数日前に、「配当貴族20社を10年前に買っていたらどうなったかを検証する」という記事を掲載しました。そこで今回は、同じ銘柄を「今」買った場合、10年後はどのようになっているかを検証します。投資金額は1銘柄あたり約2000ドル、計4万ドルで、配当再投資はしないでというルールです。25年以上増配を続けている配当貴族の中から時価総額の高い順に20銘柄を2009年9月6日の終値にすべて買って、10年後どのようになるかを調べます。なおADR銘柄、10年以内に合併や分裂を行った銘柄は除きます。
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- 2019年時点で25年以上増配を続けている銘柄
- 時価総額の高い順に20銘柄
- 1銘柄あたり2000ドルに近い額で2019年9月6日の終値で購入
- 配当はそのまま保有
検証する20銘柄は名立たる企業がズラリ
おなじみ、検証する銘柄は以下の通りです。世界的にも有名な企業が揃っています。セクター別だと生活必需品が最多の6、ヘルスケアが3で続き、エネルギーと一般消費財、情報技術、資本財が2、通信サービスと公益事業、金融が1、そして素材が0です。なおIBMの増配年は24で1年足りませんが、サービスして加えることにしました。
銘柄 | ティッカー | セクター | 増配年 | 時価総額(100万$) |
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ジョンソン & ジョンソン | JNJ | ヘルスケア | 57 | 351730 |
エクソン・モービル | XOM | エネルギー | 46 | 319320 |
ウォルマート | WMT | 生活必需品 | 37 | 317640 |
プロクター & ギャンブル | PG | 生活必需品 | 63 | 302120 |
AT & T | T | 通信サービス | 35 | 249960 |
シェブロン | CVX | エネルギー | 32 | 240490 |
コカ・コーラ | KO | 生活必需品 | 57 | 229330 |
ペプシコ | PEP | 生活必需品 | 47 | 182800 |
マクドナルド | MCD | 一般消費財 | 43 | 161980 |
IBM | IBM | 情報技術 | 24 | 133230 |
スリーエム | MMM | 資本財 | 61 | 104830 |
ネクステラ・エナジー | NEE | 公益事業 | 25 | 100280 |
アリトリア・グループ | MO | 生活必需品 | 49 | 90890 |
ロウズ・カンパニーズ | LOW | 一般消費材 | 57 | 82600 |
ストライカー | SYK | ヘルスケア | 26 | 79180 |
キャタピラー | CAT | 資本財 | 26 | 77060 |
オートマチック・データ・プロセシング | ADP | 情報技術 | 44 | 70880 |
エース・リミテッド | CB | 金融 | 26 | 70340 |
ベクトン・ディッキンソン | BDX | ヘルスケア | 47 | 69360 |
コルゲート・パルモーブ | CL | 生活必需品 | 56 | 64430 |
2019年9月6日の終値で20銘柄を2000ドル分ずつ購入!
今回は、2019年9月1日の終値で購入したとします。すべての銘柄が2000ドルに近づくようにします。前回は1000ドルでしたが、今回は株価が高値圏にあり1000ドルに合わせようとすると乖離してしまう銘柄が目立ったので、2倍の2000ドルにしました。20銘柄の合計は一番下にあるように4万119ドルで、ほぼ4万ドルになりました。なお、購入手数料と税金は考えないものとします。表内の単位は、基本的にはUSドルで、%の場合は数字の隣に表記しています。
ティッカー | 現在株価 ($) | 購入単位 | 購入合計額($) |
---|---|---|---|
JNJ | 128.21 | 16 | 2051 |
XOM | 70.93 | 28 | 1986 |
WMT | 114.73 | 17 | 1950 |
PG | 122.87 | 16 | 1966 |
T | 36.25 | 55 | 1994 |
CVX | 118.26 | 17 | 2010 |
KO | 55.23 | 36 | 1988 |
PEP | 137.37 | 15 | 2061 |
MCD | 220.03 | 9 | 1980 |
IBM | 140.57 | 14 | 1968 |
MMM | 163.94 | 13 | 2131 |
NEE | 220.14 | 9 | 1981 |
MO | 43.85 | 46 | 2017 |
LOW | 114.71 | 17 | 1950 |
SYK | 221.40 | 9 | 1993 |
CAT | 122.70 | 16 | 1963 |
ADP | 173.25 | 12 | 2079 |
CB | 161.03 | 12 | 1932 |
BDX | 262.48 | 8 | 2100 |
CL | 74.70 | 27 | 2017 |
合計 | 40119 |
現在の配当利回りと過去の増配率を調べる
まず、現在の配当利回りを確認します。【MO】が7.6%と高いですね。【T】は5.6%、【XOM】が4.9%、【IBM】が4.6%と続いています。続いて過去の10年の増配率を計算します。5~10年前(2009~2014年)は増配率が高かったのですが、最近5年(2014~2019年)はやや鈍化していますね。
いま株を買ったら10年後の元本利回り(YOC)はどうなるか?
いま株を買ったら、10年後に元本あたりの配当利回り(YOC)がどのくらいになっているかを予測しましょう。先ほど調べた過去10年(2009~2019年)、5~10年前(2009~2014年)、最近5年(2014~2019年)と同じ増配率になると仮定します。最近5年の増配率を元にしたYOCがもっとも低いです。今後も増配率はあまり上がらなそうなので、このデータを使って今後10年間の配当予想をしようと思います。
10年後の配当の合計を予測する
最後に、最近5年の増配率を使って今後10年間の配当の合計を予想します。なお、税金は考えないものとします。もっとも配当金額が多かったのは【MO】で2932ドル。【IBM】が1485ドル、【MMM】が1388ドル、【XOM】が1301ドル、【LOW】が1294ドル、【T】が1259ドルでした。現時点で配当利回りの高い銘柄が今後10年間の配当合計が多い傾向にあるようです。長期投資家が好む傾向にある【JNN】は878ドル、【PG】は572ドルと冴えません。この両銘柄は現在の配当利回りがそれほど高いわけではなく、ここ2、3年の増配率が今ひとつなので、配当の合計予想が少ない結果になったようです。
さらに、「配当貴族20社を10年前に買っていたらどうなったかを検証する」という記事で導き出された、10年前に買った場合の配当の合計と比較しましょう。この記事は1銘柄あたりの初期投資が1000ドルだったので、2倍の2000ドルに変更して、今回の記事と合わせました。青い棒が10年前に購入した場合の配当の合計です。全20銘柄の10年間の配当の合計は、今後10年間予想が1万8661ドル、過去10年実績が1万8660ドルでした。ほぼ同じで、約4万ドルの投資に対して47%です。