SPDRダウ工業株平均ETF【DIA】が2021年8月19日に分配金を発表しました。0.6111ドルです。1年前の同期は0.6035ドルでしたので、1年前の同期との比較では1.3%増です。
利回りを過去1年間の分配金額から算出すると、2021年8月27日の終値は354.57ドル、過去1年の分配金額は5.549ドルなので、利回りは1.56%になります。
※このページでの利回りは、過去1年間の分配金をもとに計算します。
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【DIA】はダウ工業株30種平均に連動しているETFです。ダウ工業株30種平均とは「NYダウ」「ダウ平均」「ニューヨーク平均株価」のことで、毎日ニュースで流れる指数です。
ダウ工業株30種平均は、株価をベースとした「株価平均型」を採用しており、採用30銘柄の中でも株価の値が高い銘柄の影響を大きく受けることになります。ちなみに、アマゾン【AMZN】、グーグルの親会社アルファベット【GOOGL】【GOOG】、フェイスブック【FB】、テスラ【TSLA】などは入っていません。
下の表は主要な指数に連動しているETFです。【VOO】は米国を代表する約500の企業、S&P500が組み込まれています。【QQQ】はナスダック市場の時価総額上位約100社によるETFで、ハイテク株が中心です。【VT】は全世界の主要株がまるっと入っています。
【DIA】のセクター別のファンド構成比は?
【DIA】に組み込まれている銘柄のセクター別の組込比率です。情報技術の割合が最も多く、22.3%と全体の4分の1弱を占めています。以下、金融、ヘルスケア、資本財、一般消費財と続いています。
最近は金融の割合が増えています。
【DIA】の上位組込銘柄はどんな会社か?
【DIA】の全30銘柄の主要データです。2021年8月27日のものです。【DIA】のベンチマークであるNYダウは、修正単純平均を用いており、計算方法は30銘柄の株価を単純に足して、除数で割るだけです。そのため、株価の高い銘柄が、組込比率が高くなります。
2020年6月以降の組込比率の推移は?
2020年6月以降の組込比率の推移です。2020年8月末に3銘柄が変更され、アップル【AAPL】の株が4分割されたので、太い線を引きました。
その時新たに加わったのは、セールスフォース・ドットコム【CRM】、アムジェン【AMGN】、ハネウェル・インターナショナル【HON】。除外されたのは、エクソン・モービル【XOM】、ファイザー【PFE】、レイセオン・テクノロジーズ【RTX】です。
1カ月前との比較ではゴールドマン・サックス・グループ【GS】が好調で、首位に立ちました。アムジェン【AMGN】は比率を下げています。
【DIA】組込銘柄は主要ETFにどのくらい入っているか?
【VOO】の組込比率上位20銘柄は、他のETFにどのくらいの割合で組み込まれているのでしょうか? 高配当【SPYD】【HDV】【DVY】【VYM】、連続増配【SDY】【VIG】、市場全体【DIA】【VOO】【VTI】、ハイテク・グロース系【QQQ】【VUG】【VGT】の主要12ETFへの組込比率(%)をまとめました。
ほとんどのETFは時価総額加重平均の順で組み込まれているため、修正単純平均を用いている【DIA】と比較すると、組込比率に違和感がありますね。
【DIA】と【VIG】の組込銘柄は財務が健全という意味で共通していますので、組込銘柄が似ています。【DIA】の上位20銘柄のうち13銘柄が【VIG】にも組み込まれています。
【DIA】との重複率は【SPYD】が7%、【HDV】20%、【DVY】9%、【VYM】26%、【SDY】11%、【VIG】が33%、【VOO】は24%、【VTI】が21%、【VUG】16%、【QQQ】13%、【VGT】16%です。
※組込比率は、バンガード社のETFは2021年7月末、【DIA】は8月27日、その他のETFは8月13日のデータをもとにしています。【DIA】は株価の高い銘柄が比率が高くなり、【SPYD】は均等平均加重組入なので、これらのETFの組込比率はあまり重要ではありません。
主要ETFの並び順は基本的に左端が最も利回りが高く、右に行くにつれて下がっていきます。ただし、【VGT】は少し毛色が異なるセクターETFなので、右端にしました。主要ETFのティッカー・コードの下の数字は8月16日の利回り(%)です。
最も少ないのはゴールドマン・サックス・グループ【GS】とアメリカン・エキスプレス【AXP】が3ETF。どちらも金融セクターでした。
【DIA】の過去の分配金と増配率は?
【DIA】が設定されたのは1998年1月です。下の表は最近の分配金の一覧です。毎月分配金が支払われます。
一番右側の「過去1年分配金額の前年同期比増減率」は増え続けていましたが、2020年の12月からマイナスになっています。
※背景が赤になっているのが減配です
【DIA】の期別分配金は?
期ごとの分配金をグラフにしました。1、4、7、10月は少ないです。最も多かった年は2019年です。これまでのところ、2021年は2019、20年と比べるてわずかに少ないペースです。
【DIA】の年間分配金額と年間増配率は?
1年ごとの分配金と年間増配率の比較です。年間増配率は2011年以降、高い水準をキープしていましたが、2020年はマイナス3.7%になりました。
【DIA】の分配金と株価の関係は?
年間分配金額を棒グラフにして、株価(年末)と比較しました。年間分配金額と株価は似たような曲線で伸びています。ただし、2020年は分配金は減りましたが、株価は続伸しています。
2020年以降の利回りは?
2020年以降の【DIA】の株価と利回りを見てみましょう。利回りは、過去1年の年間分配金額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が利回り(右軸)です。2020年の年初は2.0%ぐらいの利回りでしたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月23日には利回りが約3.3%まで上昇しました。現在は株価がコロナ・ショック前を上回り、利回りは1.56%です。
現在の【DIA】の株価と利回りの関係は?
年間分配金額が現在と同じく5.549ドルで変わらなかったら、利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間分配金額が現在と同じ5.549ドルが続いた場合の、利回りと株価の相関図です。利回りを0.1%ごとに株価を出しました。今後【DIA】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。
【DIA】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去に【DIA】を買った場合、現在の購入単価当たりの利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から5年前までの株価、利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、ややアバウトです。下のグラフの黄色の線が、過去に買った場合の、現在の購入単価当たりの利回り(YOC)です。
2021年8月27日の終値は354.57ドル、過去1年の分配金額は5.549ドルなので、現在の利回りは1.56%です。過去5年の平均利回りは約2.1%なので、現在の株価は割高ですね。
過去5年で株価は右肩上がりで、増配率もなかなかなので、早い時期に買った方がYOCは上がります。2016年10月に買っていたら、現在YOCは約3.1%になっていました。
ライバルETFとトータルリターンを比較する
主要指数連動型ETFを比較します。ニューヨーク・ダウ【DIA】、S&P500【VOO】、ナスダック100【QQQ】、全世界【VT】でトータルリターンを比較します。PORTFOLIO VISUALIZERを使って、2011年8月から2021年7月までの10年間を比べます。
2011年8月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合、2021年7月には【QQQ】は6万9400ドル、【VOO】が4万1500ドル、【DIA】が3万6100ドル、【VT】は2万6900ドルになっていました。
【DIA】は【VOO】とチャートがほぼ同じで推移していましたが、コロナ・ショック後の2020年3月以降、やや劣後しています。
過去のトータルリターン
過去3カ月、1、3、5、10年の年平均トータルリターンです。過去10年のリターン(年平均)は【QQQ】が21.4%、【VOO】15.3%、【DIA】13.7%、【VT】10.4%でした。
危険度はどのくらいか?
ETFの安定度を比べてみましょう。最大ドローダウンは、計測期間における最大下落率です。マイナスの数値が小さいほど最大下落率が低いです。
シャープレシオとは、同じリスクを取った場合のリターンの比較です。「(ファンドのリターン?無リスク資産のリターン)÷標準偏差」の値です。1を超えていれば、優秀です。
ソルティノレシオはシャープレシオの改良版で、相場が軟調の際の成績を示しています。「(ファンドのリターン-無リスク資産のリターン)÷下方偏差」で計算します。1.5を超えていると、素晴らしいです。
【DIA】は【VOO】と比較して、シャープレシオはそれほど差はありませんが、ソルティノレシオと最大ドローダウンは分が悪いです。相場が軟調な時は苦戦していると言えそうです。
過去の分配金はどのくらいか?
2011年8月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合の年間でもらえる分配金の推移です。分配金は再投資します。税金は考慮しません。
10年間の分配金の合計は【DIA】が4200ドル、【VOO】が3900ドル、【VT】が3500ドル、【QQQ】が2200ドルでした。【DIA】のいいところは、指数連動型で毎月分配金がもらえて、その額もなかなか多いことです。
【DIA】の今後の分配金予想は?
現在の過去1年分配金額(5.549ドル)と1、3、5、10年前の同時期の過去1年分配金額(5.9032ドル、5.0675ドル、4.3498ドル、2.9005ドル)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の分配金とYOCを予想しました。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの分配金利回りのことです。【DIA】株を2021年8月27日の終値354.57ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。
購入金額は1万ドルにします。そうすると、年間分配金額から利回り(YOC)が一瞬で計算できます。たとえば、年間分配金額が300ドルなら利回り(YOC)は3.0%、年間分配金額777ドルなら利回り(YOC)は7.77%になります。
年間増配率は過去1年がマイナス6.0%、過去3年が3.1%、過去5年が5.0%、過去10年が6.7%でした。現在の利回りは1.56%です。
分配金を再投資しない場合
まずは分配金を再投資しないケースを見てみましょう。税金は考慮しません。現在の利回りが1.56%なので、年間分配金額は156ドルです。
もっとも増配率の低い過去1年のペースだと5年目の分配金額は122ドル、10年目の分配金額は90ドルになります。もっとも成績の良い過去10年の増配率を当てはめると5年目の分配金額は203ドル、10年目の分配金額は281ドルになりそうです。分配金額281ドルはYOC(購入額に対する利回り)2.81%です。
分配金を再投資する場合
つぎに分配金を再投資するケースを見てみましょう。税金は考慮しません。再投資する場合の分配金額は、現在と10年前の株価を比較して年平均騰落率を計算し、それを使って調整しています。
もっとも増配率の低い過去1年のペースだと5年目の分配金額は128ドル、10年目の分配金額は99ドルになります。もっとも成績の良い過去10年の増配率を当てはめると5年目の分配金額は216ドル、10年目の分配金額は330ドルになりそうです。分配金額330ドルはYOC(購入額に対する利回り)3.30%です。
分配金を再投資する場合(税引き後)
最後に分配金を再投資するケースで、税金を引いた額で計算してみましょう。分配金は28%の税金を引いた72%で計算します。1年目は156ドルではなく、税引き後の113ドルになります。
もっとも増配率の低い過去1年のペースだと5年目の分配金額は91ドル、10年目の分配金額は69ドルになります。もっとも成績の良い過去10年の増配率を当てはめると5年目の分配金額は153ドル、10年目の分配金額は227ドルになりそうです。分配金額227ドルはYOC(購入額に対する利回り)2.27%です。
まとめ
【DIA】は【VOO】と比べると、組込銘柄数が少なく、経費率が高く、トータルリターンもやや劣っています。ただし、毎月分配型で、しかも利回りが指数連動型ETFの中ではやや高いので、インカム狙いとしてはなかなか魅力的です。
なお、次回は9月17日が権利落ちの予定で、その前日までに保有していれば分配金がもらえます。