前回の記事「バフェット銘柄10社を10年前に買っていたらどうなったかを検証する」で、ウォーレン・バフェット氏が現在所有していると思われる銘柄の中から、上位10社を10年前に買っていたら現在どうなったを検証しました。なかなか好評でしたので、今回はその続編にします。
現在バフェット氏が所有している銘柄の比率上位11~20位までの計10社をバフェット銘柄2軍と称して検証します。ルールは投資金額は1銘柄あたり約1000ドル、計1万ドルで、配当再投資はしない。2009年9月1日にすべて買って、2019年9月15日現在の株価と比較します。
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- 2019年9月時点で現在バフェット氏が所有している比率上位11~20番目の10銘柄
- 1銘柄あたり1000ドルに近い額で2009年9月1日の終値で購入
- 配当はそのまま保有
全米の航空業界を手中に収めたのか?
バフェット銘柄2軍の10社(比率11~20位)は以下の通りです。セクター別では金融と資本財が3社ずつ、情報技術とヘルスケア、一般消費財、通信サービスが1社ずつです。前回に引き続き、金融が多めです。資本財の3社はすべて航空会社。前回は10位にデルタ航空がありましたので、米国の4大航空会社がポートフォリオ上位20社に含まれているわけですね。
順位 | 銘柄 | ティッカー | セクター | PF内比率 |
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11 | ゴールドマン・サックス | GS | 金融 | 1.80% |
12 | バンク・オブ・ニューヨーク・メロン | BK | 金融 | 1.72% |
13 | ゼネラルモーターズ | GM | 一般消費財 | 1.34% |
14 | サウスウェスト航空 | LUV | 資本財 | 1.31% |
15 | ベリサイン | VRSN | 情報技術 | 1.30% |
16 | ダビータ | DVA | ヘルスケア | 1.04% |
17 | チャーター・コミュニケーションズ | CHTR | 通信サービス | 1.03% |
18 | ユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングス | UAL | 資本財 | 0.92% |
19 | ビザ | V | 金融 | 0.88% |
20 | アメリカン航空グループ | AAL | 資本財 | 0.68% |
10年前に10銘柄を1000ドル分ずつ購入!
まずは、2009年9月1日の終値で購入したとします。すべての銘柄が1000ドルに近づくようにします。10銘柄の合計は一番下にあるように9910ドルで、ほぼ1万ドルになりました。なお、購入手数料や税金は考えないものとします。
ティッカー | 10年前株価 | 購入単位 | 購入額($) |
---|---|---|---|
GS | 185.35 | 5 | 927 |
BK | 28.99 | 34 | 986 |
GM | 34.2 | 29 | 992 |
LUV | 9.6 | 104 | 998 |
VRSN | 23.69 | 42 | 995 |
DVA | 56.64 | 18 | 1020 |
CHTR | 32.5 | 31 | 1008 |
UAL | 43.82 | 23 | 1008 |
V | 69.12 | 14 | 968 |
AAL | 25.25 | 40 | 1010 |
合計 | 9910 |
10年前と現在の株価を比較
10年間の株価増加率の高いのはチャーター・コミュニケーションズ【CHTR】が1209%、ビザ【V】が926%、ベリサイン【VRSN】が697%、サウスウエスト航空【LUV】が481%です。なお、ダビータ【DVA】は2013年9月に1対2、ビザ【V】は2015年3月に1対4の株式分割を行ったので、それぞれ現在株価を2倍、4倍にしました。
またゼネラルモーターズ【GM】とチャーター・コミュニケーションズ【CHTR】は2010年に上場、アメリカン航空グループ【AAL】は2014年に上場しましたので、上場時に購入したことにしました。なお、グラフの一番右には、ベンチマークとしてS&P500に連動しているETF、SPDR S&P 500 ETF トラスト【SPY】のデータを載せておきます。
現在無配の銘柄が4社もある
過去10年の増配率はサウスウェスト航空【LUV】が44%、ビザ【V】が43%と圧倒的です。YOC(元本利回り)もサウスウェスト航空【LUV】が7.5%、ビザ【V】が5.7%と高水準です。現在の配当利回りはゼネラルモーターズ【GM】が3.9%と高いです。ベリサイン【VRSN】、ダビータ【DVA】、チャーター・コミュニケーションズ【CHTR】、ユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングス【UAL】は現在無配です。
なお、ゼネラルモーターズ【GM】とアメリカン航空グループ【AAL】は、配当金を支払い始めた2014年を起点に計算しました。なお、グラフの一番右には、ベンチマークとしてS&P500に連動しているETF、SPDR S&P 500 ETF トラスト【SPY】のデータを載せておきます。
評価額と配当の合計値は?
現在の評価額と配当を合わせた額です。全体としては約1万ドル分購入して、10年後には評価額が4万6195ドル、配当の合計が1272ドル、合計4万7467ドルになりました。また、1銘柄あたりの平均は投資した1000ドルが評価額4619ドル、配当が127ドルになり、合計は4746ドルです。10年間で5倍弱になりました。
個別の銘柄ではチャーター・コミュニケーションズ【CHTR】の評価額と配当の合計が13191ドルでトップ、ビザ【V】が10156ドル、ベリサイン【VRSN】が8151ドル、サウスウエスト航空【LUV】が6010ドルでした。冴えなかったのがゴールドマン・サックス【GS】1207ドル、アメリカン航空グループ【BAC】1270ドル、ゼネラルモーターズ【GM】1334ドルなどでした。なお、グラフの一番下には、ベンチマークとしてS&P500に連動しているETF、SPDR S&P 500 ETF トラスト【SPY】のデータを載せておきます。
バフェット銘柄など、これまでの記事を比較
これまでの記事で検証したものを比較します。10年前に買ったという前提で、現在の評価額と配当金の合計を計算しました。ベンチマークとして【SPY】の5年と10年のデータも記載。「SPY(5年)」以下は5年間の成績です。もっとも優れているのは、現在のバフェット銘柄2軍(上位11~20位)を10年前に買ったものでした。10年前にバフェットと同じ銘柄を買うよりも、現在のバフェット銘柄を10年前に買ったほうが成績が上回っております。これは10年前にバフェットが所有していた上位銘柄の中で、期待できそうにないものは売却したり比率を減らしたからです。まさにバフェットが進化し続けているというわけです。さすがオマハの賢人。米寿を迎えてもまだ伸びしろがありそうです。



