バンガード社のETFは公式サイトで月1回更新されます。月末のデータが、翌月の15日頃に反映されます。今回2020年9月末のデータが更新されましたので、バンガード・米国情報技術セクターETF【VGT】の組込銘柄の変化や傾向について検証します。
【VGT】にはどんな銘柄が組み込まれているのか?
【VGT】の保有銘柄数は330銘柄です。組込銘柄の一覧を円グラフにしました。組込比率1%以上の銘柄は18あり、全体の約71.1%を占めています。組込比率1%未満は312銘柄で全体の約28.9%、円グラフの白い部分です。上位銘柄の占める割合が大きく、結構集中投資ですね。
【VGT】の上位組込銘柄はどんな会社か?
【VGT】の組込比率1%以上の銘柄です。アップル【AAPL】とマイクロソフト【MSFT】が圧倒的ですね。ベンチマークはMSCI USインベスタブル・マーケット・情報技術25/50インデックス。データの中身は2020年9月末時点のものです。
過去6カ月の組込比率1%以上の銘柄比較
最近6カ月間の組込比率1%以上の銘柄の比較です。サービスナウ【NOW】がランクインしました。この半年間ではエヌビディア【NVDA】やセールスフォース・ドットコム【CRM】が上昇し、インテル【INTC】、シスコ・システムズ【CSCO】、アイ・ビー・エム【IBM】、オラクル【ORCL】などが比率を下げています。
【VGT】上位18銘柄は主要ETFには組み込まれているのか?
【VGT】の組込比率1%以上の18銘柄は、他のETFには組み込まれているのでしょうか? その一覧が下の表です。左から情報技術【VGT】、ナスダック100【QQQ】、S&P500【VOO】、米国全体【VTI】、ダウ30平均【DIA】、連続増配【VIG】、高配当【VYM】【HDV】【SPYD】です。表内の数字は組込順位。一番上の行をクリックすると、その項目の順番に並び直します。同じ箇所を続けてクリックすると数値の大小が逆になります。試してください。
※「Tik」はティッカー・コード、「配利」は配当利回りです。配当利回りは2020年9月末の株価から算出しました。【SPYD】は7月の時点で均等に組込、【DIA】は株価の価格で組込比率が決まるので、この2つの組込順位はあまり重要ではありません。
Tik | 配利 | VGT | QQQ | VOO | VTI | DIA | VIG | VYM | HDV | SPYD |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
AAPL | 0.7 | 1 | 1 | 1 | 1 | 20 | – | – | – | – |
MSFT | 1.1 | 2 | 2 | 2 | 2 | 6 | 2 | – | – | – |
NVDA | 0.1 | 3 | 8 | 11 | 12 | – | – | – | – | – |
V | 0.6 | 4 | – | 10 | 10 | 8 | 5 | – | – | – |
MA | 0.5 | 5 | – | 13 | 13 | – | – | – | – | – |
ADBE | – | 6 | 10 | 17 | 18 | – | – | – | – | – |
CRM | – | 7 | – | 19 | 23 | 3 | – | – | – | – |
PYPL | – | 8 | 9 | 18 | 19 | – | – | – | – | – |
INTC | 2.6 | 9 | 13 | 21 | 22 | 26 | – | 5 | – | – |
CSCO | 3.7 | 10 | 16 | 33 | 38 | 29 | – | 14 | 8 | – |
AVGO | 3.6 | 11 | 17 | 39 | 40 | – | – | 19 | – | 9 |
ACN | 1.6 | 12 | – | 41 | 42 | – | 16 | – | – | – |
QCOM | 2.2 | 13 | 18 | 48 | 49 | – | 21 | 23 | – | – |
TXN | 2.9 | 14 | 20 | 49 | 50 | – | 22 | 24 | 12 | – |
ORCL | 1.6 | 15 | – | 56 | 54 | – | 12 | – | – | – |
IBM | 5.4 | 16 | – | 57 | 58 | 19 | – | 29 | – | 66 |
AMD | – | 17 | 24 | 61 | 61 | – | – | – | – | – |
NOW | – | 18 | – | 64 | 62 | – | – | – | – | – |
【VGT】の組込比率1%以上18銘柄中11銘柄が【QQQ】に組み込まれています。【HDV】や【SPYD】は2銘柄しか組み込まれていません。セルフォース・ドットコム【CRM】がNYダウに新規採用されたので、【DIA】に入りました。
ファンドオーバーラップで他のETFとの比較する
ファンドオーバーラップを使って、他のETFとの重複割合を調べてみましょう。以下のようになりました。【QQQ】との重複割合は48%です。高配当ETF【VYM】【HDV】【SPYD】とは重なっている部分が少ないです。
今年に入ってからの配当利回りは?
2020年に入ってからの【VGT】の株価と配当利回りを見てみましょう。過去1年の年間配当額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。配当利回りは1.1%前後で推移していましたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月23日には配当利回りが1.6%まで上昇しました。現在は株価がコロナ・ショック前を大きく上回り、配当利回りは0.92%です。
【VGT】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去に【VGT】を買った場合、現在の購入単価当たりの配当利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から5年前までの株価、配当利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、やや大雑把です。
2020年10月27日の終値は313.12ドル、過去1年の配当金額は2.8742ドルなので、現在の配当利回りは約0.92%です。過去5年の平均配当利回りは約1.14%です。過去5年で株価は右肩上がりで、増配率も高かったので、早い時期に買った方がYOCは上がります。2016年2月に買っていたら、現在YOCは約2.85%になっていました。
【VGT】の今後の配当予想は?
現在の過去1年配当金額(2.8742ドル)と1、3、5、10年前の同時期の過去1年配当金額(2.7094ドル、1.621ドル、1.171ドル、0.25ドル)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の配当金とYOCを予想しました。
ただし、現在と同じ年間4回の配当支払いになったのが2016年なので、5年前や10年前との比較は、2019年の年間配当(2.7201ドル)を基準に、5年前の2014年(1.171ドル)、10年前の2009年(0.25ドル)を比較しました。
YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの配当利回りのことです。【VOO】株を2020年10月27日の終値313.12ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。棒グラフが配当金予想、折れ線グラフがYOC予想です。
年間増配率は過去1年が6.1%、過去3年が21.0%、過去5年が18.4%、過去10年が27.0%でした。現在の配当利回りは0.92%です。もっとも増配率が低い過去1年のペースで増配が続くと10年後のYOCは1.7%、20年後のYOCは3.0%になります。もっとも増配率が高い過去10年の増配と同じだと10年後のYOCは10.0%、20年後のYOCは108.7%になります。過去3、5、10年の増配率が続くようだと、将来YOCは凄まじい数字になりそうです。
まとめ
いかがでしたか? 【VGT】の株価は、コロナ・ショック前の過去最高値を大きく上回りました。
IT関連株はコロナ・ショック後のリカバリーが速かったですが、ここ最近は少し高止まり状態です。今後、どちらに動くか気になるところです。
