日用品や衣料品などを扱う大型ディスカウント・ストアのターゲット【TGT】が、2021年6月9日に増配を発表しました。
これまで四半期ごとの配当が0.68ドルだったのが、0.9ドルに上がる予定です。年間配当は2.72ドルから3.6ドルになる予定です。増配率は32.4%です。2021年6月10日の終値は231.66ドル、配当利回りは1.55%です。
ターゲット【TGT】の連続増配年数は50年です。
ターゲット【TGT】の過去の配当、年間増配率
ターゲット【TGT】は、安定して増配を続けています。近年の増配率は3%前後でしたが、今回は大幅増配となりました。表内の青字は予想です。次回の配当落ちは8月17日です。
ターゲット【TGT】の年間配当額と年間増配率は?
ターゲット【TGT】の配当金と増配率を1年ごとにまとめてグラフ化しました。増配率は年々下がってきましたが、一気に増えました。
ターゲット【TGT】の期別の配当は?
下のグラフは期別の配当です。基本的に配当落ちの月を基準にしています。2015~20年は増配率があまり大きくなかったですね。
ターゲット【TGT】の株価と配当の関係は?
下のグラフは株価と配当の比較です。株価は2021年を除いて年末のものです。株価は2019年から急上昇しました。
最近のターゲット【TGT】の株価と配当利回りは?
2020年1月以降のターゲット【TGT】の株価と配当利回りを見てみましょう。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。2020年の年初の配当利回りは約2.1%でしたが、2月半ば以降は急降下したため、3月25日に約2.9%まで上がりました。その後、株価は急上昇したため、配当利回りは1.2%ほどまで下がりましたが、今回の増配で1.55%まで上がりました。
現在のターゲット【TGT】の株価と配当利回りの関係は?
年間配当額が現在と同じだったら、株価によって配当利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間配当額が現在と同じ3.6ドルが続いた場合の、配当利回りと株価の相関図です。配当利回りを0.1%ごとに株価を出しました。今後、ターゲット【TGT】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。
ターゲット【TGT】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去にターゲット【TGT】を買った場合、現在の購入単価当たりの配当利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から5年前までの株価、配当利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、少しアバウトです。
2021年6月10日の終値は231.66ドル、年間の予想配当金額は3.6ドルなので、現在の配当利回りは1.55%です。過去5年の平均配当利回りは約3.0%です。最近2年の株価は急激な右肩上がりなので、早い時期に買っているとYOCが上がります。2017年5月頃に買っていたら、現在YOCは約6.9%になっていました。
競合銘柄とトータルリターンを比較する
ターゲット【TGT】とライバルとのリターンを比較します。対象はコストコ・ホールセール【COST】、TJXカンパニー【TJX】、そしてダラー・ゼネラル【DG】。PORTFOLIO VISUALIZERを使って、過去10年間を比べます。
2011年6月に1万ドル投資して配当を再投資した場合、2021年5月には【DG】が6万1900ドル、【TGT】が6万700ドル、【COST】が6万200ドル、【TJX】が5万7700ドルになっていました。だいたい同じですね。
年次リターン
1年ごとのリターンを比較しました。ターゲット【TGT】は2019年以降のリターンが抜群ですね。
過去のトータルリターン
過去3カ月、1、3、5、10年の年平均トータルリターンは以下の通りです。過去10年のリターン(年平均)は、【DG】が20.0%、【TGT】は19.8%、【COST】は19.7%、【YJX】は19.2%で、ほとんど同じでした。【TGT】は過去10年以外のリターンでは、他社を圧倒しています。
過去の分配金はどのくらいか?
2011年6月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合の年間にもらえる分配金の推移です。分配金は再投資します。税金は考慮しません。PORTFOLIO VISUALIZERのデータです。
10年間の配当金の合計は【COST】が6700ドル、【TGT】が5000ドル、【TJX】が3800ドル、【DG】が2100ドルでした。
【COST】は利回りは低いですが、定期的に特別配当を出しており、これがかなりの額です。【DG】は配当金を払い始めたのは2015年からです。【TJX】はコロナ・ショックの影響で2020年は最初の期以外は配当カットになりました。
ターゲット【TGT】の今後の配当予想は?
現在の配当金額(0.9ドル)と1、3、5、10年前の同時期の配当金額(0.68ドル、0.64ドル、0.6ドル、0.3ドル)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の配当金とYOCを予想します。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの配当利回りのことです。ターゲット【TGT】株を2021年6月10日の終値231.66ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。
購入金額は1万ドルにします。そうすると、年間配当額から利回り(YOC)が一瞬で計算できます。たとえば、年間配当額が300ドルなら利回り(YOC)は3.0%、年間配当額777ドルなら利回り(YOC)は7.77%になります。
年間増配率は過去1年が32.4%、過去3年が12.0%、過去5年が8.4%、過去10年が11.6%でした。現在の配当利回りは1.55%です。
配当を再投資しない場合
まずは配当を再投資しないケースを見てみましょう。税金は考慮しません。現在の配当利回りが1.55%なので、1年目の年間配当額は155ドルです。
もっとも増配率の低い過去5年のペースだと5年目の配当額は215ドル、10年目の配当額は322ドルになります。もっとも成績の良い過去1年の増配率を当てはめると5年目の配当額は477ドル、10年目の配当額は1937ドルになりそうです。配当額1937ドルはYOC(購入額に対する利回り)19.37%です。
配当を再投資する場合
つぎに配当を再投資するケースを見てみましょう。税金は考慮しません。再投資する場合の配当金額は、現在と10年前の株価を比較して年平均騰落率を計算し、それを使って調整しています。
もっとも増配率の低い過去5年のペースだと5年目の配当額は226ドル、10年目の配当額は373ドルになります。もっとも成績の良い過去1年の増配率を当てはめると5年目の配当額は513ドル、10年目の配当額は2879ドルになりそうです。配当額2879ドルはYOC(購入額に対する利回り)28.79%です。
配当を再投資する場合(税引き後)
最後に配当を再投資し、税金を引いた額で計算してみましょう。配当金は28%の税金を引いた72%で計算します。1年目は155ドルではなく、税引き後の112ドルになります。
もっとも増配率の低い過去5年のペースだと5年目の配当額は161ドル、10年目の配当額は258ドルになります。もっとも成績の良い過去1年の増配率を当てはめると5年目の配当額は362ドル、10年目の配当額は1860ドルになりそうです。配当額1860ドルはYOC(購入額に対する利回り)18.60%です。
今回が32%の増配だったため、過去1年増配率をもとにしたYOC予測は凄まじい数値になりました。ただ、これは毎年32%の増配を続けるのが前提なので、この通りに行く可能性は極めて少ないです。過去1年増配率以外のデータで進行する可能性が高そうです。
ターゲット【TGT】は主要ETFに組み込まれているか?
ターゲット【TGT】の【VOO】や【VTI】の組込順位は75番目です。全米で75番目ぐらいの規模の会社と言えます。【VYM】や【VIG】には30番台に入っています。
ETF | 組込可否 | 組込順位 | 割合(%) |
---|---|---|---|
VYM(416) | ○ | 37 | 0.8 |
HDV(75) | × | ― | ― |
SPYD(78) | × | ― | ― |
VIG(247) | ○ | 34 | 0.9 |
VOO(507) | ○ | 75 | 0.3 |
VTI(3748) | ○ | 75 | 0.2 |
DIA(30) | × | ― | ― |
QQQ(102) | × | ― | ― |
VGT(331) | × | ― | ― |
※表内の「ETF」の右側の()内の数字は全組込銘柄数です。組込比率はバンガード社のETF【VYM】【VIG】【VOO】【VTI】【VGT】は2021年4月末、その他のETFは2021年5月17日頃のデータをもとにしています。
ターゲット【TGT】の財務データは?
ターゲット【TGT】の財務データです。モーニングスターのデータです。2021年は好調でした。
まとめ
ターゲット【TGT】は大型ディスカウントストアですが、コロナ・ショック以前からEコマースにも力を入れていたおかげで、売り上げは飛躍的に伸びました。
今回、大きな増配という形で株主に還元しました。