ブラックロック社のiシェアーズ好配当株式ETF【DVY】が、2022年3月23日に分配金を発表しました。0.8884ドル(厳密には0.888354ドル)です。前年の同期は0.9610ドルでしたので、1年前の同期との比較では7.6%減です。
分配金利回りを過去1年間の分配金額から算出すると、2022年4月1日の終値は128.67ドル、過去1年の分配金額は3.7512ドルなので、利回りは2.92%になります。
※このページでの利回りは過去1年間の分配金をもとに計算します
- 【DVY】の過去の分配金と増配率は?
- 【DVY】の期別分配金は?
- 【DVY】の年間増配率は?
- 2020年以降の株価と利回りは?
- 現在の【DVY】の株価と利回りの関係は?
- 【DVY】を過去に買っていた場合のYOCは?
- 基本情報を確認しよう
- 【DVY】のセクター比率は?
- 【DVY】の上位組込銘柄はどんな会社か?
- 2022年3月の銘柄入れ替えについて
- 2020年10月以降の上位銘柄は?
- 【DVY】上位20銘柄は主要ETFには組み込まれているのか?
- ライバルETFとトータルリターンを比較する
- 主要ETFと増配率を比較する
- 過去3年増配率を使った今後のYOC予想は?
- 過去5年増配率を使った今後のYOC予想は?
- 過去10年増配率を使った今後のYOC予想は?
- 過去3、5、10年増配率で推移した場合のYOC予想一覧
- まとめ
【DVY】の過去の分配金と増配率は?
【DVY】が設定されたのは2003年11月です。
今回の【DVY】の分配金が増配or減配なのかは、どのデータを比較するかによって異なります。もっともオーソドックスなのは、今回の分配金と前年同期の比較です。表の右から4列目「期別分配金の対前年同期増減率」です。今回が0.8884ドル、前年の同期が0.9610ドルなので7.6%減になります。
また、過去1年分配金を1年前と比較するのも参考になります。表の一番右側の列「過去1年分配金の対前年同期増減率」は今回が3.7512ドル、前年の同期が3.5366ドルなので、6.1%増となります。
表の右から4列目の「期別分配金の対前年同期増減率」、一番右側の列「過去1年分配金の対前年同期増減率」をグラフにしました。
「過去1年分配金の対前年同期増減率」は、ほぼプラスが続いており、長期で増配傾向にあるといえます。この2つのデータは、長期で順調に分配金が増えているETFでも結構マイナスがありますが、【DVY】は2008年9月のリーマン・ショックの直後を除くと、かなり安定していると言えます。
【DVY】の期別分配金は?
期ごとの分配金を1年ごとに重ねて棒グラフにしました。リーマン・ショック後の2009年は大きく減らしましたが、その後は順調に伸びています。2021年の分配金はすべての期で前年を上回りましたが、今回2022年3月は前年や前々年を下回っています。
【DVY】の年間分配金額と株価は?
【DVY】の年間分配金と株価の比較です。株価と分配金の動きは、かなり連動しています。2021年の年間分配金を、10年前の2011年と比較すると約2.1倍です。2022年はあと3回分配金が出ます。
【DVY】の期ごとの分配金額を棒グラフで確認しよう
期ごとの分配金と株価を比較したものです。かなり似たような動きですね。ほとんどのETFは期によって分配金が増えたり減ったりしますが、【DVY】はかなり安定しています。
【DVY】の過去1年分配金額を棒グラフで確認しよう
過去1年分配金額と株価の比較です。過去1年分配金額も、株価と連動しています。2008年9月のリーマン・ショックのときは株価と分配金額が大幅に下がり回復まで時間がかかりましたが、2020年3月のコロナ・ショックは株価は急落してすぐに急上昇となりました。過去1年分配金は、あまり減らなかったですね。
【DVY】の年間増配率は?
年間増配率はどうでしょうか? 最初に分配金が支払われたのが2003年の12月なので、データは2005年からです。大幅にマイナスだったのはリーマン・ショックの影響があった2009年です。それ以外の年はほとんどがプラスで、5%以上の場合が多いです。2020年はコロナ・ショックの影響でわずかにマイナスでした。
長期の増配率をチェック!
1年ごとの増配率は年によって差が激しいので、少しイメージしづらいかもしれません。そういう時は、複数年単位で増配率をチェックしましょう。下のグラフは過去3年と過去5年の増配率の推移です。
2015年以降はおおむね6~8%で推移しています。今後もリーマン・ショック級の暴落がなければ、7%前後で推移しそうですね。
2020年以降の株価と利回りは?
2020年以降の【DVY】の株価と利回りを見てみましょう。利回りは、過去1年の年間分配金額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が利回り(右軸)です。
利回りは2020年の年初は3.4%前後でしたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月23日には利回りが5.75%まで上昇しました。現在の株価がコロナ・ショック前を上回り、利回りは2.92%です。
現在の【DVY】の株価と利回りの関係は?
年間分配金額が現在と同じくで変わらなかったら、利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間分配金額が現在と同じ3.7512ドルが続いた場合の、利回りと株価の相関図です。利回りを0.2%ごとに株価を出しました。今後【DVY】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。
【DVY】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去に【DVY】を買った場合、現在の購入単価当たりの利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から10年前までの株価、利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、ややアバウトです。
下のグラフの黄色の線が、過去に買った場合の、購入単価当たりの利回り(YOC)です。この線が左肩上がりの場合は、株価好調&増配傾向にあるといえます。【DVY】は長期的に見て、なかなか好調ですね。
2022年4月1日の終値は128.67ドル、過去1年の分配金額は3.7512ドルなので、現在の利回りは2.92%です。過去10年の平均利回りは約3.3%です。
10年前と比較して株価は上がっていて、増配もしていますので、早い時期に買った方がYOCは上がります。約10年前の2012年5月に買っていたら、現在YOCは約6.8%になっていました。また、株価が暴落したコロナ・ショック時の2020年3月に買っていればYOCは5.1%前後まで上がっています。
利回りは3.0~3.5%がレンジなので、3.5%に近づいたあたりで買いたいところです。
基本情報を確認しよう
【DVY】のベンチマークはダウ・ジョーンズ U.S.セレクト・ディビデンド・インデックス。この指数はダウ・ジョーンズ U.S.インデックスのうち、配当利回りの高い100銘柄で構成されています(REITは除く)。条件は、過去5年間の配当成長率、適度な配当性向、過去5年間の配当の支払い実績、3カ月の平均取引量が20万株以上、過去12カ月赤字がないこと、時価総額が30億ドル以上(現在は20億ドル以上)です。
つまり、財務が健全で、配当金支払い実績があり、利回りが高い、中規模以上の企業というわけです。名称は、iシェアーズ好配当株式ETF【DVY】。「高配当」ではなく、「好配当」というのがポイントですね。
年に1度、3月に銘柄の入れ替えを行い、年4回リバランスします。設定が2003年11月なので、ETFの中ではかなりの古株です。
【DVY】と米国の高配当系ETF【VYM】【HDV】【SPYD】【SDY】を比較しましょう。成績が良い箇所を赤色、まずまずのところをオレンジ色にしました。
【DVY】は経費率0.38%と少し高いですね。運用総額では約2.4兆円で、【VYM】の5.1兆円に続いています。利回りは【SPYD】がもっとも高く、【HDV】【DVY】【VYM】と続きます。
【DVY】のセクター比率は?
【DVY】の1年前からのセクター比率推移です。現在の組込銘柄のセクター比率は、公益事業が26%でトップ、金融が23%で2番目に多く、この2セクターで約半分を占めています。以下、生活必需品、エネルギー、通信サービスと続きます。公益事業がこれだけ多いETFは珍しいです。1年前と比較して、比率の変化はほとんどないですね。
【DVY】とライバルETFのセクター比率は?
【DVY】とライバルの高配当ETF【SPYD】【HDV】【VYM】、連続増配ETF【SDY】【VIG】に組み込まれている銘柄のセクター比率を比べましょう。
【DVY】と【SPYD】は上位セクターが似ています。どちらも公益事業、金融、生活必需品、エネルギーが上位という点で共通しています。素材の割合も比較的多いですね。
高配当ETFはどれも金融セクターが多いです。不動産がそれなりに組み込まれているのは【SPYD】【SDY】だけです。
【DVY】の上位組込銘柄はどんな会社か?
【DVY】の組込上位20銘柄です。2022年3月31日のデータです。配当加重平均で組み込まれていますが、時価総額よりも利回りを重視した加重のようです。
時価総額が1000億ドルを超えている超巨大企業が【IBM】【PM】【T】【VZ】【XOM】【CVX】の6銘柄と少なく、中規模クラスが多いですね。連続増配年数は10年強ぐらいが多いです。
上位10銘柄が占める割合は全体の17.5%、上位20銘柄では31.2%。組込銘柄数は約100なので、まずまず分散は利いています。
2022年3月の銘柄入れ替えについて
【DVY】は年に1度、3月に銘柄入れ替えを行います。今回は6銘柄が除外、4銘柄が新規追加となりました。
組込下位が多く、地味な入れ替えと言えそうです。上位では17位のCFインダストリーズ・ホールディングス【CF】が除外され、21位にコナグラ・ブランズ【CAG】が新加入となりました。
新加入の4銘柄は利回りが3%台とまずまず高いですね。
※除外銘柄のデータは3月14日、新加入は3月31日です
どんな変化があったのか?
今回の銘柄入れ替えで、新規銘柄や除外銘柄は地味でした。既存銘柄はどうでしょうか? 組込比率の変化が大きかった銘柄をピックアップしました。エネルギー・セクターのワンオーク【OKE】、エクソン・モービル【XOM】、シェブロン【CVX】は株価が好調で比率が高くなりすぎたので、少し比率を下げて調整したようです。
逆に素材セクターはライオンデルバセル・インダストリーズ【LYB】、インターナショナル・ペーパー【IP】などの比率を高くしました。
2020年10月以降の上位銘柄は?
2020年10月以降の上位20銘柄の推移です。【DVY】は毎年3月に組み換えがあります。下の表では銘柄の入れ替えがあったところは、太い線を引いておきます。3カ月前との比較では、エネルギーや公益事業が比率が下がった銘柄が目立ち、逆に素材は上がった銘柄が目立ちます。
【DVY】上位20銘柄は主要ETFには組み込まれているのか?
【DVY】の組込比率上位20銘柄は、他のETFにどのくらいの割合で組み込まれているのでしょうか? 高配当【SPYD】【HDV】【DVY】【VYM】、連続増配【SDY】【VIG】、市場全体【DIA】【VOO】【VTI】、ハイテク・グロース系【QQQ】【VUG】【VGT】の主要12ETFへの組込比率(%)をまとめました。
背景色のオレンジ色が濃いほど、組込比率が高いことを意味しています。
【DVY】の上位組込銘柄は、【SPYD】や【VYM】にもほとんど組み込まれています。
【DVY】との重複率は【SPYD】が51%と極めて高いです。【VYM】29%、【HDV】20%で、同じ高配当ETFとの関連が強いです。連続増配の【SDY】も重複率が20%となかなか高いです。
【DVY】に組み込まれている銘柄は【VYM】【VTI】に100%入っています。
※組込比率は、バンガード社のETFは2022年2月末、【HDV】は3月18日、【DVY】は3月31日、その他のETFは3月15日頃のデータをもとにしています。【DIA】は株価の高い銘柄が比率が高くなり、【SPYD】は均等平均加重組入なので、これらのETFの組込比率はあまり重要ではありません。
主要ETFの並び順は基本的に左端が最も利回りが高く、右に行くにつれて下がっていきます。ただし、【VGT】は少し毛色が異なるセクターETFなので、右端にしました。主要ETFのティッカー・コードの下の数字は3月25日の利回り(%)です。
一番下のETF同士の比率は「etfrc.com」のデータです。
ライバルETFとトータルリターンを比較する
【DVY】とライバルの高配当ETF【VYM】【HDV】、連続増配ETF【SDY】とトータル・リターンを比較します。2012年4月から2022年3月までの10年間を比べます。PORTFOLIO VISUALIZERを使います。
2012年4月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合、2022年3月には【SDY】が3万2700ドル、【DVY】が3万2200ドル、【VYM】が3万1600ドル、【HDV】が2万6700ドルになっていました。【DVY】と【SDY】【VYM】はほぼ同じです。【HDV】がやや劣っています。
過去の分配金はどのくらいか?
2012年4月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合の年間でもらえる分配金の推移です。税金は考慮しません。PORTFOLIO VISUALIZERのデータです。
10年間の分配金の合計は【SDY】が6700ドル、【DVY】が6300ドル、【HDV】が6100ドル、【VYM】が5800ドルでした。
【SDY】は2013~17年にキャピタルゲインがあったため、分配金が多くなりました。実質的にはわずかですが【DVY】が一番多いと言えそうです。
主要ETFとのトータルリターン比較
高配当【SPYD】【HDV】【DVY】【VYM】、連続増配【SDY】【VIG】、インデックス【DIA】【VOO】【VTI】、ハイテク・グロース【VUG】【QQQ】【VGT】の過去1、3、5、10年のトータルリターンを比較しました。現在の利回りは★です。
利回りの低いほど、リターンがいい傾向にあります。【DVY】の過去3年以上リターンは【VYM】や【SDY】とほぼ同じで、【HDV】や【SPYD】よりはいいですね。
危険度はどのくらいか?
ETFの安定度を比べてみましょう。最大ドローダウンは、計測期間における最大下落率です。マイナスの数値が小さいほど最大下落率が低いです。
シャープレシオとは、同じリスクを取った場合のリターンの比較です。「(ファンドのリターン?無リスク資産のリターン)÷標準偏差」の値です。
ソルティノレシオはシャープレシオの改良版で、相場が軟調の際の成績を示しています。「(ファンドのリターン-無リスク資産のリターン)÷下方偏差」で計算します。
【DVY】は最大ドローダウン値がよくないですね。【SPYD】の次に悪いです。シャープレシオやソルティノレシオは【HDV】よりはいいですが、【VYM】よりは劣っています。
主要ETFと増配率を比較する
高配当【SPYD】【HDV】【DVY】【VYM】、連続増配【SDY】【VIG】、インデックス【DIA】【VOO】【VTI】、ハイテク・グロース【VUG】【QQQ】【VGT】の過去の増配率を比較しました。
2022年3月の分配金決定後を基準としたデータです。
緑色の数字が過去5年増配率、オレンジ色が過去10年増配率です。過去10年増配率は6~9%にほぼ収まっています。ほとんどのETFが、過去3年や過去5年増配率は過去10年より数%低いですね。どちらの期間も同じように高い増配率なのは、連続増配ETFの【VIG】です。
【DVY】はいずれの期間も安定しており、極端に低い期間はないです。
※【SPYD】の2017年、【SDY】の2013~17年、【QQQ】の2014年の通常以外の分配金を含めるかどうかの説明はこちら
過去3年増配率を使った今後のYOC予想は?
現在の過去1年分配金額と3、5、10年前の同時期の過去1年分配金額を比較して増配率を計算し、それを使って将来YOCを予想します。
YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの利回りのことです。それぞれのETFを2022年4月1日の終値で買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。
「分配金を再投資しない、税金は考えない」「分配金を再投資する、税引き後」の2つで検証します。過去3年、過去5年、過去10年増配率とこの2つを組み合わせるので、計6つとなります。
比べるETFは高配当【SPYD】【HDV】【DVY】【VYM】、連続増配【SDY】【VIG】にします。
現在の利回りは【SPYD】3.54%、【HDV】3.16%、【DVY】2.92%、【VYM】2.75%、【SDY】2.59%、 【VIG】1.75%です。
分配金を再投資しない・税金も考えない場合
まずは過去3年増配率で検証します。分配金を再投資しない場合のYOCを見てみましょう。税金は考慮しません。
過去3年の年間増配率は【SPYD】がマイナス0.9%、【HDV】が2.9%、【DVY】が4.5%、【VYM】が4.8%、【SDY】が11.5%、【VIG】が9.7%でした。
表の一番左の「スタート」が、それぞれのETFの現在の利回りです。過去1年の分配金から計算しています。
分配金を再投資しない場合のYOCを見てみましょう。税金は考慮しません。
もっとも成績が良かったのは【SDY】。10年後YOCは7.7%、20年後YOCは22.7%まで伸びました。次点は【VIG】で、10年後YOCは4.4%、20年後YOCは11.2%でした。【DVY】は10年後YOCは4.5%、20年後YOCは7.0%。【VYM】と同じで、ほぼ3番手でした。
分配金を再投資する・税金を考える場合
次に分配金を再投資するケースで、税金を引いた場合のYOCをチェックしましょう。分配金は約28%の税金を引いた72%で計算します。再投資する分配金額は、3年間の株価の年平均成長率(CAGR)を計算し、それを使って調整します。
もっとも成績が良かったのは【SDY】。10年後YOCは7.4%、20年後YOCは49.7%まで伸びました。次点は【VIG】で、10年後YOCは3.8%、20年後YOCは14.7%でした。【DVY】は3番手で10年後YOCは4.1%、20年後YOCは9.2%でした。
過去5年増配率を使った今後のYOC予想は?
次に過去5年増配率で検証します。
分配金を再投資しない・税金も考えない場合
過去5年の年間増配率は【SPYD】が0.1%、【HDV】が4.3%、【DVY】が6.3%、【VYM】が6.3%、【SDY】が8.7%、【VIG】が9.1%でした。
まずは分配金を再投資しない場合のYOCを見てみましょう。税金は考慮しません。
もっとも成績が良かったのは【SDY】。10年後YOCは6.0%、20年後YOCは13.7%まで伸びました。
次点は【VIG】で、10年後YOCは4.2%、20年後YOCは9.9%でした。【DVY】もほぼ同じで、10年後YOCは5.4%、20年後YOCは9.9%でした。
分配金を再投資する・税金を考える場合
次に分配金を再投資するケースで、税金を引いた場合のYOCをチェックしましょう。分配金は約28%の税金を引いた72%で計算します。再投資する分配金額は、5年間の株価の年平均成長率(CAGR)を計算し、それを使って調整します。
もっとも成績が良かったのは【SDY】。10年後YOCは5.5%、20年後YOCは22.7%まで伸びました。次点は【DVY】で10年後YOCは5.0%、20年後YOCは14.7%。3番手は【VYM】で、10年後YOCは4.6%、20年後YOCは13.3%でした。
ここまですべて【SDY】が圧倒的に成績が良いですね。
過去10年増配率を使った今後のYOC予想は?
最後に過去10年増配率で検証します。【SPYD】は設定が2015年10月なので、過去10年増配率はありません。
分配金を再投資しない・税金も考えない場合
過去10年の年間増配率は【HDV】が8.9%、【DVY】が7.1%、【VYM】が8.7%、【SDY】が6.7%、【VIG】が9.3%でした。
まずは分配金を再投資しない場合のYOCを見てみましょう。税金は考慮しません。
もっとも成績が良かったのは【HDV】。10年後YOCは7.4%、20年後YOCは17.5%まで伸びました。次点は【VYM】で、10年後YOCは6.4%、20年後YOCは14.6%でした。【DVY】は3番手で、10年後YOCは5.8%、20年後YOCは11.5%でした。
分配金を再投資する・税金を考える場合
次に分配金を再投資するケースで、税金を引いた場合のYOCをチェックしましょう。分配金は約28%の税金を引いた72%で計算します。再投資する分配金額は、10年間の株価の年平均成長率(CAGR)を計算し、それを使って調整します。
もっとも成績が良かったのは【HDV】。10年後YOCは7.4%、20年後YOCは36.6%まで伸びました。次点は【VYM】で、10年後YOCは6.0%、20年後YOCは25.4%でした。【DVY】は3番手で、10年後YOCは5.5%、20年後YOCは18.3%でした。
過去3、5、10年増配率で推移した場合のYOC予想一覧
これまでの過去3、5、10年増配率を使用した将来YOC予想をまとめました。背景のオレンジ色が濃いほど数値が高いです。増配率は背景の青色の濃さで大小を現わしています。
【DVY】はいずれの期間の増配率も高いので、着実にYOCが伸びていきそうです。【VYM】とデータが似ていますね。
【VIG】は現在の利回りが低いですが、増配率が極めて高いので、20年後YOC予想は素晴らしいです。【SDY】は利回りは普通で増配率がかなり高いので、このままの増配率を維持できれば、将来YOCは相当期待できます。ただし、【VIG】【SDY】の高増配率を今後20年間続けられるかは、わかりません。
【HDV】は過去10年増配率は高いですが、設定初年度で分配金が少なかったときとの比較です。なので、過去10年増配率で推移する可能性は低そうです。
まとめ
【DVY】の今回の分配金はやや少なめでした。2021年の分配金はすべての期で前年同期を上回り、年間分配金は過去最高を記録しました。今回は一息ついたというところでしょうか。
期ごとの分配金の差があまりなく安定度の高いETFです。高配当と連続増配のいいところ取りのような内容で、「中配当連続増配ETF」に分類できそうです。ライバルは【VYM】と【SDY】ですかね。
経費率が0.38%とやや高いのが難点ですが、トータルリターンは経費率の低い【HDV】や【SPYD】を上回っています。
公益事業と金融で約5割を占めているので、セクターの偏りはあります。セクターや組込銘柄は【SPYD】と似ていますが、安定度やトータルリターン、増配率は【DVY】に分があります。
時価総額加重平均ではないので、上位銘柄はややクセがあり、マイナー銘柄も含まれています。ポートフォリオを分散させるいう意味では面白いかもしれません。