2024年6月中盤から後半にかけての日米の高配当に関するニュースをお送りします。
バンガード社の【VYM】【VT】【VXUS】や、ステートストリート社の【SPYD】【SDY】の6月分配金についてお伝えします。
さらにSBI欧州高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)など、SBIアセットマネジメントの4つの投資信託の初回分配金。日経平均高配当利回り株ファンドの6月分配金や次回の銘柄入れ替えについても考察します。
【VYM】の2024年6月分配金は1.0237ドル。対前年同期16.8%増
バンガード社ETFの最新分配金について見ていきます。
まずは【VYM】の2020年以降の分配金です。【VYM】は米国の上場企業の中から、平均以上の配当利回りの大型株を対象に、時価総額加重平均で構成されたETFです。
上の表は2020年以降の分配金データです。左から4列目が分配金です。年4回支払われます。一番上の青く囲ったところ今回で、1.0237ドルでした。
右から4列目の「分配金の対前年同期増減率」に注目です。今回は16.8%増です。前回は8.6%減でしたが、それ以前は10回連続で、対前年同期がプラスでした。堅実に増配しているという意味です。
VYMの分配金推移をチェック
【VYM】の分配金を1年ごとに重ねて棒グラフにしました。リーマンショックの影響で2010年が底です。2011年からはずっと右肩上がりです。
1年単位で見ると、13年連続増配とも言えます。2024年は分配金が2回決まりましたが、前年よりは少し多いペースです。
10年増配率は6.8%、その他の期間の増配率は6%前後。分配金利回りは3%ほどです。
【VYM】の年間分配金を株価を比較
【VYM】の年間分配金と株価の比較です。
年間分配金と株価は似たように伸びています。増配した分だけ、株価も上昇しています。これは、分配金利回りがどのタイミングでも同じくらいという意味です。だいたい3%前後です。
このグラフを見ると、【VYM】は着実に株価と分配金が伸びており、安定感があるのがわかりますね。人気があるわけですね。
【VT】の2024年6月分配金は0.5779ドル。対前年同期11.1%減
続いて、バンガード社の【VT】です。【VT】は世界が対象のETF。
先進国および新興国の株式市場に幅広く分散投資しています。世界47カ国以上の約8000銘柄が対象で、 世界の投資可能な時価総額の98%以上をフォローしています。
今回の分配金は0.5779ドルで、前年の同期と比べて11.1%減と今ひとつでした。ただ、前回が47.7%増とかなり多かったので、その反動の可能性があります。
「分配金の対前年同期増減率」は、増えたり減ったりやや不安定です。
【VT】の分配金推移をチェック
【VT】の分配金を1年ごとに重ねて棒グラフにしました。
長期で見ると増配傾向です。2020年はコロナショックの影響もあり、分配金は少なかったです。配当が年2回の国が多いため、6月と12月が多く、3月と9月は少ない傾向です。
今年の2回の分配金は、現在のところ昨年のペースを上回っています。
10年増配率は4.5%、7年や5年増配率は5%台。分配金利回りは2%ほどで、米国のS&P500対象ETFは1.3%ほどなので、それよりは高いです。
【VXUS】の2024年6月分配金は0.4835ドル。対前年同期21.8%減
こちらも同じバンガード社の【VXUS】です。米国を除く世界が対象のETFです。日本、英国、中国、カナダ、フランスなどが中心です。
今回の分配金は0.4835ドルで、前年の同期と比べて21.8%減と今ひとつでした。
1つ前の【VT】もイマイチでしたね。米国以外の国の分配金が、今回は良くなかったようです。
「分配金の対前年同期増減率」は、VT同様に増えたり減ったりやや不安定です。
【VXUS】の分配金推移をチェック
【VXUS】の分配金を1年ごとに重ねて棒グラフにしました。
長期で見ると一応増配しています。ただ、前年度比べて減っている年も多いですね。コロナショックの2020年はかなり少なかったです。
こちらも配当が年2回の国が多いため、6月と12月が多く、3月と9月は少ない傾向です。
10年増配率は1.1%、7年や5年増配率は4%前後です。分配金利回りは3%ほどなので、先ほどの【VT】よりは1%ほど高いです。
【SPYD】の2024年6月分配金は0.4869ドル。対前年同期4.6%増
続いて、ステートストリート社の分配金についてです。
【SPYD】は米国の高配当ETF。S&P500採用銘柄の配当利回り上位80銘柄が対象で、均等に組み入れます。
今回の分配金は0.4869ドルで、前年の同期と比べて4.6%増とまずまずでした。
【SPYD】の分配金は少しクセがあります。表の赤く囲ったところを見てください。今回の分配金を前年同期と比較してどのくらい増減したかです。マイナス40%、プラス297%、マイナス79%など分配金の差が激しいです。
【SPYD】の分配金推移をチェック
【SPYD】の分配金を1年ごとに重ねて棒グラフにしました。
期によって分配金に差があるのがわかりますね。
6月21日の分配金利回りは4.58%。米国高配当ETFの中では高い部類です。
7年増配率が2.2%、5年増配率は1.6%。少しずつ増えています。
【SPYD】の分配金と株価を比較
分配金を期ごとに棒グラフにして、株価と比較しました。
黒い線が分配金の平均で0.41ドルです。今回は0.4869ドルなので、平均よりもやや多いです。
以前は分配金が多い時と少ない時の差が激しかったですが、最近は落ち着いています。
【SPYD】は1月と7月に均等加重で銘柄入れ替えを行うため、比率がリセットされて中身が大きく変更します。また、組入銘柄による分配金支払月の関係も重なり、分配金が多い時と少ない時に分かれます。
【SDY】の2024年6月分配金は0.8589ドル。対前年同期5.5%増
続いて、米国の連続増配ETF【SDY】です。
このETFはS&Pコンポジット1500指数の中から、20年以上連続増配実績のある銘柄を選び、配当利回りを基準に構成比率を決めます。
今回の分配金は0.8589ドルで、前年の同期と比べて5.5%増とまずまずでした。
【SDYD】の分配金推移をチェック
【SDY】の分配金を1年ごとに重ねて棒グラフにしました。
2013年から2017年にかけては、キャピタルゲイン分配金がありました。濃い灰色の部分です。それを除いて考えると、まずまず増配傾向にあります。
ただし、2021年以降は、横ばいですね。今年も2回分配金が出ましたが、過去3年と似たようなペースです。
連続増配ETFですが、ここ数年はあまり増配していないETFです。やや苦戦気味です。
SBIの投資信託(欧州高配当株式など)の初回分配金が決定
ここからは、SBIアセットの投資信託の初回分配金についてです。
6月は欧州高配当株が1つ、米国債券が3つです。
注目は、一番左の「SBI欧州高配当株式」ですね。この投資信託はアクティブファンドです。初回分配金は160円で、分配金利回りに換算すると6.8%ほどになります。なかなか高いですね。
右側の3つは米国の債券が対象。いずれもブラックロック社のETFの投資信託版です。
表の上に赤字で、対象ETFを書いておきました。米国総合債券が【AGG】、米国投資適格社債が【AGSB】、米国ハイイールド債券が【USHY】です。
現在は金利が高いということもあり、全体的に分配金利回りが高いです。とくに米国ハイイールド債券の【USHY】の投資信託版は6.6%ほどです。
SBIアセットの年4回分配金、低コスト投資信託を確認
ここでSBIアセット・マネジメントの投資信託についておさらいしましょう。
SBIアセットマネジメントは、新NISAの開始に合わせて、年4回の分配金を支払う低コストの投資信託を大量に設定しました。その一覧が以下です。
※クリックで拡大します
分配金を支払うタイミングの決算を、3つのタイプに分けているのがポイントです。年4回分配金を支払うタイプを3つに分けるので、これらを組み合わせると、毎月分配が実現するわけです。
1、4、7、10月は、日本高配当株と日本国債。
2、5、8、11月は米国の高配当や増配株。【VYM】【VIG】【SPYD】の投資信託版です。それと、J-REITもあります。J-REITは8月が初回分配金です。
そして、3、6、9、12月が、先ほど紹介した米国債券3つと、欧州高配当株。さらに全世界債券も7月に誕生します
とくに気になるのは、背景が灰色のアクティブファンドのSBI日本高配当株、J-REIT、欧州高配当株ですね。
この3つのファンドは、アクティブファンドなのに信託報酬が0.1%を切っており素晴らしいですが、運用成績がどうなるのかは未知数です。
最近の分配金利回りと新加入銘柄は?
アクティブファンドである「SBI日本高配当株」と「SBI欧州高配当株」の最近の状況について確認しましょう。
どちらも設定当初のファンドの分配金利回りは結構高かったです。「SBI日本高配当株」は4.6%、「SBI欧州高配当株」は6.1%ぐらいでした。
ところが現在の公式サイトに掲載されている分配金利回りは「SBI日本高配当株」は3.7%、「SBI欧州高配当株」は5.4%で、どちらも1%弱、下がっています。
最近追加した銘柄と、その配当利回りを見てみましょう。
「SBI日本高配当株」は、トヨタ自動車、東京エレクトロン、三菱商事。「SBI欧州高配当株」はASML、エアバス、シーメンスなどです。
どちらも最近は配当利回りの低めの超大型株を追加しており、現在は配当利回りよりも株価成長やポートフォリオの安定に重きを置いているように見えます。
今後どのように銘柄の入れ替えがあるのか、注視したいところです。
日経平均高配当利回り株ファンドの分配金が決定。280円
日経平均高配当利回り株ファンドは、日経平均225社の中から配当利回りの高い30銘柄を集めた投資信託です。
新NISAのつみたて投資枠で購入可能なファンドです。分配金を出すタイプで、つみたて投資枠に入っているのは、極めて珍しいです。
分配金は年2回で、6月と12月。今回の6月分配金は、1万口当たり280円でした。
前年の同期との比較では15.2%減。前期との比較では3.7%増でした。
日経平均高配当利回り株ファンドの分配金推移をチェック
こちらは、日経平均高配当利回り株ファンドの分配金推移。
2019年から2021年にかけては横ばいでしたが、2022年に一気に増えました。その後は再び横ばいです。今回の分配金は2022年や2023年と同水準ですね。
商船三井、あおぞら銀行などの減配の影響を少し受けたかもしれません。
次回の銘柄入れ替えを考察する
日経平均高配当利回り株ファンドは毎年6月と12月に銘柄入れ替えを行います。
左は日経平均高配当利回り株ファンドの全30銘柄。5月末時点のものです。
右は、ライバルとも言える「日経平均高配当株50指数」です。ETFの【1489】や投資信託の「Tracers 日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)」の対象指数です。
すでに入れ替え銘柄が決定しました。参考になるかもしれません。背景黄色が新加入銘柄で、背景灰色が除外銘柄です。
次回の銘柄入れ替えで、日経平均高配当利回り株ファンドから、17位フジクラ、21位トレンドマイクロ、22位あおぞら銀行などは除外されそうですね。
7月になって銘柄入れ替えが完了したら、日経平均高配当利回り株ファンドと、日経平均高配当株50指数に連動する【1489】や「トレイサーズ高配当50」の比較動画を作成しようかなと考えています。
一歩先いく NASDAQ-100 毎月カバコ戦略(QYLD)の初回分配金が決定
最後は、大和アセットの投資信託「一歩先いく NASDAQ-100 毎月カバコ戦略(QYLD)」の2回目の分配金が決まりました。
1万口当たり60円です。毎月分配型なので、60円を12倍すると、年間720円になります。現在の基準価額が1万536円なので、分配金利回りは6.83%ほどです。米国源泉の10%控除前に戻すと、分配金利回りは7.6%。
米国の【QYLD】は11%前後なので、それと比べると低いですね。
初回の分配金が90円で米国版と同じような数値だっただけに残念です。このETFは3月19日に設定されたばかりです。次回以降に期待しましょう。
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まとめ
バンガードのETF6月分配金が決定。【VYM】は1.0237ドルで、前年同期より16.8%増と好調でした。
ステートストリートの米国高配当ETF【SPYD】は0.4869ドルで、前年の同期と比べて4.6%増とまずまず。米国連続増配ETF【SDY】は0.8589ドルで、前年同期と比べて5.5%増となかなかでした。
SBI欧州高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)の初回分配金は160円で、分配金利回りに直すと、6.8%ほどと高水準でした。ただしファンドの配当利回りは5.4%ほどに下がっています。SBI日本高配当同様に、安定大型銘柄を新規購入しているようです。
日経平均高配当利回り株ファンドの分配金は280円。分配金は2022年以降、横ばいです。6月末の銘柄入れ替えに注目です。
大和アセットの「一歩先いく NASDAQ-100毎月カバコ戦略(QYLD)」の2度目の分配金は60円と今ひとつ。3回目の巻き返しに期待。
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