ブラックロック社のiシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF【HDV】が、2022年9月23日に分配金を発表しました。1.2312ドル(厳密には1.231175ドル)です。1年前の同期は0.7641ドルでしたので、1年前の同期と比べて61.1%増です。
利回りを過去1年間の分配金額から算出すると、2022年10月20日の終値は96.16ドル、過去1年の分配金額は3.6221ドルなので、利回りは3.77%になります。
※このページでの利回りは過去1年間の分配金をもとに計算します。
前半は【HDV】の分配金に関する様々なデータを紹介
中盤は、組込銘柄やセクターなど、【HDV】の中身に迫ります
後半は、ライバルのインカム系5ETF【VYM】【SPYD】【DVY】【SDY】【VIG】と、トータルリターン、増配率、株価、将来YOC予想などのデータを比較します
最後に、いま【HDV】買ったら将来どのくらいの分配金になるか予測します
【HDV】はどんなETFか?
【HDV】は財務が健全かつ持続的に平均以上の配当を支払うことのできる75銘柄を選び、支払った配当額の総額をベースに銘柄の加重を行います。そのため、配当利回りの高い米国の大企業が中心のETFになります。リートは対象外です。四半期に1度(3、6、9、12月)、銘柄の入れ替えがあります。
【HDV】の過去の分配金と増配率は?
【HDV】が設定されたのは2011年3月です。下の表は過去の分配金の一覧です。
2022年9月の【HDV】の分配金が増配or減配なのかは、どのデータを比較するかによって異なります。もっともオーソドックスなのは、下の表の(1)「期別分配金」の今回と前年同期の比較です。今回が1.2312ドル、前年の同期が0.7641ドル。(2)「期別分配金の対前年同期増減率」は61.1%増になります。
また、(3)「過去1年分配金」を1年前と比較するのも参考になります。今回が3.6221ドル、前年の同期が3.3798ドルです。(4)「過去1年分配金の対前年同期増減率」は7.2%増となります。
色をつけた箇所のデータをグラフにして解説していきます。「期別分配金」と「過去1年分配金」のデータを様々な角度から比較することで、【HDV】の分配金の傾向を探ります。
期別分配金で1年ごとの分配金イメージをつかもう
(1)「期別分配金」を1年ごとに重ねて棒グラフにしました。デコボコしていますが、長期で見ると着実に増えています。
2022年の3月と6月は前年同期よりも少なかったですが、直近の9月は大幅に増えました。年間トータルでも、昨年2021年を上回るペースです。
期別分配金を1つずつ並べて比べよう
(1)「期別分配金」を1つずつ棒グラフにして、株価と比較しました。最近は期によって少し差が出てきています。前回の2022年6月は0.5697ドルとかなり少なかったですが、その反動か、今回2022年9月は1.2312ドルで設定来最高額です。
前回少なすぎたので、その分今回多くなったように見えますね。組み入れ銘柄の分配金支払いのタイミングによるものかもしれないですね。
年間分配金と株価の関係は?
(3)「過去1年分配金」を1年ごとにまとめて年間分配金とし、株価と比較しました。株価は最新年を除いて年末のものです。【HDV】の分配金が最初に支払われたのは2011年6月です。直近の2022年は3、6、9月の合計で、あと1回分配金があります。
株価と分配金の伸びは似ていますね。これが似ているというのは、利回りがほぼ同じで推移していることを意味しています。2022年の株価は、他の高配当ETF同様に足踏み状態です。分配金は前年と同水準かやや上回りそうです。
過去1年分配金額を1つずつ並べて確認しよう
(3)「過去1年分配金」を期ごとに棒グラフにして、株価と比較しました。2つ前の期別分配金と比べると、マイルドになります。
高配当ETFの分配金は期ごとで一喜一憂するのではなく、過去1年分などを比較して、伸びているかどうかをチェックするのが重要です。
過去1年分配金額は、株価とある程度連動しています。コロナ・ショックの2020年3月に株価は大幅に下がりましたが、過去1年分配金はほとんど減少がなく、その後は横ばいです。株価は急回復しました。
期別と過去1年分配金を、前年同期と比較しよう
(2)「期別分配金の対前年同期増減率」、(4)「過去1年分配金の対前年同期増減率」をグラフにしました。
ETFの場合、「期別分配金の対前年同期増減率」で増配や減配を決めることが多いですが、大きく減ることも比較的あるので、あまり気にする必要はありません。赤い折れ線の部分です。
それよりも「過去1年分配金の対前年同期増減率」の長期の傾向が重要です。紫色のところです。【HDV】はこの値はほぼプラスで推移していましたが、最近はマイナスが多くなりました。ただし、直近の2022年9月で挽回しました。
年間増配率は?
(4)「過去1年分配金の対前年同期増減率」の1年ごとのデータを見てみましょう。いわゆる年間増配率です。
2016年と2021年はマイナスですが、その前年が二桁プラスだったので、調整したと考えられます。ただし、今年2022年もこのままのペースだと、前年よりマイナスとなり、2年連続マイナスという可能性もありそうです。
長期の増配率をチェック!
年間増配率だとざっくりしすぎていて、若干イメージしづらいかもしれません。そういう時は、複数年単位で増配率をチェックしましょう。過去3年と過去5年の増配率の推移です。
過去5年増配率は4~7%で推移しています。今後も4~6%ぐらいで推移しそうですね。
2020年以降の利回りは?
2020年以降の【HDV】の株価と利回りを見てみましょう。利回りは、過去1年の年間分配金額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が利回り(右軸)です。
利回りは2020年の年初は3.4%前後で推移していましたが、2月半ば以降に株価が急落し、3月23日には利回りが5.18%まで上昇しました。現在の株価がコロナ・ショック前と同水準で、分配金は増えているので、利回りは3.77%です。
現在の【HDV】の株価と利回りの関係は?
年間分配金額が現在と同じく3.6221ドルで変わらなかったら、利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間分配金額が現在と同じ場合の、利回りと株価の相関図です。利回りを0.1%ごとに株価を出しました。今後【HDV】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。
過去10年間の利回り、YOC、株価は?
過去に【HDV】を買った場合、取得価格当たりの利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から10年前までの株価、利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、ややアバウトです。
下のグラフの黄色の線が、過去に買った場合の、取得価格当たりの利回り(YOC)です。この線が左肩上がりの場合は、株価好調&増配傾向にあるといえます。なので【HDV】は長期で見ると、なかなか好調です。
2022年10月20日の終値は96.16ドル、過去1年の分配金は3.6221ドルなので、現在の利回りは3.77%です。過去10年の平均利回りは約3.5%です。
10年前と比較して株価は上がっており、増配もしていますので、早い時期に買った方がYOCは上がります。10年前の2012年10月に買っていたら、現在YOCは約6.0%になっていました。また、5年前の2017年10月に買っていた場合は、現在YOCは約4.2%になっていました。
利回りは3.3~3.8%ぐらいがレンジなので、3.6%以上で買いたいところです。
【HDV】のセクター比率は?
ここからは【HDV】の中身について見てきます。
【HDV】に組み込まれている銘柄のセクター別の組込比率の推移です。GICS(Global Industry Classification Standard)で分類されています。
2022年10月と、約1年前の2021年9月との比較です。エネルギーが増えています。
【HDV】の上位組込銘柄はどんな会社か?
【HDV】の組込比率1%以上の2022年10月20日のデータです。全部で26銘柄あります。ベンチマークは、モーニングスター配当フォーカス指数です。上位26銘柄で、全体の約87%を占めており、かなりの集中投資といえます。上位10銘柄でも全体の55%なので、上位銘柄の影響が大きく出るETFと言えます。
【HDV】は配当金の総支払額によって加重平均しています。つまり、並び順は時価総額と配当利回りを掛けた数値のほぼ大きい順になります。表の右から2列目です。
【HDV】は財務の健全性が高く、持続的に平均以上の配当を支払うことのできる、質の高い米国籍企業が対象です。そのため、上位組込銘柄のほとんどが連続増配年数も10年を超えています。表の一番右側の列です。
※ブラックロック社のデータです。時価総額と配当利回りは「market chameleon」、連続増配年数は「The Dividend Investing Resource Center」のデータです
2020年5月以降の上位銘柄は?
上位組込銘柄の推移です。【HDV】は毎年3、6、9、12月の中盤から後半にかけて銘柄の入れ替えがあります。下の表ではすべての期間で銘柄の入れ替えが行われています。
上位12銘柄の顔ぶれはあまり変化がなかったですが、直近2022年9月の銘柄入れ替えでは、ジョンソン・エンド・ジョンソン【JNJ】、ペプシコ【PEP】、テキサス・インスツルメンツ【TXN】が除外となりました。
【HDV】は年4回銘柄を入れ替えていますが、コアの部分はある程度は常連で固められており、しかも比率が高いですね。
【HDV】とライバルETFの比較
ここからは、【HDV】とライバルのインカム系ETF(高配当系ETF)【VYM】【SPYD】【DVY】【SDY】【VIG】、6つのETFの様々なデータを比較していきます。
【VIG】は利回りがそれほど高くないので高配当ETFというわけではありませんが、「インカム・バリュー・連続増配系」という括りに入るので、加えます。
赤い文字が他のETFと比べて素晴らしい、オレンジ色が優秀です。経費率は【HDV】【VYM】【SPYD】は0.1%を切っていますが、【DVY】【SDY】が0.3%台と少し高いです。
利回りは【SPYD】がもっとも高く約4.4%で、【HDV】は約3.8%と続きます。
運用総額は【VIG】が約8.6兆円と多く、【VYM】も6.6兆円となかなかの規模です。【DVY】【SDY】は3兆円前後、【HDV】は2兆円弱です。
【HDV】とライバルETFのセクター比率は?
セクター比率を比べます。
【HDV】はエネルギーとヘルスケアが多いですね。この2セクターで約50%と半分を占めており、少し偏っています。
【HDV】は高配当ETFには珍しく、金融セクターが少ないです。また、公益事業も少なく、不動産はありません。
公益事業が多いのは【DVY】と【SPYD】、不動産がある程度入っているのは【SPYD】【SDY】、資本財が多いのは【SDY】です。【HDV】にこれらのETFを組み合わせると、セクターのバランスがよくなりそうです。
【HDV】上位20銘柄は主要ETFには組み込まれているのか?
【HDV】の組込比率上位20銘柄は、他のETFにどのくらいの割合で組み込まれているのでしょうか? 5つのインカム系ETFへの組込順位と比率(%)をまとめました。
背景色のオレンジ色が濃いほど、組込比率が高いことを意味しています。【HDV】の比率部分は濃いオレンジ色なので、他のETFよりも集中投資なのがはっきりとわかりますね。
【HDV】の組込上位銘柄は、ほぼすべて【VYM】にも組み込まれています。
組込銘柄では、【HDV】を含む6ETFのうち、5つのETFに入っているのがエクソン・モービル【XOM】、シェブロン【CVX】、コカ・コーラ【KO】、アイ・ビー・エム【IBM】です。
【HDV】とのウェイトの重複が最も多いのが【VYM】で30%、【SPYD】と【DVY】が23~24%と続いています。
※組込比率は、2022年10月20日のものです。ただし、バンガード社のETFは9月末のデータです。一番下のETF同士の比率は「etfrc.com」のデータです。
株価やリターンなどを比較する
ここからはPORTFOLIO VISUALIZERを使って、【HDV】とライバルのインカム系ETF(高配当系ETF)【VYM】【SPYD】【DVY】【SDY】【VIG】のデータ比較します。
株価推移を比較する
まずは10年間の株価推移を比べます。【SPYD】は設定から約7年なので比較対象外です。
2012年10月に1万ドル投資した場合、2022年9月末の株価は【VIG】が2万2600ドル、【SDY】が1万9200ドル、【VYM】が1万8800ドル、【DVY】が1万8500ドル、【HDV】が1万5000ドルになっていました。
【VIG】が優勢で、【SDY】【VYM】【DVY】はほぼ互角、【HDV】はやや劣っていました。
トータルリターンを比較
分配金を再投資した場合のトータルリターンの推移です。税金や手数料は考慮しません。
2022年10月に1万ドル投資して、分配金を再投資した場合、2022年9月末は【SDY】が2万7900ドル、【VIG】が2万7700ドル、【DVY】が2万6100ドル、【VYM】が2万5700ドル、【HDV】は2万1400ドルになっていました。
【SDY】【VIG】がやや優勢、【VYM】【DVY】が続き、【HDV】は劣っていました。株価推移で優秀だった【VIG】は利回りが低いので、再投資すると、他の3つのETFと似た結果になりました。
過去のトータルリターンを比較
過去1、3、5、10年のトータルリターンをグラフにして、現在の利回りと比べました。
過去3年以上のトータルリターンは【VYM】【DVY】【SDY】【VIG】は似ています。わずかに【VIG】が優勢で、【SDY】が続き、【VYM】と【DVY】は少し遅れています。【HDV】と【SPYD】はさらに劣っています。
安定度などを比べよう
安定度などを比べます。
ボラティリティと最大下落率は0に近いほど安定しています。【SPYD】が激しいですね。安定感が一番あるのは【VIG】です。【HDV】はこの中では平均的です。
シャープレシオとは、同じリスクを取った場合のリターンです。「(ファンドのリターンー無リスク資産のリターン)÷標準偏差」の値です。
ソルティノレシオはシャープレシオの改良版で、相場が軟調の際の成績を示しています。「(ファンドのリターンー無リスク資産のリターン)÷下方偏差」で計算します。
シャープレシオやソルティノレシオの値は【VIG】【SDY】【VYM】【DVY】の順に良いです。【HDV】は少し劣っています。
過去の分配金はどのくらいか?
10年前の2012年10月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合の年間でもらえる分配金の推移です。税金は考慮しません。
10年間の分配金の合計は【SDY】が6900ドル、【DVY】が6400ドル、【HDV】と【VYM】が5800ドル、【VIG】が3800ドルでした。
【SDY】が頭一つ抜けていますが、2013~17年にキャピタルゲイン分配金があったためです。それを除くと、他のETFと同じくらいです。
これまでの利回りは?
過去10年の利回り推移をチェックしましょう。利回りは過去1年分配金から算出しました。株価は月に1度、月末のものです。
【SPYD】が常に高く、【HDV】【DVY】【VYM】【SDY】【VIG】の順番です。
過去10年の平均利回りは【SPYD】が4.6%、【HDV】が3.5%、【DVY】が3.3%、【VYM】が3.0%、【SDY】が2.6%、【VIG】が2.0%です。【SPYD】は設定来のデータです。
【HDV】はこの6ETFの中では、上から2番目に利回りが高いです。
増配率を比較する
現在の過去1年分配金額と1、3、5、7、10年前の同時期の過去1年分配金額を比較して、年間増配率を計算しました。最新2022年9月分配金発表後のデータです。【SPYD】は過去7年と10年増配率はありません。
【HDV】の過去1年増配率は7.2%、過去3年増配率は4.9%、過去5年増配率は5.1%、過去7年増配率は3.6%、過去10年増配率は6.3%です。【HDV】は過去7年増配率がやや低いですが、それ以外はほぼ5%をクリアしています。
この6つのETFでは【VIG】がやや優勢で、【SDY】もいいですね。
主要ETFの今後のYOC予想は?
1つ前で出した増配率を使って、現在の利回りをもとに、将来YOCを予想します。
YOC(Yield on Cost)とは、取得価格あたりの利回りのことです。2022年10月20日の終値で買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。
対象は【HDV】とライバルのインカム系ETF【VYM】【SPYD】【DVY】【SDY】【VIG】です。
「分配金を再投資しない、税金を考慮しない」で検証します。
10年後のYOCはどうなっているか?
10年後のYOCを予測します。【DVY】が好調です。過去5、7、10年増配率で推移すると、いずれも7%前後と安定しています。
【HDV】は過去10年増配率で推移すると6.9%と高い数値になります。
ちなみに黒い★は利回りです。各ETFともに、ここがスタート地点となるので、現在の利回りはかなり重要です。
20年後のYOCはどうなっているか?
続いて、20年後のYOCを予測します。今度は【SDY】がいいですね。利回りは2.9%ほどでこの中では高くないですが、増配率の高さで20年後YOCは伸びてきます。
【HDV】もまずまずです。過去10年増配率で推移するなら20年後YOCは10%を超え、5年増配率なら10%ぐらいです。
今後20年間で分配金はどのくらいになるのか?
最後に、今【HDV】を購入したら、将来どのくらい分配金をもらえそうかをシミュレーションします。先ほどの将来YOCの分配金版です。現在の利回り、増配率を使用します。
1万ドルを投資した場合の、将来もらえる分配金の推移を検証します。「分配金を再投資しない(税引き後)」と「分配金を再投資する(税引き後)」の2パターンで検証します。
増配率は過去3、5、7、10年の4パターンを使います。年間増配率は過去3年が4.9%、過去5年が5.1%、過去7年が3.6%、過去10年が6.3%でした。現在の利回りは3.77%です。
なお、再投資するケースは過去10年の株価騰落率(4.84%)で調整します。つまり、株価が年4.84%上がるので、分配金の再投資額はその分減らします。
過去3年増配率で推移した場合の分配金予想
まずは過去3年増配率で推移した場合の、分配金を計算します。増配率は4.9%です。
分配金は約28%の税金を引いた72%で計算します。スタート時の利回りは3.77%なので、税金を引いた72%の2.71%になります。投資額が1万ドルなので、スタート年の分配金は271ドルになります。
再投資をしない場合は、10年後の分配金は437ドル、20年後の分配金は705ドルになります。
再投資をする場合は、10年後の分配金は601ドル、20年後の分配金は1611ドルになります。YOCだと16.1%です。
過去5年増配率で推移した場合の分配金予想
次に過去5年増配率で推移した場合の、分配金を計算します。増配率は5.1%です。
再投資をしない場合は、10年後の分配金は445ドル、20年後の分配金は729ドルになります。
再投資をする場合は、10年後の分配金は613ドル、20年後の分配金は1694ドルになります。YOCだと16.9%です。
過去5年増配率(5.1%)は、過去3年増配率(4.9%)よりも高いので、もらえる分配金も増えます。
過去7年増配率で推移した場合の分配金予想
次に過去7年増配率で推移した場合の、分配金を計算します。増配率は3.6%です。
再投資をしない場合は、10年後の分配金は386ドル、20年後の分配金は549ドルになります。
再投資をする場合は、10年後の分配金は521ドル、20年後の分配金は1134ドルになります。YOCだと11.3%です。
過去7年増配率(3.6%)は、過去5年増配率(5.1%)よりも低いので、もらえる分配金は減りますね。
過去10年増配率で推移した場合の分配金予想
最後に過去10年増配率で推移した場合の、分配金を計算します。増配率は6.3%です。
再投資をしない場合は、10年後の分配金は500ドル、20年後の分配金は923ドルになります。
再投資をする場合は、10年後の分配金は703ドル、20年後の分配金は2407ドルになります。YOCだと24.1%です。高い増配率が続き、再投資し続けると、分配金は相当増え、将来YOCはかなり上がります。
過去10年増配率(6.3%)はもっとも高く、もらえる分配金はかなり多いです。
いずれのケースでも「再投資をしない」に比べて、「再投資する」場合の分配金の伸びが素晴らしいです。10年後はそれほど差がありませんが、20年後はかなり差がつきます。複利効果ですね。
過去10年増配率で進めば分配金はかなり増えますが、最近の増配率はやや減少傾向なので、このシナリオはポジティブすぎるかもしれません。
まとめ
2022年9月の分配金は、前年同期と比べて61%増と大幅プラスでした。今年の3月と6月の分配金があまり多くなかったため、組込銘柄の分配金を支払うタイミングによって、今回増えた可能性があります。
6月の銘柄入れ替えで利回りの高い銘柄を多く組み込んだので、その影響も考えられます。
【HDV】はエネルギーとヘルスケアで約半分を占めており、セクターはやや偏っています。また、上位組込銘柄の比率も他の高配当ETFと比べると高いです。集中投資型ETFといえそうです。【HDV】と他の高配当ETFを組み合わせたポートフォリオを組むといいかもしれません。
トータルリターンや増配率は高配当ETFの中では、やや劣っています。コロナ・ショックのあった2020年の分配金が過去最高額だったように、相場が軟調な際はそれなりに強さを発揮します。