FV関数と過去の増配率を使って、将来のYOCを求める

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FV関数というExcel関数をご存じでしょうか? FVというのはFuture Valueの省略で、将来の価値を意味します。この関数を使うと、ローンの返済や長期投資における積み立ての計算ができます。「利率、期間、定期支払額、現在価値、支払期日」の5項目を入力すると、将来の価値(価格)が導き出されるというわけです。

たとえば利率が5%で期間が10年、定期支払額(積み立て額)が12万円、現在価値(元本)が100万円、支払期日が期首だった場合、3,213,709という数値が導き出されます。これはつまり元本が100万円で利率5%、毎年12万円ずつ積み立てて、10年経過すると、321万3709円になるという複利計算をしてくれるわけです。

複利計算とは、元金に毎年利息がつき、翌年は元金と利息を合わせたものに対して利息がつき、それを繰り返す計算方法です。それに対して単利計算というのは元金に対してのみ利息がつくことです。
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FV関数の計算方法と注意点

エクセル上で、FV(利率,期間,定期支払額,現在価値,支払期日) と入力します。FV(A1,A2,A3,A4,A5)という感じで、それぞれのセルに数値を入れます。以下の表は積み立て投資の場合の説明です。
利率 利率
期間 積立の期間
定期支払額 毎月や毎年、追加投資(積み立て)する場合は、マイナスで指定
現在価値 元本のこと。マイナスで指定
支払期日 積み立てを期首(例1月1日)に行う場合は1、期末(例12月31日)の場合は0or省略
なお、FV関数の場合、「定期支払額(追加投資額)」と「現在価値(元本)」はマイナスに設定する必要があります。自分がお金をもらう場合がプラスで、支払う場合はマイナスになると考えてください。
=FV(利率,期間,定期支払額(マイナス),現在価値(マイナス),支払期日)

=FV(5%,10,-120000,-1000000,1) → 3,213,709円

 

FV関数のエクセルファイルのダウンロードはこちら

 

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違う方法で複利を計算する

追加投資をしないケースで、FV関数と同じ答えをエクセルで出す場合は
「{(現在価値 ×( 1+利率)} ^ 期間という計算式になります。
なお、この計算式は、「過去の増配率をもとに、将来のYOCを予測する」という記事で、「過去5年の増配率をもとにした、5年後の予想YOC」を計算する場合に使用した「{(現在の配当利回り ×( 1+過去の増配率)} ^ 将来の年数と同じものです。これをFV関数を使っても可能でしたね。
=FV(利率,期間,定期支払額,現在価値(マイナス),支払期日)
=FV(5%,10,,-30000,) → 48,867円

●下の式でも同じ
「{(現在価値 ×( 1+利率)} ^ 期間」
={(30000 ×( 1+5%)} ^ 10 → 48,867円

 

FV関数ともう一つの方法を使用した複利計算に関するエクセルファイルのダウンロードはこちら

 

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P&Gの将来YOCをFV関数を使って予想する

ではFV関数を使って、過去5年の増配率をもとに、将来のYOC(購入額あたりの配当利回り)を予測してみましょう。P&Gの2014年から2019年までの過去5年増配率を使って、いまP&Gの株を買ったら、5年後のYOCがどうなるかを求めます。P&Gの2014年の配当は2.532、2019年の配当は2.954です。
増配率の計算は、「過去の増配率をもとに、将来のYOCを予測する」という記事で紹介した通りです。CAGRを使用します。計算式は「(N年の配当 ÷ 初年の配当) ^ {1 ÷ (N年 – 初年)} – 1」。つまり「(2.954/2.532)^(1/(2019-2014))-1」なので、過去5年の増配率は3.13%となります。
そして、前の項で作成した複利計算を使用して、5年後のYOCを予測します。現在価値(元本)が現在の配当利回りになり、利率が過去5年の増配率になります。ちなみにP&Gの現在の配当利回りは2.5%です。
=FV(利率→過去5年の増配率,期間,定期支払額,現在価値(マイナス)→現在の配当利回り,支払期日)
=FV(3.13%,5,,-2.50,) → 2.92

●下の式でも同じ
「{(現在の配当利回り ×( 1+過去5年の増配率)} ^ 期間」
={(2.50 ×( 1+3.13%)} ^ 5 → 2.92
どちらも2.92%となりました。P&Gの過去5年の増配率が今後5年も同じだと仮定した場合、いまP&Gを買うと、現在の配当利回り2.5%が、5年後YOCが2.92%に変化するということです。

 

FV関数ともう一つの方法を使用した増配率をもとにした将来YOC予想のエクセルファイルのダウンロードはこちら