数日前に、ステート・ストリート社のSPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF【SPYD】について、3月に支払われた配当金が減配だったかを検証しました。その時の記事はコチラです。意外な結果でしたね。今回は【SPYD】に組み込まれている80銘柄の1カ月騰落率を分析して、その傾向を探ります。
【SPYD】の組込銘柄をセクター別に分ける
下の円グラフは【SPYD】に組み込まれている全80銘柄を円グラフにしました。ちょうど1カ月前の2020年2月21日頃のデータです。円の中心に書かれている数字はセクター別の銘柄数です。
ちなみに円グラフは、パッと見て分かるように項目数を少なくするのがセオリーです。80項目もある円グラフは、オススメできません。よい子はマネしないように。
1カ月間のセクター比率の変化は?
【SPYD】に組み込まれている銘柄のセクターの占める割合を、1カ月前と比較しました。セクター別でみると、一般消費財とエネルギーの割合が大きく減っています。生活必需品とヘルスケアの割合は増えています。公益事業、通信サービスも伸ばしていますね。
株価が暴落した銘柄の多いセクターが、割合を減らしています。
【SPYD】全80銘柄の1カ月騰落率は?
【SPYD】の組込銘柄全80銘柄の騰落率順に並べました。S&P500が最高値をつけた翌日の2020年2月21日と、1カ月後の3月21日を比較しました。【SPYD】の株価は39.42ドルから22.33ドルになり、43.4%のマイナスでした。
前項と同じで、生活必需品とヘルスケアが奮闘しているのが分かりますね。エネルギーと一般消費財は散々でした。
表の右から2列目の騰落率の背景色は、マイナス30%以内がピンク、マイナス30%台が白、マイナス40%台が薄い灰色、マイナス50%台が濃い灰色、マイナス60%以上は黒にしました。
【SPYD】全80銘柄の騰落率をセクター別にする
先ほどの表の【SPYD】組込銘柄全80銘柄をセクター別に並び替えました。セクター騰落率の高い順になっております。セクターの中の個別銘柄も騰落率順に並んでいます。
※表の一番右側「セクター騰落率」とは、【SPYD】に組み込まれている個別銘柄の騰落率をセクターごとに平均化したものです。
セクターごとの傾向がはっきりと出ていますね。ヘルスケアは4銘柄と少ないですが、全銘柄がマイナス30%以内に留まりました。生活必需品はコティ【COTY】以外は優秀ですね。通信サービスの2強【VZ】【T】は予想通り健闘しました。
【SPYD】全80銘柄の騰落率を時価総額で比較
次に【SPYD】の組込銘柄を時価総額の大きい順に並べました。2020年2月21日現在で時価総額が500億ドルを超える銘柄は、全80銘柄中19銘柄ありました。(表内の1本目の黒い横線までです)。
これらの銘柄の騰落率は、悪くてもマイナス40%台でした。マイナス50%を超える銘柄(背景色が黒、濃い灰色)は全80銘柄中28銘柄ありましたが、ひとつも含まれていません。超巨大企業は暴落に強いということです。
逆に時価総額が100億ドル以下の銘柄は苦戦しました。(表内の2本目の黒い横線より下です)。全80銘柄中22銘柄が該当し、そのうち13銘柄が騰落率マイナス50%以上(背景色が黒、濃い灰色)でした。
【SPYD】組込銘柄の中でも時価総額が大きい企業は暴落に強く、時価総額の小さい企業は暴落したといえるでしょう。
まとめ
いかがでしたか? 【SPYD】が暴落した要因は、時価総額の小さい銘柄、景気に敏感なセクターが多いといえそうです。
現在配当利回りが8%弱になっていますので、今が買い時ともいえます。ただし、今回暴落した銘柄が減配となり、その結果【SPYD】の配当額が減るかもしれません。
なお、例年通りだと、次回は6月14~20日頃に配当金額が決定し、配当落ちは6月15~21日頃になります。また、7月後半ごろに銘柄の入れ替えがあると思います。注視しましょう。