グローバルX S&P500・カバード・コール ETF【XYLD】が2022年1月20日に分配金を発表しました。0.4101ドルです。
前回(12月)の分配金は0.3822ドルでしたので、先月との比較では7.3%増です。
権利付最終日である1月20日(第3金曜日)の株価は40.69ドル、基準価額(NAV)は40.65ドル、今回の分配金は0.4101ドルなので、基準価額(NAV)から算出した分配金は1.01%。1%の満額の可能性が高そうです。
2023年1月24日の終値は40.46ドル、過去1年の分配金は5.2182ドルなので、利回りは12.90%になります。
※このページでの利回りは、過去1年間の分配金をもとに計算します。
【XYLD】の過去の分配金と増配率は?
【XYLD】が設定されたのは2013年6月です。下の表は過去の配当金の一覧です。2020年9月以降は、一番右側の列の「過去1年分配金の対前年同期増減率」がプラスになっており好調が続いています。
※背景が赤色は対象月と比べてマイナスです
【XYLD】の毎月の分配金は?
2017年まではかなり不安定ですね。年末の12月だけ多かったのは、キャピタル・ゲイン分配金をまとめて支払ったからです。
2018年以降は安定しており、毎月0.2ドル台でほぼ推移していました。2020年8月に0.3920ドルと増えたのは、ベンチマークを変更したためです。
2022年は前年の2021年から15.4%も増えました。株価が上昇して分配金の上限が増えたというよりは、2021年は満額ではない期間が結構あったためです。
なぜ分配金は安定していないのか?
公式サイトには以下の補足がありました。
2018年1月と2020年8月を境に分配金額に大きな変化が出たことは、ベンチマークを替えたことが影響していると考えられます。
そんなわけで、2020年7月以前のデータはあまり参考にならないかもしれません。
【XYLD】の分配金と株価の関係は?
年間分配金と株価を1年ごとにまとめました。株価は横ばいです。株価は最新年を除いて年末のものです。
2022年は株価は下がりましたが、分配金は前年2021年を上回りました。
【XYLD】の年間増配率は?
年間増配率はバラつきがありますが、増加傾向です。2020年8月より前はベンチマークが異なりますので、あまり参考にならないですね。ただ、2021、2022年と分配金は増えています。
最近の分配金と基準価額(NAV)の関係は?
グローバルX社のカバードコールETFの分配金でもっとも重要なのは、基準価額の上限の1%(もしくは0.5%)を獲得できているかどうかです。
下のグラフは2020年8月以降の、「XYLD」の毎月の分配金と第3金曜日(権利付最終日)の基準価額の比較です。赤い折れ線の基準価額と、青い棒線が分配金が、ちょうど重なっていれば1%の上限を獲得したということです。
2022年の1月以降は、13カ月連続でほぼ1%上限を獲得しています。赤い折れ線グラフと、青い棒グラフが重なっています。つまりオプション取引がうまくいっているということです。
ただし、2021年の12月より前は、上限に到達していません。対象のS&P500はボラティリティがそれほど大きくないため、オプションを稼ぎづらいということが考えられます。
分配金額の決め方
グローバルX社のカバードコールETFは、分配金の上限が決まっています。【QYLD】や【XYLD】などは、獲得したオプション・プレミアムの金額の半分、もしくは基準価額(=純資産額/NAV)の1%です。つまり、オプション・プレミアムを2%以上獲得できていれば、分配金の上限は基準価額の1%になります。
グローバルX社の公式サイト(英語版)には、獲得したオプション・プレミアムと分配金の比率が掲載されているPDFファイルが公開されています。下の表の右端の2つの列です。
自分で計算たものと比較しましょう。基準価額(NAV)は、権利付最終日、もしくはオプションの満期日である第3金曜日のものを使用します。毎月の分配金を、基準価額(NAV)で割ると、分配金比率になります。この値が1%の場合は分配金が満額なので、オプション・プレミアムは2%以上を獲得できていたということになります。
株価と基準価額(NAV)はほぼ同じなので、分配金の上限は毎月株価の1%となり、年間の利回りの最高値は理論上は12%になります。
ベンチマークが入れ替わったのが、2020年8月です。2020年7月以前は獲得したオプション・プレミアムが少ないですね。2020年8月以降はオプション・プレミアムを1.5%ぐらいは獲得できています。
2022年1月以降、13回連続で分配金はNAVのほぼ1%です。
ちなみに、NAVから算出した過去1年分配金(2022年2月から2023年1月)は12.09%です。これが過去1年利回りの目安という考え方もできますね。
オプション・プレミアムと分配金の関係
獲得したオプション・プレミアムと分配金の月ごとのデータです。NAVに対して分配金がどのくらいの割合だったかです。単位は%です。100%カバードコール戦略の場合、赤い棒グラフのオプション・プレミアムが2%以上なら、青い棒グラフの分配金は満額の1%となります。
ベンチマークを変更した2020年8月以降の分配金は0.7~1%ぐらいで安定しており、2022年以降は1%の満額がほとんどです。
獲得したオプション・プレミアムの比較
グローバルX社の公式サイト(英語版)には、獲得したオプション・プレミアムと分配金の比率が掲載されているPDFファイルが公開されています。この資料には、毎月の基準価格(NAV)に対する分配金の比率、獲得したオプション・プレミアムが書かれています。
そこで、各ETFの獲得したオプション・プレミアムのデータをグラフ化します。
100%カバードコールETFの【RYLD】【QYLD】【XYLD】【DJIA】は獲得したオプションプレミアムが2%を超えると、分配金は基準価格の上限である1%が支払われます。50%カバードコールETFの【QYLG】【XYLG】は獲得したオプションプレミアムが1%を超えると、分配金は基準価格の上限である0.5%が支払われます。
50%カバードコール戦略ETFが設定された2020年9月以降の平均は、100%カバードコールETFは【RYLD】2.87%、【QYLD】2.76%、【XYLD】2.10%。【DJIA】は2022年3月以降で1.94%。50%カバードコール戦略ETFは【QYLG】1.45%、【XYLG】1.02%です。
ラッセル2000を対象とした【RYLD】が2.87%で、プレミアムを一番獲得しています。ナスダック100対象の【QYLD】【QYLG】は分配金の支払い上限の2%や1%を大きく超えています。S&P500の【XYLD】【XYLG】は上限の2%や1%とほぼ同じです。
オプション・プレミアムとボラティリティの関係
カバードコール戦略はボラティリティが大きいと、プレミアムをたくさん稼ぐことができると言われていますが、本当でしょうか? 下のグラフは、S&P500の近い将来のボラティリティを予測する指数【VIX】と、【XYLD】が獲得したオプション・プレミアムの関係です。
オプション・プレミアムのデータは、分配金の支払われた月に合わせています。
2020年8月以降は、連動していますね。ベンチマークを現在のものに変更してからは安定しています。2020年2月以前はオプションが1%を下回っており不調です。それゆえ、ベンチマークを変更した可能性が考えられます。
ベンチマーク変更後のオプション・プレミアムは1.5%は獲得しています。【VIX】の値が22~23ぐらいで、オプション・プレミアムがMAXの2%になりそうです。
最近は【VIX】の値が20ぐらいまで下がってきており、来月以降のオプション・プレミアムは満額ではないかもしれません。
2020年以降の利回りは?
2020年以降の【XYLD】の株価と利回りを見てみましょう。利回りは、過去1年の年間分配金額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が利回り(右軸)です。
ベンチマークが変更されて分配金が現在の水準になったが2020年8月です。過去1年分配金から利回りを算出していますので、その1年後の2021年7月以降のデータが重要です。
2022年4月以降は株価が低迷しており、現在の利回りは12.90%まで上がりました。
【XYLD】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去に【XYLD】を買った場合、取得価格あたりの利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 設定以来の株価、利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、ややアバウトです。
下のグラフの黄色の線が、過去に買った場合の、取得価格あたりの利回り(YOC)です。この線が左肩上がりの場合は、株価好調&増配傾向にあるといえます。
2023年1月24日の終値は40.46ドル、過去1年の分配金額は5.2182ドルなので、現在の利回りは12.90%です。過去の平均利回りは約6.6%です。
現在の株価は設定時より少し低いので、早く買っていても、それほどYOCは上がりません。2016年1月に買っていればYOCは13.0%になっていました。また、コロナショック時の2020年3月に購入していれば、YOCは13.7%になっていました。
ライバルETFとの比較
【XYLD】と主なカバードコール系のETFの比較です。
【XYLD】の対象はS&P500、【QYLD】はナスダック100。【RYLD】はラッセル2000が対象です。
【JEPI】はS&P500に近い大型株を約8割を保有。残りの2割弱でELNという仕組債を保有して、カバードコールと似たようなオプション取引を行います。【XYLD】のライバルという位置づけですね。【JEPQ】は【JEPI】のナスダック100版です。
運用総額は【JEPI】が約2.4兆円と頭一つ抜け出しています。【QYLD】は約8500億円。【XYLD】は約2900億円。
過去1年分配金から算出した利回りは、通常は【QYLD】【RYLD】が高く、【XYLD】と【JEPI】は同じくらいですね。【JEPQ】は設定から間もないので何とも言えませんが、【QYLD】と同じかやや上回る感じですかね。
分配金利回り(12カ月)は過去1年の配当から算出したものです。ただし【JEPQ】はまだ1年分が支払われていないので、これまでの分を1年に換算しました
分配金利回り(直近)は直近の分配金が今度1年続いたものとして算出しました
表の中の数値が他のETFと比較して優れている場合は赤字にしました。なかなか素晴らしいデータはオレンジ色です。
ライバルETFとの関係
【XYLD】とライバルETFの比較です。4つのETFの関係や大まかな違いはこんな感じです。
左から2列目は対象がSP500です。【XYLD】のライバルになりそうなのが【JEPI】です。
一番左の列は対象がナスダック100です。【QYLD】、【JEPQ】です。
上段の【JEPQ】と【JEPI】はJPモルガン・アセットマネジメント社の商品で、80%が低ボラティリティ銘柄で、残りの20%がELNという仕組債で、コールオプションを売ります。
下段の【QYLD】と【XYLD】はグローバルX社のカバードコールETFです。原資産を保有しながら、コールオプションを売ります。
大まかに言うと、JPモルガンとグローバルX社のETFは似ていますよね。原資産の割合が80%と100%、コール・オプションの売りがアウト・オブ・ザ・マネーかアット・ザ・マネーの違いはあります。
経費率はJPモルガン・アセット・マネジメント社の【JEPQ】【JEPI】が0.35%、グローバルX社の【QYLD】【XYLD】は0.60%なので少し差があります。
カバードコール系ETFの利回り推移
カバードコール系ETF【RYLD】【QYLD】【XYLD】【DJIA】【JEPI】【JEPQ】の利回りの変化を見てみましょう。利回りは直近の分配金を1年換算したものから算出しました。株価は月末のものです。
※2021年12月に【RYLD】【QYLD】はキャピタルゲイン分配金を出しました。これを含めて計算するとイメージしづらくなるので、2021年12月分配金は【RYLD】【QYLD】はNAVの上限1%で計算しました
最近数カ月は【RYLD】【QYLD】【XYLD】は12%とほぼ上限ですね。
カバードコール系ETFの利回りを過去1年分配金から算出
先ほどのグラフだと、月によって分配金の変動があるため少しイメージしづらいかもしれません。過去1年の分配金から利回りを算出しました。
引き続き株価が低迷しているので、利回りはかなり高くなっています。実際は【RYLD】【QYLD】【JEPQ】が12%、【XYLD】【JEPI】が10~11%、【DJIA】が10%ぐらいが目安ですかね。
※このグラフも前項同様に、2021年12月分配金は【RYLD】【QYLD】はNAVの上限1%で計算しました
分配金比率を過去1年分合計した推移
「分配金比率」(分配金/NAV)の過去1年分を利回りとしました。その推移です。利回りの目安としては、このデータが最も現実的かもしれません。基準価格(NAV)は毎月第3金曜日のものです。
100%カバードコール戦略の【QYLD】【XYLD】【RYLD】は12%が上限、50%カバードコール戦略の【QYLG】【XYLG】は6%が上限です。
【RYLD】は長い間ほぼ12%の満額です。ナスダック100が対象の【QYLD】【QYLG】もなかなか優秀で、満額に近いです。S&P500が対象の【XYLD】【XYLG】は少し劣っていましたが、最近はほぼ満額です。
【XYLD】はどんなETFか?
【XYLD】はオプション取引を行って利益を狙います。オプション取引というのは保険料みたいなものです。
オプションの中でも、カバード・コール戦略という方法を取ります。S&P500インデックスを保有しながら、S&P500インデックスを将来買う権利を売ります。
将来買う権利を売ることを、「コール・オプションの売り」と言います。表の上から2番目の黄色の部分です。
オプションを売ったことで、プレミアムを受け取ることができます。そして獲得したプレミアムは、【XYLD】ホルダーに分配金として支払います。この分配金額が多額で、毎月、株価のほぼ1%が最大値です。年利に換算すると12%を目標としています。
S&P500という米国を代表する500社の値上がり益をオプション代に変換して、それを分配金にするというのが【XYLD】のイメージです。
ちなみに分配金に支払われた残りは【XYLD】に再投資され、株価の上昇に寄与します。
【XYLD】は2番目のコール・オプション(買う権利)を売るに該当します
プロセスは?
以下のような手順で行われます。
(1)まずS&P500インデックスを購入します。ETFの【VOO】や【SPY】を買うようなイメージです。
(2)そして、毎月第3金曜日に、1カ月後に満期を迎えるS&P500インデックス・オプション(SPX)を販売します。
(3)コール・オプションの売りをアット・ザ・マネーで行います。今と同じ価格で1カ月後に買うことができる権利を売ります。満期は翌月の第3木曜日です。
(4)このオプションの販売と引き換えに、プレミアムを受け取ります。
(5)満期日が過ぎたら、オプションの一部を分配金として【XYLD】の投資家に分配します。
(6)そして、翌月以降も、このプロセスが繰り返されます。
アット・ザ・マネーによるオプション販売を行うため、株価上昇における利益を捨てます。そのかわりに、オプション代はそれなりに高くなるという仕組みです。
ボラティリティが大きいとオプション代がより高くなる傾向です。分配金は最大で純資産価格の1%なので、年12%の利回りを目指すというのが基本的な考え方です。
プレミアムの価値は?
プレミアムの価格は、次の5つの要因によって決定されます。
(1)現在の資産価格
(2)オプションの権利行使価格
(3)オプション満期までの残り時間
(4)原資産のボラティリティ
(5)リスクフリーレート(金利)
オプションの権利行使価格は?
オプションの権利行使価格はATM(アット・ザ・マネー)です。原資産価格と権利行使価格が同じです。S&P500は近年好調だったので、1カ月後に同じ価格で買うことができるのは買い手に有利です。そのためプレミアムの代金はそれなりに高くなります。
権利行使日に価格が上がった場合は、実際の株をやり取りせずに、その差額を支払うことになります。これを差金決済と言います。
ただし、保有している原資産も値上がりしているので、その分をカバーできるという意味でカバード・コールと言います。
※権利を行使すれば利益が出る状態が「イン・ザ・マネー(ITM)」、損失が出る状態が「アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)」、同じ場合は「アット・ザ・マネー(ATM)」です
参考サイト
【XYLD】の財務は健全か?
【XYLD】は財務面では安全でしょうか。下のデータはグローバルX社の公式サイトにある年次報告書に日本語訳をつけたものです。期首が11月頭で期末が10月末です。
赤い文字のところを、下の表のようにまとめました。【XYLD】の1株あたりのデータです。期首が11月で、期末が10月末です。「A」期首純資産額は前年11月1日のNAVです。株価とほぼ同じです。「B」運用による合計が保有額の含み損や獲得したオプションプレミアム。「F」分配による合計は支払った分配金。AにBを足して、Fを引くと、「G」期末純資産額になります。つまり1年後の10月末のNAV=株価です。
薄いオレンジ色の「B」運用による合計というのが、オプション・プレミアムなどの利益です。バラつきがありますね。
2020年の「B」運用による合計はマイナスです。コロナ・ショックの株価暴落の際に、運用がうまくいかなかった可能性などが考えられます。
ただ、それ以外の年は損益がプラスが多いですね。損益はこの6年間で7.26ドルのプラスです。この5年間の分配金の合計は17.08ドルなので、それを合わせて計算すると、かなり好調ですね。
2021年は「B」運用による合計が12.53と好調でした。トータルリターンは約30.7%もプラスです。
【XYLD】のセクター比率は?
真ん中の円グラフが【XYLD】に組み込まれている銘柄のセクター別の組込比率です。S&P500の銘柄を保有しますので、【VOO】とほぼ同じです。情報技術の割合が多く3割弱、ヘルスケア、金融、一般消費財、資本財が続いています。
【XYLD】の情報技術の割合は【QYLD】よりは少ないですが、【RYLD】の約2倍あります。
【XYLD】の上位組込銘柄は?
【XYLD】の組込比率1%以上の銘柄です。ベンチマークは、Cboe S&P 500 バイライト・インデックスです。組込上位10銘柄で約25%を占めています。
【XYLD】はS&P500をカバードコールするので、中身はETFの【SPY】【VOO】などとほぼ同じです。【SPY】との上位銘柄の順位はそっくり同じで、組込比率もほぼ同じです。
ベンチマーク変更の効果は?
過去3年の運用総額の変化を見てみましょう。表の上に伸びている緑棒が資金が流入(売れた)、下に伸びている赤棒が資金流出(売られた)です。ETF DATABASEのデータです。
以前のベンチマークだった2020年8月より前は、売れ行きはあまりよくありません。ベンチマークを変更した後、分配金が0.4ドル前後で安定したのが確認されると、売れ行きが好調に転じたと考えられます。
過去3年間で24.3億ドル、1ドル130円で換算すると約3200億円ほど増えています。
ライバルETFとデータを比較する
【XYLD】とライバルのカバードコール系ETFを比較します。ナスダック100カバードコールETF【QYLD】、JPモルガン・米国株式・プレミアム・インカムETF【JEPI】、ラッセル2000カバードコールETF【RYLD】と比べました。さらに高配当ETFの代表格【VYM】、S&P500ETF【VOO】とも比較します。
PORTFOLIO VISUALIZERを使用します。
株価推移を比較
まずは過去8年の株価を比較します。【JEPI】【RYLD】は設定されたのが2020、2019年なので、このデータはありません。
8年間で株価は【VOO】が1.86倍、【VYM】が1.57倍、【XYLD】が0.86倍、【QYLD】は0.66倍でした。
トータルリターンを比較
分配金を再投資した場合のトータルリターンの推移です。税金や手数料は考慮しません。こちらも【JEPI】と【RYLD】はありません。
8年間で【VOO】が2.16倍、【VYM】が2.02倍、【QYLD】は1.52倍、【XYLD】が1.48倍でした。トータルリターンだと【QYLD】と【XYLD】はプラスです。
過去のトータルリターン
過去1、2、3、5、8年のトータルリターンの比較です。1年あたりのリターンのことで、幾何平均で求めます。CAGR(Compound Annual Growth Rate/年平均成長率)のことです。
いずれの期間も安定しているのが【VYM】ですね。【VOO】は過去1年以外を除くと、かなり素晴らしいです。【JEPI】は設定から約2年半と日が浅いですが、かなりのリターンです。このあたりが人気の要因と言えそうです。
ETFの安定度などを比べよう
ETFの安定度などを比べてみましょう。「ボラティリティ」は株価の変動性です。「最大下落率」はマイナスの数値が小さいほど安定しています。どちらの値も0に近いほど安定していると言えます。
【XYLD】はボラティリティがもっとも小さく、最大下落率は平均的。過去2年ではハイテクを多く含む【VOO】はよくないです。
シャープレシオは?
続いて、シャープレシオとソルティノレシオをチェックしましょう。シャープレシオは同じリスクを取った場合のリターンで、投資効率の良さを数値化したものです。ソルティノレシオはシャープレシオの改良版で、相場が軟調の際のデータで、下落局面での強さを示しています。
シャープレシオやソルティノレシオは【VYM】が素晴らしく、【JEPI】が続いています。ただし、過去2年と短い期間のデータなので、参考程度でよろしいかと思います。
2年前に購入した場合の年間分配金は?
2021年1月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合の年間でもらえる分配金の推移です。分配金は再投資します。税金は考慮しません。
2年間の分配金の合計は【RYLD】が2700ドル、【QYLD】が2400ドル、【XYLD】が2300ドル、【JEPI】が2000ドルでした。現在の利回りの高さと分配金額は、だいたい比例しています。
今後20年間で分配金はどのくらいになるのか?
最後に、今【XYLD】を購入したら、将来どのくらい分配金をもらえそうかをシミュレーションします。
1万ドルを投資した場合の、将来もらえる分配金の推移を検証します。「分配金を再投資しない(税引き後)」と「分配金を再投資する(税引き後)」の2パターンで検証します。
【XYLD】は増配銘柄ではありません。毎月の分配金額の上限はNAVの1%、つまり年利12%が上限です。そこで、利回り12%、利回り11%、利回り10%の3パターンで、いずれも分配金に変化がなかった場合で検証します。
利回り12%(分配金変化なし)で推移した場合の分配金予想
まずは利回り12%で推移した場合の、分配金を計算します。
分配金は約28%の税金を引いた72%で計算します。スタート時の利回りは12.0%なので、税金を引いた72%の8.64%になります。投資額が1万ドルなので、スタート年の分配金は864ドルになります。
再投資をしない場合は、10年後の分配金は864ドル、20年後の分配金も864ドルになります。
再投資をする場合は、10年後の分配金は1979ドル、20年後の分配金は4532ドルになります。YOCだと45.32%です。
利回り11%(分配金変化なし)で推移した場合の分配金予想
次に利回り11%で推移した場合の、分配金を計算します。
再投資をしない場合は、10年後の分配金は792ドル、20年後の分配金も792ドルになります。
再投資をする場合は、10年後の分配金は1697ドル、20年後の分配金は3637ドルになります。YOCだと36.37%です。
利回り10%(分配金変化なし)で推移した場合の分配金予想
最後に利回り10%で推移した場合の、分配金を計算します。
再投資をしない場合は、10年後の分配金は720ドル、20年後の分配金も720ドルになります。
再投資をする場合は、10年後の分配金は1443ドル、20年後の分配金は2892ドルになります。YOCだと28.92%です。
いずれのケースでも「再投資する」場合の分配金の伸びが素晴らしいです。利回り10%でも再投資し続ければ、かなりの分配金になります。複利効果ですね。
まとめ
【XYLD】はベンチマークを2回変更していますので、2020年8月より前のデータはあまりアテになりません。ただ、ベンチマークを変更した2020年8月以降は分配金額が安定しています。
【XYLD】の2023年1月分配金は0.4101ドルでした。先月との比較では7.3%増です。
NAV(基準価格)から見た分配金比率はほぼ1%で上限でした。
ボラティリティが大きくなると分配金を多く獲得できるカバードコール戦略は、多くの人が保有している優良銘柄に対して、分散投資的な意味がありそうですね。ただし、価格が下がると分配金も減るので、注視したいところです。
最近は【VIX】の値が20ぐらいまで下がってきており、来月以降のオプション・プレミアムは満額ではないかもしれません。
日本の証券会社で購入可能なETFで、ライバルとなりそうなのは【JEPI】でしょうか。また、【QYLD】の保有比率が高い人にとって、分散という意味で【XYLD】はいいかもしれません。
マネックス証券では、グローバルX社の人気高配当ETF【QYLD】【XYLD】【PFFD】などの買付手数料が実質無料。全額キャッシュバックするキャンペーンを実施中!