金融株の下落が止まりませんね。そんな中、バンガード社のバンガード・金融セクターETF【VFH】が、2020年3月6日に配当金を発表しました。0.3691ドルです。前回は0.4643ドル、1年前の同時期は0.3594ドルでした。
大幅下落が続いた2月後半から3月後半の相場で、【VFH】はどんな動きだったのでしょうか? これまでの【VFH】の配当金の傾向、値動き、将来の展望などを考えます。
【VFH】の過去1カ月の成績は?
下落率が高かった2月24日から3月20日までの主要指数とセクター別ETFの騰落率です。【VFH】はセクター比較では下から2番目の成績でした。景気に敏感な業種なため、仕方ないかもしれません。
【VFH】のファンド構成比は?
【VFH】に組み込まれているのは426銘柄です。ファンド構成比は、ほぼ時価総額の大きい順でした。上位20銘柄で全体の56%を占めています。各項目のトップ3には、背景色をオレンジにしました。なお、下の表のファンド構成比は2020年2月29日現在、それ以外の値は2020年4月3日のものです。過去1カ月の騰落率はチャールズ・シュワブ【SCHW】、プログレッシブ【PGR】、ブラックロック【BLK】などが良かったです。
【VFH】の過去の配当金と増配率は?
【VFH】が設定されたのは2004年1月です。下の表は過去の配当金の一覧です。
配当利回りの計算方法を説明します。年4回配当金を支払う個別銘柄の場合は、最新の配当金額を4倍した額が年間配当額となり、それを株価で割って配当利回りが算出されます。
ところがETFの場合は、組み込まれている銘柄によって配当金を払うタイミングが異なるため、期によってバラバラになります。そこで、最新の配当金と過去3回の配当金を足した数字、つまり過去1年分の配当額が年間配当額となり、それを元に配当利回りが算出されることが多いです。
よって今回の【VFH】の配当が減配かどうかを調べるには、四半期ごとに過去1年分の配当金のデータを作成する必要があります。下の表の右から2番目が過去1年配当額です。今期の【VFH】の過去1年配当額は1.6671ドルで、前期は1.6574ドルなので、0.59%の増配といえるでしょう。ただし、この計算方法だと、減配かどうかの判断は今期と1年前の同時期の配当の比較によって決まります。
そんなわけで、個別銘柄の減配とETFの減配は、少し意味合いが異なります。ETFで多少減配されたとしても、それほど神経質にならなくてもいいかもしれません。
表の一番右の増配率は、前回との比較です。背景が赤になっているのが減配です。2008年6月から2010年末まで減配が続いています。
【VFH】の過去1年配当額を棒グラフで確認しよう
先ほどの表の過去1年配当額を棒グラフにして、【VFH】の株価と比較しました。過去1年配当額は株価とほぼ連動していますが、少しタイムラグがあって配当金があとを追っている感じです。リーマン・ショック時は株価は暴落し、配当金は大幅に減りました。今回のコロナ・ショックによる減配は来期以降になりそうです。
【VFH】の配当額を棒グラフで確認しよう
今度は、配当額と株価と比較しました。こちらは結構デコボコです。3月に支払われる配当は毎回少ないですが、通常だと次の6月の配当で増えますが、今回は厳しいかもしれません。
リーマン・ショック前後の値動きはどうか?
金融セクターはリーマン・ショックの元凶そのものでしたので、リーマン・ショック前後の株価は、S&P500よりも大幅に下落しました。
【VAW】を買うタイミングを考える
下のグラフは過去5年の【VFH】の株価、配当利回り、YOCです。現在の【VFH】の配当利回りは過去と比べて高い水準にあります。
過去5年の配当利回りの平均は1.96%です。ここ最近の配当利回りは1.4~2.3%に収まっていましたが、今回の暴落で2020年4月3日の終値が47.38ドルに下がりましたので、配当利回りは3.52%に上がりました。見づらいかもしれませんが、一番右端で黄色い線と赤い線は重なっています。
まとめ
金融【VFH】は景気に敏感な銘柄が多く、かなりダメージを受けました。現在株価が低迷しているので、買ってみるのもいいかもしれませんが、減配リスクがかなりありそうです。
なお、例年通りだと、次回は6月19~26日頃に配当金額が決定し、配当落ちは6月21~28日頃になりそうです。



