バンガード社のバンガード米国増配株式ETFF【VIG】が、2020年3月25日に配当金を発表しました。0.474ドルです。前回は0.5985ドル、1年前の同時期は0.5097ドルでしたので、どちらと比較しても減っています。コロナ・ショックの影響が早くも出たかもしれません。
【VIG】の過去1カ月の成績は?
過去1カ月の主要ETFと指数の騰落率比較です。【VIG】はもっとも優れていました。ナスダック総合よりも上回っています。下落相場では【VIG】、暴落時には【VIG】、リセッションのお供に【VIG】。そんな声がどこからともなく聞こえてきそうです。
【VIG】のファンド構成比は?
【VIG】は10年以上連続増配している株で構成されています。組込数は182銘柄です。ファンド構成比は、ほぼ時価総額の大きい順になっています。上位20銘柄で全体の45%を占めています。各項目のトップ3には、背景色をオレンジにしました。なお、下の表のファンド構成比は2020年2月29日現在です。それ以外の値は2020年3月27日のものです。過去1カ月の騰落率はウォルマート【WMT】、プロクター・アンド・ギャンブル【PG】、コストコ・ホールセール【COST】が優秀でした。すべて生活必需品ですね。
【VIG】の過去の配当金と増配率は?
【VIG】が設定されたのは2006年4月です。下の表は過去の配当金の一覧です。
配当利回りの計算方法を説明します。年4回配当金を支払う個別銘柄の場合は、最新の配当金額を4倍した額が年間配当額となり、それを株価で割って配当利回りが算出されます。
ところがETFの場合は、組み込まれている銘柄によって配当金を払うタイミングが異なるため、期によってバラバラになります。そこで、最新の配当金と過去3回の配当金を足した数字、つまり過去1年分の配当額が年間配当額となり、それを元に配当利回りが算出されることが多いです。
よって今回の【VIG】の配当が減配かどうかを調べるには、四半期ごとに過去1年分の配当金のデータを作成する必要があります。下の表の右から2番目が過去1年配当額です。今期の【VIG】の過去1年配当額は2.0982で、前期は2.1339なので、1.67%の減配といえるでしょう。ただし、この計算方法だと、減配かどうかの判断は今期と1年前の同時期の配当の比較によって決まります。
そんなわけで、個別銘柄の減配とETFの減配は、少し意味合いが異なります。ETFで多少減配されたとしても、それほど神経質にならなくてもいいかもしれません。
表の一番右の増配率は、前回との比較です。背景が赤になっているのが減配です。株価は右肩上がりが続いていましたが、定期的に減配しています。リーマン・ショックから9カ月ほど経過した2009年6月から約1年間マイナスが続いています。
【VIG】の過去1年配当額を棒グラフで確認しよう
先ほどの表の過去1年配当額を棒グラフにして、【VIG】の株価と比較しました。株価が先行して、そのあとを過去1年配当額が追っているように見えます。
【VIG】の配当額を棒グラフで確認しよう
今度は、配当額と株価と比較しました。デコボコですが、ある程度株価と連動しています。リーマン・ショック後は、すぐには配当金は減らなかったようです。
リーマン・ショック前後の値動きはどうか?
リーマン・ショック時の株価は、S&P500が最大56%下落したのに対して、【VIG】は42%の下落にとどまりました。ただし、NASDAQよりは下落したようです。
【VIG】を買うタイミングを考える
下のグラフは過去5年の【VIG】の株価、配当利回り、YOCです。現在の【VIG】の配当利回りは過去と比べて平均的な水準にあります。
過去5年の配当利回りの平均は2.01%です。最近の配当利回りは1.7~2.5%に収まっていました。ここ1年は株価が上がっていたので配当利回りは1.7~1.8%でしたが、今回の暴落で2020年3月27日現在の株価が101.72ドルに下がりましたので、配当利回りは2.06%に上がりました。見づらいかもしれませんが、グラフの黄色と赤の線は一番右側で重なっています。
まとめ
【VIG】は今回、減配がありました。次回も減る可能性が高そうです。増配を繰り返している優良銘柄が多いためか、株価の下がり具合は他のETFと比べて緩やかでした。再度暴落が来たときに、上手に仕込むことができれば、将来、キャピタルゲインとインカムゲインの両方が狙える可能性があります。
なお、例年通りだと、次回は6月22~26日頃に配当金額が決定し、配当落ちは6月26~28日頃になります。