アメリカ株はどこまで、そしていつまで下がるのでしょうか? 約10年にわたって上がり続けたアメリカ株が、大幅な調整局面を迎えつつあります。今回もフルインベストメントについて考えます。なぜ個人投資家はフルインベスト状態になってしまうのか? 巧妙な罠にひっかからない方法を伝授します。
※ちなみにフルインベストメントとは、わずかな生活防衛資金のみを残し、金融資産の大半を株式投資することです。
なぜフルインベストメント状態になってしまうのか?
なぜ人はフルインベストメント状態になってしまうのでしょうか? 「それは株式相場に参加している人間が強欲だから」と考えるのは相場のことを知らないシロウト。実際は、個人投資家がフルインベスト状態になるように、市場という名のミスターマーケットが巧妙な罠を仕掛けていると考えるべきです。
冒頭に「約10年にわたって上がり続けたアメリカ株」と書きましたが、これが市場による罠です。過去10年、誰がどんなタイミングでアメリカ株を買っても、高い確率で利益を上げることができました。
やがてアメリカ株に参加している人の儲かった体験談が世に広まり、ここ数年は我も我もと株式相場に参入してきました。あたかも「アメリカ株を買えば儲かる」というスローガンがあるかのようでした。そうなると大衆心理というのは同じになります。誰もが「もっと儲けたい、アメリカ株サイコー!」と考えて、株価は上がり続けます。そして投資経験の浅い人ほど、市場を疑うことをせずにフルインベストメント状態にします。やがて、ある日突然、相場の転換期を迎えて頭を抱えることになります。
市場平均に勝つ必要はない
少し話は変わりますが、個人投資家にとっての最大の自由は、どんな銘柄でも好き勝手に売り買いできることです。
「個別株を買うならば、S&P500やダウ平均を上回るリターンを残さなければならない。ダメならS&P500などをベンチマークしたETFを買うべし!」という意見があります。こんな考え方は無視してオーケーです。そういうことを言う人には「ベンチマークを上回る成績を残すのが義務なら、投資会社に就職すれば?」とアドバイスしてあげましょう。
インデックスETFの【VOO】や【VTI】などを保有する手法が無難でおすすめですが、少し退屈です。個別株をたくさん持ってもいいと思います。相場に参加すると、個別銘柄を買いたい病に冒されることがあります。そんなときは好き勝手買うのもアリだと思います。なぜならそれはストレス発散にもなりますので。細かいことは気にすることはありません。
バスに乗り遅れろ! 機会を損失しろ!
個人投資家の中に、機会損失を親の仇のごとく嫌う人がいます。投資において最も重要なのは、相場から退場しないことですので、機会はいくらでも損失してオーケーです。むしろ機会損失を恐れすぎると、株を高値掴みしてしまう罠にはまってしまいます。これは、最初に説明した市場という名のミスターマーケットによる巧妙な罠にはまるパターンです。
一生かけて資産を増やすことを目的にした長期投資家なら、高値圏だと思った2、3年ぐらいは何も買わず、キャッシュを貯め込んで傍観を決め込んでも何の問題もありません。機関投資家ではありませんので、誰かに運用結果を報告する義務はありませんしね。
「どうしても定期的に投資をしたい」と考えるのならば、株が高値圏のときは値動きの少ない債権ETF【BND】でも買っておけばいいのです。
ちなみに、「バスに乗り遅れるな」「機会損失になるぞ!」というのは、詐欺師やそれに近い人が、ロクでもないモノを売りつけたいときに使う常套句であるということを心に留めておきましょう。
この言葉とは株式相場以外でも出会うことが多々ありますので、覚えておきましょう。高額商品を売りつけるときにバイヤーが使うケースが多いですね。不動産とか車とか、パソコンもかな?
それでは。
フルインベストメントについては、次回が最終回の予定です。