2022年7月のカバードコールETF【QYLD】【XYLD】【RYLD】などの分配金は7カ月連続で満額。その理由を説明します

グローバルXのカバード・コールETFの分配金は少し特殊です。今回は、分配金額がどのくらいだったのかと、利回りについて考えます。

 

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基本情報

まずは、グローバルX社のカバードコール系ETF8種類の説明です。

対象となる原資産は4つ、ナスダック100、S&P500、ラッセル2000、ニューヨーク・ダウです。いずれも米国を代表する指数です。ラッセル2000は米国の小型株の集合体です。【RYLD】以外は日本の大手ネット証券で購入可能です。

左から2列目の「カバードコールETF」は、4つの指数すべてにあります。【QYLD】【XYLD】【RYLD】【DJIA】です。たとえば【QYLD】の場合は、ナスダック100指数の株式を購入し、対応する同一指数の100%をコール・オプション売却することで、オプション・プレミアムを受け取ります。これが分配金として支払われます。残りの3つも対象となる指数が異なるだけで、内容は同じです。

左から3列目「カバードコール50ETF」は、【QYLG】の場合だと、ナスダック100指数の株式を購入し、対応する同一指数の50%のコール・オプションを売却します。コール・オプションが50%なので、理論上は獲得するオプション・プレミアムが【QYLD】の半分になります。その代わり、残りの50%の部分は原資産なので株価の値上がり益が狙えます。通常のカバードコールETFは、値上がり益をかなり放棄しているので、ここが異なります。

一番右の列「リスク管理・インカムETF」は「カバードコールETF」に加え、同指数の5%アウト・オブ・ザ・マネーのプット・オプションを買うことで、暴落時の損失を軽減させます。ただし、プット・オプションを買う代金を支払うので、コール・オプションによって獲得したプレミアムが少し減ります。保険をかけるようなイメージですね。

 

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2022年7月の分配金データ

それでは2022年7月の分配金についてみてみましょう。の表は2022年7月のカバードコールETFの分配金と、それが基準価格(NAV)の何%だったかというデータです。

カバードコールETFは組込銘柄の配当を分配金として出すのではなく、獲得したオプション・プレミアムからの分配金という特殊なシステムです。なので、基準価格(NAV)に対して何%の分配金を支払ったかを計算して、そこから利回りを求める方法が、利回りの目安になるという考え方もできます。

グローバルX社のカバードコールETFは、分配金の上限が決まっています。【QYLD】や【XYLD】などは、獲得したオプション・プレミアムの金額の半分、もしくは基準価格(=純資産価格/NAV)の1%です。つまり、オプション・プレミアムを2%以上獲得できれば分配金の上限は基準価格の1%になります。

背景が薄いオレンジ色の部分に注目してください。今月の分配金の、NAV(基準価格)に対する比率です。

【QYLD】【XYLD】【RYLD】は1%の上限の可能性が高いですね。【QYLG】【XYLG】も上限の0.5%に限りなく近い0.49%のようです。

【DJIA】は0.89%なので、満額ではないようです。

【XRMI】【QRMI】も満額のようです。プット代がどのくらいだったのかは不明です。また、5%アウト・オブ・ザ・マネーのプット・オプションの買いで利益を出した可能性もあるかもしれません。

 

基準価格の目安は権利付最終日(分配金を獲得できる最終日)、もしくはオプションの満期日のようです。現在は、いずれも同じ第3金曜日です。

 

1カ月前と2カ月前の2022年5、6月の分配金はどうだったか?

この表は、1カ月前の2022年6月の分配金とそれが基準価格(NAV)の何%だったかのデータです。【QYLD】【XYLD】【RYLD】【DJIA】は1%の上限の可能性が高いですね。【QYLG】【XYLG】も上限のほぼ0.5%のようです。背景が薄いオレンジ色のところがほぼ満額です。

【XRMI】【QRMI】もほぼ満額です。基準価格が1カ月前と比べてかなり下がったので、プット代が安かったか、5%アウト・オブ・ザ・マネーのプット・オプションの買いで利益を出した可能性が考えられます。

 

下の表は、2カ月前の2022年5月の分配金とそれが基準価格(NAV)の何%だったかのデータです。【QYLD】【XYLD】【RYLD】【QYLG】【XYLG】の5月の分配金は、基準価格(NAV)の1%や0.5%の上限でした。背景が薄いオレンジ色のところです。

【DJIA】は0.72%と今ひとつでした。【XRMI】はまずまず、【QRMI】はプットの購入代金がかなり高かった可能性があります。

 

 

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【QYLD】の期別分配金と第3金曜日(権利付最終日)の基準価格(NAV)

カバードコールETFの分配金でもっとも重要なのは、基準価格の上限の1%(もしくは0.5%)を獲得できているかどうかです。

下のグラフは「QYLD」の毎月の分配金と第3金曜日の基準価格の比較です。赤い折れ線の基準価格と、青い棒線が分配金が、ちょうど重なっていれば1%の上限を獲得したということです。

2021年の12月だけは、イレギュラーな分配金、いわゆるキャピタルゲイン分配金があったので、青い棒グラフが突き抜けています。

【QYLD】は2022年の1月以降は、7カ月連続で1%上限を獲得しています。つまりオプション取引がうまくいっているということです。

ただし、2022年の年初から、ナスダック100の株価が軟調なため、右側の赤い折れ線棒グラフは下落してます。そのため、分配金の上限も減っているというわけです。

全体を見ると、2020年1月以降は、かなりの期間で1%上限というのがわかりますね。2021年6月から11月は例外的に、1%には到達していません。

 

終値と基準価格(NAV)はほぼ同じなので、毎月第3金曜日の終値をチェックしましょう。日本時間では第3土曜日早朝6時(夏時間は5時)頃です。終値の1%が分配金の上限の目安と考えればOKです。そして、日本時間の土曜の正午ごろに分配金の非公式情報が、Bloombergなどから発表されるのでチェックしましょう。その頃ツイッターなどで、分配金額が流れてくるはずです。

 

【XYLD】の期別分配金と第3金曜日(権利付最終日)の基準価格(NAV)

続いて、【XYLD】の分配金と基準価格の比較を見てみましょう。【XYLD】は2020年8月に現在のベンチマークに変更となりましたので、それ以降です。

2022年の1月以降は、7カ月連続でほぼ1%上限を獲得しています。赤い折れ線グラフと、青い棒グラフが重なっています。つまりオプション取引がうまくいっているということです。

ただし、2021年の12月より前は、上限に到達していません。対象のS&P500はボラティリティがそれほど大きくないため、オプションを稼ぎづらいということが考えられます。

【RYLD】の期別分配金と第3金曜日(権利付最終日)の基準価格(NAV)

今度は、【RYLD】の分配金と基準価格の比較を見てみましょう。2021年の12月は、キャピタルゲイン分配金があったので、青い棒グラフが突き抜けています。

【RYLD】は2020年の3月以降は、ほぼ1%上限を獲得しています。2年5カ月もの間、満額を獲得しており、オプション取引がうまくいっていると言えます。

【RYLD】は小型株が対象のため、ボラティリティが大きく、オプションを稼ぎやすく、カバードコール戦略に向いている金融商品と言えます。

【DJIA】の期別分配金と第3金曜日(権利付最終日)の基準価格(NAV)

【DJIA】は設定されたのが2022年2月と日が浅いです。ニューヨークダウが対象のカバードコールETFです。

分配金は5回しか出ていません。2022年6月は1%上限を獲得しましたが、それ以外の月は0.8%前後です。

ニューヨークダウは、SP500同様にそれほどボラティリティは大きくはないですね。

【QYLG】の期別分配金と第3金曜日(権利付最終日)の基準価格(NAV)

【QYLG】は50%カバードコール戦略を行うETFです。赤い折れ線の基準価格と、青い棒線の分配金が、ちょうど重なっていれば0.5%の上限を獲得したということになります。

2021年の12月の分配金は、キャピタルゲイン分配金も含めて1.6035ドルもあったので、青い棒グラフが突き抜けています。

2022年の1月以降は、7カ月連続でほぼ0.5%上限を獲得しています。それ以前の期間でも0.5%に近い数値を獲得しています。

ナスダック100が対象のため、オプション・プレミアムをなかなか獲得できていると言えます。

【XYLG】の期別分配金と第3金曜日(権利付最終日)の基準価格(NAV)

【XYLG】も50%カバードコール戦略を行うETFです。赤い折れ線の基準価格と、青い棒線の分配金が、ちょうど重なっていれば0.5%の上限を獲得したということになります。

2021年の12月の分配金は、キャピタルゲイン分配金も含めて1.1038ドルもあったので、青い棒グラフが突き抜けています。

2022年の1月以降は、7カ月連続でほぼ0.5%上限を獲得しています。ただし、それ以外の期間は1つ前の【QYLG】と比べると少ないですね。

【QRMI】の期別分配金と第3金曜日(権利付最終日)の基準価格(NAV)

【QRMI】リスク管理・インカムETFです。【QYLD】同様にナスダック100指数の株式を購入し、対応する同一指数の100%をコール・オプション売却します。さらに、同指数の5%アウト・オブ・ザ・マネーのプット・オプションを買うことで、暴落時の損失を軽減させます。そのため、プットの購入代金が少しかかります。

分配金は上限の1%にほぼ近い時と、まったく届いていない時の差が激しいですね。株価の下がり方は比較的ゆるやかです。ここがリスク管理インカムETFの特徴です。

【XRMI】の期別分配金と第3金曜日(権利付最終日)の基準価格(NAV)

【XRMI】も【QRMI】同様リスク管理・インカムETFです。こちらは対象がS&P500です。

先ほどの【QRMI】と比べると、分配金は安定していますね。上限の1%に届いていない時でも、それなりに分配金を獲得しています。

カバードコール戦略はS&P500よりもナスダック100の方がボラティリティが大きいので、オプションを多く獲得できますが、リスク管理の場合は、S&P500の方が安定しているようです。

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【JEPI】の期別分配金と先月末株価

ついでに、JPモルガン・エクイティ・プレミアム・インカムETF【JEPI】についても見てみましょう。【JEPI】はオプションの売却と米国の大型株への投資を組み合わせたものです。

エクイティ・リンク・ノート(ELN)という仕組債を最大20%保持して、インカムを狙います。残りは低ボラティリティの大型株を保有し、こちらで値上がり益を狙います。

グローバルX社のカバードコールETFだと、【XYLD】と少し似ています。

【JEPI】は毎月分配型で、権利落ちは1日頃です。なので、先月末の株価と分配金額を比較します。グローバルX社のカバードコールETFのように、基準価格(NAV)の1%が分配金の目安というわけではないです。ちなみに2022年7月は、設定来最高額の0.621ドルです。

【JEPI】分配金の目安は何か?

下のグラフはS&P500の近い将来の不確実性を示す指数【VIX】と、【JEPI】の分配金の関係です。ボラティリティが大きいときに、分配金が多くなる傾向で、ある程度連動しています。

 

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【QYLD】とボラティリティの関係は?

QYLD】が獲得したオプション・プレミアムと、ナスダック100の近い将来の不確実性を示す指数【VXN】の関係を見てみましょう。いわゆるボラティリティのことです。ボラティリティの大きいときに、オプション・プレミアムを多く獲得しています。

【XYLD】はVIX指数、【RYLD】はRVX指数など、他のカバードコールETFが獲得するオプション・プレミアムも、原資産のボラティリティを示す指数と、連動しています。

 

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獲得したオプション・プレミアムの比較

グローバルX社の公式サイト(英語版)には「GLOBAL X COVERD CALL ETF SUITE」というPDFファイルが公開されています。この資料には、毎月の基準価格(NAV)に対する分配金の比率、獲得したオプション・プレミアムが書かれています。

そこで、各ETFの獲得したオプション・プレミアムのデータをグラフ化します。

100%カバードコールETFの【RYLD】【QYLD】【XYLD】【DJIA】は獲得したオプションプレミアムが2%を超えると、分配金は基準価格の上限である1%が支払われます。50%カバードコールETFの【QYLG】【XYLG】は獲得したオプションプレミアムが1%を超えると、分配金は基準価格の上限である0.5%が支払われます。

50%カバードコール戦略ETFが設定された2020年9月以降の平均は、100%カバードコールETFは【RYLD】2.76%、【QYLD】2.57%、【XYLD】1.93%。【DJIA】は2022年3~6月の4回のみで1.83%。50%カバードコール戦略ETFは【QYLG】1.38%、【XYLG】0.92%です。

ラッセル2000を対象とした【RYLD】が2.76%で、プレミアムを一番獲得しています。ナスダック100対象の【QYLD】【QYLG】は分配金の支払い上限の2%や1%を超えています。S&P500の【XYLD】【XYLG】は上限の2%や1%をわずかに下回っています。

 

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利回りを3パターンで比較

カバードコールETFがやや特殊なのは、わかりましたね。それでは現在の利回りを出してみましょう。下のデータは、これまでの分配金比率(分配金/NAV)をまとめたものです。その合計額が背景が薄い青色の(1)です。

背景が黄色の2021年12月は、キャピタルゲイン分配金がありましたので、上限の1%や0.5%に調整しました。

(2)(3)は過去1年分配金の合計額を現在の株価で割って算出した利回りです。(2)は2021年12月の分配金額を上限に調整しました。

現在、いずれの銘柄も株価が低迷しているので、(2)(3)は利回りがかなり高くなっています。今買って、将来通常の価格に戻れば、YOCが(2)と同じくらいになる可能性があります。

オプション・プレミアムの上限から考えた利回りは、このページで算出した(1)ですね。利回りの上限は100%カバードコールが12%、50%カバードコールは6%です。今後、株価が現在と同じ水準が続く場合は、これが目安となりそうです。

全体的には【RYLD】がややリードしています。

 

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分配金比率を過去1年分合計した推移

ここまで出してきた「分配金比率」(分配金/NAV)を、過去1年分を合計して利回りとしました。その推移です。100%カバードコール戦略の【QYLD】【XYLD】【RYLD】は12%が上限、50%カバードコール戦略の【QYLG】【XYLG】は6%が上限です。

【RYLD】は最近はずっと12%の上限です。満額を獲得できていると言えます。ナスダック100が対象の【QYLD】【QYLG】もなかなか優秀で、満額に近いです。S&P500が対象の【XYLD】【XYLG】は少し見劣っています。

 

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カバードコール系ETFの利回りを過去1年分配金から算出

こちらは過去1年の分配金から算出した利回りの推移です。過去1年分配金を、毎月月末の株価で割ったものです。

対象は100%カバードコールETFの【RYLD】【QYLD】【XYLD】【DJIA】と【JEPI】です。

最近はかなりの株安のため、利回りが全体的に高くなっており、【RYLD】や【QYLD】13%を超えています。先ほどの分配金をNAVで割って計算したデータと比べると、直近の株価の影響によって、利回りが変化します。

50%カバードコールETFやリスク管理インカムETFの利回りは?

下のグラフも過去1年の分配金から算出した利回りです。過去1年分配金を、毎月月末の株価で割りました。

対象は、50%カバードコールETFの【QYLG】【XYLG】と、リスク管理インカムETF【QRMI】【XRMI】です。

【QYLG】の利回りは6%を超えており、かなり高いですね。

リスク管理インカムETFはS&P500が対象の【XRMI】の方が利回りが高くなっています。【QRMI】は分配金が少ない時期が結構あったので、利回りは不安定ですね。

 

※2021年12月分配金は【RYLD】【QYLD】はNAVの上限1%で計算、【QYLG】【XYLG】はNAVの上限0.5%で計算しました

 

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年初来株価推移は?(100%カバードコールETFなど)

最後に年初来株価を見てみましょう。まずは、カバードコール戦略100%のETF【QYLD】がマイナス18.9%と悪いですね。ナスダック100が不調なので、しかたないですね。

【XYLD】と【RYLD】はマイナス15%前後で互角です。【JEPI】がマイナス11.7%と優秀です。なお【DJIA】は設定されたのが2022年2月なので、年初来はありません。

年初来株価推移は?(50%カバードコールETF、リスク管理インカムETF)

続いて、カバードコール戦略50%のETFと、リスク管理インカムETF。こちらもナスダック100が対象の【QYLG】がマイナス23.3%と悪いですね。

リスク管理インカムETFの【XRMI】と【QRMI】は、マイナス15%前後で、なかなか健闘しています。

 

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まとめ

2022年7月の分配金は、引き続き株価が低迷しているため、あまり多くはなかったです。ただし、【DJIA】以外は、満額の可能性が高いです。

100%カバードコール戦略の【QYLD】【XYLD】【RYLD】、50%カバードコール戦略の【QYLG】【XYLG】は、2022年に入ってから、ずっと基準価格の1%や0.5%など満額を確保しており好調です。ボラティリティが大きいので、オプション・プレミアムはしっかり獲得できています。

ただし、2022年はナスダック100やS&P500など、原資産の株価が低迷しているので、それに対応するカバードコールETFの株価も低迷しています。そのため、株価が高かった2021年と比較すると、分配金額は減っているケースが多いです。株価が低迷している今が買い時という考え方もできます。

カバードコールETFの特性として、株価が下がると、分配金の上限も下がります。逆に株価が安いときに購入して、株価が戻って分配金が上限になれば、購入簿価あたりの利回り、いわゆるYOCが高くなります。

グローバルX社のETFではありませんが、【JEPI】の分配金額はかなり好調で、2022年7月は設定来の最高額を記録していました。このETFと併用するのもありかもしれませんね。