JEPQの2023年6月分配金は0.3566ドルで、先月より26.3%減(JPモルガン・ナスダック米国株式・プレミアム・インカムETF)

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2023年6月1日、JPモルガン・ナスダック米国株式・プレミアム・インカムETF【JEPQ】の分配金が発表されました。0.3566ドル(厳密には0.35656ドル)でした。

前回2023年5月の分配金は0.4841ドルなので、先月との比較では26.3%減です。

2023年6月2日の終値は47.17ドル、過去1年分配金は5.6440ドル。利回りは11.97%になります。

直近の分配金0.3566ドルを1年換算して出した利回りは9.07です。

【JEPQ】は2022年9月後半より、日本のネット証券で取り扱いが始まりました。どんなETFなのでしょうか。

設定は2022年5月なので、約1年しか経っていないので、情報は少ないです。【JEPI】などと比較したデータを使いながら、本質に迫っていきます。

 

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【JEPQ】の分配金と株価の関係は?

毎月の分配金(青い棒グラフ)株価(赤い折れ線グラフ)の比較です。数値が二桁異なるので、棒グラフと折れ線グラフが重なると月利1%で、年間利回りは12%の目安となります。

2022年9月以降は2022年10月以外は、棒グラフがほぼ突き抜けており、利回りは12%を上回るペースで好調と言えそうです。

株価は50ドルでスタートして、現在45ドル付近まで下がっています。分配金は12回支払われました。最大が0.68ドルで、最小が0.33ドル。結構バラつきがあります。株価と分配金の関係は、設定から日が浅いので何とも言えませんね。

 

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設定来の株価と利回りは?

株価と利回りの比較しましょう。株価が青い線です。ナスダック100が軟調ということもあり、緩やかながら下がっていましたが、最近は少し回復しています。

利回りを過去12カ月の分配金から算出した「12カ月利回り」が、赤い線です。分配金を支払いはじめてから、2023年5月で1年となりました。それ以前は算出できないので、設定来の分配金の合計額を1年換算して、利回りを出しました。

現在2023年6月2日の「12カ月利回り」は11.97%ですね。

現在の分配金を12倍して利回りを計算したのが「直近利回り」です。これが黄色い線です。毎月分配金が異なりますのでデコボコです。6月の分配金は先月より減ったので、直近の利回りは9.07%になりました。

【JEPQ】のように月々の分配金の差が激しい場合は、この2つの利回りを見比べて、現在どのくらいなのかをイメージするといいかもしれません。分配金が1年分しか出ていないので何とも言えませんが、今後は11%ぐらいに落ち着きそうな気がします。

 

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ライバルETFとの比較

【JEPQ】とライバルETFの比較です。4つのETFの関係や大まかな違いはこんな感じです。

一番左の列は対象がナスダック100です。【JEPQ】のライバルになりそうなのが、同じナスダック100をカバードコールするETF【QYLD】です。

左から2列目の【JEPI】と【XYLD】は対象がS&P500です。

上段の【JEPQ】と【JEPI】はJPモルガン・アセットマネジメント社の商品で、80%が低ボラティリティ銘柄で、残りの20%がELNという仕組債で、コールオプションを売ります。

下段の【QYLD】と【XYLD】はグローバルX社のカバードコールETFです。原資産を100%保有しながら、コールオプションを売ります。

JPモルガンとグローバルX社のETFは似ていますよね。コール・オプションの売りにおける権利行使価格が原資産よりも高い「アウト・オブ・ザ・マネー」か、権利行使価格が原資産と同額の「アット・ザ・マネー」の違いはあります。

経費率はJPモルガン・アセット・マネジメント社の【JEPQ】【JEPI】が0.35%、グローバルX社の【QYLD】【XYLD】は0.60%なので少し差があります。

 

ライバルETFとのデータを比較

運用総額は【JEPI】が最も多く約3.6兆円で、【QYLD】は約1.1兆円です。【JEPQ】は設定されたのが2022年5月3日で、まだ1年少ししか経っていないですが、運用総額は約4600億円と好調です。

過去1年分配金から算出した利回りは、現在は【RYLD】が高く、【JEPQ】【XYLD】【QYLD】はほぼ同じです。

分配金利回り(12カ月)は過去1年の分配金から算出したものです。

分配金利回り(直近)は直近の分配金が今後1年続いたものとして算出しました

表の中の数値が他のETFと比較して優れている場合は赤字にしました。なかなか素晴らしいデータはオレンジ色です。

 

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カバードコール系ETFの利回り推移

カバードコール系ETF【RYLD】【QYLD】【XYLD】【DJIA】【JEPI】の利回りの変化を見てみましょう。利回りは直近の分配金を1年換算したものから算出しました。株価は月末のものです。

※2021年12月に【RYLD】【QYLD】はキャピタルゲイン分配金を出しました。これを含めて計算するとイメージしづらくなるので、2021年12月分配金は【RYLD】【QYLD】はNAVの上限1%で計算しました

 

カバードコール系ETFの利回りを過去1年分配金から算出

先ほどのグラフだと、月によって分配金の変動があるため少しイメージしづらいかもしれません。過去1年の分配金から利回りを算出しました。

最近は利回りが少し下がってきています。実際の目安は【RYLD】が12%、【QYLD】【JEPQ】が11%、【XYLD】【JEPI】が10%、【DJIA】が9%ぐらいですかね。

※このグラフも前項同様に、2021年12月分配金は【RYLD】【QYLD】はNAVの上限1%で計算しました

 

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【JEPQ】はどんなETFか?

【JEPQ】は、2021年秋に日本の証券会社で取り扱いの始まったJPモルガン・米国株式・プレミアム・インカムETF【JEPI】のナスダック100版です。

以下が運用会社であるJPモルガン・アセット・マネジメントの公式サイトに記載されている【JEPQ】の概要です。

米国大型成長株(主にQQQ採用銘柄)とオプションの販売を組み合わせ、オプション・プレミアムと株式配当から毎月の収益を得ることを目指します。

【JEPQ】の約80%は、大型成長株(主にナスダック100採用銘柄)の低ボラティリティ銘柄。この部分で株価の値上がり益を狙います。

20%を上限に、エクイティ・リンク・ノート(ELN)が組み込まれています。これは、株式に連動してインカムを狙う仕組債の一種です。ナスダック100指数の1カ月のアウト・オブ・ザ・マネーのコール・オプションを売るデリバティブです。原資産よりも権利行使価格が高く設定されています。

ナスダック100のカバードコール戦略を行う【QYLD】と少し似ています。ただし、こちらはアット・ザ・マネーなので、原資産と権利行使価格が同じです。

【JEPQ】は基本的にELNでインカムゲインを狙い、大型成長株の部分でキャピタルゲインを狙う、いいところどりのETFとも言えます。

 

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【JEPQ】は誰が運用しているのか?

【JEPQ】は、アクティブ運用のETFです。インデックスに連動しているわけではなく、ポートフォリオ・マネージャーの手腕が重要です。

ナスダック100の中からボラティリティの小さい銘柄を選別して組み入れ、20%弱はELN(エクイティ・リンクノート)の中から、いずれかの金融機関が発行したものを選びます。

そのため、【JEPQ】を運用しているのはどんな人なのか気になりますよね。

公式サイトに掲載されている【JEPQ】のポートフォリオ・マネージャーのデータです。ハミルトン・ライナーという人が中心となって運用しているようです。35年ほどのキャリアがあり、
1987年以来、バークレイズ・キャピタル、リーマン・ブラザーズ、ドイツ銀行などで米国株式および米国株式デリバティブの運用に携わってきた人のようです。

下は【JEPI】のポートフォリオ・マネージャー。こちらもハミルトン・ライナー氏が運用しています。

 

ポートフォリオ・マネージャーが担当しているファンド

現在ハミルトン・ライナー氏が担当しているファンドの一覧です。30個近くありますね。ちなみに、ポートフォリオ・マネージャーと、ファンド・マネージャーは同じ意味です。

 

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【JEPQ】のセクター比率は?

【JEPQ】と、ナスダック100ETF【QQQ】に組み込まれている銘柄のセクター別の組込比率を比べます。

【JEPQ】の約8割を占めるのは米国大型成長株(主にQQQ)の中から低ボラティリティ銘柄です。残りの最大2割がELN(Equity Linked Note)です。左の円グラフの背景が黒いところがELNです。現在13.8%です。

【ELN】の分を差し引いて考えると、組み込まれているセクターの比率はほぼ同じです。

 

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【JEPQ】の株式上位組込銘柄と【QQQ】の違い

下の表は【JEPQ】に組み込まれている株式の上位10銘柄です。大型成長株(主にQQQ)の低ボラティリティ銘柄が中心です。

表の右端の2列はナスダック100ETF【QQQ】の組込順位と比率です。上位7番目まではかなり似ていますが、8位以降は微妙に異なっています。

【JEPQ】の全組込銘柄数が87なので、【QQQ】の101と比べてやや少ないです。また、【JEPQ】の上位10銘柄の比率は50.4%なので、かなりの集中投資です。

【QQQ】は上位10銘柄比率が58.9なので、さらに集中投資です。ボラティリティを低くするために、【JEPQ】は【QQQ】よりも組込銘柄の比率を下げているのかもしれません。

 

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【JEPQ】に組み込まれているELNは?

【JEPQ】に組み込まれているエクイティ・リンク・ノート(ELN)です。ナスダック100に連動した仕組債で、全部で5つあり、合計比率は13.8%です。

これまでは15~16%ぐらいありましたが、今月は少ないですね。

エクイティ・リンク・ノートの満期日は1週間ごとに設定されています。複数のエクイティ・リンク・ノートを持つことで、満期日が1週間ごとにずれるようにして、ロールコストを最小限に抑えることができます。

これにより、コントランゴ現象(期日が遠い先物価格の方が、期日が近い先物価格よりも価格が高い状態のため、高く買って安く売ることになる)を回避し、JEPQの目的である高い分配金を実現することが可能となっているようです。

 

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ELNの利率(クーポンレート)はどのくらいか?

下の表はJPモルガンアセットマネジメントの公式資料に記載されている内容です。ELNのクーポンレート(利率)を比較します。左上が2022年6月末、右上が2022年12月末、下が2023年3月末です。

【JEPQ】のELNの発行体はBNPパリバ、ゴールドマン・サックス、クレディ・スイス、UBSなど世界的な金融機関ばかりです。償還日は1週ずつずれています。

クーポンレート(利率)は2022年6月末は110%を超えていましたが2022年12月末は90%台が多いですね。2023年3月末は80%台がほとんどです。

2022年後半以降、分配金額が少しずつ減っているのは、このあたりが原因かもしれません。

 

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分配金とボラティリティの関係

コール・オプションの売りは、ボラティリティが大きいほど、獲得できるプレミアムが大きくなる傾向にあります。

【JEPQ】の分配金と、ナスダック100の今後30日間のボラティリティを予測する指数【VXN】の関係を見てみましょう。

これまで分配金は13回しか支払われていないので、何とも言えないですね。2022年10月以降はVXNの値が下がっており、【JEPQ】の分配金も減少傾向です。

VXNの下落に比べ、5月までは分配金が健闘しているように見えましたが、6月の分配金は減りました。

 

【JEPI】とボラティリティの関係

それでは、約3年の実績がある【JEPI】の分配金と、S&P500の将来30日間のボラティリティを予測する指数【VIX】との関係を見てみましょう。

【JEPI】の分配金額は、【VIX】とある程度連動していると言えます。【VIX】が20を下回ると、【JEPI】の分配金は少なくなる傾向です。【VIX】が25を超えると、分配金は多いですね。

そんなわけで、【JEPQ】の分配金も【VXN】の数値と、ある程度は連動しそうです。

 

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ライバルETFとトータルリターンを比較する

【JEPQ】とライバルETFのトータルリターンを比較します。ナスダック100ETF【QQQ】、ナスダック100カバードコールETF【QYLD】、さらに【JEPI】、高配当ETF【VYM】とも比べました。

【JEPQ】が設定された2022年5月3日から2023年6月2日までのデータです。ETF Replayを使用します。

期間が短くて何とも言えませんが、最近は【QQQ】が好調で+12.1%です。

【JEPQ】は+5.7%で、【JEPI】が+5.3%と互角です。【QYLD】が+2.9%【VYM】は最近今ひとつで、-1.2%です。

ここ数カ月はナスダック関連の【QQQ】【JEPQ】【QYLD】の調子が良いです。

 

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運用総額の変化は?

【JEPQ】と、ライバルとも言えるナスダック100カバードコールETF【QYLD】の運用総額の変化を比較しました。【JEPQ】の設定直後2022年5月5日から2023年6月1日までのデータです。

1ドル139円で計算すると、【JEPQ】は約4260億円(3.07ビリオン$)増えています。【QYLD】は約1900億円(1.37ビリオン$)増えています。【JEPQ】が優勢です。

最近の売れ行きを見ると、【JEPQ】は順調(グラフの緑色)ですが、【QYLD】は資産流出(グラフ内の赤い線)も少しあります。

 

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今後20年間で分配金はどのくらいになるのか?

最後に、今【JEPQ】を購入したら、将来どのくらい分配金をもらえそうかをシミュレーションします。

1万ドルを投資した場合の、将来もらえる分配金の推移を検証します。「分配金を再投資しない(税引き後)」と「分配金を再投資する(税引き後)」2パターンで検証します。

【JEPI】は増配銘柄ではありません。そこで、利回り11%、利回り10%、利回り9%、利回り8%の4パターンで、いずれも分配金に変化がなかった場合で検証します。

 

利回り11%(分配金変化なし)で推移した場合の分配金予想

まずは利回り11%で推移した場合の、分配金を計算します。

分配金は28%の税金を引いた72%で計算します。利回りは11%なので、税金を引いた72%の7.89%になります。投資額が1万ドルなので、1年目の分配金は789ドルになります。

ちなみに今回は1万ドルの投資なので、もらえる分配金のデータをYOCに簡単に変換できます。たとえば、スタート時の分配金は789ドルなので、利回り(YOC)は789%になります。YOC(Yield on Cost)とは、取得価額に対する利回りのことです。

再投資をしない場合は、10年目、20年目ともに分配金は789ドルになります。

再投資をする場合は、10年目の分配金は1562ドル、20年目の分配金は3337ドルになります。YOCだと33.37%です。

 

1万ドルを投資したシミュレーションですが、日本円の1万円に変換してもOKです。また、100万円という仮定なら、数値を100倍にすれば大丈夫です。例えば100万円を投資した場合は「分配金利回り11%のまま、再投資する場合の20年後の分配金」の税引き後は33万3700円になります。

 

利回り10%(分配金変化なし)で推移した場合の分配金予想

次に利回り10%で推移した場合の、分配金を計算します。

再投資をしない場合は、10年目、20年目ともに分配金は717ドルになります。

再投資をする場合は、10年後の分配金は1337ドル、20年後の分配金は2672ドルになります。YOCだと26.72%です。

 

利回り9%(分配金変化なし)で推移した場合の分配金予想

それでは利回り9%で推移した場合の、分配金を計算します。

再投資をしない場合は、10年目、20年目ともに分配金は645ドルになります。

再投資をする場合は、10年後の分配金は1133ドル、20年後の分配金は2117ドルになります。YOCだと21.17%です。

 

利回り8%(分配金変化なし)で推移した場合の分配金予想

最後に利回り8%で推移した場合の、分配金を計算します。

再投資をしない場合は、10年目、20年目ともに分配金は574ドルになります。

再投資をする場合は、10年後の分配金は948ドル、20年後の分配金は1750ドルになります。YOCだと17.50%です。

いずれのケースでも、「再投資する」場合の分配金の伸びが素晴らしいです。分配金利回り8%でも、20年後の分配金はまずまずの額になります。複利効果ですね。

 

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まとめ

【JEPQ】は設定から間もないので、データは揃っていないので、傾向はつかみづらいです。

今回の分配金は0.3566ドルと先月よりは26%減でした。【VXN】指数が下がっているのが気になりますね。ELNのクーポンレートも低くなっています。

経費率は0.35%と低いですね。【QYLD】【XYLD】などグローバルX社のカバードコールETFは0.6%なので、良心的です。

最近の売れ行きは【QYLD】よりも好調で、トータルリターンもやや上回ってます。

株式の部分のボラティリティは低く抑えられており、ELNの部分は高いボラティリティを利用してインカムを獲得しています。