バンガード社のバンガード 米国高配当株式ETF【VYM】が、2020年3月6日に配当金を発表しました。0.5544ドルです。前回は0.7791ドル、1年前の同時期は0.6516ドルでしたので、どちらと比較しても減少しています。コロナ・ショックの影響でしょうか?
ETFの年間配当額は、個別銘柄とは計算方法が異なります。今回の配当が減配なのかを明らかにして、過去の事例から将来を予測します。なお、ETFの場合は「分配金」が正式名称かもしれませんが、個別銘柄を同じく「配当金」と表記します。
【VYM】の過去の配当金と増配率は?
【VYM】が設定されたのは2006年11月です。下の表は過去の配当金の一覧です。
配当利回りの計算方法を説明します。年4回配当金を支払う個別銘柄の場合は、最新の配当金額を4倍した額が年間配当額となり、それを株価で割って配当利回りが算出されます。
ところがETFの場合は、組み込まれている銘柄によって配当金を払うタイミングが異なるため、期によってバラバラになります。そこで、最新の配当金と過去3回の配当金を足した数字、つまり過去1年分の配当額が年間配当額となり、それを元に配当利回りが算出されることが多いです。
よって今回の【VYM】の配当が減配かどうかを調べるには、四半期ごとに過去1年分の配当金のデータを作成する必要があります。下の表の右から2番目が過去1年配当額です。今期の【VWM】の過去1年配当額は2.7446で、前期は2.8418なので、3.42%の減配といえるでしょう。ただしこの計算方法だと、減配かどうかの判断は、今期と1年前の同時期の配当の比較によって決まります。
そんなわけで、個別銘柄の減配とETFの減配は、少し意味合いが異なります。ETFで多少減配されたとしても、それほど神経質にならなくてもいいかもしれません。
表の一番右の増配率は、前回との比較です。背景が赤になっているのが減配です。株価が右肩上がりで好調のときでも、減配はありました。ただ、今回のようなマイナス3%を超えたのは、リーマン・ショックのときの2008~2010年だけですね。
【VYM】の過去1年配当額を棒グラフで確認しよう
先ほどの表の過去1年配当額を棒グラフにして、VYMの株価と比較しました。リーマン・ショックが起きたのが2008年9月です。下の棒グラフの左から4番目のあたりです。過去1年配当額は、株価とある程度は連動しています。よく見ると、株価が先行し、その後を過去1年配当額が追っているようにも見えます。過去1年配当額のうち、3/4は過去のものだから、株価よりも出遅れるのかもしれません。
【VYM】の配当額を棒グラフで確認しよう
今度は、配当額と株価と比較しました。こちらは株価と配当額がほぼ同じタイミングで上下しているように見えます。リーマン・ショックやコロナ・ショックの下落するタイミングや割合は、ほぼ同じですね。
【VYM】を買うタイミングを考える
現在の【VYM】の配当利回りは過去と比べて高い水準にあります。下のグラフは過去5年の【VYM】の株価、配当利回り、YOCです。
過去5年の配当利回りの平均は3.05%です。ここ最近の配当利回りは2.7~3.5%に収まっていましたが、今回の暴落で2020年3月18日現在の株価が67.2ドルに下がりましたので、配当利回りは4.08%に上がりました。見づらいかもしれませんが、グラフの黄色と赤の線は一番右側で重なっています。
コロナ・ショックが長引くようなら、株価の下がり具合と減配の割合をチェックして、配当利回りを過去のものと比較しながら買い時を考えるのもいいかもしれません。
まとめ
【VYM】の上位組込銘柄はすべて時価総額の大きい超巨大企業です。景気が回復すれば、株価と配当の両方が上がる可能性が高いので、細かいことは気にせずに、今のうちに仕込んでおくのもアリかと思います。
なお、例年通りだと、次回は6月13~20日頃に配当金額が決定し、配当落ちは6月17~22日頃になります。