米国グロースETF【VUG】が前年同時期比1.5%の増配

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少し前のことですが、バンガード社のバンガード・米国グロースETF【VUG】が、2020年6月24日に配当金を発表しました。0.4189ドルです。1年前の同時期は0.4126ドルでしたので、1年前の同時期との比較では1.5%の増配です。

配当利回りを過去1年間の配当金額から算出すると、2020年7月13日の終値は208.18ドル、過去1年の配当額は1.7103ドルなので、配当利回りは0.82%になります。

【VUG】は成長銘柄を集めたものなので、配当金よりも株価の値上がり益が期待できそうです。果たして本当でしょうか? そこで、配当金を中心に様々なデータからこのETFを分析していきます。

 

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【VUG】の過去の配当金と増配率は?

【VUG】が設定されたのは2004年1月です。下の表は過去の配当金の一覧です。

配当利回りの計算方法を説明します。年4回配当金を支払う個別銘柄の場合は、最新の配当金額を4倍した額が年間配当額となり、それを株価で割って配当利回りが算出されます。

ところがETFの場合は、組み込まれている銘柄によって配当金を払うタイミングが異なるため、期によってバラバラになります。そこで、最新の配当金と過去3回の配当金を足した数字、つまり過去1年分の配当額が年間配当額となり、それを元に配当利回りが算出されることが多いです。

よって今回の【VUG】の配当が減配かどうかを調べるには、四半期ごとに過去1年分の配当金のデータを作成する必要があります。下の表の右から3番目が過去1年配当額です。今期の【VUG】の過去1年配当額は1.7103ドルで、前期の過去1年配当額は1.704ドルなので、0.4%の増配といえるでしょう。ただし、この計算方法だと、減配かどうかの判断は今期と1年前の同時期の配当の比較によって決まります。なぜなら、残り3つの期はデータが同じだからです。

ちなみに前年の同時期との配当額の比較では、今回が0.4189ドル、前年の同時期が0.4126ドルなので1.5%の増配になります。また、前年の同時期との過去1年配当額の比較では、今回が1.7103ドル、前年の同時期の過去1年配当額が1.8394ドルなので、7.0%の減配となります。

そんなわけで、個別銘柄の減配とETFの減配は、少し意味合いが異なります。ETFで多少減配されたとしても、それほど神経質にならなくてもいいかもしれません。

※背景がになっているのが減配です

【VUG】の年間増配額と年間増配率は?

【VUG】の配当金を1年ごとにまとめてグラフ化しました。2020年は3月と6月の配当額で、今後9月と12月分が加わる予定です。右肩上がりですが、2019年は前年よりも年間配当額が下がりました。

2020年の3月は前年同時期を下回りましたが、6月は前年同時期とほぼ同じでした。コロナ・ショックの影響はそれほどなかったといえそうです。

【VUG】の過去1年配当額を棒グラフで確認しよう

先ほどの表の過去1年配当額を棒グラフにして、【VUG】の株価と比較しました。株価の伸びに比べて、最近の配当金の伸びは今ひとつですね。

【VUG】の配当額を棒グラフで確認しよう

こちらは期ごとの配当額を株価と比較したものです。期によって配当額がかなり異なります。ここ数年の配当金は、あまり増えていません。

 

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【VUG】の今後の配当予想は?

現在の年間配当金額(1.7103ドル)と1、3、5年前の同時期の年間配当金額(1.8394ドル、1.624ドル、1.338ドル)を比較して増配率を計算し、それを使って将来の配当金とYOCを予想しました。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの配当利回りのことです。【VDC】株を2020年7月13日の終値208.18ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。棒グラフが配当金予想、折れ線グラフがYOC予想です。

増配率は過去1年がマイナス7.0%、過去3年が1.7%、過去5年が5.0%でした。現在の配当利回りは0.79%です。もっとも成績の悪い過去1年のペースで減配が続くと10年後のYOCは0.40%、20年後のYOCは0.19%です。もっとも成績がよかった過去5年の増配と同じだと10年後のYOCは1.34%、20年後のYOCは2.19%になります。過去3年のデータだと10年後のYOCは0.98%、20年後のYOCは1.16%になります。現在の配当利回りは低く、増配率も今ひとつなので、将来のYOCはあまり期待できないかもしれません。

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【VUG】を買うタイミングを考える

下のグラフは過去5年の【VUG】の株価、配当利回り、YOCです。過去5年の配当利回りの平均は1.17%です。配当利回りは0.8~1.4%の間で推移しています。

黄色の線はYOC(Yield on Cost)です。過去5年に購入した場合、現時点での購入単価当たりの利回りが何%になっているかを、過去に買ったタイミングごとに示しています。配当利回り(赤い線)と連動した動きになります。

YOCを上げるコツは(1)増配率の高い銘柄を買う、(2)連続増配年数の長い銘柄を買う、(3)株価が低迷しているときに買うなどがあります。いずれの場合もなるべく早い時期に買った方が、YOCは上がっていきますが、長期にわたって株価が右肩下がりの場合は最近購入した方が数値が上がります。

【VDC】の株価は右肩上がりで、増配もしているので、早い時期に購入するとYOCは上がります。過去5年で最もYOCが高いのが2016年2月頃に買った場合で、現在約1.72%になっています。

今年に入ってからの【VUG】の株価と配当利回りは?

先ほどのグラフは少し大雑把なので、もう少し細かく1日ごとのデータで見ていきます。下のグラフは、2020年に入ってからの【VUG】の株価と配当利回りです。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。配当利回りは0.9%前後で推移していましたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月23日には配当利回りが1.26%まで上昇しました。現在は株価が回復したので、配当利回りは0.79%まで下がりました。

 

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現在の【VUG】の株価と配当利回りの関係は?

年間配当額が現在と同じく1.7103ドルで変わらなかったら、配当利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間配当額が現在と同じ1.7103ドルが続いた場合の、配当利回りと株価の相関図です。配当利回り0.1%ごとに株価を出しました。今後、【VUG】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。

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【VUG】の純資産総額は?

バンガード・米国グロースETF【VUG】は、日本人にとってあまり知られていないETFかもしれません。ただし、世界的に見るとかなり売れているETFです。下の表は米国関連の主要ETFの純資産総額です。【VUG】は上から6番目です。【VIG】や【VGT】、【VYM】よりも売れています。ちなみに1位はSPDR S&P 500 ETF【SPY】です。

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【VUG】のセクター別のファンド構成比は?

【VUG】に組み込まれている銘柄のセクター別の保有比率です。情報技術が41.3%と圧倒的に多くで、以下消費サービス、金融、資本財、ヘルスケアと続きます。ICB(Industry Classification Benchmark)による分類です。

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【VUG】にはどんな銘柄が組み込まれているのか?

【VUG】の保有銘柄数は293銘柄です。下の表は組込上位20銘柄です。全体の53%を占めています。こちらはGICS(Global Industry Classification Standard)をもとに分けました。先ほどのICBの分類だと電気通信セクターの割合はほぼゼロですが、GICSで分けると【FB】や【GOOGL】などが通信サービスセクターに入りますので、このセクターの割合が増えます。あと、ICBで金融に分類されている銘柄が、GICSだと情報技術(IT)になることが結構ありますね。

 

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【VUG】の上位組込銘柄は、他のETFにも組み込まれているのか?

【VUG】の上位組込20銘柄は主要ETFに組み込まれているのでしょうか? 下の表は左から、ナスダック100【QQQ】、情報技術セクター【VGT】、S&P500【VOO】、米国全体【VTI】、ダウ30平均【DIA】、連続増配【VIG】、高配当【VYM】です。表内の数字はETFへの組込順位一番上の行をクリックすると、その項目の順番に並び直します。同じ箇所を続けてクリックすると数値の大小が逆になります。試してください。

※一番左の「順位」はVUGへの組込順位、「Tik」はティッカー・コード、「配利」は配当利回り(%)です。データは2020年7月6日頃のものです

順位 Tik 配利 QQQ VGT VOO VTI DIA VIG VYM
1 MSFT 1.0 2 2 1 1 4 2
2 AAPL 0.9 1 1 2 2 1
3 AMZN 3 3 3
4 FB 4 4 4
5 GOOGL 5 5 5
6 GOOG 6 6 6
7 V 0.6 3 9 9 6 4
8 HD 2.4 14 14 3 7
9 MA 0.6 4 15 15
10 NVDA 0.2 7 6 18 20
11 ADBE 11 8 25 25
12 PYPL 12 9 27 28
13 CMCSA 2.3 15 30 30 10 13
14 NFLX 10 28 26
15 CRM 10 35 35
16 MCD 2.7 36 36 7 13 17
17 TMO 0.2 37 37
18 COST 0.9 17 40 40 14
19 ACN 1.5 11 43 43 17
20 NKE 1.0 45 45 17 19

※【DIA】は株価の高いものが組込順位が上がるだけなので、順位は関係ありません。【SPYD】は1、7月にSP&500の配当利回り上位80社を均等に買って、そこから株価が上がった銘柄の順位が高くなるだけなので、こちらも順位はほとんど関係ありません。

上位20銘柄で【HDV】と【SPYD】に組み込まれているものはありませんでした。上位20銘柄の中で、【QQQ】にも組み込まれているのが12銘柄、【VGT】は9銘柄でした。

最多の6ETFに組み込まれていたのはマイクロソフト【MSFT】です。5ETFに組み込まれていたのはアップル【AAPL】、ビザ【V】、コムキャスト【CMCSA】、マクドナルド【MCD】です。

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【VUG】と他のETFのトータルリターンを比較する

それでは米国グロースETF【VUG】を他のETFと比較してみましょう。ナスダック100指数【QQQ】、情報技術セクターETF【VGT】、S&P500【VOO】と比べました。下のグラフは、2011年1月以降のトータルリターンです。【VGT】と【QQQ】のが最も成績が良く、【VUG】は【VOO】よりは上でした。

2011年1月に1万ドル投資して、配当を再投資した場合、2019年6月には【VGT】が5万500ドル、【QQQ】が5万200ドル、【VUG】が3万7100ドル、【VOO】が2万9800ドルになっていました。

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2017年以降の比較だとどうなる?

先ほどの比較では【VGT】と【QQQ】が優れていました。今度は2017年以降を比較してみます。すると、情報技術セクターETF【VGT】が頭一つ抜ける結果となりました。

2017年1月に1万ドル投資して、配当を再投資した場合、2020年6月末には【VGT】が2万3900ドル、【QQQ】が2万1500ドル、【VUG】が1万8800ドル、【VOO】1万4700ドルになりました。またしても【VUG】は3番手でした。【VGT】や【QQQ】には水をあけられる結果でした。

 

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まとめ

配当面から考えると、【VUG】はあまり魅力的なETFとは言えないですね。株価の伸びは【VGT】や【QQQ】に後れを取っています。近年はGAFAMを中心としたIT関連の株価の伸びが凄まじかったです。【VUG】はIT以外が結構組み込まれており、GAFAMの割合が上記2ETFより少なかったため、トータルリターンで苦戦したといえます。とはいえ、【VOO】は上回っているので、決して悪いというわけではないです。

なお、例年通りだと、次回は9月12日頃に配当金額が決定し、その数日後に配当落ちになりそうです。

 

 

 

 

 

 

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