バンガード社のETFはICB(Industry Classification Benchmark)を用いてセクターを分類しています。ステートストリート社やブラックロック社など、バンガード社以外のETFはGICS(Global Industry Classification Standard)を使っています。
そのため、バンガードのETFとそれ以外の会社のETFを、組み込まれているセクターの割合で比較するのは無理があります。
そういう場合は、バンガード社のETFに組み込まれている個別銘柄のセクターを、1つずつGICSに変換します。ただし、この方法は結構時間がかかります。100銘柄ぐらいなら大したことないのですが、500銘柄を超えるとヤレヤレという気分になります。こういうケースではどうしたらいいのでしょうか? いくつかの角度から検証していきます。
自分で個別銘柄をGICSに変換する方法
自力でGICSに変換する場合は、Googleスプレッドシートを使います。1銘柄ごとに、ある関数を当てはめれば、GICSのセクターが表示されます。「配当再投資でのんびり投資」という素晴らしいサイトに書いてある通りに実行すれば、GICSのセクターが明らかになります。世の中には優秀で親切な人がいるもんですね。超感謝!
上手くいかない人は?
上手くいかない人は、以下の関数を使用してください。下の関数の「B2」というのが、ティッカー・コードが書かれているセルです。たとえば、セル「B2」にジョンソン・エンド・ジョンソンのティッカー・コード「JNJ」を記入して、その右側のセル「C2」に下の関数を記入すれば「Health Care」と表示されます。
=IMPORTXML(“https://eresearch.fidelity.com/eresearch/evaluate/snapshot.jhtml?symbols=” & B2,“//*[@id=’companyProfile’]/div[4]/span/a”)
1銘柄ごとにセクターをGICSに変換するのは面倒だという場合は、ポータルサイトのセクター分けを参考にするといいかもしれません。ただし、完璧なGICSで分類しているサイトはないような気がします。ためしに2つのサイトを使って、ICB、GICSと比較してみます。
【VYM】のセクター比較をチェック!
下の4つの円グラフは、【VYM】のセクター別組込比率です。バンガードの公式サイトのICB(Industry Classification Benchmark)、自力でGICS(Global Industry Classification Standard)に変換もの、「ETF.com」、「Seeking Alpha」というサイト。この4つでどのように分類されているか、比較しましょう。
「ICB」の消費財、「ETF.com」のConsumer Non-Cyclicals、「Seeking Alpha」のConsumer Defensiveを、「GICS」では生活必需品にします。そして「ICB」の消費サービス、「ETF.com」のConsumer Cyclicals、「Seeking Alpha」のConsumer Cyclicalを「GICS」では一般消費財にします。
どれも比較的似ていますが、「Seeking Alpha」が「GICS」に近いですね。
【VIG】のセクター比率はどうか?
次は【VIG】のセクター別の組込比率を比較しましょう。注目は「一般消費財」に該当する緑色の部分です。「ICB」と「ETF.com」は割合が1番多く、「GICS」と「Seeking Alpha」は12%ほどと少ないです。また、青色の「通信サービス」は「GICS」と「Seeking Alpha」は5%ほどありますが、「ICB」と「ETF.com」はほぼゼロです。
【VUG】のセクター比率をチェック!
【VUG】を比較しましょう。こちらも青色の「通信サービス」で違いがでました。「GICS」と「Seeking Alpha」は13%ほどを占めていますが、「ICB」と「ETF.com」はほぼゼロです。
【VTI】の上位組込銘柄はどんな会社か?
最後に【VTI】を比較しましょう。ただしVTIは3500銘柄ほど組み込まれているため、「ICB」から「GICS」に変換するのは時間がかかりすぎます。そこで「VOO」で代用します。バンガード社のサイトでは、なぜか「VOO」だけはGICSで分類されています。「残りのETFもGICS分類にしてくれよ!」という声がどこからともなく聞こえてきそうです。
ちなみに「VTI」と「VOO」はセクター比率がほぼ同じです。「VTI」の上位約75%に「VOO」がすっぽり入るようなイメージですので、セクター比率もだいたい同じです。なので、VOOの【GICS】の割合は、VTIの【GICS】でほぼ正解です。
ここでも青色の「通信サービス」で違いがでました。「GICS」と「Seeking Alpha」は10%ほどを占めていますが、「ICB」と「ETF.com」はほぼゼロです。「ICB」と「ETF.com」が電気通信(Telecomunication Service)で、「GICS」と「Seeking Alpha」は通信サービス(Communication Service)という呼び名というのがポイントです。
GICSでは2018年9月に「電気通信サービス」が「コミュニケーションサービス(通信サービス)」に改称されて、大幅な銘柄の入れ替えがありました。
つまり、「ETF.com」が「ICB」に近く、「Seeking Alpha」は「GICS」に似ていると言えそうです。
まとめ
いかがでしたか? セクターをGICSで分類したい場合は、自力で1つずつ変換しましょう。数が多すぎて面倒な場合は「Seeking Alpha」で代用すればまあまあ似ていると思います。ちなみに「Seeking Alpha」のサイトでは、銘柄を表示させたあとに「Holding」という部分をクリックすればセクター分けが表示されます。
自分のポートフォリオにETFがある場合は、今回紹介した方法か、「Seeking Alpha」を使ってETFの中身をセクター分けをすれば、ポートフォリオ全体のセクター割合がそこそこ正確に分かると思います。