バンガード社のバンガード 米国高配当株式ETF【VYM】が、2024年6月18日に分配金を発表しました。1.0237ドルです。1年前の同期は0.8767ドルでしたので、1年前の同期から16.8%増です。
分配金利回りを過去1年間の分配金額から算出すると、2024年6月18日の終値は119.81ドル、過去1年の分配金額は3.5633ドルなので、分配金利回りは2.97%になります。
※このページでの分配金利回りは過去1年間の分配金をもとに計算します。
【VYM】の基本情報
まずはVYMの基本情報です。正式名称は「バンガード 米国高配当株式ETF」。ティッカー・コードは「VYM」です。
ベンチマークは「FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス」。米国の上場企業の中から、平均以上の配当利回りの大型株で構成されています。
設定されたのは2006年11月。約17年半が経過しており、かなりの古株です。
経費率は0.06%。ライバルの米国高配当ETF【HDV】【SPYD】とほぼ同じです。
2024年6月18日の分配金利回りは2.97%。高配当ETFの中では平均よりも少し低いです。
分配金は3、6、9、12月の年4回。
最新の分配金は1.0237ドル。対前年同期16.8%増でした。今回の権利落ち日は6月21日。1営業日前に保有していれば分配金が貰えます。分配金の支払いは6月25日です。権利落ち日からあっと言う間です。
6月18日の終値は119.81ドル、1株から購入可能なので1万9000円ほど必要です。
ベンチマークの「FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス」とは?
【VYM】のコンセプトについて、見ていきましょう。このETFは「FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス」との連動を目指します。
まずは、FTSE US All Cap インデックス(Large Cap、Mid Cap、Small Cap)の構成銘柄が対象となります。
以下の条件でスクリーニングします。
(2)現在配当を支払っていない銘柄、今後12カ月間に配当を支払うと予測されない銘柄をすべて除外
(3) 独自のスクリーニングを適用
(4)1年分の配当利回りを予測し、大型株で、平均以上の配当利回りが予想される銘柄に重点を置く
この条件すべてに当てはまった銘柄が選ばれ、ウェイト付け、いわゆる組入方式は時価総額加重平均型です。時価総額の大きさに応じて、比率を割り当てます。規模の大きな銘柄ほど上位に入ります。
銘柄の入れ替えは年1回、3月です。
配当金をゼロにした企業は、四半期ごとに削除されます。
まとめると【VYM】は米国の大型株が対象で、平均以上の配当利回りが予想される銘柄で構成されています。
【VYM】の過去の分配金と増配率は?
【VYM】が設定されたのは2006年11月です。下の表は過去の分配金の一覧です。
左から4列目が分配金です。年4回支払われます。一番上が今回で、1.0237ドルでした。
右から4列目の「分配金の対前年同期増減率」に注目してください。今回は16.8%増です。前回は8.6%減でしたが、それ以前は10回連続で、対前年同期がプラスでした。堅実に増配しているという意味です。
分配金の推移は?
【VYM】の分配金を1年ごとに重ねて棒グラフにしました。リーマンショックの影響で2010年が底です。2011年からはずっと右肩上がりです。
1年単位で見ると、13年連続増配とも言えます。2024年は分配金が2回決まりましたが、前年よりは少し多いペースです。
年間分配金と株価の関係は?
1年ごとの分配金と株価の比較です。株価と1年分配金は似たように伸ています。増配した分だけ、株価も上昇しています。
これは、分配金利回りがどのタイミングでも同じくらいという意味です。だいたい3%前後です。
このグラフを見ると、【VYM】は着実に株価と分配金が伸びており、安定感があるのがわかりますね。
分配金と株価の関係は?
「分配金」を1つずつ棒グラフにして、株価と比較しました。
分配金は期によって結構差があります。長期でみると、リーマン・ショック以降、2011年頃からは安定して上昇しています。
最近の分配金は多い、少ない、多い、少ないと繰り返されているようにも見えます。右から2つ目の前回(2024年3月)の分配金は少ないですが、その両脇の今回(2024年6月)と前々回(2023年12月)は多いです。
分配金の支払うタイミングは銘柄ごとに異なるので、少ない回の両隣は多くなる傾向ですね。
過去1年分配金の傾向は?
「過去1年分配金」を棒グラフにして、株価と比較しました。過去1年単位でまとめると、滑らかに伸びています。
2020年3月のコロナ・ショックは、株価にダメージを与えましたが、分配金への影響はあまりなかったです。
年間増配率は?
ここからは増配率について見ていきましょう。まずは【VYM】の年間増配率です。
2009年と2010年はマイナスです。これはリーマンショックによるものです。2011年以降はプラスに転じ、13年連続でプラスです。13回のうち11回が5%以上増配しています。
長期の増配率をチェック!
複数年単位で増配率をチェックしましょう。3年増配率と5年増配率の推移です。
2017年以降はほぼ5~9%で推移しています。ただ、年々少しずつ減少しているようにも見えます。今後は4~7%ぐらいになるかもしれないですね。
分配金を前年同期と比較する
「分配金の対前年同期増減率」、「過去1年分配金の対前年同期増減率」をグラフにしました。
ETFの場合、「分配金の対前年同期増減率」で増配や減配を決めることが多いですね。「今回の分配金は前年同期と比べて何%増です」というやつです。ただしこれは、大きく減ることも結構あるので、あまり気にする必要はありません。赤い★の部分です。
それよりも「過去1年分配金の対前年同期増減率」の長期の傾向が重要です。紫色の階段面の部分です。【VYM】は2011年以降、この値がマイナスになることがほぼないですね。つまり、過去1年分配金が毎回着実に増え続けている優良ETFと言えます。
増配率はどのように変化したか?
直近10回の分配金決定後の増配率を比較しました。ETFの場合、分配金額は期によってバラバラです。そのため、増配率も分配金が決定するたびに、多少は変化します。ただし【VYM】は分配金が安定しており、増配率の変化はあまりないですね。
一番右が現在の増配率です。1年増配率と3年増配率は6.8%、5年増配率は5.8%、7年増配率は6.4%、10年増配率は6.8%です。ほとんどの期間で6%台と安定しています。
過去の増配率を見ても、6%前後ぐらいですね。ここまで増配率が安定している高配当ETFは珍しいです。
2020年以降の分配金利回りは?
2020年以降の【VYM】の株価と分配金利回りを見てみましょう。過去1年の年間分配金額から利回りは算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が利回り(右軸)です。
2020年の年初は分配金利回りが3.0%ぐらいでしたが、2月半ば以降はコロナ・ショックで株価が下がったため、3月終盤には分配金利回りが約4.5%まで上昇しました。
現在の株価がコロナ・ショック前をかなり上回っていますが、増配をしているので2024年6月18日の分配金利回りは2.97%で、コロナ・ショック前とほぼ同じです。
現在の【VYM】の株価と分配金利回りの関係は?
このグラフは年間分配金額が現在と同じ場合の、分配金利回りと株価の相関図です。分配金利回り0.1%ごとに株価を出しました。今後【VYM】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。
分配金利回り2.5%は株価142.5ドル、分配金利回り3.0%は株価118.8ドル、分配金利回り3.5%は株価101.8ドル、分配金利回り4.0%は株価89.1ドルです。
【VYM】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去に【VYM】を買った場合、取得価額に対する利回り(YOC/Yield On Cost)はどのくらいでしょうか?
現在から10年前までの株価、分配金利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回です。
2024年6月18日の終値は119.81ドル、過去1年の分配金額は3.5633ドルなので、現在の分配金利回りは2.97%です。
過去10年の平均利回りは約3.03%なので、現在は平均とほぼ同じです。
分配金利回りはあまり変動がなく、2.7~3.3%の間が多いです。3.3%を超えたら買いと言えそうです。
グラフの黄色の線が、過去に買った場合の、取得価額に対する利回り(YOC)です。この線が左肩上がりの場合は、株価好調&増配傾向にあるといえます。なので【VYM】は長期で見ると、なかなか好調です。
過去10年で株価は上昇して増配率もまずまずだったので、早い時期に買うとYOCは上がります。10年前の2014年6月に買っていたら、現在YOCは約5.4%です。また、5年前の2019年6月に買っていた場合は、現在YOCは約4.1%です。
増配傾向のETFは、株価と分配金が同じように上昇するので、早い時期に購入すると、購入価格に対する利回り(YOC)がどんどん上がっていきます。
【VYM】の上位組込銘柄はどんな会社か?
それでは【VYM】の中身について見ていきましょう。組入上位20銘柄の5月31日のデータです。
ベンチマークは、FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスです。上位10銘柄で全体の約24%を占め、20銘柄では約36%です。それなりに分散が利いています。
【VYM】は時価総額加重平均のため、規模の大きな順に組み入れられています。
上位組入銘柄のセクターはバラエティに富んでおり、なかなかバランスがいいですね。ヘルスケアと生活必需品がやや多いです。セクターの背景色をGICSによる分類で色分けしています。カラフルですね。
上位20銘柄中で連続増配年数が10年を超えていないのは、わずか1銘柄です。なので【VYM】は高配当ETFですが、結果的に連続増配系ETFという側面もあります。
【VYM】の特徴は、世界で活躍する有名企業が上位を占めていることですね。ヘルスケアや生活必需品などのディフェンシブ銘柄は配当利回りはそれほど高くありませんが、長年にわたって増配を続けているので安心できます。
【VYM】のセクター比率は?
【VYM】組入銘柄のセクター比率はどうでしょうか。GICSによる分類です。
トップが金融で約21%、生活必需品約13%、資本財とヘルスケアが約12%。この4つのセクターで約58%です。以下、情報技術、エネルギーと続きます。
金融がやや多めですが、セクターのバランスはなかなか良いですね。
VYMの将来YOCはどうなるか
いま【VYM】を購入したら、将来、取得価額に対する利回り(YOC/Yield On Cost)がどのくらいになるのかをシミュレーションします。現在の利回りに過去の増配率を当てはめて計算していきます。
増配率は3、5、7、10年の4パターンを使います。増配率は3年が6.82%、5年が5.81%、7年が6.41%、10年が6.81%です。2024年6月18日現在の分配金利回りは2.97%です。
「分配金は再投資しない。税引き前」という設定です。
もっとも成績が良かったのは3年増配率(6.82%)を使用したYOC予想です。10年目のYOCは5.4%、20年目のYOCは10.4%です。
ちなみに10年増配率も6.81%なので、3年増配率とほぼ同じです。なので、グラフの3年増配率の紅色と10年増配率のオレンジ色は重なっています。
もっとも成績が悪かったのは5年増配率(5.81%)を使用したYOC予想です。10年目のYOCは4.9%、20年目のYOCは8.7%です。
いずれの期間も増配率は6%前後と安定しており、将来YOC予想は似たような結果になりました。
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まとめ
【VYM】の2024年6月の分配金は1.0237ドル。対前年同期16.8%増でした。
前回の3月は対前年同期が珍しくマイナスでしたが、今回は通常通りプラスに戻りました。
【VYM】のコンセプトは米国の平均以上の配当利回りの大型株を集めたものです。時価総額加重平均なので大企業ほど比率が高く、安定感があります。
上位10銘柄で24%なので、分散されています。
組入れ銘柄のセクターは金融が首位。セクターのバランスは高配当ETFの中で良い。
過去の分配金利回りは3%ぐらいで安定。
10年前に購入していたらYOCは5.4%。着実に増配している。
10年増配率は6.8%となかなか高く、他の期間の増配率も6%前後で安定している。