今回のテーマは「2024年に開始する新NISA成長投資枠におすすめの東証上場・日本株高配当ETFは?」。さまざまなデータで比較します。増配率、分配金利回り、トータルリターン。3拍子揃ったETFは?
対象は【1489】【2564】【1577】【1698】【1494】【2529】【1478】【1651】の8つのETFです。
グラフで使用するカラーは以下の8つで統一します。【1489】が紅色、【2564】がオレンジ色、【1577】が緑色、【1698】が水色、【1494】が紺色、【2529】がピンク色、【1478】が黒色、【1651】が紫色です。ある程度コーポレートカラーを意識しました。
序盤は5つETFの基本データを比較
前半は、8つETFのコンセプトや組込上位銘柄、業種比率など基本データを1つずつ紹介
中盤は、業種、上位銘柄、セクターなどなどをグラフで比較
後半は、増配率、分配金利回り、トータルリターンなどを比較
終盤に、増配率を使った将来YOC予想は?
最後に、今回のデータをランク付け、気になるトップは?
東証上場日本株高配当ETFの基本データ(2023年12月6日)
8つのETFの基本情報を確認しましょう。東証に上場されている日本株高配当ETFインデックス型から、規模の大きな8つのETFです。
この8つを4種類に分類しました。【1489】【2564】が「高配当」、【1577】【1698】が「長期実績高配当」、【1494】【2529】が「増配系」、そして【1478】【1651】が「株価&トータルリターン重視」です。
それぞれ2つのETFで、ライバル関係とも言えます。
純資産総額、いわゆる規模の大きさは【1489】が1500億円ほどで圧倒的、【1577】が950億円で続き、【2564】と【1478】が600億円台です。
分配金利回りは【2564】が4.1%ほどで首位、【1489】が3.6%、【1577】が3.3%です。【1478】と【1651】は2.1%ほどなので高配当というよりは中配当ETFと言えそうです。
純資産総額と分配金利回りは?
それでは純資産総額と分配金利回りを散布図で比較します。縦軸が純資産、横軸が分配金利回りです。純資産が大きいETFが上に位置し、分配金利回りが高いほど右に来ます。
パッとみると、【1489】が純資産、分配金利回りともに優れていますね。【1577】や【2564】もどちらの数値も高いことがわかります。
新NISA成長投資枠に対応の東証上場日本株高配当ETFの基本データ
今度は8つのETFの細かい情報を比較します。表内の赤い文字はもっとも優れており、オレンジ色は次点です。
上から5行目がETFの大まかな特徴です。左の4つは高配当銘柄。【1577】と【1698】は設定から10年以上経過している古株です。【1494】と【2529】は増配系。右端の2つ【1478】と【1651】は財務の健全性や大型株を重視しており、他の6つのETFと比較すると高配当というわけではないですね。
分配金の支払いは【1494】と【1478】が年2回、残りは年4回です。ただし、年4回と言っても、4月や10月の分配金は多いですが、1月や7月の分配金は少なく、事実上年2回みたいなイメージです。そんな中、【1698】だけは年4回の分配金をほぼ均等にしています。結構貴重です。
純資産総額と分配金利回りは?
それでは経費率をグラフ化して確認します。
右端の【1478】と【1651】が0.209%と低いです。高配当ETFは、一般的に経費率がやや高めの傾向です。高配当よりもインデックスに近い【1478】と【1651】が経費率が低いのは妥当な気がします。
【2564】はもっとも分配金利回りが高いだけあって、経費率も高いです。あとは0.308%で横並びが多いですね。
1489(NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信)
それではETFごとに個別に見ていきましょう。今回はETFの比較がメインなので、個別解説はざっくりとしたものにします。
まずは野村アセット・マネジメントの【1489】。NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信。
日経平均225社の中から、基本的に配当利回り上位50銘柄が対象です。予想配当利回りや流動性などで組み入れ比率を決めるので、配当利回りの高い大型株が上位に入ります。
米国ETFにたとえるなら、コンセプトは【SPYD】で、中身は【VYM】の銘柄の利回りを高くしたようなイメージです。
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純資産総額は約1500億円で、最近の売れ行きはものすごく好調です。現在の株価は58000円ほどですが、2024年1月19日に1対30の株式分割を行うので、2000円ほどから購入可能となります。
分配金は、2018~2021年にかけては横ばいでしたが、2022年はかなり増え、前年から52%増。
2023年の分配金は、前年とほぼ同じでした。

2564(グローバルX MSCIスーパーディビィデンド-日本株式 ETF)
つぎは【2564】。グローバルX社の「グローバルX MSCIスーパーディビィデンド-日本株式 ETF」です。
設定が2020年と今回紹介するETFの中では一番新しいです。
配当利回りの高い25銘柄が対象で、均等加重です。流動性、時価総額、配当継続性、セクターバランスなどの条件がありますが、結構緩いので、高配当特化型になります。
米国ETFなら【DIV】と【SPYD】の中間ぐらいですかね。
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分配金は、最初に支払われたのが2020年10月なので、コロナ・ショックは経験していません。順調に伸びていますが、スタートした時期が良かったとも言えます。

1577(NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信)
次は野村アセット・マネジメントの【1577】。NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信。
純資産総額は約950億円と東証上場高配当ETFの中では2番目に大きいです。
このETFは、国内上場普通株式の中から今期予想配当利回りが高い70銘柄を均等に組み入れます。ただし、過去3年の経常利益がマイナスは除外、流動性や規模の小さな銘柄を除外するなどスクリーニングをかけます。
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コンセプトは米国の【SPYD】と似ていますが、株価上昇や分配金の増配はコチラが優れているイメージです。
分配金は2020年と2021年は伸び悩みました。2022年と2023年は好調でした。

1698(上場インデックスファンド 日本高配当(東証配当フォーカス100))
日興アセットマネジメントの【1698】です。上場インデックスファンド 日本高配当(東証配当フォーカス100)です。
設定が2010年と、日本株高配当ETFの中では最古参の部類です。
TOPIX1000と東証REIT指数の構成銘柄から、時価総額と予想配当利回りに注目した「東証配当フォーカス指数」に連動したETFです。株式90銘柄、REIT10銘柄です。
配当利回りの高い銘柄を抽出し、時価総額の大きな順に選ぶイメージです。ただし、3月決算9月決算と、6月決算12月決算でポートフォリオを分けるので、年4回の分配金のブレが少ないのが特徴です。
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米国ETFなら【HDV】や【DHS】に少し似ています。REITが10%ほど入っている点では【SPYD】っぽさもあります。
分配金は2020年のコロナショックで低迷しましたが、2022年に一気に増え、2023年も好調を維持しました。10年増配率は11.2%なので、長期にわたって高増配を続けているETFです。
【1698】(上場インデックスファンド 日本高配当(東証配当フォーカス100))を個別に分析したページはこちら
1494(One ETF 高配当日本株)
【1494】。アセットマネジメントOneの「One ETF 高配当日本株」です。
東証株価指数(TOPIX)の構成銘柄から、時価総額や流動性などの基準に適合した銘柄のうち、10年以上増配または配当水準を維持などの基準を満たした40~50銘柄が対象です。
配当利回り加重平均なので、配当利回りの高い銘柄が上位になります。増配ETFで配当利回り加重というと、米国ETFなら【SDY】と同じですね。
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分配金はコロナ・ショックの2020年に減配していないのが、増配系の特徴を現わしています。厳しい相場でも着実に増配するイメージです。分配金は年2回です。
2023年の年間分配金は前年と比べて15.5%増でした。
2529(NEXT FUNDS 野村株主還元70連動型上場投信)
野村アセット・マネジメントの【2529】です。NEXT FUNDS 野村株主還元70連動型上場投信。
規模の大きな約500銘柄から、過去3年間の実績配当や自社株買い、増資などに基づいた「ネット総還元利回り」の高い70銘柄を抽出します。「金融・保険業」は対象外です。珍しいコンセプトですね。
時価総額加重平均を採用し、ウエイト上限は2%です。
金融少なめで株主還元がコンセプトというETFなので、米国ETFなら【HDV】【SDY】【VIG】の中間ぐらいのイメージでしょうか。
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設定が2019年と最近ですが、分配金は順調に増えています。2020年に本格的に分配金を支払い始めたので、コロナ・ショックの経験があるかどうかは微妙です。2023年の分配金は前年よりも18.4%増えました。
【2529】(NEXT FUNDS 野村株主還元70連動型上場投信)を個別に分析したページはこちら
1478(iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF)
つぎは【1478】。ブラックロックの「iシェアーズMSCIジャパン高配当利回りETF」です。
純資産総額は640億円で、3番目に売れています。経費率0.209%は今回の8ETFの中では最低水準です。
大型株と中型株が対象で、配当性向や配当の継続性、財務指標の要件を満たした銘柄から、配当利回りの高い銘柄で構成される指数と連動しています。
時価総額加重なので大企業が上位を占めており、ディフェンシブな業種が結構入っており、インデックスに近いです。
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米国ETFなら、同じブラックロック社の【HDV】の分配金利回りを低くしたようなイメージです。
分配金は年2回。2022年はかなり好調でしたが、2023年はその反動からか少し減りました。
【1478】(ブラックロックの「iシェアーズMSCIジャパン高配当利回りETF」)を個別に分析したページはこちら
1651(iFreeETF TOPIX高配当40指数)
最後は【1651】です。大和アセットマネジメントの「iFreeETF TOPIX高配当40指数」です。
経費率は0.209%と今回の8ETFの中では最低水準です。
TOPIX100の中から、配当利回りの高い40銘柄で構成。時価総額加重平均で組み入れます。
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配当利回りの高い超大型株が対象ですが、時価総額加重平均で組入れるため、分配金利回りは低くなります。現在の分配金利回りは約2.1%と、今回の8つのETFの中でもっとも低いです。
1つ前で紹介した【1478】同様、高配当というよりはインデックスよりの中配当ETFですね。
米国ETFでたとえるなら、【VYM】と【VIG】の中間ぐらいですね。分配金は、2018年以降横ばいです。
上位銘柄を比較
それでは、組入上位10銘柄を比較します。
【1489】は配当利回りの高い大型株が中心ですね。海運と銀行が多いですね。【2564】も配当利回りは高いですが、ややマイナーな中小型株が多いです。海運が目立ちます。
【1577】は均等加重なので、あまり上位銘柄を意識する必要はありません。中型株が中心。【1698】は大型株で配当利回りの高い銘柄が上位です。日本たばこ産業、キヤノンなど12月決算銘柄が多いのが特徴です。
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【1494】は小型株が多く、地味な増配銘柄が中心。【2529】も増配銘柄中心ですが、中大型株が中心という感じです。
【1478】と【1651】は超大型株が多く、あまり配当利回りの高くない銘柄も入っています。商社、携帯キャリア、メーカーが目立ちます
保有銘柄の規模を比較する
保有銘柄の規模の比較です。赤いGiantが超大型株、青のLargeが大型株、緑色のMiddleは中型株、オレンジ色のSmallが小型株です。参考までに。一番下にTOPIX・ETF【1306】も入れておきます。
超大型企業の割合は、【1651】が68.4%と圧倒的に多いですね。TOPIXよりも多いです。その次が、【1478】で43.9%、【1698】は37.7%、【1489】が30.4%と続きます。
【2529】と【1577】は超大型株が20%前後で、大型株や中型株が中心です。
【2564】と【1494】は超大型株が7%台と少なく、中・小型株が中心です。
組入業種の上位を比較する
それでは組入銘柄の上位5業種を比較します。銀行業は5つのETFでトップ3に入っています。卸売業が5つのETFもトップ5に入っています。商社のことです。
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【1494】と【2529】は増配ETFです。首位と2位に建設業、化学というのが共通しています。
【1478】と【1651】、は卸売業、情報・通信業、保険業、輸送用機器と4つの業種が重複しています。TOPIXと少し似ています。ちなみにTOPIXの上位は電気機器、輸送用機器、情報・通信業、銀行業、卸売業です。
セクターの比較や米国ETFとの類似点を探る
Morningstar社によるセクター分類を比較しましょう。GICSにやや近いですね。左から2列目のセクターをやや強引にGICS風にしました。
左が日本株高配当ETF、右側が米国の高配当ETFと増配ETFです。背景のオレンジ色が濃いほど数値が高いです。赤字は際立って高い数値、青字は低い数値です。合計値は日本と米国は別々に分けて計算しています。
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日本株は金融と資本財が突出しています。金融は銀行、資本財は商社や海運などです。
資本財が最も多いのが【2564】で42.2%もあります。このETFは海運が多いので、配当利回りは高いですが、少し不安定と言えます。
【1698】は生活必需品とヘルスケアが目立ちます。ディフェンシブなセクターが多めと言えます。
【1478】と【1651】、は通信サービス・セクターが多いですね。携帯キャリアなどです。
増配系の【1494】と【2529】は素材が目立ちますね。
不動産は【2564】と【1698】が10%を超えており、多いですね。
日本株ETFを右側の米国ETFと比較して、どれと似ているかをチェックするのもいいかもしれないですね。
ちなみに、米国ETFで不動産が多いのは【SPYD】、資本財と生活必需品、素材が多いのは【SDY】、ヘルスケアが多いのは【HDV】。人気ETFの【VYM】はどのセクターも満遍なく入っています。
トータルリターンを比較する
トータルリターンを比較します。トータルリターンとは分配金を再投資した株価リターンのことです。2023年11月30日基準のデータです。期間は3、5、10年で、年率です。
参考までに、一番右にTOPIX連動型ETF【1306】のデータも入れておきます。
【1489】は3年リターン32.5%、5年リターン14.8%で、どちらもトップです。純資産が増えているのも納得です。分配金利回りが高く、リターンも素晴らしく、申し分ないですね。
【1651】は3年リターン27.7%、5年リターン14.0%で、どちらも2番目によいです。
【1698】は3年リターンが24.6%で3番手。【1478】は5年リターン13.3%で3番手。
増配系の【1494】と【2529】は3年リターン21%台で、他よりやや劣っています。
10年リターンは2ETFしかありませんが、【1698】が10.3%、【1577】が9.3%です。TOPIXの【1306】と比較すると、いずれの期間でも高配当ETFが優勢ですね。
シャープレシオはどうか?
トータルリターン、リスク、シャープレシオを散布図で比較します。縦軸がトータルリターン、横軸がリスク、()の中の数値がシャープレシオです。
シャープレシオの計算式は「トータルリターン−リスクフリーレート)/リスク」なので、トータルリターンが高く、リスクが小さいほど、シャープレシオが高くなります。
表の左上がローリスク・ハイリターン、右下がハイリスク・ローリターンになります。
まずは3年です。【1489】がトータルリターンが圧倒的で、リスクも高く、シャープレシオは2.26です。
【1651】はトータルリターンは2番手ですが、リスクが抑えられているので、シャープレシオは2.27で【1489】を上回ります。
シャープレシオは【1698】が1.98と3番目にいいですね。【1494】と【2529】は、増配系というだけあって、リスクが抑えられています。
5年シャープレシオはどうか?
続いて5年です。【2564】【2529】はありません。
こちらもリターン、リスク共に【1489】がもっとも高く、シャープレシオは0.91。
シャープレシオは【1651】が0.92、【1478】は0.91。【1651】と【1478】は【1489】よりリターンは低いですが、リスクが抑えられているため、シャープレシオは互角になります。
【1577】はシャープレシオ0.66とやや低調です。
10年シャープレシオはどうか?
最後に10年です。【1698】【1577】のみです。
トータルリターン、リスク、シャープレシオ、いずれも【1698】に軍配が上がっています。【1577】はTOPIXとシャープレシオが互角です。
分配金利回りの推移は?
それでは過去10年の分配金利回りの推移を比較しましょう。分配金利回りは過去1年分配金から算出しました。株価は月に1度、月末のものです。
分配金を支払い始めてから1年後から分配金利回りが出ますので、【1698】以外は、途中からの登場です。
現在の分配金利回りは【2564】が4.1%で一番高く、【1489】が3.6%。【1577】3.3%です。
10年で8つのグラフだと、ごちゃついており、少しわかりづらいですね。
近年の分配金利回りは?
過去3年の分配金推移を見てみましょう。
【2564】がいずれの期間も最も分配金利回りが高いですね。
【1489】が2番目に高いですね。3番手は【1577】と【1698】ですね
そして【1651】は2022年7月以降、もっとも分配金利回りが低いです。
さまざまな期間の分配金利回りを比較する
こちらは現在の分配金利回りと、過去3年、5年、7年、10年の分配金利回りの平均です。
背景が灰色はその期間に満たしていないという意味です。たとえば【1489】の過去7年の平均利回りは3.87%ですが、実際は6年ほどです。そんな感じです。
いずれのETFも過去3年や5年の平均分配金利回りが高く、現在はそれに比べて少し低くなっています。
現在の分配金利回りだけで判断するのではなく、同時に過去3年や5年なども照らし合わせて、分配金利回りの全体的なイメージを持つといいかもしれません。
過去に購入したら、現在YOCはどうなった?
過去にETFを購入していた場合、現在、取得価額に対する利回り(YOC)はどのくらいになっているかというグラフです。いわゆる自分利回りというやつです。
グラフが左肩上がりなら、株価が好調で増配しているという意味です。
一番右端の数値が現在の分配金利回りです。それぞれのETFの一番左端の数値が、設定されたときに購入していた場合の現在のYOCです。【1577】と【1698】は10年前に購入した場合です
このコンテンツの最初の説明で、8つのETFを4種類に分類したのを覚えていますか。このライバル同士が、ほぼ同じ線を描いているのがポイントです。
「高配当」に分類したのが【1489】と【2564】。分配金利回りがもっとも高いカテゴリですね。
「長期実績高配当」は【1577】と【1698】。もっとも古くからあるETFで、似ていますね。
「増配系」は【1494】と【2529】。この2つの線もそっくりです。
「株価&トータルリターン重視」が【1478】と【1651】。もっとも分配金利回りが低いですね。中配当っぽいです。
8つ全部で見ると、高配当に分類されている【1489】と【2564】が、現在の分配金利回りが高く、増配率もなかなかなので、早い時期に買っていると現在のYOCが高くなっていますね。
過去の増配率は?
増配率を確認します。表の上段は1年ごとの過去1年分配金と、前年からの増配率です。背景ピンク色がマイナスです。
※上の画像をクリックすると拡大します
表の下段は現在を起点とした1年から5年、そして7年、9年の増配率。CAGR(Compound Annual Growth Rate/年平均成長率)で計算します。背景のオレンジ色が濃いほど、増配率が高いという意味です。この部分をグラフで見てみましょう。
1年、2年増配率は?
まずは1年と2年の増配率です。
まずは1年、2年増配率です。
最近好調だった【1489】が1年増配率ではマイナスになりました。意外ですね。ただし2年増配率は22.4%と素晴らしいです。
【2529】が1、2年いずれの増配率も18%台と高水準です。【1698】は2年増配率が23.4%ともっとも高いです。
【1577】もなかなかの増配率です。【1478】と【1651】は今ひとつですね
3年、4年、5年増配率は?
3年、5年、9年増配率を見てみましょう。【2564】はありません。【2529】は3年増配率のみ。9年増配率は【1577】【1698】のみです。
3年増配率は【1489】と【2529】が20%を超えており、素晴らしいです。この両ETFは2年増配率も高かったですね。
5年増配率は【1494】が13.3%とトップ。
【1577】と【1698】の長期実績高配当ETFは、いずれの期間も高水準です。対して、【1478】と【1651】は今回も今ひとつでした。
増配率、分配金利回り、トータルリターンを比較しよう
増配率、分配金利回り、トータルリターンをバブルチャートで比較します。
縦軸が増配率、横軸が分配金利回り、バブルの大きさがトータルリターンです。バブルの近くの数値はトータルリターンです。
まずは3年です。【1489】が増配率、分配金利回り、トータルリターン、いずれもトップクラスです。
【1651】はトータルリターンが27.7%で2番目によいです。ただし、分配金利回り、増配率がもっとも低いグループです。
【2564】は分配金利回りが4.5%ほどで最も高く、増配率、トータルリターンはまずまず。
【2529】は増配率がトップクラスですが、トータルリターンは21.4%なので、他のETFと比べると低いですね。
5年の増配率、分配金利回り、トータルリターンは?
続いて5年を見てみましょう。【2564】と【2529】はありません。
ここでも【1489】が増配率、分配金利回り、トータルリターン、いずれもトップクラスです。
【1494】は増配率が13.3%と極めて高いです。
【1651】と【1478】はトータルリターンは高いですが、増配率と分配金利回りはやはり低いですね。
10年の増配率、分配金利回り、トータルリターンは?
最後に10年を見てみましょう。増配率は9年です。長期実績高配当の【1698】と【1577】のみです。
トータルリターンは【1698】が10.3%、【1577】が9.3%なので、【1698】が優勢。増配率はほぼ互角。分配金利回りはわずかに【1577】が優勢。総合的に考えると互角でしょうか。
3、5、10年増配率を使った今後のYOC予想一覧
それでは、いま日本株高配当ETFを購入したら、将来の利回りYOCがどのくらいになるのかをシミュレーションします。現在の利回りに過去の増配率を当てはめて計算します。
増配率は3、5、9年の3パターンを使います。「再投資しない。税引き前」という設定にします。
現在の分配金利回りは【2564】が4.1%と最も高く、【1651】が2.1%と最も低いです。
3年増配率から将来のYOCを予想する
まずは3年増配率です。3年増配率は【1489】が22.1%と最も高く、【1651】が3.5%でもっとも低いです。
20年目のYOC予想は、首位は【1489】で159.3%、2番手は【2529】で122.6%、3番手は【1698】で54.9%、差なく4番手は【1577】で51.7%でした。
ほとんどのETFが素晴らしい数値を叩き出しましたが、【1478】と【1651】は今ひとつです。
5年増配率から将来のYOCを予想する
続いて5年増配率です。【2564】と【2529】はありません。
5年増配率は【1494】が13.3%でもっとも高く、【1651】が4.1%でもっとも低いです。
20年目のYOC予想は、首位は【1494】で31.1%、2番手は【1489】で26.2%、3番手は【1698】は19.2%、4番手は【1577】で15.4%でした。
3年増配率と少し似た傾向ですが、【1494】がもっとも素晴らかったです。
9年増配率から将来のYOCを予想する
最後は9年増配率です。【1577】と【1698】、長期実績高配当の2つのみです。
9年増配率は【1577】が10.7%、【1698】が10.6%と互角でした。
20年目のYOC予想は、【1577】で22.8%、【1698】は20.7%でしたでした。わずかに【1577】が上回っています。
この両ETFは3年や5年増配率を使った場合の数値も似ていましたが、【1698】がやや上回っていました。トータルで考えると互角ですね。
全体的に見ると、【1489】が素晴らしかったです。増配系の【1494】もかなりよかったです。長期実績の【1577】【1698】は高いレベルで安定していました。
【2564】と【2529】は3年増配率のみでしたが、かなり高い水準でした。【1478】【1651】以外は申し分ないという感じですね。
それぞれの項目をまとめると?
これまで取り扱ったのデータをランクづけしました。「A」が最高で「B」「C」「D」の順です。相対比較で、やや強引に差をつけました。参考程度にしてください。
ざっと見たところ【1489】が圧倒的ですね。「A」が多く、「C」以下がないですね。純資産総額、分配金利回り、トータルリターン、シャープレシオ、増配率、過去や将来のYOCという注目したいデータに「A」が並んでいます。
残りはかなり接戦です。【2529】は「A」の数が4つと2番目に多かったです。増配率や将来YOC予想が好成績でした。増配系というだけのことはあります。
【1651】はトータルリターンやシャープレシオが優れていました。
【2564】は分配金利回りが素晴らしく、【1577】は歴史と銘柄分散、【1698】は歴史と分配金支払いのバランスが良かったですね。
ランキングの数をまとめると?
ABCDの数値をまとめたデータです。
「A」の数は【1489】が8個で最多で圧倒的です。次点が【2529】の4個です。
「B」の数は【1577】と【1698】が最多で7個、【1494】が5個で続いています。
【1577】と【1698】はそっくり同じですね。長期実績高配当というライバル同士だけのことはあります。
まとめ
それではまとめです。【1489】がほとんどのデータで素晴らしかったです。ただ、2023年の分配金が前年より減ったのが意外でした。
【2564】は高配当特化型ETF。組入れ銘柄はやや不安定。
【1577】【1698】は長期実績のある高配当ETF。どちらのETFも安定感があります。【1698】は年4回の分配金のブレが少なく、日本株高配当ETFでは貴重な存在です。
【1494】【2529】は増配系ETF。コンセプトは【1494】が増配、【2529】が株主還元です。【1494】はマイナー銘柄が多く、サテライト向き。【2529】は金融が対象外なので、暴落時により強さを発揮しそうです。
【1478】と【1651】は高配当というよりは中配当でインデックスに近いETF。TOPIXよりトータルリターンが優れていました。
どのETFを買っても大失敗はしないと思います。規模の大きな8つのETFなので、売れ行きと株価上昇の実績があるというわけですね。
新NISAで買うなら【1489】と何かを組み合わせるのがいいかなと思います。個人的には増配の【2529】と分配金の安定&バランスで【1698】が良いかなと思います。






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