米国ハイイールド社債ETF【HYG】【JNK】【SJNK】【HYLS】を徹底比較

米国の金利上昇に伴って、債券の価格は下落しています。ただし、債券の分配金は減っているわけではないので、利回りが高くなっており、お買い得と言えるかもしれません。。

そこで今回は、米国のハイイールド社債ETFを比較します。対象は【HYG】【JNK】【SJNK】【HYLS】の4つ。

※このページでの利回りは、過去1年間の分配金をもとに計算します。

 

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基本情報を確認しよう

ハイイールド債というのは、利回りの高い債券を集めたETFです。格付けがBBBまでが投資適格で安全度が比較的高いです。ハイイールド債の格付けはBB以下が主流で、ジャンク債、投資不適格債とも言います。

債権には種類があります。代表的なものでは国が発行するのが国債で、企業発行するのが社債です。今回はハイイールドの社債に注目します。

表の左側の2つ、ブラックロック社の【HYG】とステートストリート社の【JNK】が代表的なハイイールド社債ETFです。【HYG】は運用総額が約1.8兆円とかなり大きいですね。【JNK】は8500億円でなかなかの規模です。

【SJNK】は短期債が主力のハイイールド社債ETFです。

過去1年の分配金から算出した利回りは【HYLS】が約7%とかなり高いです。ほかのETFは5%前後です。

【HYLS】は戦略的ハイイールドETF(First Trust Tactical High Yield ETF)で、アクティブ型のETFです。米国の社債、バンクローン、転換社債を含むハイイールド債に投資します。

ファンドの純資産の最大130%をロングポジション、最大30%をショートポジションで運用します。最大15%をディストレスト債、最大10%を現地通貨建ての外国債券に投資するため、グローバルに展開するファンドです。

アクティブ運用のため、経費率は1.13%と高いです。通常の運用コストが0.95%、借入コストが0.18%です。他のハイイールド社債ETFの経費率は0.4%台なので、かなり差があります。

一番右はウィズダムツリー社のハイイールド社債ETF【HYZD】。運用総額は約270億円といまひとつなので、今回は取り上げません。

※利回りは過去1年の分配金から算出した「利回り(12カ月)」と、直近の分配金を1年分に換算した「利回り(直近)」の2つを出しました

 

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格付けをチェック

債券ETFに組み込まれている債券の格付けを比較します。通常「BBB以上」が投資適格と言われ、「BB」以下は投機的(投資不適格)です。

ちなみにハイイールド債は、ジャンク債とも呼ばれています。

今回はハイイールド社債ETFが対象なので、【HYG】【JNK】【SJNK】【HYLS】いずれも「BB」以下がほとんどで、「BBB」以上の債券はほとんどありません。

「BB」の比率は【HYG】が約55%と多く、【JNK】【SJNK】は45%ほど、【HYLS】が最も少なく15%ぐらいです。【HYLS】は「B」以下の格付けの低い債券ばかりです。

ちなみに表の一番下は投資適格社債を集めたETFの【LQD】です。組み込まれている債券はほぼすべて「BBB」以上で安全なものばかりです。

 

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残存期間はどのくらいか?

債券が償還されるまでの期間、残存期間はどのくらいでしょうか。【HYG】【JNK】【HYLS】は中期(5~10年)が多く、短期(5年以下)も多少組み込まれています。短期社債が対象の【SJNK】は5年以下がほとんどです。

残存期間の平均は【HYG】が5.6年、【JNK】5.8年、【SJNK】3.3年。【HYLS】が5.3年です。

金利感応度を示す「実効デュレーション」は、各社のデータでは【HYG】4.3年、【JNK】4.2年、【SJNK】2.5年、【HYLS】4.1年です。金利がこれから1%上昇した場合、価格がどのくらい下がるかを意味しています。

 

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セクター比率はどうか?

組み込まれている債券のセクター比率を確認しましょう。etf.comのデータなので、GICSではありません。

どのETFも金融が最多で1/4以上を占めています。【HYLS】は約4割が金融です。2番目に多いのが消費者向けサービス。GICSで言うところの生活必需品に該当します。

ハイテク、ヘルスケア、資本財、通信サービスも多いですね。

 

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米国ハイイールド社債ETFの株価、分配金をチェック

ここからは、ハイイールド社債ETF【HYG】【JNK】【SJNK】【HYLS】の株価や年間分配金、期別分配金などを、ETFごとにチェックしましょう。いずれの銘柄も毎月分配型です。権利落ち日は【HYG】【JNK】【SJNK】が1日頃、【HYLS】は20~25日頃です。

 

【HYG】の分配金と株価の傾向

【HYG】の正式名称は、iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETFです。設定されたのは2007年と古いです。長期で見ると、分配金は漸減傾向です。株価は横ばいです。

 

期別分配金は2021年の後半は0.3ドルを切ってかなり少なくなりましたが、2022年には0.3ドル台に回復しています。直近の2022年7月は0.3292ドルで、2021年以降では最高額です。

 

【JNK】の分配金と株価の傾向

【JNK】の正式名称は、SPDRブルームバーグ・バークレイズ・ハイ・イールド債券ETFです。こちらも設定が2007年と古いです。長期で見ると、分配金は漸減傾向です。株価は横ばいです。

 

期別分配金の傾向は【HYG】と似ています。2021年にかなり減って、0.4ドルを切りました。2022年には0.4ドル台に回復しています。直近の2022年7月は0.453ドルで、2021年以降では最高額です。

 

【SJNK】の分配金と株価の傾向

【SNK】の正式名称は、SPDRブルームバーグ・バークレイズ短期ハイ・イールド債券ETFです。設定は2012年。分配金はやや減少傾向ですが、【HYG】【JNK】よりは健闘しています。株価は横ばいです。

 

期別分配金の傾向は、2021年にかなり減って0.1ドルを切りました。2022年5月には0.1ドル台に回復しています。直近の2022年7月は0.121ドルで、2021年以降では最高額です。

 

【HYLS】の分配金と株価の傾向

【HYLS】の正式名称は、ファースト・トラスト戦略的ハイイールドETF。戦略的は英語にすると「Tactical」。アクティブ運用という意味です。設定は2013年。分配金と株価は、ほぼ横ばいです。

 

期別分配金は、ほとんど減っていません。他のハイイールド社債ETFは2021年にかなり減らしていますが、【HYLS】は増えています。2022年の3月以降の分配金は0.2625ドルとかなり多いです。1~6月までの分配金で考えると、2022年は過去最高額のペースです。

 

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2020年以降の利回りは?

4つのハイイールド社債ETFの利回りの傾向を調べてみましょう。過去1年分配金から利回りを算出しました。

最近1年は分配金が好調の【HYLS】が、他に大きく差をつけており、利回りは7%に到達しています。残りの3つのETFは2021年終盤に利回りが4%近くまで下がりましたが、現在は株価の下落と分配金が回復したため、5%前後まで上昇しています。

過去8年の利回りの平均は【JNK】が5.60%、【HYLS】が5.57%、【SJNK】が5.40%、【HYG】が5.16%です。【HYG】が一番低いですが、格付けの高い債券が多いためです。

 

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売れ行きはどうか?

4つのハイイールド社債ETFの過去5年の売れ行きを見てみましょう。単位は「B」(ビリオン)が10億ドル、「M」ミリオンが100万ドルです。

ETFによって規模が異なるので一概には言えませが、【JNK】は4.67Bドルの流出なので、約6300億円のマイナスです。【HYLS】は819Mドルの流入で約1100億円のプラスです。1ドル135円で計算しましたので、過去は円高だったので実際はもっと少ない金額になります。

 

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過去のトータルリターンはどうか?

PORTFOLIO VISUALIZERを使って、トータルリターンを比較します。もっとも後発の【HYLS】の設定が2013年2月なので、2013年7月から2022年6月までの9年間を比べます。

2013年7月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合、2022年6月には【HYLS】と【SJNK】が1万3000ドル、【HYG】が1万2900ドル、【JNK】が1万2600ドルになっていました。似たようなリターンですね。

過去のトータルリターン

過去1年、3年、5年、9年の年平均トータルリターンは以下の通りです。参考までに、投資適格社債ETF【LQD】も加えます。

過去9年リターンは、ほとんどのETFが約2.9%です。【JNK】のみが2.6%とやや劣っています。過去1年リターンはいずれも軟調ですが、【SJNK】が健闘しており、投資適格社債の【LQD】が最も悪いです。

株価推移は?

過去5年の株価推移です。15~20%ほど下がっています。どの期間を切り取るかによって、成績が異なりそうです。過去5年では【SJNK】が0.86倍で最も成績が良く、【HYLS】が0.80倍で今ひとつです。

危険度はどのくらいか?

ETFの安定度を比べてみましょう。最大ドローダウンは、計測期間における最大下落率です。マイナスの数値が小さいほど最大下落率が低いです。

シャープレシオとは、同じリスクを取った場合のリターンです。「(ファンドのリターン−無リスク資産のリターン)÷標準偏差」の値です。

ソルティノレシオはシャープレシオの改良版で、相場が軟調の際の成績を示しています。「(ファンドのリターン-無リスク資産のリターン)÷下方偏差」で計算します。

いずれの値も【SJNK】が優秀です。最大ドローダウンはマイナス11.7%と底堅く、短期債なので安定しています。【JNK】はシャープレシオ、ソルティノレシオともに良くないです。

分配金はどのくらいか?

2013年7月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合の年間にもらえる分配金の推移です。税金は考慮しません。PORTFOLIO VISUALIZERのデータです。

9年間の分配金の合計は【HYLS】が5900ドル、【JNK】が5600ドル、【SJNK】が5300ドル、【HYG】5200ドルでした。

コロナ・ショック後のハイイールド社債の分配金は漸減傾向ですが、【HYLS】だけは若干増やしています。そのため、2021年以降緑色の棒グラフは目立っていますね。アクティブ運用が好調だったと言えます。

 

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増配率を比較する

直近の分配金を基準に、過去1年分配金額を計算し、3、5、8年前の同時期の過去1年分配金額を比較して増配率を計算しました。

【HYLS】はこの1年の分配金がまずまず増えたので、過去1年増配率は8%、過去3年や5年の増配率も2%台とプラスです。

それ以外の【HYG】【JNK】【SJNK】は分配金が漸減傾向で、とくに2021年が少なかったため、現在の過去1年分配金は少ないです。そのため、増配率はすべてマイナスになっています。最近の分配金は回復傾向にあり、このまま減り続けることはないですが、このデータは良くないですね。

 

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増配率を使って将来YOCを検証する

現在の過去1年分配金額と3、5、8年前の同時期の過去1年分配金額を比較して、それを使って将来YOCを予想します。

YOC(Yield on Cost)とは、取得価格あたりの利回りのことです。2022年7月11日の終値で買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。分配金を再投資しない、税金を考慮しないで検証します。

基本的に債券ETFは分配金額の変動が少なく、現状を維持できるかがポイントです。そのため、増配率を使ったYOC予想はあまり意味はありません。ただし、【HYLS】は最近の分配金が多いので増配率が高くなっており、将来YOCは良い値になっています。

 

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東証に上場している米国ハイイールド社債ETF

東証には「iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債ETF(為替ヘッジあり)【1497】」というETFが上場しています。これは【HYG】とほぼ同じです。

「Markit iBoxx 米ドル建てリキッド・ハイイールド指数(TTM円ヘッジ付き)」との連動を目指すETFなので、ベンチマークが同じです。

大きな違いは2つあります。1つは信託報酬がやや割高なところです。【1497】は0.638%です。【HYG】は0.48%なので、それほど差はないとも言えます。

分配金の支払いも異なります。【1497】は年4回です。権利落ちは1、4、7、10月です。【HYG】は毎月です。

 

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まとめ

これまでのデータをランキング形式にまとめました。この4つのETFを比較した相対的な評価です。「A」が最高で、「B」はまあまあ、「C」は普通、「D」は良くないです。参考程度にしてください。

【HYG】は最も売れているハイイールド債ETFです。格付けの高い債券がやや多く、そのため利回りは下がります。安定度はまずまずです。

【JNK】は【HYG】よりも常に利回りが高いです。データ面からは今ひとつです。

【SJNK】は最大ドローダウンやシャープレシオなどの数値が良かったです。短期債のため、防御力はなかなかです。最近の分配金の減り方は【HYG】【JNK】よりも少なく、健闘しています。

最近の分配金や利回りは【HYLS】が圧倒的に素晴らしいです。このままの分配金が維持できれば、かなり期待できます。ただしアクティブ・ファンドなので、経費率が1.13%と高いのが玉に瑕です。

トータルリターンや株価推移は、似ていました。