ブラックロック社のiシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF【HDV】は、モーニングスターの配当フォーカス指数に連動したETFです。財務の健全性が高く、持続的に平均以上の配当を支払うことのできる、質の高い米国籍企業75銘柄前後で構成されています。
毎年3、6、9、12月の計4回組み換えがあります。直近では、2020年12月17日頃に入れ替えを行いました。14銘柄が削除され、15銘柄が追加されました。前回の9月の組み換えでは11銘柄が削除＆追加だったので、今回は少し多いですね。
【HDV】全組込銘柄がどのように変化したのか？
下の表は【HDV】全組込銘柄を、組み換え前後の2020年12月10日と2020年12月18日で比較したものです。保有比率の大きい順に並べました。左側（12月10日）の順位の背景が灰色になっているのが今回除外された銘柄です。右側（12月18日）の順位の背景がピンク色なのが、今回新たに組み込まれた銘柄です。キャッシュ・デリバティブを除くと全75銘柄です。
目立った新加入は、プロクター・アンド・ギャンブル【PG】、マクドナルド【MCD】、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ【BMY】、ロッキード・マーチン【LMT】です。
除外された銘柄ではアリトリア・グループ【MO】、ギリアド・サイエンシズ【GILD】、ドミニオン・エナジー【D】、ブラックロック【BLK】などがあります。
上位20銘柄は保有比率の変化も計算しました。ジョンソン・エンド・ジョンソン【JNJ】、ベライゾン【VZ】が比率を増やしています。逆にエクソン・モービル【XOM】、ファイザー【PFE】は減っています。
セクター比率はどう変化したか？
【HDV】に組み込まれている銘柄のセクターの占める割合を、組み換え前後の12月10日と12月18日で比較しました。首位の座がエネルギーからヘルスケアになりました。割合を増やしたのは、生活必需品が2.3ポイント、一般消費財が2.7ポイント増でした。割合を減らしたのは、金融が4.2ポイント減でした。
新たに追加された銘柄は？
今回、新たに追加されたのは15銘柄です。プロクター・アンド・ギャンブル【PG】とマクドナルド【MCD】は世界的にも知られた企業で、連続増配銘柄ですね。下の表の一番右に配当利回りを表示しました。上位に新たに追加された銘柄は配当利回りが2%台が多いですね。
【HDV】の2020年12月22日の終値は87.34ドルで過去1年配当額が3.5679ドルなので、配当利回りは約4.1%です。相場が過熱気味なので、配当利回りが低く健全な銘柄を新たに組み込んだように見えます。
除外された銘柄は？
除外された銘柄は14銘柄です。セクター別の数では金融が6と多く、公益事業が3、資本財が2です。アリトリア・グループ【MO】、モルガン・スタンレー【MS】は9月に新加入したばかりでしたが、すぐに除外となりました。ギリアド・サイエンシズ【GILD】も6月に加入したばかリでしたね。
この【HDV】を販売しているブラックロック【BLK】が除外されて、ライバル企業のインベスコ【IVZ】が新加入したのは不思議な感じです。
過去7カ月の組込比率1%以上の銘柄比較
上位組込銘柄の1カ月ごとの推移です。【HDV】は毎年3、6、9、12月に組み換えがあります。下の表では6、9、12月の下旬に銘柄の入れ替えがありましたので、太い線を引いておきます。プロクター・アンド・ギャンブル【PG】、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ【BMY】、マクドナルド【MCD】が加わったことで上位組込銘柄は【VYM】に似てきましたね。
上位組込銘柄を【VYM】と比較する
それでは【HDV】と【VYM】の組込比率1%以上の銘柄を比較してみましょう。下の表の左側が【HDV】の組込銘柄で、【HDV】順位に合わせて並べました。かなり似ていますね。【HDV】の15位までは、【VYM】に1％以上の比率で組み込まれています。
ちなみに【HDV】16位の【MMM】などは、【VYM】に1％以下の比率で組み込まれており、【HDV】の1％以上組込銘柄はすべて【VYM】に入っています。【HDV】の95％ほどが【VYM】の中に入っています。
表の右下の【VYM】のみ組み込まれている銘柄は、【HDV】が財務が健全ではないor配当利回りが低すぎると判断して組み込まなかった銘柄といえそうです。配当利回りが低すぎるのはコムキャスト【CMCSA】、ウォルマート【WMT】、ネクステラ・エナジー【NEE】、リンデ【LIN】、イーライリリー【LLY】あたりでしょうか。
まとめ
いかがでしたか？ 結構大胆に入れ替えましたね。ただし、堅実な手を打ってきたように思えます。
【HDV】は組込上位1、2位のエクソン・モービル【XOM】とAT&T【T】が増配を見送って、配当据え置きが続いているのが今後どうなるか、気になります。
