通信大手のAT&T【T】が、2020年12月11日に配当を発表しました。
これまで四半期ごとの配当が0.52ドルだったのが、0.52ドルのままのようです。年間配当は2.08ドルから変わりません。例年だと今回のタイミングで増配するのですが、増配しません。2020年12月15日の終値は30.58ドル、配当利回りは6.80%です。
AT&T【T】の連続増配は36年で終わってしまう可能性が高そうです。
AT&T【T】の過去の配当、年間増配率
AT&T【T】は毎年、0.01ドルの増配を続けていましたが、今回は増配しませんでした。なお、表内の青字は予想です。次回の配当落ちは1月8日です。
AT&T【T】の年間配当額と年間増配率は?
AT&T【T】の配当金と増配率を1年ごとにまとめてグラフ化しました。0.01ドルの増配を毎年続けると、増配率は緩やかな右肩下がりになります。
AT&T【T】の期別の配当は?
下のグラフは期別の配当です。基本的に配当落ちの月を基準にしています。
毎年1月に配当落ちを迎える期に増配していましたが、今回は増配しませんでした。ただし、連続増配記録が完全に途切れたわけではありません。残りの3回のうちに増配すれば、2021年は年間トータルで2020年と比べて増配になりますので、連続増配が達成されるという考え方もあります。
つまり、2年間のうちに1回増配すれば、毎年の年間配当額が増える計算になります。
エクソン・モービル【XOM】の場合はどうか?
今回のAT&T【T】と同じように、長年増配を続けてきて、配当が据え置きになった銘柄にエクソン・モービル【XOM】があります。下のグラフは【XOM】の配当金の推移です。
エクソン・モービル【XOM】は毎年5月に配当落ちを迎えるときに増配していましたが、2020年は据え置きでした。その後も8月、11月と配当は据え置きが続いていますが、2020年の配当合計は3.48ドルで、2019年の3.43ドルを上回っています。2021年中に1度増配すれば、連続増配は途切れない計算になります。
なお、【T】と【XOM】は高配当ETF【HDV】の1位と2位に組み込まれており、この2銘柄で約18%を占めており、少し心配ですね。

今年に入ってからのAT&T【T】の株価と配当利回りは?
2020年に入ってからのAT&T【T】の株価と配当利回りを見てみましょう。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。年初の配当利回りは5.3%ぐらいでしたが、2月半ば以降は急降下したため、3月23日には配当利回りが約7.8%まで上昇しました。その後も株価は低迷を続け、現在の配当利回りは6.80%です。
現在のAT&T【T】の株価と配当利回りの関係は?
年間配当額が現在と同じだったら、株価によって配当利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間配当額が現在と同じ2.08ドルが続いた場合の、配当利回りと株価の相関図です。配当利回りを0.2%ごとに株価を出しました。今後、AT&T【T】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。
AT&T【T】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去にAT&T【T】を買った場合、現在の購入単価当たりの配当利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から5年前までの株価、配当利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、やや大雑把です。
2020年12月15日の終値は30.58ドル、年間の予想配当金額は2.08ドルなので、現在の配当利回りは約6.80%です。過去5年の平均配当利回りは約5.79%です。過去5年で株価は下がっており、増配もわずかだったので、早い時期に買ってもYOCは高くなりません。2020年10月頃に買っていたら、現在YOCは約7.7%になっていました。
AT&T【T】の今後の配当予想は?
現在の配当金額(0.52ドル)と1、3、5、10年前の同時期の配当金額(0.52ドル、0.5ドル、0.48ドル、0.43ドル)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の配当金とYOCを予想しました。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの配当利回りのことです。AT&T【T】株を2020年12月15日の終値30.58ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。棒グラフが配当金予想、折れ線グラフがYOC予想です。
増配率は過去1年が0%、過去3年が1.3%、過去5年が1.6%、過去10年が1.9%でした。現在の配当利回りは6.80%です。もっとも増配率が低い過去1年のペースで増配が続くと10年後のYOCは6.80%、20年後のYOCは6.80%になります。もっとも増配率が高い過去5年の増配と同じだと10年後のYOCは8.2%、20年後のYOCは9.9%になります。増配率が低いので、将来YOCはあまり変化はないかもしれません。
AT&T【T】は主要ETFに組み込まれているか?
高配当ETFには上位に組み込まれています。【HDV】には9%も組み込まれています。
ETF | 組込可否 | 組込順位 | 割合(%) |
---|---|---|---|
VYM(413) | ○ | 7 | 1.89 |
HDV(74) | ○ | 2 | 9.07 |
SPYD(79) | ○ | 63 | 1.11 |
VIG(212) | × | ― | ― |
VOO(508) | ○ | 25 | 0.67 |
VTI(3590) | ○ | 25 | 0.56 |
DIA(30) | × | ― | ― |
QQQ(103) | × | ― | ― |
VGT(330) | × | ― | ― |
※表内の「ETF」の右側の()内の数字は全組込銘柄数です
AT&T【T】の財務データは?
AT&T【T】の財務データです。この1年はあまりよくないですね。配当性向が高いのも気になります。
ライバル企業とトータルリターンを比較する
AT&T【T】とライバル企業のトータル・リターンを比較します。ベライゾン【VZ】、Tモバイル【TMUS】、Vanguard S&P500 ETF【VOO】と比べました。
2015年12月に1万ドル投資して配当を再投資した場合、2020年11月には【TMUS】が3万7400ドル、【VOO】が1万9100ドル、【VZ】が1万6600ドル、【T】が1万1300ドルになっていました。AT&T【T】は苦戦していますね。
過去10年のトータルリターンを比較する
それでは、過去10年ではどうでしょうか? 2010年12月に1万ドル投資して配当を再投資した場合、2020年11月には【TMUS】が6万8100ドル、【VOO】が3万7600ドル、【VZ】が2万9800ドル、【T】が1万7800ドルになっていました。
まとめ
今回のAT&T【T】が据え置きになったのは残念でした。次回以降に期待したいです。
