グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF【QYLD】が2023年1月20日に分配金を発表しました。0.1696ドルです。
先月(2022年12月)の分配金は0.1614ドルなので、先月との比較では5.1%増です。
権利付最終日である1月20日(第3金曜日)の終値は16.81ドル、基準価額(NAV)は16.82ドル、今回の分配金は0.1696ドルなので、基準価額(NAV)から算出した分配金は1.01%。1%の満額を獲得した可能性が高いです。
2023年1月23日の終値は16.77ドル、過去1年の分配金は2.1547ドルなので、利回りは12.85%になります。
※このページでの利回りは、過去1年間の分配金をもとに計算します。
【QYLD】の過去の分配金と増配率は?
【QYLD】が設定されたのは2013年12月です。下の表は過去の分配金一覧です。
※背景が赤色になっている箇所は、対象月と比べてマイナスです
【QYLD】の毎月の分配金は?
【QYLD】は毎月分配金が支払われます。月ごとの分配金を棒グラフにして1年ごとに重ねました。2022年は株価が低迷したので、分配金の上限も減り、前年の2021年よりも減っています。
2021年12月は0.4994ドルとかなり多いですね。その理由は、ショートターム・キャピタルゲインが含まれていたからです。詳しくはこちら
【QYLD】の分配金と株価の関係は?
【QYLD】の分配金と株価はある程度、連動しています。どちらも横ばいですね。2022年は株価が下がり、分配金の上限も減りました。
【QYLD】の年間増配率は?
年間分配金の増配率を見てみましょう。2014年から2017年にかけてはマイナスでしたが、2018年に一気に増えました。2022年はマイナス23.2%でした。設定来で見ると、横ばいですね。
最近の分配金と基準価額(NAV)の関係は?
グローバルX社のカバードコールETFの分配金でもっとも重要なのは、基準価額の上限の1%(もしくは0.5%)を獲得できているかどうかです。
下のグラフは「QYLD」の毎月の分配金と第3金曜日(権利付最終日)の基準価額の比較です。赤い折れ線の基準価額と、青い棒線が分配金が、ちょうど重なっていれば1%の満額を獲得したということです。
2021年の12月だけは、イレギュラーな分配金、いわゆるキャピタルゲイン分配金が0.4994ドルあったので、青い棒グラフが突き抜けています。
【QYLD】は2022年の1月以降は、13カ月連続で1%のほぼ満額を獲得しています。つまりオプション取引がうまくいっているということです。
ただし、2022年の年初から、ナスダック100の株価が軟調なため、右側の赤い折れ線棒グラフは下落してます。そのため、分配金の上限も減っています。
全体を見ると、2020年1月以降は、かなりの期間で1%の満額というのがわかりますね。2021年6月から11月は、1%には到達していません。
分配金額の決め方
グローバルX社のカバードコールETFは、分配金の上限が決まっています。【QYLD】や【XYLD】などは、獲得したオプション・プレミアムの金額の半分、もしくは基準価額(=純資産額/NAV)の1%です。つまり、オプション・プレミアムを2%以上獲得できていれば、分配金の上限は基準価額の1%になります。
グローバルX社の公式サイト(英語版)には、獲得したオプション・プレミアムと分配金の比率が掲載されているPDFファイルが公開されています。下の表の右端の2つの列です。
自分で計算したものと比較しましょう。基準価額(NAV)は、権利付最終日、もしくはオプションの満期日である第3金曜日のものを使用します。毎月の分配金を、基準価額(NAV)で割ると、分配金比率になります。この値が1%の場合は分配金が満額なので、オプション・プレミアムは2%以上を獲得できていたということになります。
株価と基準価額(NAV)はほぼ同じなので、分配金の上限は毎月株価の1%となり、年間の利回りの最高値は理論上は12%になります。
ただし、【QYLD】は2021年12月だけは、分配金が上限の1%を大きく上回って2.25%です。1年間の運用がうまくいったため、キャピタル・ゲイン分配金を合わせたものと考えられます。
2021年11月以降、15回連続で分配金は基準価額(NAV)のほぼ1%をクリアしています。
ちなみに、NAVから算出した過去1年分配金(2022年2月から2023年1月)は12.07%です。これが過去1年利回りの目安という考え方もできますね。
オプション・プレミアムと分配金の関係
獲得したオプション・プレミアムと分配金の月ごとのデータです。NAVに対して分配金がどのくらいの割合だったかです。単位は%です。100%カバードコール戦略の場合、赤い棒グラフのオプション・プレミアムが2%以上なら、青い棒グラフの分配金は満額の1%となります。
獲得したオプション・プレミアムの比較
グローバルX社の公式サイト(英語版)には、獲得したオプション・プレミアムと分配金の比率が掲載されているPDFファイルが公開されています。この資料には、毎月の基準価格(NAV)に対する分配金の比率、獲得したオプション・プレミアムが書かれています。
そこで、各ETFの獲得したオプション・プレミアムのデータをグラフ化します。
100%カバードコールETFの【RYLD】【QYLD】【XYLD】【DJIA】は獲得したオプションプレミアムが2%を超えると、分配金は基準価格の上限である1%が支払われます。50%カバードコールETFの【QYLG】【XYLG】は獲得したオプションプレミアムが1%を超えると、分配金は基準価格の上限である0.5%が支払われます。
50%カバードコール戦略ETFが設定された2020年9月以降の平均は、100%カバードコールETFは【RYLD】2.87%、【QYLD】2.76%、【XYLD】2.10%。【DJIA】は2022年3月以降で1.94%。50%カバードコール戦略ETFは【QYLG】1.45%、【XYLG】1.02%です。
ラッセル2000を対象とした【RYLD】が2.87%で、プレミアムを一番獲得しています。ナスダック100対象の【QYLD】【QYLG】は分配金の支払い上限の2%や1%を大きく超えています。S&P500の【XYLD】【XYLG】は上限の2%や1%とほぼ同じです。
オプション・プレミアムとボラティリティの関係
カバードコール戦略はボラティリティが大きいと、プレミアムをたくさん稼ぐことができると言われていますが、本当でしょうか? 下のグラフは、ナスダック100の近い将来のボラティリティを予測する指数【VXN】と、【QYLD】が獲得したオプション・プレミアムの関係です。
オプション・プレミアムのデータは、分配金の支払われた月に合わせています。
ほぼ連動していますね。オプション・プレミアムが2%を超えるには、【VXN】の値が22~23ぐらいが目安のようです。2021年5~9月の【VXN】は超えたり超えなかったりと微妙でしたが、11月以降は高い数値になっています。
最近は【VXN】の値が下がってきています。
2020年以降の利回りは?
2020年以降の【QYLD】の株価と利回りを見てみましょう。利回りは、過去1年の年間分配金額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が利回り(右軸)です。
2020年の年初の利回りは9%台後半で推移していましたが、2月半ば以降はコロナ・ショックで株価が下がったため、3月16日には利回りが約13.1%まで上昇しました。その後、株価はコロナ・ショック前まで戻りつつありましたが、2022年に入ってナスダック100が軟調のため株価は低迷しています。
一番右端の利回りが一気に下がったのは、過去1年分配金の中からキャピタルゲインを出した2021年12月分がなくなったからです。現在利回りは12.85%です。
【QYLD】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去に【QYLD】を買った場合、取得価格あたりの利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 設定以来の株価、利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、ややアバウトです。
下のグラフの黄色の線が、過去に買った場合の、取得価格あたりの利回り(YOC)です。この線が左肩上がりの場合は、株価好調&増配傾向にあるといえます。
2023年1月23日の終値は16.77ドル、過去1年の分配金額は2.1547ドルなので、現在の利回りは12.85%です。過去の平均利回りは約10.8%なので、現在は割安の状況です。
設定以来、分配金額はあまり変化はありませんが、株価は最安値なので、今購入するのがもっともYOCが高くなります。ただし、株価の約1%が分配金の上限なので、株価低迷が続くと分配金も減ります。
ライバルETFとの比較
【QYLD】と主なカバードコール系のETFの比較です。
【QYLD】の対象はナスダック100。【XYLD】はS&P500、【RYLD】はラッセル2000が対象です。
【JEPQ】はナスダック100の低ボラティリティ銘柄を約8割を保有。残りの2割弱でELNという仕組債を保有して、カバードコールと似たようなオプション取引を行います。【QYLD】のライバルという位置づけですね。【JEPI】は【JEPQ】のS&P500版です。
運用総額は【JEPI】が約2.4兆円と頭一つ抜け出しています。【QYLD】は約8500億円。
過去1年分配金から算出した利回りは、通常は【QYLD】【RYLD】が高く、【XYLD】と【JEPI】は同じくらいですね。【JEPQ】は設定から間もないので何とも言えませんが、【QYLD】と同じかやや上回る感じですかね。
分配金利回り(12カ月)は過去1年の配当から算出したものです。ただし【JEPQ】はまだ1年分が支払われていないので、これまでの分を1年に換算しました
分配金利回り(直近)は直近の分配金が今度1年続いたものとして算出しました。
表の中の数値が他のETFと比較して優れている場合は赤字にしました。なかなか素晴らしいデータはオレンジ色です。
ライバルETFとの関係
【QYLD】とライバルETFの比較です。4つのETFの関係や大まかな違いはこんな感じです。
一番左の列は対象がナスダック100です。【QYLD】のライバルになりそうなのが、同じナスダック100が対象の【JEPQ】です。
左から2列目の【JEPI】と【XYLD】は対象がS&P500です。
上段の【JEPQ】と【JEPI】はJPモルガン・アセットマネジメント社の商品で、80%が低ボラティリティ銘柄で、残りの20%がELNという仕組債で、コールオプションを売ります。
下段の【QYLD】と【XYLD】はグローバルX社のカバードコールETFです。原資産を保有しながら、コールオプションを売ります。
大まかに言うと、JPモルガンとグローバルX社のETFは似ていますよね。原資産の割合が80%と100%、コール・オプションの売りがアウト・オブ・ザ・マネーかアット・ザ・マネーの違いはあります。
経費率はJPモルガン・アセット・マネジメント社の【JEPQ】【JEPI】が0.35%、グローバルX社の【QYLD】【XYLD】は0.60%なので少し差があります。
カバードコール系ETFの利回り推移
カバードコール系ETF【RYLD】【QYLD】【XYLD】【DJIA】【JEPI】【JEPQ】の利回りの変化を見てみましょう。利回りは直近の分配金を1年換算したものから算出しました。株価は月末のものです。
※2021年12月に【RYLD】【QYLD】はキャピタルゲイン分配金を出しました。これを含めて計算するとイメージしづらくなるので、【RYLD】【QYLD】の2021年12月分配金はNAVの上限1%で計算しました
最近数カ月は【QYLD】【RYLD】【XYLD】は12%とほぼ上限ですね。
カバードコール系ETFの利回りを過去1年分配金から算出
先ほどのグラフだと、月によって分配金の変動があるため少しイメージしづらいかもしれません。過去1年の分配金から利回りを算出しました。
引き続き株価が低迷しているので、利回りはかなり高くなっています。実際は【RYLD】【QYLD】【JEPQ】が12%、【XYLD】【JEPI】が10~11%、【DJIA】が10%ぐらいが目安ですかね。
※このグラフも前項同様に、【RYLD】【QYLD】の2021年12月分配金はNAVの上限1%で計算しました
分配金比率を過去1年分合計した推移
「分配金比率」(分配金/NAV)の過去1年分を利回りとしました。その推移です。利回りの目安としては、このデータが最も現実的かもしれません。基準価格(NAV)は毎月第3金曜日のものです。
100%カバードコール戦略の【QYLD】【XYLD】【RYLD】は12%が上限、50%カバードコール戦略の【QYLG】【XYLG】は6%が上限です。
【RYLD】は長い間ほぼ12%の満額です。ナスダック100が対象の【QYLD】【QYLG】もなかなか優秀で、満額に近いです。S&P500が対象の【XYLD】【XYLG】は少し劣っていましたが、最近はほぼ満額です。
【QYLD】はどんなETFか?
【QYLD】はオプション取引を行って利益を狙います。オプション取引というのは保険料みたいなものです。
オプションの中でも、カバード・コール戦略という方法を取ります。ナスダック100インデックスを保有しながら、ナスダック100インデックスを将来買う権利を売ります。ちなみにナスダック100インデックスというのは、ETFでいうところの【QQQ】のことです。
将来買う権利を売ることを、「コールオプションの売り」と言います。表の上から2番目の黄色の部分です。
オプションを売ったことで、プレミアムを受け取ることができます。そして獲得したプレミアムは、【QYLD】ホルダーに分配金として支払います。この分配金額が多額で、毎月、株価のほぼ1%が最大値です。年利に換算すると12%を目標としています。
ナスダック100インデックスという近年の米国を牽引してきた新興市場【QQQ】で超高配当を狙うというのが【QYLD】の人気の理由とも言えます。
ちなみに分配金に支払われた残りは【QYLD】に再投資され、株価の上昇に寄与します。
【QYLD】は2番目のコール・オプション(買う権利)を売るに該当します
プロセスは?
以下のような手順で行われます。
(1)ナスダック100インデックスを購入します。ETFの【QQQ】を買うようなイメージです。
(2)毎月第3金曜日に、1カ月後に満期を迎えるナスダック100インデックス・オプション(NDX)を販売します。
(3)コール・オプションの売りをアット・ザ・マネーで行います。今と同じ価格で1カ月後に買うことができる権利を売ります。満期は翌月の第3木曜日です。
(4)このオプションの販売と引き換えに、プレミアムを受け取ります。
(5)満期日が過ぎたら、オプションの一部を分配金として【QYLD】ホルダーに分配します。
(6)そして、翌月以降も、このプロセスが繰り返されます。
アット・ザ・マネーによるオプション販売を行うため、株価上昇における利益を捨てます。そのかわりに、オプション代はそれなりに高くなるという仕組みです。
ボラティリティが大きいとオプション代がより高くなる傾向です。分配金は最大で純資産価格の1%なので、年12%の利回りを目指すというのが基本的な考え方です。
プレミアムの価値は?
プレミアムの価格は、次の5つの要因によって決定されます。
(1)原資産価格
(2)オプションの権利行使価格
(3)オプション満期までの残り時間
(4)原資産のボラティリティ
(5)リスクフリーレート(金利)
オプションの権利行使価格は?
オプションの権利行使価格はATM(アット・ザ・マネー)です。原資産価格と権利行使価格が同じです。ナスダック100は近年好調だったので、1カ月後に同じ価格で買うことができるのは買い手に有利です。そのためプレミアムの代金はそれなりに高くなります。
権利行使日に価格が上がった場合は、実際の株をやり取りせずに、その差額を支払うことになります。これを差金決済と言います。
ただし、保有している原資産も値上がりしているので、その分をカバーできるという意味でカバード・コールと言います。
※権利を行使すれば利益が出る状態が「イン・ザ・マネー(ITM)」、損失が出る状態が「アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)」、同じ場合は「アット・ザ・マネー(ATM)」です
参考サイト
【QYLD】の決算をチェックしよう
分配金が多く、利回りの高い【QYLD】は、財務面では安全でしょうか。下のデータはグローバルX社の公式サイトにある年次報告書に日本語訳をつけたものです。期首が11月頭で期末が10月末です。
赤い文字のところを、下の表のようにまとめました。【QYLD】の1株あたりのデータです。期首が11月で、期末が10月末です。「A」期首純資産額は前年11月1日のNAVです。株価とほぼ同じです。「B」運用による合計が保有額の含み損や獲得したオプションプレミアム。「F」分配による合計は支払った分配金。AにBを足して、Fを引くと、「G」期末純資産額になります。つまり1年後の10月末のNAV=株価です。
薄いオレンジ色の「B」運用による合計が、オプション・プレミアムなどの利益です。バラつきがありますね。
2020年の「B」運用による合計に数値がないですね。コロナ・ショックによるダメージがあり、利益がでなかったようです。それに対して2021年は「B」運用による合計が4.75ドルと好調でした。2021年のトータルリターンは約24%もプラスでした。
「B」運用による合計から「F」分配による合計を引いた数値が、一番下の「損益」です。2017年を除いてマイナスでしたが、最新2021年が2.17ドルのプラスとなり、この6年間で0.69ドル減まで回復しました。この6年間の分配金の合計は13.96ドルなので、それを合わせて計算すると、かなりのプラスになっています。
【QYLD】のセクター比率は?
一番左が【QYLD】に組み込まれている銘柄のセクター別の組込比率です。ナスダック100の銘柄を保有しますので、【QQQ】とほぼ同じです。情報技術の割合が圧倒的に多くて約5割、一般消費財と通信サービスが続いています。エネルギー、素材、金融、不動産はありません。
【QYLD】は【XYLD】や【RYLD】と比べて、情報技術セクターの割合が多いです。広い意味でのハイテク企業が中心です。
【QYLD】の上位組込銘柄は?
【QYLD】の組込上位20銘柄です。ベンチマークは、CBOE NASDAQ-100(R)・バイライト・V2・インデックスです。組込上位10銘柄は全体の約49%を占めており、上位20銘柄だと全体の約65%です。原資産としてナスダック100を保有するカバードコール戦略を行うので、中身はETFの【QQQ】とほぼ同じです。
運用総額の変化は?
運用総額の変化です。表の上に伸びている緑棒が資金が流入(売れた)、下に伸びている赤棒が資金流出(売られた)です。
過去3年間で77.1億ドル、1ドル130円で換算すると約1兆円増えています。
2021年に入ってからかなり売れていますね。コロナ・ショック後に株高が続いたため、高配当ETFの利回りが軒並み下がりました。そんな中、高い利回りをキープし続けている【QYLD】を購入する人が増えたと考えられます。
2022年以降はナスダック100が軟調のため、【QYLD】の株価もつられて下がり、売れ行きは以前に比べると厳しくなっています。
ライバルETFとデータを比較する
【QYLD】とライバルのカバードコール系ETFを比較します。S&P500カバードコールETF【XYLD】、JPモルガン・米国株式・プレミアム・インカムETF【JEPI】、ラッセル2000カバードコールETF【RYLD】と比べました。さらに高配当ETFの代表格【VYM】、ナスダック100ETF【QQQ】とも比較します。
PORTFOLIO VISUALIZERを使用します。
株価推移を比較
まずは過去8年の株価を比較します。【JEPI】【RYLD】は設定されたのが2020、2019年なので、このデータはありません。
8年間で株価は【QQQ】が2.57倍、【VYM】が1.57倍、【XYLD】が0.86倍、【QYLD】は0.66倍で最下位でした。
トータルリターンを比較
分配金を再投資した場合のトータルリターンの推移です。税金や手数料は考慮しません。こちらも【JEPI】と【RYLD】はありません。
8年間で【QQQ】が2.75倍、【VYM】が2.02倍、【QYLD】は1.52倍、【XYLD】が1.48倍でした。トータルリターンだと【QYLD】、【XYLD】はプラスです。
過去のトータルリターン
過去1、2、3、5、8年のトータルリターンの比較です。1年あたりのリターンのことで、幾何平均で求めます。CAGR(Compound Annual Growth Rate/年平均成長率)のことです。
いずれの期間も安定しているのが【VYM】ですね。【QQQ】は過去1年以外を除くと、かなり素晴らしいです。【JEPI】は設定から約2年と日が浅いですが、かなりのリターンです。
ETFの安定度などは?
ETFの安定度などを比べてみましょう。「ボラティリティ」は株価の変動性です。「最大下落率」はマイナスの数値が小さいほど安定しています。どちらの値も0に近いほど安定していると言えます。
【QYLD】はボラティリティが大きく、最大下落率も大きいですね。新興市場&ハイテクが軟調な直近2年ということもあり、【QQQ】の成績がよくないです。
シャープレシオは?
続いて、シャープレシオとソルティノレシオをチェックしましょう。シャープレシオは同じリスクを取った場合のリターンで、投資効率の良さを数値化したものです。ソルティノレシオはシャープレシオの改良版で、相場が軟調の際のデータで、下落局面での強さを示しています。
シャープレシオやソルティノレシオは【VYM】がよく、【JEPI】が続いています。ただし、過去2年と短い期間のデータなので、参考程度でよろしいかと思います。
2年前に購入した場合の年間分配金は?
2021年1月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合の年間でもらえる分配金の推移です。分配金は再投資します。税金は考慮しません。
2年間の分配金の合計は【RYLD】が2700ドル、【QYLD】が2400ドル、【XYLD】が2300ドル、【JEPI】が2000ドルでした。現在の利回りの高さと分配金額は、だいたい比例しています。
今後20年間で分配金はどのくらいになるのか?
最後に、今【QYLD】を購入したら、将来どのくらい分配金をもらえそうかをシミュレーションします。
1万ドルを投資した場合の、将来もらえる分配金の推移を検証します。「分配金を再投資しない(税引き後)」と「分配金を再投資する(税引き後)」の2パターンで検証します。
【QYLD】は増配銘柄ではありません。毎月の分配金額の上限はNAVの1%、基本的には年利12%が上限です。そこで、利回り12%、利回り11%、利回り10%の3パターンで、いずれも分配金に変化がなかった場合で検証します。
利回り12%(分配金変化なし)で推移した場合の分配金予想
まずは利回り12%で推移した場合の、分配金を計算します。
分配金は約28%の税金を引いた72%で計算します。スタート時の利回りは12.0%なので、税金を引いた72%の8.64%になります。投資額が1万ドルなので、スタート年の分配金は864ドルになります。
再投資をしない場合は、10年後の分配金は864ドル、20年後の分配金も864ドルになります。
再投資をする場合は、10年後の分配金は1979ドル、20年後の分配金は4532ドルになります。YOCだと45.32%です。
利回り11%(分配金変化なし)で推移した場合の分配金予想
次に利回り11%で推移した場合の、分配金を計算します。
再投資をしない場合は、10年後の分配金は792ドル、20年後の分配金も792ドルになります。
再投資をする場合は、10年後の分配金は1697ドル、20年後の分配金は3637ドルになります。YOCだと36.37%です。
利回り10%(分配金変化なし)で推移した場合の分配金予想
最後に利回り10%で推移した場合の、分配金を計算します。
再投資をしない場合は、10年後の分配金は720ドル、20年後の分配金も720ドルになります。
再投資をする場合は、10年後の分配金は1443ドル、20年後の分配金は2892ドルになります。YOCだと28.92%です。
いずれのケースでも「再投資する」場合の分配金の伸びが素晴らしいです。利回り10%でも再投資し続ければ、かなりの分配金になります。複利効果ですね。
まとめ
【QYLD】の2023年1月の分配金は0.1697でした。9カ月連続で0.2ドルを大きく下回りました。
これは、株価が大幅に下がったためで、NAV(基準価額)から見た分配金比率は上限1%だったと考えられます。ボラティリティが大きいので、プレミアムは獲得できていると考えられます。
先月と比べると、株価は少し回復したので、分配金も増えました。
ボラティリティが大きいと分配金を多く獲得できるカバードコール戦略は、低ボラティリティの優良銘柄に対して、分散投資的な意味がありそうですね。ただし、価格が下がると分配金も減るので、注視したいところです。
【QYLD】など超高利回ETFは、ついつい買いすぎてしまうケースが目立ちます。自分のリスク許容度をしっかり把握して、ポートフォリオの数%ぐらいまでとルールを決めたほうがいいかもしれません。
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