ブラックロックの東証ETF、【2013】(東証版HDV)、【2014】(東証版DGRO)の初回分配金が2024年5月9日に決定しました。少ない理由を考察します。
東証版ETFの最初の分配金が決定!
今年1月に東証に上場したブラックロックのETFの最初の分配金が発表されました。
東証版HDV【2013】の分配金は、1口あたり1.1円。東証版DGRO【2014】の分配金は、1口あたり0.8円でした。
※クリックで拡大します。
分配金の希薄化とは?
まずは、分配金の希薄化についてです。ChatGPTを使って説明します。
米国に上場しているETFの東証版の分配金が、設定当初は少ない理由についてです。
ETFの設定当初は純資産が急激に増加する場合があります。
ブラックロックETF、東証版DGRO【2014】をイメージしていただくとわかると思います。
米国ETF【DGRO】の決算は3月ですね。分配金は3月に決定します。その時点での東証版DGRO【2014】の純資産は38億円でした。
東証版DGRO【2014】の決算は5月です。5月の時点で純資産は3月の38億円から50億に増えていました。3月に獲得した分配金を、5月の純資産に対して均等に分配されるため、1口あたりの分配金が減少します。
つまり、3月の米国ETF【DGRO】の決算の段階で分配金総額が決定し、その金額が5月に東証版DGRO【2014】全体に支払われるわけです。
この日米の決算日のタイムラグの間に、純資産が大きくなったことで、分配金が薄められて減少してしまうことを「分配金の希薄化」と言います。
グラフを使って東証版DGRO【2014】の希薄化を考える
東証版DGRO【2014】の純資産額の変化をグラフを使って確認します。
左の棒グラフが3月22日、米国DGROの決算日時点での東証版DGRO【2014】の純資産額です。38.1億円です。
右の棒グラフが5月9日、東証版DGRO【2014】の決算日の純資産額です。50.7億円に増えました。純資産は1.33倍になりました。
東証DGRO【2014】1口当たりの分配金は0.8円ですが、純資産が1.33倍増えたため、0.8円に希薄化されたというわけです。
つまり東証版の3月時点での1口当たりの分配金は1.06円でしたが、5月に純資産が1.33倍になったので、1口当たりの分配金は1.06円を1.33で割って、0.8円になったというイメージです。75.2%に希薄化されたとも言います。
分配金の総額は3月の米国ETF決算時点で決まっているので、5月に純資産が増えた分だけ、1口当たりの分配金が減るわけですね。
グラフを使って東証版HDV【2013】の希薄化を考える
今度は東証版HDV【2013】の純資産額の変化をグラフを使って確認しましょう。
左の棒グラフが3月22日、米国HDVの決算日時点での東証版HDV【2014】の純資産額です。16.7億円です。
右の棒グラフが5月9日、東証版HDV【2013】の決算日の純資産額です。21.7億円に増えました。純資産は1.30倍になりました。
東証HDV【2013】の1口当たりの分配金は1.1円ですが、純資産が1.30倍増えたため、1.1円に希薄化されたというわけです。
つまり東証版の3月時点での1口当たりの分配金は1.43円でしたが、5月に純資産が1.30倍になったので、1口当たりの分配金は1.43円を1.30で割って、1.1円になったというイメージです。76.9%に希薄化されたとも言います。
東証版HDV【2013】と米国版【HDV】の分配金利回りを比較する
【HDV】の東証版と米国版の直近分配金から出した、分配金利回りの比較です。希薄化を考慮したものです。
左側が東証版HDV【2013】、右側が米国版【HDV】です。
直近の分配金を4倍にして年間換算します。東証版は0.9で割って、外国税10%を戻します。それを5/9の終値で割って分配金利回りを求めます。
左側の東証版HDV【2013】の分配金利回りは2.16%でした。これに、米国決算の3月と東証決算の5月時点での純資産の増加率を加えます。純資産は16.7億円だったのが21.7億円になりました。1.30倍になりました。
分配金利回り2.16%に1.30を掛けると、2.81%になります。この数値が純資産が変化せず、分配金が希薄化しなかった場合の分配金利回りです。
米国版HDVの分配金利回りは3.03%なので、2.81%はかなり近いですね。パーセンテージ差は7.53%です。
東証版DGRO【2014】と米国版【HDV】の分配金利回りを比較する
今度は【DGRO】で確認します。左側が東証版DGRO【2014】、右側が米国版【DGRO】です。
左側は東証版DGRO【2014】の5/9の分配金利回りは1.57%でした。これに、米国決算の3月と東証決算の5月時点での純資産の増加率を加えます。純資産は38.1億円だったのが50.7億円になりました。1.33倍になりました。
分配金利回り1.57%に1.33を掛けると、2.09%になります。この数値が純資産が変化せず、分配金が希薄化しなかった場合の分配金利回りです。
米国版DGROの分配金利回りは2.15%なので、2.09%はかなり近いですね。パーセンテージ差はわずか2.83%です。
希薄化分を考慮して、米国決算時での純資産で分配金利回りを計算すると、東証ETFは米国ETFとかなり近づきます。
東証ETFの設定当初は、純資産の規模が小さいため、1カ月のタイムラグで純資産の増加率が大きくなります。【HDV】や【DGRO】の今回は1.3倍ほどでした。
これが設定から1年以上経過すると、純資産の規模が大きくなり、タイムラグの間の増加率が1.1倍以下のように下がってくるはずです。
そうすると、分配金の希薄化が少なくなり、東証版と米国版との分配金利回りの差が小さくなるというわけですね。
そんなわけで、米国版と同じ分配金利回りを獲得したいなら、設定から1~2年経過して規模が大きくなってからインしたほうがいいというわけです。
ちなみに株価変動(キャピタルゲイン)については、設定されたばかりでも問題なく米国版と連動します。ただし、こちらは為替の影響を受けますね。
上場から1年半ほど経過したQYLDなどの分配金と本家を比較
今度は東証上場から1年半ほど経過している【QYLD】、【XYLD】、【PFFD】の東証版の分配金がどうなったかを確認します。
まずは東証版QYLD【2865】です。2回目の分配金から、現在までのデータです。1回目は計測期間がちょうど1カ月ではないので、省きます。
赤い棒が東証版QYLD【2865】、青い棒が米国版【QYLD】です。
傾向を分かりやすくするために、トレンドラインを線刑で引きます。
青い棒の米国版【QYLD】の分配金は横ばいですね。トレンドラインからもわかります。
赤い棒の東証版QYLD【2865】はやや右肩上がりです。トレンドラインもそう示しています。このことから、東証版QYLD【2865】は設定当初の分配金は少なかったが、1年が経過した頃から、増えてきているのがわかります。
東証版XYLD【2868】を確認
つぎは東証版XYLD【2868】です。
赤い棒が東証版XYLD【2868】、青い棒が米国版【XYLD】です。
青い棒の米国版【XYLD】の分配金は波がありますが、減少傾向です。トレンドラインからもわかります。
赤い棒の東証版XYLD【2868】はこちらも波がありますが、やや右肩上がりです。トレンドラインもそう示しています。2024年4月は13円とかなり多かったですね。
このことから東証版XYLD【2868】も、設定当初の分配金は少なかったが、1年が経過した頃から、増えてきているのがわかります。
東証版PFFD【2866】を確認
最後は東証版PFFD【2866】です。
赤い棒が東証版PFFD【2866】、青い棒が米国版【PFFD】です。
青い棒の米国版PFFDの分配金はずっと0.105ドルで変化なしです。トレンドラインからもわかります。
赤い棒の東証版PFFD【2866】は少し波がありますが、やや右肩上がりです。最初の6回は4円でしたが、その後は4円と5円が繰り返されている感じです。トレンドラインもやや上昇です。
このことから東証版PFFD【2866】も、設定当初の分配金は少なかったが、半年を過ぎると少し増えてきているのがわかります。
まとめ
東証上場ETFの初回分配金が少ない理由は、純資産が増えたことによる「分配金の希薄化」の可能性が大きいです。
米国上場ETFの決算が3月で、東証上場ETFの決算が5月のため、タイムラグが生じます。その間に純資産が大きくなると、分配金総額は変わらないので、1口当たりの分配金が薄まってしまい、減少するわけです。
純資産の増加による分配金の希薄化を加味して計算すると、東証版DGROや東証版HDVの初回の分配金利回りは、米国版とあまり差がなかったです。
ETFの純資産が安定し、急激な増加がなくなると、収益の分配基準も安定し、希薄化の影響が減ります。設定から1年から2年後くらいに買い始めるというのがいいかもしれないです。
株価変動(キャピタルゲイン)については、設定されたばかりでも問題なく連動します。こちらは為替の影響を受けますね。
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