バンガード社のバンガード・米国情報技術セクターETF【VGT】が、2021年9月28日に分配金を発表しました。0.8869ドルです。1年前の同時期は0.7074ドルでしたので、1年前の同時期との比較では25.4%増です。
利回りを過去1年間の分配金額から算出すると、2021年10月5日の終値は402.72ドル、過去1年の分配金額は2.7921ドルなので、利回りは0.69%になります。
※このページでの利回りは過去1年間の分配金をもとに、計算します。
基本情報を確認しよう
【VGT】はGICS(Global Industry Classification Standard)による分類の情報技術セクターが対象です。時価総額加重型によって組み込まれ、小型株も多く含まれます。
下の表は日本で購入できるバンガード社のセクターETF10銘柄の基本情報です。利回りの高い順に並んでいます。いずれも経費率は0.1%、2004年に設定されました。情報技術セクターETF【VGT】は利回りは下から2番目ですが、運用総額は断トツ1位です。
上の表のセクターの背景に色をつけました。このカラーは当サイト内で共通のものとして使用しております
※バンガード社には不動産(REIT)ETF【VNQ】というのもありますが、これは日本の証券会社では購入できません
【VGT】の上位組込銘柄はどんな会社か?
【VGT】の組込上位20銘柄です。ベンチマークは、MSCI USインベスタブル・マーケット・情報技術25/50インデックスです。ファンド構成比、時価総額ではアップル【APPL】とマイクロソフト【MSFT】が突き抜けていますね。組込順位や構成比は2021年8月末日、それ以外は10月5日のデータです。上位20銘柄で全体の約70%を占めています。
2020年4月以降の上位銘柄は?
2020年4月以降の組込比率1%以上の銘柄の推移です。最近は、上位銘柄ではエヌビディア【NVDA】の比率が上がり、ビザ【V】、マスターカード【MA】が低調です。
【VGT】組込上位銘柄は主要ETFには組み込まれているのか?
【VHT】の組込比率上位20銘柄は、他のETFにどのくらいの割合で組み込まれているのでしょうか? 高配当【SPYD】【HDV】【DVY】【VYM】、連続増配【SDY】【VIG】、市場全体【DIA】【VOO】【VTI】、ハイテク・グロース系【QQQ】【VUG】【VGT】の主要12ETFへの組込比率(%)をまとめました。
ナスダック100の【QQQ】、グロース【VUG】とは多くの上位組込銘柄が重複しています。アップル【AAPL】やマイクロソフト【MSFT】の組込比率は【VUG】【QQQ】の2倍弱、【VOO】【VTI】の4倍弱と大きいです。
【VGT】との重複率は【QQQ】が48%、【VUG】が45%、【VOO】が28%、【VTI】が27%です。
※組込比率は、バンガード社のETFは2021年8月末、【HDV】【DVY】は9月22、23日、その他のETFは9月14日頃のデータをもとにしています。【DIA】は株価の高い銘柄が比率が高くなり、【SPYD】は均等平均加重組入なので、これらのETFの組込比率はあまり重要ではありません。
主要ETFの並び順は基本的に左端が最も利回りが高く、右に行くにつれて下がっていきます。ただし、【VGT】は少し毛色が異なるセクターETFなので、右端にしました。主要ETFのティッカー・コードの下の数字は9月17日の利回り(%)です。
【VGT】の過去の分配金と増配率は?
【VGT】が設定されたのは2004年1月です。下の表は過去の分配金の一覧です。
今回の【VGT】の分配金が増配or減配なのかは、どのデータを比較するかによって異なります。もっともオーソドックスなのは、前年の同期との分配金額の比較です。今回が0.8869ドル、前年の同期が0.7074ドルなので25.4%の増配になります。また、前年同期との過去1年分配金額の比較では、今回が2.7921ドル、前年の同期が2.8742ドルなので、2.9%の減配となります。
※背景が赤になっているのが減配です
【VGT】の期別分配金は?
2021年9月の0.8869ドルは前年2020年の同時期と比較すると増えました。2021年に入って2度続けて前年同期より減っていましたが、今回はプラスになりました。
【VGT】の年間分配金額と年間増配率は?
【VGT】の分配金を1年ごとにまとめてグラフ化しました。2020年までは順調に分配金を増やしています。増配率も二桁の年が多いですね。
【VGT】の分配金額を棒グラフで確認しよう
期ごとの分配金額を株価と比較したものです。2019年9月、2020年3月の分配金が多かったですが、今回の2021年6月は過去最高を更新しました。
【VGT】の過去1年分配金額を棒グラフで確認しよう
過去1年分配金と株価の比較です。最近の株価の伸びは素晴らしいですが、過去1年分配金額は2020年9月から足踏み状態です。
2020年以降の利回りは?
2020年以降の【VGT】の株価と利回りを見てみましょう。過去1年の年間分配金額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が利回り(右軸)です。
2020年の年初は利回りが1%強でしたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月23日には利回りが1.6%まで上昇しました。現在は株価がコロナ・ショック前を大幅に上回り、利回りは0.69%です。
現在の【VGT】の株価と利回りの関係は?
年間分配金額が現在と同じく2.7921ドルで変わらなかったら、利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間分配金額が現在と同じ2.7921ドルが続いた場合の、利回りと株価の相関図です。利回りを0.1%ごとに株価を出しました。今後、【VGT】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。
過去の利回り、株価、YOCは?
過去に【VGT】を買った場合、現在の購入単価当たりの利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から10年前までの株価、利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、ややアバウトです。
下のグラフの黄色の線が、過去に買った場合の、現在の購入単価当たりの利回り(YOC)です。この線が左肩上がりの場合は、株価好調&増配傾向にあるといえます。
2021年10月5日の終値は402.72ドル、過去1年の分配金額は2.7921ドルなので、現在の利回りは0.69%です。過去10年の平均利回りは約1.0%です。
過去10年で株価は右肩上がりで、増配率も高かったので、早い時期に買った方がYOCは上がります。2011年12月に買っていたら、現在YOCは約4.6%になっていました。
ライバルETFとトータルリターンを比較する
バンガードのセクターETFで利回りの低いものを比較します。情報技術セクターETF【VGT】、一般消費財セクターETF【VCR】、通信サービスセクターETF【VOX】でトータルリターンを比べます。そして全米S&P500【VOO】も加えます。期間は2011年10月から2021年9月までの10年間。
2011年10月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合、2021年9月には【VGT】が7万9700ドル、【VCR】が6万4200ドル、【VOO】は4万6300ドル、【VOX】は3万700ドルになっていました。【VGT】は素晴らしいリターンですね。
※【VGT】と【QQQ】【VUG】【VOO】のトータルリターン比較は【VUG】のページにあります
※【VGT】とバンガード社の運用総額の大きなETF【VHT】【VFH】とトータルリターンの比較は【VHT】のページにあります
過去のトータルリターン
過去3カ月、1、3、5、10年の年平均トータルリターンは以下の通りです。【VGT】は過去3、5、10年すべてのリターンが素晴らしいです。過去10年のリターン(年平均)は、【VGT】が23.1%、【VCR】は20.5%、【VOO】が16.6%、【VOX】は11.9%でした。
危険度はどのくらいか?
ETFの安定度を比べてみましょう。最大ドローダウンは、計測期間における最大下落率です。マイナスの数値が小さいほど最大下落率が低いです。
シャープレシオとは、同じリスクを取った場合のリターンの比較です。「(ファンドのリターン−無リスク資産のリターン)÷標準偏差」の値です。1を超えていれば、優秀です。
ソルティノレシオはシャープレシオの改良版で、相場が軟調の際の成績を示しています。「(ファンドのリターン-無リスク資産のリターン)÷下方偏差」で計算します。1.5を超えていると、素晴らしいです。
【VGT】は素晴らしいです。とくにソルティノレシオは抜群の数値です。【VOO】との比較では、いずれの項目も上回っています。
過去の分配金はどのくらいか?
2011年10月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合の年間でもらえる分配金の推移です。分配金は再投資します。税金は考慮しません。PORTFOLIO VISUALIZERのデータです。
10年間の分配金の合計は【VOO】【VOX】が4500ドル、【VCR】が4000ドル、【VGT】が3400ドルでした。
【VGT】の今後のYOC予想は?
現在の過去1年分配金額(2.7921ドル)と1、2、3、5年前の同時期の過去1年分配金額(2.8742ドル、2.7094ドル、1.9512ドル、1.563ドル)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来YOCを予想します。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの利回りのことです。【VGT】株を2021年10月5日の終値402.72ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。
年間増配率は過去1年がマイナス2.9%、過去2年が1.5%、過去3年が12.7%、過去5年が12.3%でした。現在の利回りは0.69%です。
「分配金を再投資しない」「分配金を再投資しない(税引き後)」「分配金を再投資する」「分配金を再投資する(税引き後)」の4パターンで検証します
分配金を再投資しない場合のYOC
まずは分配金を再投資しない場合のYOCを見てみましょう。税金は考慮しません。スタート年は、現在の利回りの0.69%です。
もっとも増配率の低い過去1年の増配率(-2.9%)で推移すると、5年後のYOCは0.60%、10年後のYOCは0.52%になります。もっとも成績の良い過去3年の増配率(12.7%)で推移すると5年後のYOCは1.26%ドル、10年後のYOCは2.29%です。
分配金を再投資しない場合(税引き後)のYOC
次に分配金を再投資しないケースで、税金を引いた場合のYOCをチェックしましょう。分配金は約28%の税金を引いた72%が支払われます。スタート年のYOCは0.69%ではなく、税引き後の0.50%になります。
もっとも増配率の低い過去1年の増配率(-2.9%)で推移すると、5年後のYOCは0.43%、10年後のYOCは0.37%になります。もっとも成績の良い過去3年の増配率(12.7%)で推移すると5年後のYOCは0.91%ドル、10年後のYOCは1.65%です。
分配金を再投資する場合のYOC
それでは分配金を年1回再投資する場合のYOCを見てみましょう。税金は考慮しません。再投資する分配金額は、現在と10年前の株価を比較して年平均騰落率を計算し、それを使って調整します。
もっとも増配率の低い過去1年の増配率(-2.9%)で推移すると、5年後のYOCは0.61%、10年後のYOCは0.54%になります。もっとも成績の良い過去3年の増配率(12.7%)で推移すると5年後のYOCは1.30%ドル、10年後のYOCは2.51%です。
分配金を再投資する場合(税引き後)のYOC
最後に分配金を再投資するケースで、税金を引いた場合のYOCをチェックしましょう。分配金は約28%の税金を引いた72%が支払われます。スタート年のYOCは0.69%ではなく、税引き後の0.50%になります。
もっとも増配率の低い過去1年の増配率(-2.9%)で推移すると、5年後のYOCは0.44%、10年後のYOCは0.39%になります。もっとも成績の良い過去3年の増配率(12.7%)で推移すると5年後のYOCは0.93%ドル、10年後のYOCは1.76%です。
まとめ
【VGT】は今回の分配金は、なかなかでした。いまは相場全体が不安定なので、買い時かもしれませんね。
なお、次回は12月16日が権利落ちの予定なので、その前日までに購入していれば分配金がもらえます。