3つの広範囲高配当ETF、世界【SDIV】、先進国【FGD】、新興国【DEM】を徹底比較

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今回は、世界の幅広い地域を対象としている3つの高配当ETFを比較します。世界の高配当株が対象の【SDIV】、先進国の高配当株【FGD】、新興国高配当株【DEM】です。

たとえば【VYM】【HDV】【SPYD】などの米国高配当ETF、【QYLD】【XYLD】【JEPI】などのカバードコール系ETFを所有している人が、サテライトとして少し持ってみるのもいいかもしれません。

※このページで使用するグラフや文字は【SDIV】が青、【FGD】が赤、【DEM】がオレンジor黄色に統一しています

 

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【SDIV】【FGD】【DEM】の基本情報

まずは基本情報です。

世界の高配当を対象とする【SDIV】の正式名称は、グローバルX スーパーディビィデンド‒ 世界株式。世界の中から配当利回りの高い100銘柄が対象です。時価総額や配当の見通しや過去の配当実績などの条件でフィルタリングします。

先進国が対象の高配当ETF【FGD】の正式名称はファースト・トラスト・ダウ・ジョーンズ・グローバル・セレクト・ディヴィデンド・インデックス・ファンド。先進国の配当利回りの高い約100銘柄を集めたもので、1日の平均売買高、5年間の平均配当性向などの条件をクリアする必要があります。

新興国が対象の高配当ETF【DEM】は、ウィズダムツリー・エマージング・マーケッツ・エクイティ・インカム・ファンド。新興国の配当利回りの高い約500銘柄が組み込まれています。【SDIV】【FGD】が約100銘柄だったので、【DEM】の方が分散が利いています。こちらは時価総額が大きく、利回り上位30%、中国は利回り上位100社などの条件がつきます。

 

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【SDIV】【FGD】【DEM】の運用会社

運用会社について見てみましょう。ETFの運用会社はブラックロック、バンガード、ステートストリートが強く、この3社で世界の約7割を占めています。今回紹介する3つのETFは、いずれも異なります。その次に位置している運用会社です。

世界高配当ETFの【SDIV】のグローバルX社は、ETFの特化した運用会社で、近年急成長中です。創業は2008年と後発です。テーマ型ETFなどのニッチなセクターを狙ったものが多く、カバードコールETFの【QYLD】【XYLD】などが有名です。

先進国ETFの【FGD】を運営しているのはファーストトラスト社。テーマ型ETFやアクティブETFなどに強みを持っています。創業は1991年。

新興国ETFの【DEM】はウィズダムツリー社。従来の時価総額加重型ではなく、配当や収益といったファンダメンタルズに基づき配分を決定する、いわゆるスマートベータ型のETFの先駆者です。世界的にも著名なジェレミー・シーゲル教授がシニア投資戦略アドバイザーとして所属しています。

 

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基本情報を確認しよう

基本データを表にまとめました。数字の赤いところが他のETFとは異なるところです。上から見ていきましょう。

組み入れ方式はいずれも異なっています。【SDIV】は均等加重です。同じ比率で組み込まれるということですね。【FGD】は利回り加重。利回りの高い銘柄が、組み入れ比率が高くなります。【DEM】は配当加重。支払った配当額に応じて比率が高くなります。これはざっくり言うと、時価総額と利回りを掛けた数値の大きなものが、組込比率が高くなります。3つのETFは時価総額加重平均ではありません。高配当銘柄で時価総額加重平均を採用すると、利回りが低くなってしまうケースが考えられるため、このような方式を取ると思われます。

経費率は0.6%前後です。やや高いですね。いずれのETFも米国の会社が運営おり、米国以外を対象とする場合、情報を集めるのに手間や費用がかかるので、やや経費率が高くなる傾向にあります。株を長期で保有する場合、この経費率がボディーブローのように効いてきますので、安い方がいいという意見もありますね。

運用総額は【DEM】が2200億円と、なかなか多いです。【SDIV】が1000億円、【FGD】が650億円です。いずれも物凄く多いというわけではありませんが、とてつもなく少ない危険水域ではないです。1000億円を超えていれば、ほぼ安全といえます。

背景が青色のところが、組み込まれている米国の比率。米国をメインにポートフォリオを組んでいる人にとっては、この数値が低い方が、いろいろと分散ができていいですよね。米国は新興国ではないので、【DEM】の米国比率は0%です。

分配金の支払は【SDIV】が毎月です。毎月分配金がもらえるのは、うれしいですね。【FGD】【DEM】は四半期に一度です。3、6、9、12月ですね。

利回りは、過去1年の分配金から算出しました。【SDIV】が10.7%と高いですね。【SDIV】【FGD】【DEM】よりも銘柄選定の条件が緩く、高配当に特化しています。ただしこうすると、トータルリターンや暴落時の耐性に問題がある場合が多いです。【FGD】【DEM】は6%前後。通常の高配当ETFの利回りは3~4%台が多いので、やや高いですかね。

利回り(過去1年)は過去1年の分配金から算出したものです。利回り(直近)は直近の分配金が今度1年続いたものとして算出しました

 

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【FGD】の国別の比率は?

それぞれのETFに組み込まれている上位10カ国の一覧です。表の上が先進国株、下が新興国になっています。一部重複している国があります。韓国と香港ですね。

一番左の【SDIV】は世界が対象なので、先進国と新興国の両方が入っています。米国が最多で31%、中国と香港が約15%ずつ、この3カ国で約60%を占めています。

真ん中は【FGD】はバランスよく先進国が組み込まれています。比率はカナダが最多で17%、8%以上が6カ国とまずまず分散されています。

右側の【DEM】は、上位3カ国の中国、台湾、ブラジルがいずれも20%を超えており、合計65%。10%台がないので、かなり集中投資といえます。

そして、一番右側が3つのETFの合計比率です。先進国では米国、新興国では中国の割合が大きいのは、経済規模から考えると妥当ですね。

 

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【FGD】のセクター比率は?

セクター比率をチェックしましょう。いずれもGICSによる分類です。どのETFも金融の割合が多いですね。紫色の部分です。特に先進国株ETFの【FGD】は5割弱を占めています。

【SDIV】は金融と不動産で5割強です。【SDIV】は利回りを高めるためにモーゲージなどのリートを多めに組み込んでいます。グローバルX社お得意の手法です。

【DEM】は素材と金融で約5割です。素材は資源ですね。新興国で大きくビジネスをするには豊富な資源やエネルギーに関する産業というケースが目立ちます。【DEM】は情報技術が12%あります。新興国に情報技術が多いのは意外と思う人もいるかもしれません。新興国の中では先進国よりもIT化が進んでいる国も目立ちます。

ヘルスケアセクターは、ほぼゼロですね。

 

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【SDIV】【FGD】【DEM】の上位組込銘柄は?

3つのETFの組込上位銘柄はどのようなものでしょうか?  まずは【SDIV】です。

上位10銘柄で13%ほどなので、分散は利いていますね。【SDIV】のセクター比率は金融と不動産が多かったですが、金融は1つしかないですね。米国のリートが3銘柄も入っています。4、8、9位ですね。首位のトランスミッソーラ・アリアンサ・デ・エネルジアエレトリカ【TAEE11 BZ】はブラジルの電力会社です。

【FGD】の上位組込銘柄は?

次は【FGD】です。上位10銘柄で17%ほどなので、まずまず分散は利いていますね。上位銘柄のセクターは素材、金融、通信、公益、タバコなどですね。利回り加重なので、配当利回りの高い銘柄が上位に組み込まれています。

組込2位のブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BATS LN】、同8位のアリトリア・グループ【MO】のタバコ銘柄は、高配当投資家が個別株として持つケースもありますね。

【DEM】の上位組込銘柄は?

最後は【DEM】です。セクターでは素材と金融が目立ちます。上位10銘柄で31%なので、結構集中投資です。【DEM】は組込銘柄数が約500と多いですが、上位銘柄の比率は高いですね。組込1位のヴァーレ【VALE3 BZ】が比率11%と飛び抜けています。ブラジルの総合資源開発企業で、主力商品は鉄鉱石です。

 

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株価推移を確認

3つのETFの過去10年の株価推移です。いずれも苦戦しています。2012年3月に1万ドル投資した場合、2022年2月には【FGD】が1万600ドル、【DEM】が7600ドル、【SDIV】が5000ドルになっていました。

【FGD】がわずかにプラスで、ほぼ横ばいですね。【DEM】は今ひとつ、【SDIV】は半分になってしまいました。

 

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これまでの利回りは?

3つのETFの利回りの傾向を調べてみましょう。利回りは過去1年分配金から算出しました。

利回りは【SDIV】が常に高く、平均は約7.8%。【FGD】【DEM】は似ています。最近の利回りは【FGD】が5.5%で、【DEM】が6.0%でこちらがやや優勢。ただし、平均利回りは【FGD】が5.1%。【DEM】は4.4%です。

【SDIV】はここ最近の利回りの上昇が目立ちます。分配金はやや増えていますが、それよりも株価の下落による利回りの上昇という感じですね。

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YOCの推移は?

過去にETFを買った場合、現在の購入単価当たりの利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から10年前までのYOCを見ていきましょう。過去の購入したタイミングよる現在のYOCです。

この線が左肩上がりの場合は、株価が好調で増配しているといえます。

現在の利回りが右端、10年前に購入した場合のYOCが左端です。青い線の【SDIV】は現在の利回りの方がかなり高いですね。これは株価が10年前よりも低迷していることを意味します。

赤い線の【FGD】は現在の利回りの方が少し低いです。10年間で株価はわずかに上昇したことを意味しています。逆に【DEM】は10年前の方がわずかに低いので、株価はやや軟調と言えます。

10年前に購入していた場合の現在のYOCは【SDIV】が5.2%、【FGD】が5.7%、【DEM】が4.5%でした。

 

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【SDIV】の期別分配金は?

期ごとの分配金を確認しましょう。まずはSDIV】です。毎月支払われます。コロナ・ショックの影響で2020年4月に0.1222ドルがから0.0825ドルに大きく減りました。2021年から少しずつ回復しており、現在は0.1ドルです。コロナショック前の水準にはまだ戻っていません。

【FGD】の期別分配金は?

続いて【FGD】の2011年以降の期別の分配金です。四半期ごとに支払われます。6月が最も多く、12月が2番目に多いですね。米国株は年4回分配金を支払うことが多いですが、それ以外の国は年2回のケースもあるから、差が出ているようです。2020年の3月が異常に多いです。2021年は6、9、12月は前年を上回りましたが、年間トータルでは、前年の2020年と比べて0.7%減でした。

【DEM】の期別分配金は?

【DEM】の分配金です。四半期ごとに支払われます。9月が多く、3月は少ない傾向にあります。2015~18年の3月は分配金がゼロでした。2020年はコロナ・ショックの影響でかなり分配金が減りましたが、2021年は過去最高を記録しました。

 

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増配率を比較する

これまでの年間増配率を比較します。背景が赤色がマイナスです。【DEM】は過去1年増配率は素晴らしいですが、それ以外はよくないですね。【FGD】はまずまずです。【DEM】は年によって差が激しい傾向にあります。

なお、SDIV】は設定されたのが2011年6月なので、過去10年はありません。過去10年増配率は過去9年で計算しています。また、SDIV】だけは毎月分配なので、2022年3月を起点としています。【FGD】【DEM】は2021年12月が起点です。

年間増配率の推移は?

先ほどの表の上のほうの1年ごと増配率の変化をグラフにして確認しましょう。SDIV】は他のETFと合わせて、最新の3月基準ではなく、12月末基準にしました。

SDIV】は横ばいが続いていましが、2020年に一気に減ったのが分かりますね。【FGD】はこの中では堅調に推移しています。【DEM】は毎年20%前後の増減を繰り返しています。

【FGD】の年間増配率は?

過去の増配率をグラフにして比べましょう。SDIV】は過去1年増配率は高いですが、それ以外の期間はマイナス5%前後と苦戦しています。【FGD】は微増ですね。【DEM】は過去5年以内は素晴らしいですが、長期だとこちらも微増です。

 

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過去10年トータルリターンは?

過去10年のトータルリターン推移です。2012年3月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合、2022年2月には【FGD】が1万7800ドル、【DEM】が1万1800ドル、SDIV】が1万700ドルになっていました。【FGD】はまずまずです。

SDIV】は2020年3月のコロナ・ショック前までは【FGD】と互角でしたが、それ以降はかなり劣後しています。【DEM】は低空飛行を続けていましたが、コロナショック後の回復はSDIV】よりもいいですね。

ライバルETFとのトータルリターンの比較

過去のトータルリターンを比較しましょう。過去1、3、5、10年のトータルリターン比較と、現在の利回りです。

SDIV】【FGD】【DEM】以外に、それぞれのエリアの高配当ではない普通ETFも比較対象に加えました。世界【VT】、米国除く先進国【VEA】、新興国【VWO】です。さらに米国高配当ETF【VYM】も対象にしました。

SDIV】はかなり苦戦しています。ただ【FGD】【DEM】は対象となる【VEA】や【VWO】と比較しても、まずまず善戦しています。通常、高配当ETFは普通ETFにリターンでは劣後するのですが、この2銘柄に関してはまずまずと言えます。

危険度はどのくらいか?

ETFの安定度を比べてみましょう。最大ドローダウンは、計測期間における最大下落率です。マイナスの数値が小さいほど最大下落率が低いです。

シャープレシオとは、同じリスクを取った場合のリターンの比較です。「(ファンドのリターン−無リスク資産のリターン)÷標準偏差」の値です。

ソルティノレシオはシャープレシオの改良版で、相場が軟調の際の成績を示しています。「(ファンドのリターン-無リスク資産のリターン)÷下方偏差」で計算します。

高配当のSDIV】、【FGD】【DEM】はいずれも最大ドローダウンがよくないですね。ソルティノレシオは【FGD】はまずまずです。

過去10年の分配金はどのくらいか?

10年間の分配金額の推移はどうだったでしょうか。2012年3月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合の年間でもらえる分配金の推移です。分配金は再投資します。税金は考慮しません。

10年間の分配金の合計はSDIV】が9000ドル、【FGD】が6500ドル、【DEM】は4000ドルでした。高配当だけあって、分配金は多いですね。ちなみに【VYM】は5800ドルでした。

 

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過去3年増配率を使って今後のYOCを予想する

現在の過去1年分配金額と3、5、10年前の同時期の過去1年分配金額を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来YOCを予想します。

つまり、それぞれのETFを2022年3月10日の終値で買った場合、過去の増配率の通りに今後も推移したら、YOCがどのくらいになるかという予測です。ちなみに、YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの利回りのことです。

検証するパターンは2つです。1つめは分配金を再投資しない、税金も考慮しません。もうひとつは分配金を再投資します。こちらは税引き後で計算します)

現在の利回りは【SDIV】が10.71%、【FGD】が5.46%、【DEM】が6.02%です。

分配金を再投資しない場合

まずは過去3年増配率で検証します。分配金を再投資しない場合のYOCを見てみましょう。税金は考慮しません。

過去3年増配率は【SDIV】がマイナス10.6%、【FGD】が1.5%、【DEM】が12.3%でした。

もっとも成績が良かった【DEM】の10年後のYOCは19.3%、20年後YOCは61.8%。次点は【FGD】で10年後のYOCは6.3%、20年後は7.3%。【SDIV】の10年後のYOCは3.5%、20年後は1.1%でした。

分配金を再投資する場合(税引き後)

次に分配金を再投資するケースで、税金を引いた額で計算してみましょう。再投資する分配金額は、現在と3年前の株価を比較して年平均騰落率を計算し、それを使って調整します。分配金は28%の税金を引いた72%で計算します。

もっとも成績が良かった【DEM】の10年後のYOCは29.4%、20年後のYOCは863.5%。次点は【FGD】で10年目のYOCは6.8%、20年後は12.6%。【SDIV】の10年後のYOCは4.4%、20年後は1.7%でした。

【DEM】過去3年の増配率が抜群に高いので、将来YOCもとんでもない数値になりましたが、これが長期で続く可能性は低そうです。

 

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過去5年増配率を使って今後のYOCを予想する

今度は過去5年増配率で検証します。分配金を再投資しない場合のYOCを見てみましょう。税金は考慮しません。

過去5年増配率は【SDIV】がマイナス4.7%、【FGD】が5.7%、【DEM】が13.4%でした。

 

分配金を再投資しない場合

分配金を再投資しないケースを見てみましょう。

もっとも成績が良かった【DEM】の10年後のYOCは21.2%、20年後のYOCは74.6%。次点は【FGD】で10年後YOCは9.5%、20年後は16.6%。【SDIV】の10年後のYOCは6.6%、20年後は4.1%でした。

分配金を再投資する場合(税引き後)

それでは分配金を再投資するケースで、税金を引いた額で計算してみましょう。分配金は28%の税金を引いた72%で計算します。

もっとも成績が良かった【DEM】の10年後のYOCは33.1%、20年後のYOCは1385.1%。次点は【FGD】で10年後YOCは11.3%、20年後は46.3%。【SDIV】の10年後YOCは9.4%、20年後は8.9%でした。

過去5年の増配率でも、【DEM】の増配率が高かったので、将来YOCはとてつもない数値になりました。

 

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過去10年増配率を使って今後のYOCを予想する

最後に過去10年増配率を使って将来のYOCを予想します。分配金を再投資しない場合のYOCを見てみましょう。税金は考慮しません。

過去10年増配率は【SDIV】がマイナス5.2%、【FGD】が1.7%、【DEM】が1.1%でした。

なお、【SDIV】は設定から11年が経過していないので、過去9年の増配率を使います。

分配金を再投資しない場合

分配金を再投資しないケースを見てみましょう。

もっとも成績が良かった【FGD】の10年後のYOCは6.5%、20年後のYOCは7.7%。次点は【DEM】で10年後YOCは6.7%、20年後は7.5%。【SDIV】の10年後のYOCは6.3%、20年後は3.7%でした。

分配金を再投資する場合(税引き後)

こちらも分配金を再投資するケースで、税金を引いた額で計算してみましょう。分配金は28%の税金を引いた72%で計算します。

もっとも成績が良かった【DEM】の10年後のYOCは7.7%、20年後のYOCは14.3%。次点は【FGD】で10年目のYOCは7.1%、20年後は13.7%。【SDIV】の10年後のYOCは8.6%、20年後は7.3%でした。

過去10年増配率は【DEM】【FGD】が似たような成績になりました。

【DEM】は5年以内の増配率が抜群なので、これが続けば素晴らしいYOCになりますが、現実的ではない気がします。【FGD】はいずれの期間も安定してます。この通りに推移する可能性がありそうです。【SDIV】はどの期間でも増配率がマイナスだったので、将来YOCはよくなかったです。

 

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過去10年増配率を使って今後のYOCを予想する

それでは分配金が変化しなかった場合を見てみましょう。分配金を再投資しない場合は、現在の利回りが続くだけで、変化はありません。

再投資するケースで、税金を引いた額で計算してみましょう。分配金は28%の税金を引いた72%で計算します。再投資する分配金額は株価騰落率を考慮しないで、そのままの金額とします。

増配率に変化がないので、現在の利回りの高いほうが、YOCが上がります。

現在の利回りは【SDIV】が10.71%、【FGD】が5.46%、【DEM】が6.02%です。

【SDIV】の10年後のYOCは16.2%、20年後は34.1%です。【DEM】の10年後のYOCは6.6%、20年後のYOCは10.1%。【FGD】で10年後のYOCは5.8%、20年後は8.5%。

【SDIV】は現在の利回りが高いので、このまま分配金額が維持されて、再投資すれば、かなりのYOCが期待できます。

 

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まとめ

これまでのデータを「A」~「D」にしてまとめてみました。「A」が最高で、「B」はまあまあ、「C」は普通、「D」は良くないです。ただ、YOC予想は増配率と利回りを組み合わせたものなので、このデータでは内容が重複している箇所がいくつかあります。

また、主観によるものもありますので、参考程度にしてください。今回は若干甘めに採点しています。

【DEM】が最も成績が良かったのは意外ですね。4~5年前に低迷しており、2021年の分配金が多かったのが、データに現れました。ただし、過去10年で見ると、今ひとつの結果なのが気になるところです。

【FGD】は平均的に優れていました。「B」の数が多いです。過去10年の増配率、分配金額、トータルリターンなどにがまずまずで、信頼できそうです。先進国ならではの安定感があります。

【SDIV】は、こうしてみると散々です。2020年3月のコロナ・ショック以降のデータが悪いためですね。ただし、直近1年の分配金は回復傾向なので、このまま回復していけば面白いです。逆に株価低迷している今が買い時という考え方もできます。

今回は【SDIV】が2021年3月、【FGD】と【DEM】が2020年12月の分配金が支払われた後のタイミングを起点としたデータです。そのため、直近1年の分配金が多かったETFが、ほとんどのデータで良い結果となりました。【DEM】の成績がよかったのは、そういう理由があります。

たとえば1年前や2年前を起点としたデータなども比較対象にすると、もう少し傾向が分かると思います。