バンガード社のバンガード・米国情報技術セクターETF【VGT】が、2021年6月22日に分配金を発表しました。0.5862ドルです。1年前の同時期は0.6746ドルでしたので、1年前の同時期との比較では13.1%の減配です。
利回りを過去1年間の分配金額から算出すると、2021年7月5日の終値は403.71ドル、過去1年の分配金額は2.6126ドルなので、利回りは0.65%になります。
※このページでの利回りは過去1年間の分配金をもとに、計算します。
基本情報を確認しよう
【VGT】はGICS(Global Industry Classification Standard)による分類の情報技術セクターが対象です。時価総額加重型によって組み込まれ、小型株も多く含まれます。
下の表は日本で購入できるバンガード社のセクターETF10銘柄の基本情報です。利回りの高い順に並んでいます。いずれも経費率は0.1%、2004年に設定されました。情報技術セクターETF【VGT】は利回りは下から2番目ですが、運用総額は断トツ1位です。
上の表のセクターの背景に色をつけました。このカラーは当サイト内で共通のものとして使用しております
※バンガード社には不動産(REIT)ETF【VNQ】というのもありますが、これは日本の証券会社では購入できません
【VGT】の上位組込銘柄はどんな会社か?
【VGT】の組込上位20銘柄です。ベンチマークは、MSCI USインベスタブル・マーケット・情報技術25/50インデックスです。ファンド構成比、時価総額ではアップル【APPL】とマイクロソフト【MSFT】が突き抜けていますね。組込順位や構成比は2021年5月末日、それ以外は7月5日のデータです。上位20銘柄で全体の約70%を占めています。
2020年4月以降の上位銘柄は?
2020年4月以降の組込比率1%以上の銘柄の推移です。最近は、上位銘柄ではエヌビディア【NVDA】、シスコ・システムズ【CSCO】の比率が上がっています。
【VGT】組込上位銘柄は主要ETFには組み込まれているのか?
【VGT】の組込上位20銘柄は、他のETFにどのくらいの割合で組み込まれているのでしょうか? 高配当【VYM】【HDV】【SPYD】、市場全体系【VIG】【VOO】【VTI】【DIA】、ハイテク【QQQ】【VGT】への組込比率(%)をまとめました。
ハイテク・グロース系の【QQQ】とは上位組込銘柄が重複することが多いです。ビザ【V】やマスターカード【MA】はナスダックに上場していないので、【QQQ】には組み込まれていません。
【VGT】との重複率は【VYM】が10%、【HDV】が5%、【SPYD】が2%、【VIG】が18%、【VOO】が27%、【VTI】が26%、【DIA】は16%、【QQQ】が48%、ちなみに【VUG】は44%です。
※組込比率は、バンガード社のETFは2021年5月末、その他のETFは6月14日、【HDV】は6月18日のデータをもとにしています。【DIA】と【SPYD】の組込比率はそれほど重要ではありません
【VGT】の過去の分配金と増配率は?
【VGT】が設定されたのは2004年1月です。下の表は過去の分配金の一覧です。
今回の【VGT】の分配金が増配or減配なのかは、どのデータを比較するかによって異なります。もっともオーソドックスなのは、前年の同期との分配金額の比較です。今回が0.5862ドル、前年の同期が0.6746ドルなので13.1%の減配になります。また、前年同期との過去1年分配金額の比較では、今回が2.6126ドル、前年の同期が3.0012ドルなので、12.9%の減配となります。
※背景が赤になっているのが減配です
【VGT】の期別分配金は?
2021年6月の0.586ドルは前年2020年の同時期と比較すると減っています。前回3月も前年同期より減っていましたので、2度続けて今ひとつの結果になりました。
【VGT】の年間分配金額と年間増配率は?
【VGT】の分配金を1年ごとにまとめてグラフ化しました。2020年までは順調に分配金を増やしています。増配率も二桁の年が多いですね。
【VGT】の分配金額を棒グラフで確認しよう
期ごとの分配金額を株価と比較したものです。2018年9月以降は、2019年9月、2020年3月の分配金が多く、それ以外はほぼ同じです。
【VGT】の過去1年分配金額を棒グラフで確認しよう
過去1年分配金と株価の比較です。最近の株価の伸びは素晴らしいですが、過去1年分配金額は2020年9月から下落傾向です。
2020年以降の利回りは?
2020年以降の【VGT】の株価と利回りを見てみましょう。過去1年の年間分配金額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が利回り(右軸)です。2020年の年初は利回りが1%強でしたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月23日には利回りが1.6%まで上昇しました。現在は株価がコロナ・ショック前を大幅に上回り、利回りは0.65%です。
現在の【VGT】の株価と利回りの関係は?
年間分配金額が現在と同じく2.6126ドルで変わらなかったら、利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間分配金額が現在と同じ2.6126ドルが続いた場合の、利回りと株価の相関図です。利回りを0.1%ごとに株価を出しました。今後、【VGT】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。
【VGT】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去に【VGT】を買った場合、現在の購入単価当たりの利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から5年前までの株価、利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、ややアバウトです。
2021年7月5日の終値は403.71ドル、過去1年の分配金額は2.6126ドルなので、現在の利回りは0.65%です。過去5年の平均利回りは約1.1%です。過去5年で株価は右肩上がりで、増配率も高かったので、早い時期に買った方がYOCは上がります。2016年8月に買っていたら、現在YOCは約2.2%になっていました。
ライバルETFとトータルリターンを比較する
バンガードのセクターETFで運用総額の大きい4つを比較します。情報技術セクターETF【VGT】、ヘルスケア・セクターETF【VHT】、金融セクターETF【VFH】、一般消費財セクターETF【VCR】でトータルリターンを比べます。期間は2011年7月から2021年6月までの10年間。
2011年7月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合、2021年6月には【VGT】が7万800ドル、【VCR】が5万5200ドル、【VHT】は4万4600ドル、【VFH】は3万4700ドルになっていました。【VGT】は素晴らしいリターンですね。
※【VGT】と【QQQ】【VUG】などハイテク・グロースETFとトータルリターンを比較したページはこちら
※【VGT】と【VHT】【VOX】などバンガード社の利回りの低いETFとトータルリターンを比較したページはこちら
年次リターン
1年ごとでリターンを比較しました。【VGT】は2017年以降のリターンが際立っていますね。
過去のトータルリターン
過去3カ月、1、3、5、10年の年平均トータルリターンは以下の通りです。【VGT】は過去10年のリターンは最も素晴らしく、過去3年と5年は圧倒的ですね。過去10年のリターン(年平均)は、【VGT】が21.6%、【VCR】は18.6%、【VHT】が16.2%、【VFH】は13.2%でした。
過去の分配金はどのくらいか?
2011年7月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合の年間でもらえる分配金の推移です。分配金は再投資します。税金は考慮しません。PORTFOLIO VISUALIZERのデータです。
10年間の分配金の合計は【VFH】が3900ドル、【VHT】が3400ドル、【VCR】が3200ドル、【VGT】が2800ドルでした。
【VGT】の今後の分配金予想は?
現在の過去1年分配金額(2.6126ドル)と1、2、3、5年前の同時期の過去1年分配金額(3.0012ドル、2.5238ドル、1.7214ドル、1.4883ドル)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の分配金とYOCを予想しました。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの分配金利回りのことです。【VGT】株を2021年7月5日の終値403.71ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。
購入金額は1万ドルにします。そうすると、年間分配金額から利回り(YOC)が一瞬で計算できます。たとえば、年間分配金額が300ドルなら利回り(YOC)は3.0%、年間分配金額777ドルなら利回り(YOC)は7.77%になります。
増配率は過去1年がマイナス12.9%、過去2年が1.7%、過去3年が14.9%、過去5年が11.9%でした。現在の分配金利回りは0.76%です。
分配金を再投資しない場合
まずは分配金を再投資しないケースを見てみましょう。税金は考慮しません。現在の利回りが0.76%なので、年間分配額は76ドルです。
もっとも増配率の低い過去1年のペースだと5年目の分配金額は37ドル、10年目の分配金額は19ドルになります。もっとも成績の良い過去3年の増配率を当てはめると5年目の分配金額は113ドル、10年目の分配金額は226ドルになりそうです。分配金額226ドルはYOC(購入額に対する利回り)2.26%です。
分配金を再投資する場合
つぎに分配金を再投資するケースを見てみましょう。税金は考慮しません。再投資する場合の分配金額は、現在と10年前の株価を比較して年平均騰落率を計算し、それを使って調整しています。
もっとも増配率の低い過去1年のペースだと5年目の分配金額は38ドル、10年目の分配金額は19ドルになります。もっとも成績の良い過去3年の増配率を当てはめると5年目の分配金額は116ドル、10年目の分配金額は244ドルになりそうです。分配金額244ドルはYOC(購入額に対する利回り)2.44%です。
分配金を再投資する場合(税引き後)
最後に分配金を再投資するケースで、税金を引いた額で計算してみましょう。分配金は28%の税金を引いた72%で計算します。1年目は65ドルではなく、税引き後の47ドルになります。
もっとも増配率の低い過去1年のペースだと5年目の分配金額は27ドル、10年目の分配金額は14ドルになります。もっとも成績の良い過去3年の増配率を当てはめると5年目の分配金額は83ドル、10年目の分配金額は172ドルになりそうです。分配金額172ドルはYOC(購入額に対する利回り)1.72%です。
まとめ
【VGT】は今回の分配金は3月に引き続き、今ひとつでした。ただ、前年が良すぎただけなので、あまり気にする必要はなさそうです。
なお、次回は9月29日が権利落ちの予定なので、その前日までに購入していれば分配金がもらえます。