これまでの記事ではウォーレン・バフェット氏が現在所有していると思われる銘柄を、10年前に買っていたら現在どうなったか検証しました。そこで今回は、10年前にバフェット氏が所有していた銘柄と同じものを自分が所有したらどうなったか調べます。つまりバフェットのマネをします。
投資金額は1銘柄あたり約1000ドル、計1万ドルで、配当再投資はしないでというルールで検証します。2009年9月1日にすべて買って、2019年9月15日現在の株価と比較します。
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- 2009年9月時点で現在バフェット氏が所有している上位10銘柄
- 1銘柄あたり1000ドルに近い額で2009年9月1日の終値で購入
- 配当はそのまま保有
バフェットといえばコカ・コーラ
2009年9月時点でバフェット氏が所有している上位10社は以下の通りです。セクター別では金融が4社、生活必需品が3社、情報技術とエネルギー、ヘルスケア、資本財が1社です。ポートフォリオ内比率ではコカ・コーラ【CO】が19%、ウェルズ・ファーゴ【WFC】が15.6%でこの2社が飛び抜けています。噂通り、集中投資するタイプのようです。
順位 | 銘柄 | ティッカー | セクター | PF内比率 |
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1 | コカ・コーラ | KO | 生活必需品 | 19.0% |
2 | ウェルズ・ファーゴ | WFC | 金融 | 15.6% |
3 | プロクター・アンド・ギャンブル | PG | 生活必需品 | 9.9% |
4 | アメリカン・エクスプレス | AXP | 金融 | 9.1% |
5 | コノコ・フィリップス | COP | エネルギー | 4.6% |
6 | ジョンソン・エンド・ジョンソン | JNJ | ヘルスケア | 4.0% |
7 | ウォルマート | WMT | 生活必需品 | 3.3% |
8 | ユー・エス・バンコープ | USB | 金融 | 2.7% |
9 | ムーディーズ | MCO | 金融 | 1.4% |
10 | ユニオン・パシフィック | UNP | 資本財 | 1.0% |
10年前に10銘柄を1000ドル分ずつ購入!
まずは、2009年9月1日の終値で購入したとします。すべての銘柄が1000ドルに近づくようにします。10銘柄の合計は一番下にあるように9998ドルで、ほぼ1万ドルになりました。なお、購入手数料や税金は考えないものとします。
ティッカー | 10年前の株価 ($) | 購入単位 | 購入($) |
---|---|---|---|
KO | 54.3 | 18.4 | 999 |
WFC | 28.18 | 35.5 | 1000 |
PG | 57.92 | 17.3 | 1002 |
AXP | 33.9 | 29.5 | 1000 |
COP | 45.18 | 22.1 | 998 |
JNJ | 60.89 | 16.4 | 999 |
WMT | 49.09 | 20.4 | 1001 |
USB | 21.86 | 45.7 | 999 |
MCO | 20.46 | 48.9 | 1000 |
UNP | 58.36 | 17.1 | 998 |
合計 | 9998 |
10年前と現在の株価を比較
10年前の株価と現在の株価を比較しましょう。一見するとユニオン・パシフィック【UNP】の伸び率が良さそうですが、これは元の株価が58.3ドルとまずまず高かったためです。10年間の株価増加率が際立っているのはムーディーズ【MCO】が938%、ユニオン・パシフィック【UNP】が488%です。
なお、コカ・コーラ【KO】は2012年8月に1対2、ユニオン・パシフィックは2014年6月に1対2、コノコ・フィリップス【COP】は2012年5月に1対1.26の株式分割を行ったため、それぞれ現在株価を2倍、2倍、1.26倍にしました。なお、グラフの一番右には、ベンチマークとしてS&P500に連動しているETF、SPDR S&P 500 ETF トラスト【SPY】のデータを載せておきます。
配当は重視していないようだが
過去10年の増配率ではユニオンパシフィック【UNP】が30.5%と圧倒的です。ユニオンパシフィック【UNP】はYOC(元本利回り)も13.3%と高水準で、10年間の配当の合計も579ドルでトップです。現在の配当利回りではウェルズ・ファーゴが4.17%と高いです。
また、増配率ではムーディーズ【MCO】も17.4%となかなかです。なお、グラフの一番右には、ベンチマークとしてS&P500に連動しているETF、SPDR S&P 500 ETF トラスト【SPY】のデータを載せておきます。
評価額と配当の合計値は?
現在の評価額と配当を合わせた額です。全体としては約1万ドル分購入して、10年後には評価額が3万4308ドル、配当の合計が4213ドル、合計3万8521ドルになりました。また、1銘柄あたりの平均は投資した1000ドルが評価額3431ドル、配当が421ドルになり、合計は3852ドルです。10年間で4倍弱になりました。
個別の銘柄ではムーディーズ【MCO】の評価額と配当の合計が10876ドルで圧倒的にトップ、ユニオン・パシフィック【UNP】が6442ドル、アメリカン・エキスプレス【AXP】が3806ドルと続いています。残りの7銘柄は2000~3000ドルでした。10年前のバフェット銘柄上位10社はすべて2倍以上になったことになります。
なお、グラフの一番下には、ベンチマークとしてS&P500に連動しているETF、SPDR S&P 500 ETF トラスト【SPY】のデータを載せておきます。
バフェット銘柄など、これまでの記事を比較
これまでの記事で検証したものを比較します。10年前に買ったという前提で、現在の評価額と配当金の合計を計算しました。ベンチマークとして【SPY】の5年と10年のデータも記載。「SPY(5年)」以下は5年間の成績です。
もっとも優れているのは、現在のバフェット銘柄2軍(上位11~20位)を10年前に買ったものでした。10年前にバフェットと同じ銘柄を買うよりも、現在のバフェット銘柄を10年前に買ったほうが成績が上回っております。これは10年前にバフェットが所有していた上位銘柄の中で、期待できそうにないものは売却したり比率を減らしたからです。まさにバフェットが進化し続けているというわけです。さすがオマハの賢人。米寿を迎えてもまだ伸びしろがありそうです。