ワンランク上の含み損生活のススメ

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アメリカ株は連日、乱高下を繰り返しており、予断を許さない状況ですね。S&P500は最高値から一時27%ほど下落したため、景気後退局面に入ったとも言われています。所有している株が含み損となった個人投資家も少なくないと思います。

そこで、投資歴15年のたかにんが、ワンランク上の含み損生活について伝授します。たかにんは低迷が続いた日本株に長年投資していましたので、その投資生活の前半は含み損と共にありました。そして、含み損とは管鮑の交わりのような関係を構築したと自負しております。ここ数年は疎遠になっていましたが、今回、図らずも含み損と再会を果たしたことになります。

それでは、含み損を抱えた人に起こる5つの感情について説明します。

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否認と孤立

アメリカ株は過去11年にわたって右肩上がりを続けてきたため、たいていの人は含み益が出ていたと思います。ところが、2020年の2月24日以降は、アメリカ株は下がり続けています。「歴史的に見れば米国株は右肩上がりだから、多少下がっても気にしない」と考えていた人も、いざ暴落相場に直面すると、現実から目をそむけます。日々、含み損が増えるのはキツいです。投資家仲間との交流が減って、孤独になった人もいるはずです。

しかし、これらの感情や行為は自然なことですので、気にする必要はありません。時間が解決してくれます。

 

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怒り

自分が含み損を抱えることになった理由は何でしょうか?

2019年6月に日本政府が発表した「年金だけでは老後の生活資金が2000万円足りない」という情報をもとに、株式相場に参入した人は、日本政府や総理大臣を恨んでいるかもしれません。

コロナ・ショックによる経済停滞が、世界同時株安を引き起こしたと考える場合は、ウィルスの発生元である中国の政府、そして世界経済のリーダーであるアメリカの大統領に対して、怒りを覚えるかもしれません。

サウジアラビアロシアによる意地の張り合いによる原油価格の下落が、世界同時株安の発端と考える人もいるでしょう。

「アベが悪い! 習近平が悪い! トランプが悪い! プーチンが悪い! サウジの王族が悪い!」と怒りをぶつけたくなる気持ちもわかります。しかし、いくら人のせいにしても含み損が減るわけではありません。

 

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取り引き

含み損を抱えるようになってしばらくすると、「どうにかして含み損を減らせないか?」と考えるようになります。そこで思いつくのがヘッジです。「しばらく景気後退が続くので、空売りをして、少しでも含み損を減らすべし!」と思うわけです。

信用取引を使わなくてもアメリカ株には、レバレッジ3倍のETFがあります。ご丁寧にブルとベアの両方が用意されています。S&P500の約3倍の値動きをするブル型の【SPXL】、S&P500と反対方向に約3倍の値動きをするベア型の【SPXS】を使い分けようと考えます。現在のような乱高下の相場では、うまく取引ができれば、大金が転がり込んできます。

しかし、実際はうまくいかないケースが多いです。下げ相場ではベア型のETFを持ち、空売りをする人がほとんどですよね。でも、これは難しいです。なぜなら、自分が元々投資しているロング・ポジションと、ベア型のショート・ポジションを同時に考える必要があるからです。両建てになっているわけです。

株価は一方的に下がるわけではなく、時折反発します。そんなとき、ショート・ポジションの売買に失敗してしまい、傷口を拡げることが多々あります。また、ショート・ポジションの取引に熱中するあまり、従来行っていたロング・ポジションの積み立てを忘れ、下値で拾うチャンスを逸してしまうこともあり、踏んだり蹴ったりです。

なぜこういう結果になるかというと、人間の脳みそがシングル・コアでできているからです。同時に複数のことを考えるのは難しいんですよ。最新PCのようなマルチ・コアではないんです。おまけに人間って生き物はメモリをあんまり積んでいないんですよね。

ポジションを両建てにするのはやめて、おとなしく株価が下がったら追加投資をして、平均購入単価を下げるシンプルな投資法がいいと思います。

 

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抑うつ

両建てで損失を膨らまし、さらに株価の低迷が続くと、最悪の気分になります。当初予定していた、なるべく早く大金を貯めて、アーリーリタイアする計画からどんどん遠ざかっていきます。酒におぼれる人もいるでしょう。ギャンブルにはまり、傷口を拡げるケースもあります。儲かる話に飛びつき、取り返しのつかないことになる人もいるかもしれません。

しかし、これらの誘惑を絶ち、じっくり我慢することが肝心です。気持ちの晴れない日々が続くかもしれません。そんなときは、株をやらない人が聞いたら新興宗教のスローガンのように聞こえる「アメリカ株は長期的に見たら右肩上がり」という言葉を信じましょう。何年先になるか、わかりませんが、きっと願いは叶います。

 

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受容

やがて、含み損が日常になります。「自分は含み損を抱えるために株式投資を始めたんだ」と考えるようになれば、立派な凍死家です。自虐ってやつですね。

含み損生活の中にも、希望を見出すことは重要です。たとえば、高配当銘柄を持っていれば、定期的に配当金が支払われます。抱えている含み損の膨大な額と比較すれば、雀の涙ほどかもしれません。しかし、それを再投資することで、さらに含み損を増やすことも可能……、ではなくて再投資して平均購入単価を下げることで、プラ転へ一歩近づくはずです。ちなみにプラ転とは、含み損がなくなってプラスに転じるという意味です。

さてここで、少し話を変えてみましょう。皆さんは借金取りと借金をしている人、どちらが立場が強いかご存じですか? もちろん、借金をしている人です。なぜなら「ない金は返せねー」と居直ることができますからね。逆に借金取りは回収というノルマに毎日追われて大変です。

含み損についても、これと同じことが言えます。含み益を出している人の頭の片隅には常に「損したらどうしよう、いつか大損してしまうのでは」という不安があります。逆に含み損の人間は無敵です。怖いものなしです。「ここまで損失が膨らんだら、あと後は上がるしかない。伸びしろしかない!」。そんな風に考えることも重要です。

 

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まとめ

ここまで我慢して読んでくれた人は、相当忍耐強いですね。おそらく、含み損を抱えても耐えることができると思います。たかにんが保証します。

やがていつの日か、ほとんどの人にもとにプラ転が訪れます。そんなとき、長年親しんだ含み損との別れに涙する人もいるでしょう。そのときあなたは、このコラムの冒頭でたかにんが「含み損とは管鮑の交わりのような関係を構築した」という言葉の意味を理解することになります。

そして、賢明な投資家の皆様なら、すでにお気づきかもしれません。今回のコラムの5つの見出し「否認と孤立、怒り、取り引き、抑うつ、受容」は、著名な外国の精神科医が分析した「ある状況になった人に訪れる5つの段階」から引用しました。これを含み損に当てはめたわけです。ある状況が何かは、検索していただければわかります。

どんな事象にも類似点があり、意外と結びつくものなんだなとご理解いただけると思います。

最後になりましたが、皆さまの含み損が解消され、プラ転になる日を心よりお祈り申し上げます。