少し前のことですが、タバコ会社のブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】が、2021年2月17日に増配を発表しました。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】はADR銘柄で、配当を英国のポンドで支払った後に、ドルに替えるため、為替の影響で毎回微妙に金額が異なります。
これまで四半期ごとの配当が52.6ポンドだったのが、53.9ポンドに上がります。年間配当は210.4ポンドから215.6ポンドになる予定です。増配率は2.5%です。2021年3月3日の終値は35.75ドル。今後1年間の年間予想配当は2.96ドルなので、予想配当利回りは8.27%です。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】の連続増配年数は21年です。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】の過去の配当、年間増配率
配当の支払いは2017年までは年2回でした。年4回になったのは2018年からです。2017年2月に1対2の株式分割が行われています。それ以前の配当は半分にして調整しました。ポンド建ての配当を見ると、毎年増配されています。次回の配当落ちは3月25日です。青色は予想です。為替レートによって変わってきます。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】のポンドとドル建ての年間配当比較
ポンド建てとドル建ての配当金を比較したグラフです。ポンド建てで見ると、きれいな右肩上がりで、増配を続けているのがわかります。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】の期別の配当は?
下のグラフはドル建ての期別の配当です。基本的に配当支払い月を基準にしています。ドル建てで見るとデコボコです。2013~2015年はドル建ての配当金が多かったです。
下のグラフはポンド建ての期別の配当です。順調に増えているのがわかりますね。
最近のブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】の株価と配当利回りは?
2020年1月以降のブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】の株価と配当利回りを見てみましょう。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。2020年当初の配当利回りは6%弱ぐらいでしたが、2月半ば以降は急降下したため、3月23日に約9.5%まで上がりました。その後、株価はそれほど回復せずに、現在の配当利回りは8.27%です。
現在のブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】の株価と配当利回りの関係は?
年間配当額が現在と同じだったら、株価によって配当利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間配当額が現在と同じ2.96ドルが続いた場合の、配当利回りと株価の相関図です。配当利回りを0.2%ごとに株価を出しました。今後、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去にブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】を買った場合、現在の購入単価当たりの配当利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から5年前までの株価、配当利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、少しアバウトです。
2021年3月2日の終値は35.75ドル、年間の予想配当金額は2.96ドルなので、現在の配当利回りは8.28%です。過去5年の平均配当利回りは約5.7%です。過去5年で株価は右肩下がりなので、増配はしていますが、早い時期に買ってもYOCは上がらなかったです。2020年10月頃に買っていたら、現在YOCは約9.0%になっていました。
競合銘柄とトータルリターンを比較する
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】とライバルETFとの過去10年(厳密には9年11カ月)トータル・リターンを比較します。アリトリア・グループ【MO】、フィリップモリス【PM】、そして目安として【VTI】と比較します。
2011年4月に1万ドル投資して配当を再投資した場合、2021年2月には【VTI】が3万5100ドル、【MO】が2万7900ドル、【PM】が2万100ドル、【BTI】が1万3800ドルになっていました。
過去3カ月、1、3、5、10年(9年11カ月)の年平均トータルリターンは以下の通りです。ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】は過去10年以外は低迷していますね。残りのタバコ銘柄【MO】や【PM】も過去3年や5年は今ひとつです。
過去10年の配当金はどのくらいか?
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】とライバル企業の過去10年の配当金を比較します。下のグラフは、10年前に1万ドルを投資した場合の、年間配当金の推移です。配当金は再投資します。税金は考慮しません。
2020年にブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】は1019ドルになりました。アリトリア・グループ【MO】が2073ドル、フィリップモリス【MO】は1094ドルです。タバコ3銘柄の中では、アリトリア・グループ【MO】が他に2倍の差をつけた結果になりました。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】の今後の配当予想は?
ポンド建ての現在の1年間の配当金額(214.3ポンド)と1、3、5、10年前の1年間の配当金額(208.55ポンド、190ポンド、155.9ポンド、119.1ポンド)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の配当金とYOCを予想します。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの配当利回りのことです。【BTI】株を2021年3月2日の終値35.75ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。
購入金額は1万ドルにします。そうすると、年間配当額から利回り(YOC)が一瞬で計算できます。たとえば、年間配当額が300ドルなら利回り(YOC)は3.0%、年間配当額777ドルなら利回り(YOC)は7.77%になります。
年間増配率は過去1年が2.8%、過去3年が4.1%、過去5年が6.6%、過去10年が6.1%でした。現在の配当利回りは8.28%です。
配当を再投資しない場合
まずは配当を再投資しないケースを見てみましょう。税金は考慮しません。現在の配当利回りが8.28%なので、年間配当額は828ドルです。
もっとも増配率の低い過去1年のペースだと5年目の配当額は923ドル、10年目の配当額は1058ドルになります。もっとも成績の良い過去5年の増配率を当てはめると5年目の配当額は1068ドル、10年目の配当額は1468ドルになりそうです。配当額1468ドルはYOC(購入額に対する利回り)14.68%です。
配当を再投資する場合
つぎに配当を再投資するケースを見てみましょう。税金は考慮しません。再投資する場合の配当金額は、現在と10年前の株価を比較して年平均騰落率を計算し、それを使って調整しています。
もっとも増配率の低いの過去1年のペースだと、5年目の配当額は1289ドル、10年目の配当額は2364ドルになります。もっとも成績の良い過去5年の増配率を当てはめると5年目の配当額は1520ドル、10年目の配当額は3733ドルになりそうです。配当額3733ドルはYOC(購入額に対する利回り)37.33%です。
ちなみに、前々項の10年前に1万ドルを投資した場合の10年後配当金額と、この項目の過去10年増配率を使って現在1万ドルを投資した場合の10年後配当予想は、ほぼ同じ内容です。ただ10年前に投資した場合の10年後配当は1019ドル、今回の10年後配当予想は約3506ドルと差がつきました。これは開始時の株価(配当利回り)が異なっていたからです。現在の利回りが10年前の利回りよりもかなり高いため、この差が将来の配当金額の違いとなりました。つまり今の【BTI】は、10年前と比較して株価が割安という考え方ができます。
配当を再投資する場合(税引き後)
最後に配当を再投資し、税金を引いた額で計算してみましょう。配当金は28%の税金を引いた72%で計算します。1年目は828ドルではなく、税引き後の596ドルからのスタートになります。
もっとも増配率の低いのは過去1年のペースだと5年目の配当額は848ドル、10年目の配当額は1369ドルになります。もっとも成績の良い過去5年の増配率を当てはめると5年目の配当額は994ドル、10年目の配当額は2090ドルになりそうです。配当額2090ドルはYOC(購入額に対する利回り)20.9%です。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】の財務データは?
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】の財務データです。売り上げは順調に伸びています。
まとめ
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ【BTI】は株価が低迷して配当利回りは高いですが、売り上げは伸びています。