バンガード社のバンガード・米国情報技術セクターETF【VGT】が、2020年9月9日に配当金を発表しました。0.7074ドルです。1年前の同時期は0.8344ドルでしたので、1年前の同時期との比較では15.2%の減配です。
配当利回りを過去1年間の配当金額から算出すると、2020年9月9日の終値は309.1ドル、過去1年の配当額は2.8742ドルなので、配当利回りは0.93%になります。
【VGT】は配当金目当てではなく、株価の値上がり益を求めて買う銘柄かもしれませんが、配当金の増配率もなかなかのものです。
【VGT】の過去の配当金と増配率は?
【VGT】が設定されたのは2004年1月です。下の表は過去の配当金の一覧です。
配当利回りの計算方法は、年4回配当金を支払う個別銘柄では、最新の配当金額を4倍した額が年間配当額となり、それを株価で割って配当利回りが算出されます。
ところがETFの場合は、組み込まれている銘柄によって配当金を払うタイミングが異なるため、期によってバラバラになります。そこで、最新の配当金と過去3回の配当金を足した数字、つまり過去1年分の配当額が年間配当額となり、それを元に配当利回りが算出されることが多いです。
今回の【VGT】の配当が増配or減配なのかは、どのデータを比較するかによって異なります。もっともオーソドックスなのは、前年の同期との配当額の比較です。今回が0.7074ドル、前年の同期が0.8344ドルなので15.2%の減配になります。また、前年同期との過去1年配当額の比較では、今回が2.8742ドル、前年の同期が2.7094ドルなので、6.1%の増配となります。
【VGT】の今回の配当は今ひとつでした。ただし、過去1年配当額を前年同期と比較した場合、ず~とプラスですので、あまり気にする必要はないと思います。
※背景が赤になっているのが減配です
【VGT】の年間配当額と年間増配率は?
【VGT】の配当金を1年ごとにまとめてグラフ化しました。2020年は12月の配当がまだですが、2年前の2018年の年間配当額を超えました。
【VGT】の期別配当は?
2020年は3月と6月の配当が素晴らしかったですが、9月は足踏みですね。あまり気にしなくてもよさそうです。
【VGT】の過去1年配当額を棒グラフで確認しよう
先ほどの表の過去1年配当額を棒グラフにして、【VGT】の株価と比較しました。過去1年配当額は、株価とある程度は連動しています。これまでの配当の伸びが素晴らしかっただけに、一休みですかね。
【VGT】の配当額を棒グラフで確認しよう
こちらは期ごとの配当額を株価と比較したものです。期によって配当額がかなり異なります。長期で見ると右肩上がりです。
【VGT】の今後の配当予想は?
現在の過去1年配当金額(2.8742ドル)と1、3、5、10年前の同時期の過去1年配当金額(2.7094ドル、1.621ドル、1.171ドル、0.25ドル)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の配当金とYOCを予想しました。
ただし、現在と同じ年間4回の配当支払いになったのが2016年なので、5年前や10年前との比較は、2019年の年間配当(2.7201ドル)を基準に、5年前の2014年(1.171ドル)、10年前の2009年(0.25ドル)を比較しました。
YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの配当利回りのことです。【VGT】株を2020年9月9日の終値309.1ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。棒グラフが配当金予想、折れ線グラフがYOC予想です。
年間増配率は過去1年が6.1%、過去3年が21.0%、過去5年が18.4%、過去10年が27.0%でした。現在の配当利回りは0.93%です。もっとも増配率の低い過去1年のペースだと10年後のYOCは1.7%、20年後のYOCは3.0%になります。もっとも増配率が高い過去10年の増配率を当てはめると10年後のYOCは10.1%、20年後のYOCは110.1%になります。過去3、5、10年の増配率で当てはめると、将来YOCは凄まじい数字になっています。
【VGT】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去に【VGT】を買った場合、現在の購入単価当たりの配当利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から、【VGT】が設定された16年前の2004年まで、1年ごと遡って【VGT】を買った場合のYOCと株価を見ていきましょう。
2020年9月9日の終値は309.1ドル、過去1年の配当金額は2.8742ドルなので、現在の配当利回りは約0.9%です。
【VGT】の株価は、11年前の2009年以降は右肩上がりで、増配率もかなり高かったです。そのため、早い時期に買っていれば、YOCはかなり上がります。11年前に買っていたら、現在YOCは約5.8%になっており、株価・YOCともに約6.3倍になっていました。
今年に入ってからの配当利回りは?
2020年に入ってからの【VGT】の株価と配当利回りを見てみましょう。過去1年の年間配当額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。配当利回りは1%強で推移していましたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月23日には配当利回りが1.6%まで上昇しました。現在は株価がコロナ・ショック前を上回りましたが、少し調整段階を迎えており、配当利回りは0.93%です。
現在の【VGT】の株価と配当利回りの関係は?
年間配当額が現在と同じく2.8742ドルで変わらなかったら、配当利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間配当額が現在と同じ2.8742ドルが続いた場合の、配当利回りと株価の相関図です。配当利回りを0.1%ごとに株価を出しました。今後、【VGT】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。
【VGT】の上位組込銘柄はどんな会社か?
【VGT】の組込比率1%以上の銘柄です。ベンチマークは、MSCI USインベスタブル・マーケット・情報技術25/50インデックスです。時価総額では二強が突き抜けていますね。データは2020年7月末日のものです。
まとめ
【VGT】の最近5年の株価の伸びは凄まじいものがあります。配当利回りは約1%と高くないですが、増配率もかなり高かったです。ただし、今回に限っては今ひとつの結果でした。前年同期比の減配はあまり気にする必要はないかと思いますが、IT関連の株高は少し過熱気味のようですね。
なお、例年通りだと、次回は12月12日頃に配当金額が決定し、その数日後に配当落ちになりそうです。