バンガード社のETFは公式サイトで月1回更新されます。月末のデータが、翌月の15日頃に反映されます。今回2020年12月末のデータが更新されましたので、バンガード 米国高配当株式ETF【VYM】の組込銘柄の変化や傾向について検証します。
基本情報を確認しよう
【VYM】と米国の高配当ETFを比較してみましょう。配当利回りは【VYM】がもっとも低いですが、運用総額は圧倒的です。組込銘柄数も【VYM】が多いです。経費率はそれほど差がありません。
※「配当利回り」は過去1年の配当額から算出しました。モーニングスターレーティングは2020年12月末のものです
【VYM】のセクター別のファンド構成比は?
まだ【VYM】に組み込まれている銘柄のセクター別の組込比率です。バンガードの公式サイトではICB(Industry Classification Benchmark)で分類されていますので、これをGICS(Global Industry Classification Standard)に変換しました。金融の割合が最も多く、生活必需品とヘルスケアが同じくらいで続き、情報技術の順です。やや金融セクターが多い印象です。
【VYM】にはどんな銘柄が組み込まれているのか?
まだ【VYM】の保有銘柄数は414銘柄です。組込銘柄の一覧を円グラフにしました。組込比率1%以上の銘柄は31あり、全体の約53.7%を占めています。組込比率1%未満は383銘柄で全体の約46.3%、円グラフの白い部分です。
【VYM】の上位組込銘柄はどんな会社か?
【VYM】の組込比率1%以上の銘柄です。ベンチマークのFTSEハイディビデンド・イールド・インデックスが時価総額加重平均で構成される株式指数なので、ほぼ時価総額の大きい順に並んでいます。データの中身は2020年12月末時点のものです。
組込比率1%以上の推移
2020年4月以降の組込比率1%以上の銘柄の比較です。最近3カ月は1カ月ごと、それ以前は2カ月ごとです。先月との比較では、結構順位の変動がありました。上位陣ではコカ・コーラ【KO】の順位が上がり、ウォルマート【WMT】が下がっています。
【VYM】上位20銘柄は主要ETFには組み込まれているのか?
【VYM】の組込比率上位20銘柄は、他のETFにどのくらいの割合で組み込まれているのでしょうか? 高配当、市場全体、ハイテクの主要9ETFへの組込比率(%)をまとめました。
【VYM】の組込上位銘柄は、かなりの割合で【HDV】の上位にも組み込まれています。【HDV】の背景色が濃いオレンジ色が多いのは、上位組込銘柄を意味します。【VYM】と【SPYD】はあまり重複していません。ハイテク系の【QQQ】や【VGT】とも関連が薄いですね。
※配当利回りは2020年12月末の株価から算出しました。組込比率はバンガード社のETF【VYM】【VIG】【VOO】【VTI】【VGT】は2020年12月末、その他のETFは1月15日のデータをもとにしています。【SPYD】は1月と7月の時点で均等に組込、【DIA】は株価の高い順の組込比率なので、この2つの組込比率はそれほど重要ではありません。
ファンドオーバーラップで他のETFとの比較する
ファンドオーバーラップを使って、他のETFとの重複割合を調べてみましょう。以下のようになりました。【VYM】は組込銘柄数が414と分散が利いているため、【HDV】【SPYD】など高配当ETFに組み込まれている銘柄は、かなりの確率で【VYM】にも含まれています。逆に【QQQ】や【VGT】などハイテク系ETFとは、銘柄の重複が少ないです。
【VYM】の配当はどう変化したか?
【VYM】は年4回配当が支払われます。3、6、9、12月に配当落ちがあり、その数日後に振り込まれます。2020年は6月と12月の配当が前年同期を上回り、2020年のトータルでは、前年よりも2.3%増えました。
2020年以降の配当利回りは?
2020年1月以降の【VYM】の株価と配当利回りを見てみましょう。過去1年の年間配当額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。2020年1月当初は配当利回りは3.1%前後で推移していましたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月23日には配当利回りが4.5%まで上昇しました。現在は株価がコロナ・ショック前と同じぐらいで、配当利回りは3.07%です。
【VYM】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去に【VYM】を買った場合、現在の購入単価当たりの配当利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から5年前までの株価、配当利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、やや大雑把です。
2021年1月15日の終値は94.64ドル、過去1年の配当金額は2.9061ドルなので、現在の配当利回りは約3.07%です。過去5年の平均配当利回りは約3.1%なので、現在は平均を少し下回っています。過去5年で株価はやや上昇しており、増配されているので、早い時期に買った方がYOCは上がります。2016年2月に買っていたら、現在YOCは約4.46%になっていました。
【VYM】の今後の配当予想は?
現在の過去1年配当金額(2.9061ドル)と1、3、5、10年前の同時期の過去1年配当金額(2.8418ドル、2.4011ドル、2.149ドル、1.091ドル)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の配当金とYOCを予想しました。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの配当利回りのことです。【VYM】株を2021年1月15日の終値94.64ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。棒グラフが配当金予想、折れ線グラフがYOC予想です。
年間増配率は過去1年が2.3%、過去3年が6.6%、過去5年が6.2%、過去10年が10.3%でした。現在の配当利回りは3.07%です。もっとも増配率が低い過去1年のペースで増配が続くと10年後のYOCは3.8%、20年後のYOCは4.8%になります。もっとも増配率が高い過去10年の増配と同じだと10年後のYOCは8.2%、20年後のYOCは21.8%になります。過去1年の増配率のペースだとYOCはほとんど変化ありませんが、それ以外の増配率なら将来YOCは期待できそうです。
まとめ
いかがでしたか? 最近は【VYM】の株価は、コロナ・ショック前まで戻りました。買い時が難しいですが、将来の値動きを予測するのは不可能なので、定期的にコツコツ買い増すのが良い気がします。