと通常の分配金に含めた方が、株価と分配金が連動しているように見えるので、含めることにします。

QQQの特別分配金の扱いについて

【QQQ】も2014年に特別分配金(ショート・ターム・キャピタルゲインなど)を出しました。【QQQ】は株価の上昇がすさまじいです。分配金も着実に上がっています。これは【SDY】同様に含めないで計算するのが妥当ですね。

 

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主要ETFの今後のYOC予想は?

2022年6月の分配金を基準に、現在の過去1年分配金額と3、5、7、10年前の同時期の過去1年分配金額を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来YOCを予想します。

YOC(Yield on Cost)とは、取得価格あたりの利回りのことです。2022年6月27日の終値で買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。

分配金を再投資しない、税金を考慮しないで検証します。

10年後のYOCはどうなっているか?

まずは10年後YOCを予測します。過去3年、5年、7年、10年の増配率を使います。【SDY】は2013~2017年の特別分配金を含めるパターンと、そうでないケースの両方を計算しました。

赤い棒グラフが過去3年増配率と同じで推移した場合の10年後YOC予想、青い棒グラフが過去5年増配率と同じで推移した場合の10年後YOC予想、緑の棒グラフが過去7年増配率オレンジ色の棒グラフが過去10年増配率です。

混戦模様ですが、【SDY】や【VYM】が多くの期間で優勢です。【DVY】【DHS】【VTV】もなかなかです。中配当に分類されているETFが頭一つ抜けています。

20年後のYOCはどうなっているか?

続いて、過去3年、5年、7年、10年の増配率を使って、20年後のYOCを予測します。

【SDY】は過去3年増配率が11.5%と素晴らしいので、これが続くようなら、20年後YOCは24.4%まで伸びます。

【DGRW】は過去5年や7年増配率のペースだと、20年後YOCは15%ぐらいまで到達します。【VIG】は過去3年増配率のペースなら20年後YOCは17.6%。【VYM】はいずれの期間でも安定しており、20年後YOCは最低でも10%が期待できそうです。

30年後のYOCはどうなっているか?

最後に30年後のYOCを予測します。かなり先のことなので、あまり参考になりそうにありませんが、念のため計算してみましょう。

20年後YOC予想と似たような結果ですね。【SDY】の過去3年増配率を使用する場合が突き抜けており、30年後YOCは72%です。【VYM】は安定しており、30年後YOCは20%ぐらいが期待できます。低配当の【DGRW】【VIG】は現時点での利回りは低いですが、増配率が高い期間が多いので、これが続けば30年後YOCはかなり期待できます。

【VGT】の過去5年増配率、【QQQ】の過去10年はいずれも増配率13%と高いため、30年後YOCはかなり伸びています。

 

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過去3、5、7、10年増配率を使った今後のYOC予想一覧

これまでの過去3、5、7、10年増配率を使用した将来YOC予想をまとめました。背景のオレンジ色が濃いほど、数値が高いです。上段が30年後YOC予想、中段が20年後YOC予想、下段が10年後YOC予想です。

30年後YOC予想は、かなり先のことなので、過去のデータを使って予測しても、あまり参考にならないかもしれません。

10年後YOC予想は、現時点での利回りの高さが結構重要です。高配当や中配当に属するETFが、良い結果を出していました。

20年後YOC予想になると、現時点の利回りと増配率の高さ、総合力が問われます。中配当の【VYM】【SDY】、増配率の高い【VIG】【DGRW】が伸びてきます。

【VTV】【DVY】【DHS】はやや地味ですが、安定してYOCの上昇が期待できそうです。とくに【VTV】が良いですね。

【SPYD】【HDV】は最近の分配金が今ひとつで、増配率が高くないため、将来YOCは今ひとつです。

 

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まとめ

増配率を使って、将来のYOCを計算する場合、どの期間を使用するかによって、結果はかなり異なります。

【VYM】や【VIG】のようにいずれの期間でも高い増配率の場合は、将来YOC予想はどれも似た結果になりますが、こういうケースの方が少ないです。この2つのETFは数字の裏付けもありますし、なかなか素晴らしいですね。個人投資家に人気な理由もわかります。

【SDY】は2013~2017年の年末に支払われたキャピタルゲイン分配金を考えないで計算した場合は、将来YOCは素晴らしい結果になりました。

【DGRW】は過去5年や過去7年増配率が二桁と高く、この増配率が続けば20年後以降のYOCは、とても高くなりそうです。

【VTV】は利回りが2%台前半ぐらいで、やや低いです。日本の個人投資家にはあまり人気はないですが、純資産額は13兆円ほどと、かなり売れています。増配率は安定しており、将来YOCも着実に伸びそうです。

インデックスやハイテク・グロースは、現時点での利回りは低く、インカム狙いというわけではありません。ただ、増配率はインカムETFと比較しても、劣っているというわけではありません。長期保有でキャピタルとインカムの両方が狙えそうです。