少し前のことですが、世界最大手のファースト・フード・チェーンのマクドナルド【MCD】が2021年9月23日に増配を発表しました。
これまで四半期ごとの配当が1.29ドルだったのが、1.38ドルに上がります。年間配当は5.16ドルから5.52ドルになる予定で、増配率は7.0%です。2021年10月6日の終値は247.1ドル、配当利回りは2.23%です。
マクドナルド【MCD】の連続増配は46年です。
マクドナルド【MCD】の過去の配当、年間増配率
マクドナルド【MCD】はなかなかの増配率が続いています。次回の配当落ちは11月30日です。
マクドナルド【MCD】の期別の配当は?
期別の配当です。基本的に、配当落ちの月を基準にしています。順調に伸びています。
マクドナルド【MCD】の年間配当額と株価の関係は?
株価と年間配当の比較です。株価は2021年を除いて年末のものです。どちらも順調に伸びています。似たような上昇ですね
マクドナルド【MCD】の年間配当額と年間増配率は?
配当金と年間増配率の比較です。年間増配率はほとんどの年で5%以上です。それを長期にわたって継続しているので、人気があるのもわかりますね。
最近のマクドナルド【MCD】の株価と配当利回りは?
2020年に入ってからのマクドナルド【MCD】の株価と配当利回りを見てみましょう。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。
2020年初頭の利回りは2.4%前後で推移していましたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月23日には利回りが3.6%まで上昇しました。現在は株価がコロナ・ショック以前を上回り、利回りは2.23%です。
現在のマクドナルド【MCD】の株価と配当利回りの関係は?
年間配当額が現在と同じだったら、株価によって配当利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間配当額が現在と同じ5.52ドルが続いた場合の、配当利回りと株価の相関図です。配当利回りを0.2%ごとに株価を出しました。今後、マクドナルド【MCD】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。
過去の利回り、株価、YOCは?
過去に【MCD】を買った場合、現在の購入単価当たりの利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から10年前までの株価、利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、ややアバウトです。
下のグラフの黄色の線が、過去に買った場合の、現在の購入単価当たりの利回り(YOC)です。この線が左肩上がりの場合は、株価好調&増配傾向にあるといえます。
2021年10月6日の終値は247.1ドル、年間の予想配当金額は5.52ドルなので、現在の利回りは2.23%です。過去10年の平均利回りは約2.9なので、現在はかなり株高です。
過去10年で株価は右肩上がりで増配率も高いので、早い時期に買うとYOCが上がります。2012年11月に買っていたらYOCは約6.3%になっていました。ただし、株価は2015年ぐらいまでは長いこと横ばいが続いていましたね。
競合銘柄とトータルリターンを比較する
マクドナルド【MCD】と利回りが似ていて長期で連続増配をしている世界的企業を、トータルリターンで比較します。対象はプロクター・アンド・ギャンブル【PG】、コカ・コーラ【KO】、ジョンソン・エンド・ジョンソン【JNJ】。PORTFOLIO VISUALIZERを使って、2011年10月から2021年9月までの10年間を比べます。
2011年10月に1万ドル投資して配当を再投資した場合、2021年9月には【MCD】が3万6500ドル、【JNJ】が3万3700ドル、【PG】が3万ドル、【KO】が2万1200ドルになっていました。
過去のトータルリターン
過去3カ月、1、3、5、10年の年平均トータルリターンは以下の通りです。どの銘柄も堅実ですね。マクドナルド【MCD】はいずれの期間でも優秀です。
過去10年のリターン(年平均)は、【MCD】が13.8%、【JNJ】は12.9%、【PG】は11.6%、【KO】は7.8%でした。
危険度はどのくらいか?
ETFの安定度を比べてみましょう。最大ドローダウンは、計測期間における最大下落率です。マイナスの数値が小さいほど最大下落率が低いです。
シャープレシオとは、同じリスクを取った場合のリターンの比較です。「(ファンドのリターン−無リスク資産のリターン)÷標準偏差」の値です。1を超えていれば、優秀です。
ソルティノレシオはシャープレシオの改良版で、相場が軟調の際の成績を示しています。「(ファンドのリターン-無リスク資産のリターン)÷下方偏差」で計算します。1.5を超えていると、素晴らしいです。
マクドナルド【MCD】は最大ドローダウンは今ひとつですが、シャープレシオやソルティノレシオはこれらの銘柄の中で数値が最も高いですね。
過去の分配金はどのくらいか?
2011年10月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合の年間にもらえる分配金の推移を比較します。分配金は再投資します。税金は考慮しません。PORTFOLIO VISUALIZERのデータです。
10年間の配当金の合計は【JNJ】が5900ドル、【MCD】が5200ドル、【PG】が5000ドル、【KO】が4800ドルでした。
現在の利回りは【KO】が3.1%、【JNJ】が2.7%、【PG】が2.5%、【MCD】が2.2%なので、【KO】が最も少ないのは意外ですね。
マクドナルド【MCD】の今後のYOC予想は?
現在の配当金額(1.38ドル)と1、3、5、10年前の同時期の配当金額(1.29ドル、1.16ドル、0.94ドル、0.70ドル)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の分配金とYOCを予想しました。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの利回りのことです。【MCD】株を2021年10月6日の終値247.1ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。
増配率は過去1年が7.0%、過去3年が6.0%、過去5年が8.0%、過去10年が7.0%でした。現在の利回りは2.23%です。
「配当を再投資しない」「配当を再投資しない(税引き後)」「配当を再投資する」「配当を再投資する(税引き後)」の4パターンで検証します
配当金を再投資しない場合
まずは配当金を再投資しないケースを見てみましょう。税金は考慮しません。スタート年は、現在の利回りの2.23%です。
もっとも増配率の低い過去3年の増配率(6.0%)ペースだと5年後のYOCは2.98%、10年後のYOCは3.99%になります。もっとも成績の良い過去5年の増配率(8.0%)で推移すると5年後のYOCは3.28%、10年後のYOCは4.81%になります。
10年前に購入して配当再投資をしない場合の現在のYOCは約5.8%でした。現在【MCD】を買って過去10年増配率で推移した場合の10年後予想YOCは4.40%です。
結果が異なるのは、【MCD】の10年前の利回りが約2.9%だったのに対して、現在の利回りが2.23%と差があるためです。現時点での利回りが高いかどうかが、将来YOCの伸びにとって重要です。
配当金を再投資しない場合(税引き後)
次に配当金を再投資しないケースで、税金を引いた額で計算してみましょう。配当は28%の税金を引いた72%が支払われます。スタート年のYOCは2.23%ではなく、税引き後の1.61%になります。
もっとも増配率の低い過去3年の増配率(6.0%)ペースだと5年後のYOCは2.15%、10年後のYOCは2.87%になります。もっとも成績の良い過去5年の増配率(8.0%)で推移すると5年後のYOCは2.36%、10年後のYOCは3.47%になります。
配当金を再投資する場合
それでは配当金を年1回再投資する場合のYOCを見てみましょう。税金は考慮しません。再投資する場合の配当は、現在と10年前の株価を比較して年平均騰落率を計算し、それを使って調整します。
もっとも増配率の低い過去3年の増配率(6.0%)ペースだと5年後のYOCは3.34%、10年後のYOCは5.17%になります。もっとも成績の良い過去5年の増配率(8.0%)で推移すると5年後のYOCは3.68%、10年後のYOCは6.41%になります。
配当金を再投資する場合(税引き後)
最後に配当金を再投資するケースで、税金を引いた額で計算してみましょう。配当は28%の税金を引いた72%が支払われます。スタート年のYOCは2.23%ではなく、税引き後の1.61%になります。
もっとも増配率の低い過去3年の増配率(6.0%)ペースだと5年後のYOCは2.33%、10年後のYOCは3.46%になります。もっとも成績の良い過去5年の増配率(8.0%)で推移すると5年後のYOCは2.57%、10年後のYOCは4.26%になります。
マクドナルド【MCD】は主要ETFに組み込まれているか?
ほとんどのETFに組み込まれています。組み込まれていないのはS&P500の高配当約80社を集めた【SPYD】、ナスダック市場が対象の【QQQ】、情報技術セクターの【VGT】なので、実質的にすべてのETFに組み込まれていると言っても過言ではありません。
ただし組込順位は20~50番目が多く、トップクラスではないです。全米の時価総額の大きい順に並んでいるETF【VTI】で46番目。外食産業は、他業種と比べて会社の規模はあまり大きくないですね。
ETF | 組込可否 | 組込順位 | 割合(%) |
---|---|---|---|
SPYD(80) | × | ― | ― |
HDV(75) | ○ | 16 | 2.2 |
DVY(100) | ○ | 65 | 0.9 |
VYM(412) | ○ | 22 | 1.3 |
SDY(112) | ○ | 46 | 0.9 |
VIG(247) | ○ | 20 | 1.4 |
DIA(30) | ○ | 6 | 4.6 |
VOO(507) | ○ | 46 | 0.5 |
VTI(3949) | ○ | 46 | 0.4 |
VUG(285) | ○ | 21 | 0.8 |
QQQ(102) | × | ― | ― |
VGT(342) | × | ― | ― |
※表内の「ETF」の右側の()内の数字は全組込銘柄数です。組込比率はバンガード社のETFは2021年8月末、その他のETFは2021年9月14日頃のデータをもとにしています。
マクドナルド【MCD】の財務データは?
マクドナルド【MCD】の財務データです。売り上げは停滞していますが、営業利益率は上がっています。2020年はコロナの影響で今ひとつでしたが、直近はなかなかですね。
税金を低くするため、借金をして自社株買いを行っているため、BPSがマイナスになっています。モーニングスターのデータです。
まとめ
マクドナルド【MCD】は今回も高い増配率でした。自社株買いの再開も発表しました。株主還元には積極的です。