フルインベストメント状態と戦争を比較して、準備段階の甘さを浮き彫りにする

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連日アメリカ株は激しい値動きを見せています。気になるところです。個人投資家にも狼狽売りする人が増えてきました。約10年にわたって上がり続けたアメリカ株が、大幅な調整局面を迎えつつあります。前回に引き続き、フルインベストメントについて考えます。なぜ個人投資家はフルインベスト状態になってしまうのか? 戦争と比較して考えていきます。

 

 

※ちなみにフルインベストメントとは、わずかな生活防衛資金のみを残し、金融資産の大半を株式投資することです。

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株式相場と対峙することは戦争と同じようなもの

株式相場に参加する前には、さまざまな準備を行う必要があります。自身の保有資産を調べて、本業での現金収入を想定し、相場がどのくらい下がっても耐えられるかを検証し、今後の株価がどのように動くかをあらゆるケースを用いて予測し、アセットアロケーションやポートフォリオを考えることなどです。

これは戦争の準備と似ています。

では、戦争の準備とはどういうものでしょうか。自国の戦力を理解し、国民の士気を高め、戦時下での武器製造能力を考え、相手国の戦力を検証し、外交交渉で自国が有利になるよう働きかけ、敵国で工作活動を行い、周辺国を味方につけ、補給路を確保し、想定外のケースでのセカンドプランやサードプランを考え、停戦の持ち込み方を描きます。これらを戦争の前に行っておきます。他にもやることはたくさんあります。ピンとこない人は孫子の兵法などを検索しましょう。この本に書かれている内容は、現代における様々なシーンに当てはめることができます。

 

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フルインベストメントを戦争で例えると

フルインベストメントというのは大変魅力的です。なぜなら、今後株価が右肩上がりで進んだ場合、最大限の利益を得られるからです。しかし、この考え方は諸刃の剣ともいえます。株価が大幅下落したとき、追加できるキャッシュがないため、身動きが取れなくなってしまい、絶望的な気分を長期にわたって味わうことになるからです。つまりフルインベストメントとは、相場が自分の思い通りにいかなかったケースを無視した、楽観的な考え方ともいえます。

「過去のアメリカ株が長期にわたって右肩上がりを続けていたから今後もそうなる」というのはあくまで過去のデータと自分の願望にすぎません。リーマンショック後、アメリカ株は約10年も右肩上がりが続いたので、そろそろ大幅な調整があるかもという考え方も必要です。さきほどの戦争での例えのセカンドプランです。そして、対抗策をあらかじめ打っておく必要があります。キャッシュを多めにして、債権を買うなどリスクの少ない資産を確保し、副業など異なる収入源を確保することも重要です。

フルインベストメント状態を先ほどの戦争にやや強引に当てはめるとするならば、相手国の戦力を検証せず、補給路を確保しないで、想定外のケースに陥ったときのセカンドプランやサードプランを考えていなかったことになります。

自身の武器を最新鋭のものにしたことで満足し、相手国にやみくもに戦争を仕掛け、勝利した場所で略奪行為を行って食料を確保するようなものです。こういう方法で戦うと、勝ち続ければ問題ないのですが、たった一度の局地戦での敗北が、全滅の危機に直結します。株式相場で例えるなら、一度の調整局面で退場を余儀なくされるということですね。

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優秀で自信過剰な人間ほど真っ先に退場する

株式相場において重要なのは、臆病であることです。生き残るにはそれが一番です。逆に、優秀で自信過剰な人間ほど、大打撃をこうむって相場から一発退場することが多いです。不思議なことですが、これが事実です。

三国志でたとえるなら相場に参加しているうちに馬謖になってしまうようなものです。策士策に溺れるパターンってやつです。「劉備があれほど言ったのに、孔明~、なんで重用したんだよー」と嘆いても、後の祭りです。皆さん気をつけましょう。