プロスペクト・キャピタル【PSEC】は歴史の古いBDC銘柄です。しかも毎月分配型です。果たしてどんな銘柄なのでしょうか?
BDCとは?
BDCとは「Business Development Company」の略で、銀行から融資を受けられない新興企業や中小企業の事業開発に金融面を中心にサポートする投資会社です。クローズド・エンド型のファンドであり、ニューヨーク証券取引所ナスダック証券取引所などに上場しています。
新興企業は不安定ですが、成長すると莫大な利益をもたらす可能性があります。創業時のグーグルやアップルなどもBDCから支援を受けていました。
BDCに対する規制は?
BDCは利益の90%以上を配当に充てることで、法人税の免除を受けています。そのため高配当を実現できるので、インカム投資家に人気です。REITと似ていますね。
また、資産の70%を法律で定められた適格投資対象にすること、1銘柄当たりの構成比率を全体の25%以下に抑えることなどが定められています。
BDCにはどんな銘柄があるのか?
下の表はBDC銘柄の中から規模の大きいものを選びました。
DEレシオは自己資本に対する負債額を示すもので、財務の健全性を測る指標です。BDCの場合は、自己資本の2倍まで借り入れることが可能です。つまり2倍までならレバレッジをかけて商売できるという意味です。プロスペクト・キャピタル【PSEC】は0.62倍なので、健全といえます。
NAV倍率は資本に対して株価が割高か割安かを示す値です。1より高いと割高になります。プロスペクト・キャピタル【PSEC】は1倍をわずかに切っており、まあまあ安いです。
配当利回りは過去1年の配当から算出したものと、直近の配当を1年分に換算したものの2つを出しました。
貸し出しのアセットクラスは?
第一抵当権付きシニアローンは約50%なので、少し割合が低いかもしれません。
2004年の上場以来、365件以上の投資を行い、総額160億ドル以上の資金を調達してきました。現在のポートフォリオ企業は39業種123社なので、それなりに分散は利いています。
投資先のセクターは?
投資先のセクターはかなり分散されています。不動産、金融が多いですね。
業績と予想
楽天証券のデータです。2021年と2022年はコンセンサスの予想です。2020年の当期利益がマイナスでしたが、2021年は大幅に伸びると予想されています。
EPSも予想では回復しそうです。
プロスペクト・キャピタル【PSEC】の過去の配当、年間増配率
プロスペクト・キャピタル【PSEC】は、毎月配当を支払っています。2021年は8月末に権利落ちを迎える月まですでに発表されています。次回の配当落ちは6月25日です。
年間配当は0.72ドルで、2020年6月4日の終値は8.88ドル、配当利回りは8.11%です。
※このページでの利回りは過去1年の配当金額から計算します
プロスペクト・キャピタル【PSEC】の年間配当額と年間増配率は?
プロスペクト・キャピタル【PSEC】の配当金と増配率を1年ごとにまとめてグラフ化しました。2021年は8月までです。長期で見ると、結構減っています。
プロスペクト・キャピタル【PSEC】の期別の配当は?
下のグラフは期別の配当です。基本的に配当落ちの月を基準にしています。2017年の9月以降は0.06ドルで安定しています。
プロスペクト・キャピタル【PSEC】の株価と配当の関係は?
下のグラフは株価と配当の比較です。株価は2021年を除いて年末のものです。株価も配当と同じように右肩下がりですね。ただし、2021年は急上昇しています。
最近のプロスペクト・キャピタル【PSEC】の株価と配当利回りは?
2020年1月以降のプロスペクト・キャピタル【PSEC】の株価と配当利回りを見てみましょう。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。2020年の年初の配当利回りは約11.1%でしたが、2月半ば以降は急降下したため、4月6日に約19.1%まで上がりました。その後、株価は回復して、現在の配当利回りは8.11%です。
現在のプロスペクト・キャピタル【PSEC】の株価と配当利回りの関係は?
年間配当額が現在と同じだったら、株価によって配当利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間配当額が現在と同じ0.72ドルが続いた場合の、配当利回りと株価の相関図です。配当利回りを0.5%ごとに株価を出しました。今後、プロスペクト・キャピタル【PSEC】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。
プロスペクト・キャピタル【PSEC】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去にプロスペクト・キャピタル【PSEC】を買った場合、現在の購入単価当たりの配当利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から5年前までの株価、配当利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、少しアバウトです。
2021年6月4日の終値は40.54ドル、年間の配当金額は8.88ドルなので、現在の配当利回りは8.11%です。過去5年の平均配当利回りは約11.9%です。コロナ・ショックの2020年3月頃に買っていたら、現在YOCは約16.9%になっていました。
競合銘柄とトータルリターンを比較する
プロスペクト・キャピタル【PSEC】と主要BDC銘柄のエイリス・キャピタル【ARCC】、メイン・ストリート・キャピタル【MAIN】、ハーキュリーズ・キャピタル【HTGC】と比較します。PORTFOLIO VISUALIZERを使って、2011年6月から2021年5月までの10年間を比べます。
2011年6月に1万ドル投資して配当を再投資した場合、2021年5月には【MAIN】が4万8000ドル、【HTGC】が4万ドル、【ARCC】が3万ドル、【PSEC】が2万4100ドルになっていました。
年次リターン
1年ごとでリターンを比較しました。プロスペクト・キャピタル【PSEC】は他の銘柄と比べてやや低迷していましたが、2021年になって一気に回復しています。
過去のトータルリターン
過去3カ月、1、3、5、10年の年平均トータルリターンは以下の通りです。プロスペクト・キャピタル【PSEC】の過去1年リターンは素晴らしいですね。過去10年のリターン(年平均)は、【MAIN】が17%、【HTGC】が14.9%、【ARCC】は11.6%、【PSEC】は9.2%でした。
過去の分配金はどのくらいか?
2011年6月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合の年間にもらえる分配金の推移です。分配金は再投資します。税金は考慮しません。PORTFOLIO VISUALIZERのデータです。
10年間の配当金の合計は【MAIN】が2万900ドル、【HTGC】が1万8500ドル、【ARCC】が1万5300ドル、【PSEC】が1万5200ドルでした。どれこれも凄まじい配当額です。
プロスペクト・キャピタル【PSEC】の今後の配当予想は?
現在の年間配当金額(0.72ドル)と1、3、5、10年前の同時期の年間配当金額(0.72ドル、0.767ドル、1ドル、1.2113ドル)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の配当金とYOCを予想します。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの配当利回りのことです。プロスペクト・キャピタル【PSEC】株を2021年6月4日の終値8.88ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。
購入金額は1万ドルにします。そうすると、年間配当額から利回り(YOC)が一瞬で計算できます。たとえば、年間配当額が300ドルなら利回り(YOC)は3.0%、年間配当額777ドルなら利回り(YOC)は7.77%になります。
年間増配率は過去1年が0.0%、過去3年がマイナス2.1%、過去5年がマイナス6.4%、過去10年がマイナス5.1%でした。現在の配当利回りは8.11%です。
配当を再投資しない場合
まずは配当を再投資しないケースを見てみましょう。税金は考慮しません。現在の配当利回りが8.11%なので、1年目の年間配当額は811ドルです。
もっとも増配率の低い過去5年のペースだと5年目の配当額は623ドル、10年目の配当額は449ドルになります。もっとも成績の良い過去1年の増配率を当てはめると5年目の配当額は811ドル、10年目の配当額は811ドルになりそうです。配当額811ドルはYOC(購入額に対する利回り)8.11%です。
配当を再投資する場合
つぎに配当を再投資するケースを見てみましょう。税金は考慮しません。再投資する場合の配当金額は、現在と10年前の株価を比較して年平均騰落率を計算し、それを使って調整しています。
もっとも増配率の低い過去5年のペースだと5年目の配当額は831ドル、10年目の配当額は785ドルになります。もっとも成績の良い過去1年の増配率を当てはめると5年目の配当額は1112ドル、10年目の配当額は1650ドルになりそうです。配当額1650ドルはYOC(購入額に対する利回り)16.50%です。
配当を再投資する場合(税引き後)
最後に配当を再投資し、税金を引いた額で計算してみましょう。配当金は28%の税金を引いた72%で計算します。1年目は811ドルではなく、税引き後の584ドルになります。
もっとも増配率の低い過去5年のペースだと5年目の配当額は553ドル、10年目の配当額は485ドルになります。もっとも成績の良い過去1年の増配率を当てはめると5年目の配当額は735ドル、10年目の配当額は979ドルになりそうです。配当額979ドルはYOC(購入額に対する利回り)9.79%です。
まとめ
プロスペクト・キャピタル【PSEC】は、毎月配当が貰えるのがうれしいですね。ただし、長期で見ると年々配当金が減っているのが気になります。
投資先が金融や不動産が多いためか、レバレッジを掛けずに健全に経営しています。ただし、第一抵当権のシニアローンの割合が5割ほどなので、少し低いですね。
株価は低迷していましたが、2021年に入って急上昇してきました。利益の伸びの期待が株価に反映されているようです。