通信サービスセクター(Communication Services Sector)は2018年9月に世界産業分類基準(GICS)の再編によって新設されたセクターです。元々は電気通信セクターでした。新たにフェイスブック【FB】やアルファベット【GOOGL】【GOOG】、ネットフリックス【NFLX】などが加わりました。そこで、配当金と増配率をテーマに、通信サービスセクターの企業を比較してみましょう。
時価総額100億ドル以上の企業の配当利回りは?
以下がおもな時価総額100億ドル以上の巨大企業です。時価総額上位銘柄は無配の会社が多いため、100億ドル以下でも配当を支払っている銘柄を入れました。フェイスブック【FB】、アルファベット【GOOGL】【GOOG】、ネットフリックス【NFLX】、ツイッター【TWTR】などネットを通じて世界の情報を独占している巨大企業は揃って無配です。
銘柄 | ティッカー | 配当利回り | 時価総額(100万ドル) |
---|---|---|---|
フェイスブック | FB | なし | 454417 |
アルファベット C | GOOG | なし | 431753 |
アルファベット A | GOOGL | なし | 372090 |
AT&T | T | 5.43% | 274100 |
ベライゾン・コミュニケーションズ | VZ | 4.10% | 249970 |
ウォルト・ディズニー | DIS | 1.35% | 236470 |
コムキャスト | CMCSA | 1.84% | 204070 |
ネットフリックス | NFLX | なし | 124454 |
チャーター・コミュニケーションズ | CHTR | なし | 95882 |
メトロ PCS コミュニケーションズ | TMUS | なし | 68134 |
アクティビジョン・ブリザード | ATVI | 0.67% | 41590 |
ツイッター | TWTR | なし | 31137 |
シリウス・サテライト・ラジオ | SIRI | 0.83% | 28634 |
エレクトロニック・アーツ | EA | なし | 28041 |
スプリント・ネクステル | S | なし | 26521 |
IACインタラクティブコープ | IAC | なし | 18047 |
オムニコム・グループ | OMC | 3.48% | 17080 |
リバティ・ブロードバンド C | LBRDK | なし | 16673 |
スナップ | SNAP | なし | 15552 |
WPP | WPP | 6.34% | 15370 |
ライブ・ネーション・エンタテインメント | LYV | なし | 14479 |
テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア | TTWO | なし | 14027 |
CBS ブロードキャスティング | CBS | 1.89% | 13395 |
センチュリーリンク | CTL | 8.26% | 13209 |
フォックス A | FOXA | 1.45% | 11235 |
インターパブリック・グループ | IPG | 4.68% | 8270 |
バイアコム | VIAB | 3.52% | 8056 |
ケーブル・ワン | CABO | 0.70% | 7370 |
ネクスター・メディア・グループ | NXST | 1.82% | 4690 |
通信サービスセクターの増配率と連続増配年数を比較
下のグラフは過去1、3、5の増配率と連続増配当年数です。先ほどの表に無配が14社もありましたので、配当を払っているのは15社です。なお、増配率がマイナスの部分は表示していません。
AT&T【T】は世界最大規模の総合通信会社です。連続増配年数が35年と長く、配当利回りは5.4%と高く、長期投資家に人気の銘柄です。
ネクスター・メディア・グループ【NXST】はケーブルテレビ局です。増配率が21~25%と高いのは配当の支払い開始が2013年と最近だからです。時価総額が約50億ドルと低いのが少々気になります。
いま通信サービスの銘柄を買ったら、5年後YOCはどうなるか?
下の図は過去1、3、5の増配率をもとにした5年後の予想YOCと現在の配当利回りです。つまり今株を買うと、5年後に元本配当利回り(YOC)が何%になるかの予測です。
インターパブリック・グループ【IPG】は広告代理店の世界ビッグ4のひとつです。5年後のYOC予想は8~12%になりそうです。
センチュリーリンク【CTL】は独立系の総合通信会社です。現在の配当利回りは8.2%とかなり高いですが、昨年から今年にかけて大幅に減配しました。
WPP【WPP】はイギリスを本拠地にした世界最大規模の広告代理店で、ADR銘柄です。現在の配当利回りが6.3%と高いのは、株価がここ2年で大幅に下落したからです。
通信サービスセクターの10年後YOCは?
次に過去1、3、5の増配率をもとにした10年後の予想YOCと現在の配当利回りです。今株を買うと、10年後に元本配当利回り(YOC)が何%になるかの予測です。
ここでもインターパブリック・グループ【IPG】が圧倒的で、10年後YOCは15~30%まで伸びそうです。
コムキャスト【CMCSA】は米国ケーブルテレビの最大手。現在の配当利回りは1.8%と低いですが、増配率は15%前後と高水準を維持しており、10年後YOCが6.8~7.5%まで伸びそうです。近年の業績は申し分ありません。このセクターでは唯一、バンガード社の種類の異なる3つのETF(VTI、VYM、VIG)でいずれも上位30位以内に入りました。つまりバンガード社のお墨付き銘柄です。ちなみに、その時の記事はこちら。
オムニコム・グループ【OMC】は世界で2番目の規模を誇る広告代理店。世界中で事業を展開しています。10年後YOC予想は6.6~8.2%です。
AT&T【T】とベライゾン【VZ】は配当利回りが5.1%と4.1%と高水準。過去の増配率はどちらも2%前後で安定しています。将来YOCはそれほど高くないですが、確実に実現してくれそうです。
フェイスブック【FB】やアルファベット【GOOGL】、ネットフリックス【NFLX】など無配の会社を今のうちに仕込んでおけば、配当を支払い始めて10年後ぐらいのYOCがとてつもなく高くなりそうですね。