米国以外が対象のETF【VXUS】が前年同期比58.7%の減配

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バンガード社のバンガード・トータル・インターナショナル・ストック(除く米国)ETF【VXUS】が、2020年6月18日に配当金を発表しました。0.2521ドルです。1年前の同時期は0.6106ドルでしたので、1年前の同時期との比較では58.7%の減配です。

配当利回りを過去1年間の配当金額から算出すると、2020年6月29日の株価は49.1ドル、過去1年の配当額は1.2864ドルなので、配当利回りは2.62%になります。

 

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【VXUS】の過去の配当金と増配率は?

【VXUS】が設定されたのは2011年1月です。下の表は過去の配当金の一覧です。

配当利回りの計算方法を説明します。年4回配当金を支払う個別銘柄の場合は、最新の配当金額を4倍した額が年間配当額となり、それを株価で割って配当利回りが算出されます。

ところがETFの場合は、組み込まれている銘柄によって配当金を払うタイミングが異なるため、期によってバラバラになります。そこで、最新の配当金と過去3回の配当金を足した数字、つまり過去1年分の配当額が年間配当額となり、それを元に配当利回りが算出されることが多いです。

よって今回の【VXUS】の配当が減配かどうかを調べるには、四半期ごとに過去1年分の配当金のデータを作成する必要があります。下の表の右から3番目が過去1年配当額です。今期の【VXUS】の過去1年配当額は1.2864ドルで、前期の過去1年配当額は1.6449ドルなので、21.8%の減配といえるでしょう。ただし、この計算方法だと、減配かどうかの判断は今期と1年前の同時期の配当の比較によって決まります。なぜなら、残り3つの期はデータが同じだからです。

ちなみに前年の同時期との配当額の比較では、今回が0.2521ドル、前年の同時期が0.6106ドルなので58.7%の増配になります。また、前年の同時期との過去1年配当額の比較では、今回が1.2864ドル、前年の同時期の過去1年配当額が1.5408ドルなので、16.5%の減配となります。

そんなわけで、個別銘柄の減配とETFの減配は、少し意味合いが異なります。ETFで多少減配されたとしても、それほど神経質にならなくてもいいかもしれません。ただし今回の【VXUS】は、どのデータを比較してもかなりの減配になっています。

※背景がになっているのが減配です

【VXUS】の年間増配額と年間増配率は?

【VXUS】の配当金を1年ごとにまとめてグラフ化しました。2020年は3月と6月の配当額で、今後9月と12月分が加わる予定です。

【VXUS】はアメリカ以外の国が対象なので、配当金は年2回を採用している国が多いです。そのため、6、12月の支払いは多く、3、9月は少ない傾向にあります。今回の配当は、過去の6月の配当と比較するとかなり少ないですね。

【VXUS】の過去1年配当額を棒グラフで確認しよう

先ほどの表の過去1年配当額を棒グラフにして、【VXUS】の株価と比較しました。過去1年配当額は、株価とある程度は連動しています。今回の過去1年配当額は、一気に減りましたね。

【VXUS】の配当額を棒グラフで確認しよう

こちらは期ごとの配当額を株価と比較したものです。前回の3月の配当額はコロナ・ショックの影響か悪かったですが、今回もダメでした。

 

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【VXUS】の今後の配当予想は?

現在の年間配当金額(1.2864ドル)と1、3、5年前の同時期の年間配当金額(1.5408ドル、1.38ドル、1.379ドル)を比較して増配率を計算し、それを使って将来の配当金とYOCを予想しました。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの配当利回りのことです。【VXUS】株を2020年6月29日の株価49.1ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。棒グラフが配当金予想、折れ線グラフがYOC予想です。

増配率は過去1年がマイナス16.5%、過去3年がマイナス2.3%、過去5年がマイナス1.4%でした。現在の配当利回りは2.62%です。もっとも成績の悪い過去1年のペースで減配が続くと10年後のYOCは0.43%、20年後のYOCは0.07%になってしまいます。もっとも成績がよかった過去5年の減配と同じだと10年後のYOCは2.28%、20年後のYOCは1.98%になります。過去3年のデータだと10年後のYOCは2.07%、20年後のYOCは1.64%になります。最近2回続けて大幅な減配だったため、過去の配当金を下回っています。このまま減配が続くと、将来のYOCは0に近づいてしまいますが、ずっと減配が続くことはないと思いますので、このデータはあまり参考にしなくてもいいかもしれません。

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【VXUS】を買うタイミングを考える

下のグラフは過去5年の【VXUS】の株価、配当利回り、YOCです。過去5年の配当利回りの平均は2.89%です。コロナ・ショック時を除いて、配当利回りは2.5~3.3%の間で推移していました。

黄色の線はYOC(Yield on Cost)です。過去5年に購入した場合、現時点での購入単価当たりの利回りが何%になっているかを、過去に買ったタイミングごとに示しています。配当利回り(赤い線)と連動した動きになります。

YOCを上げるコツは(1)増配率の高い銘柄を買う、(2)連続増配年数の長い銘柄を買う、(3)株価が低迷しているときに買うなどがあります。いずれの場合もなるべく早い時期に買った方が、YOCは上がっていきますが、長期にわたって株価が右肩下がりの場合は最近購入した方が数値が上がります。

【VXUS】の株価は最近不調で、配当金も一気に減ったので、過去のどの時期に購入してもYOCは上がりません。YOCよりも配当利回りが上回る逆転現象になっています。

今年に入ってからの【VXUS】の株価と配当利回りは?

先ほどのグラフは少し大雑把なので、もう少し細かく1日ごとのデータで見ていきます。下のグラフは、2020年に入ってからの【VXUS】の株価と配当利回りです。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。配当利回りは3%前後で推移していましたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月18日には配当利回りが4.57%まで上昇しました。現在は株価が回復して、配当金が減りましたので、配当利回りは2.62%まで下がりました。

 

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現在の【VXUS】の株価と配当利回りの関係は?

年間配当額が現在と同じく1.2864ドルで変わらなかったら、配当利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間配当額が現在と同じ1.2864ドルが続いた場合の、配当利回りと株価の相関図です。配当利回りを0.2%ごとに株価を出しました。今後、【VXUS】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。

 

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【VXUS】のセクター別のファンド構成比は?

【VXUS】に組み込まれている銘柄のセクター別の保有比率です。ICB(Industry Classification Benchmark)による分類です。金融が21%で他を引き離し、以下資本財、消費財が続き、少し離れて情報技術、ヘルスケア、消費サービスの順です。

 

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【VXUS】にはどんな国の銘柄が組み込まれているのか?

市場別の構成比率を見てみましょう。トップは日本。以下、中国、英国、スイス、カナダ、フランス、ドイツが続きます。地域別ではヨーロッパが約40%で最多、太平洋が約30%です。

 

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【VXUS】の上位組込銘柄の傾向は?

【VXUS】の組込比率上位20銘柄です。データは2020年5月末のもので、GICS(Global Industry Classification Standard)による分類を使いました。上位20社で全体の14.7%を占めています。時価総額加重平均を用いているので、ほぼ時価総額の大きい順になっています。国別でトップのシェアだった日本は、トヨタ自動車しかランクインしていません。失われた数十年の影響が出ていますね。日本のIT系企業はGAFAMの相手にならないのはもちろん、時価総額の面でアリババ、テンセント、TSM、サムソン電子、ASML、SAPにも水をあけられています。

 

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【VXUS】の上位組込銘柄は、他のETFにも組み込まれているのか?

【VXUS】の組込比率上位20銘柄と主な日本銘柄は、他のETFには組み込まれているのでしょうか? その一覧が下の表です。世界全体の【VT】、米国を除く先進国【VEA】、ヨーロッパ【VGK】と比較します。表内の数字は組込順位一番上の行をクリックすると、その項目の順番に並び直します。同じ箇所を続けてクリックすると数値の大小が逆になります。試してください。

※「Tik」はティッカー・コード。2020年5月末のデータです

銘柄 Tik 市場 VXUS VT VEA VGK
アリババ BABA 中国 1 8
ネスレ NSRGY スイス 2 10 1 1
テンセント TCEHY 中国 3 11
エフ・ホフマン・ラ・ロシュ RHHBY スイス 4 19 2 2
台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング TSM 台湾 5 42
サムソン電子 5930 韓国 6 63 4
ノバルティス NVS スイス 7 30 3 3
トヨタ自動車 TM 日本 8 40 5
アストラゼネカ AZN イギリス 9 43 6 4
ASML ASML オランダ 10 50 7 5
SAP SAP ドイツ 11 54 8 6
ノボ・ノルディスク NVO デンマーク 12 66 9 7
サノフィ SNY フランス 13 67 10 8
モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン MC.PA フランス 14 69 11 9
グラクソスミスクライン GKS イギリス 15 72 12 10
AIAグループ AAGIY 香港 16 75 13
カナダロイヤル銀行 RY カナダ 17 79 14
HSBCホールディングス HSBC イギリス 18 81 15 11
トタル TOT フランス 19 84 16 12
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ BTI イギリス 20 96 17 13
ソニー SNE 日本 24 94 21
キーエンス KYCCF 日本 30 108 27
ソフトバンク・グループ SFTBY 日本 31 106 28
武田薬品工業 TAK 日本 50 147 42

組込順位は4つのETFともほとんど変わっていないですね。ヨーロッパに属していれば4つすべてに当てはまり、欧州以外の先進国なら3つ、それ以外は2つのETFに組み込まれています。つまり中国と台湾は先進国ではないという括りですね。

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全世界【VT】や米国【VTI】とトータルリターンを比較する

それでは【VXUS】と【VT】【VTI】のトータルリターンを比較します。下のグラフは、2011年2月以降のトータルリターンです。アメリカ全体の【VTI】が最も成績が良く、アメリカ以外の【VXUS】の成績が劣っています。

2011年2月に1万ドル投資した場合、2019年5月末には【VTI】が2万7700ドル、【VT】が1万8600ドル、【VXUS】は1万2400ドルになっていました。アメリカが強かったですね。

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先進国【VEA】や欧州【VGK】とトータルリターンを比較する

最後に【VXUS】を、米国以外の先進国【VEA】、ヨーロッパ【VGK】とトータルリターンで比較します。下のグラフは、2011年2月以降のトータルリターンです。似たような動きですが、【VXUS】がわずかに劣っています。ここ10年は新興国株の成績が不振だったため、新興国を含んでいる【VXUS】の成績が冴えなかったといえます。

2011年2月に1万ドル投資した場合、2019年5月末には【VEA】が1万3500ドル、【VGK】が1万3200ドル、【VXUS】は1万2400ドルになっていました。

 

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まとめ

【VXUS】は2回続けて配当金が前年同期を大きく下回りました。株価も冴えません。ただ、米国を除く世界の全てが、このまま長年にわたって低迷し続ける可能性は低いので、「今が割安に仕込めるチャンス」という見方もできます。

なお、例年通りだと、次回は9月20日頃に配当金額が決定し、その数日後に配当落ちになりそうです。

 

 

 

 

 

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