バンガード社のETFは公式サイトで月1回更新されます。月末のデータが、翌月の15日頃に反映されます。今回2020年10月末のデータが更新されましたので、バンガード・公益事業セクターETF【VPU】の組込銘柄の変化や傾向について検証します。ちなみに経費率は年0.10%です。
【VPU】にはどんな銘柄が組み込まれているのか?
【VPU】の保有銘柄数は65銘柄です。結構少ないですね。組込銘柄の一覧を円グラフにしました。組込比率上位20銘柄は、全体の約79.6%を占めています。組込順位21位以下は45銘柄で全体の約20.4%、円グラフの白い部分です。
【VPU】の上位組込銘柄はどんな会社か?
【VPU】の組込上位20銘柄です。配当利回りがそれなりに高い銘柄が多いですね。ベンチマークは、MSCI USインベスタブル・マーケット・公益事業25/50インデックス。データの中身は2020年10月末時点のものです。
過去6カ月の組込比率1%以上の銘柄比較
最近6カ月間の組込順位上位20銘柄の推移です。組込順位の変動がほとんどないですね。9月末まで2位だったドミニオン・エナジー【D】が10月末に3位になり、デューク・エナジー【DUK】と入れ替わったぐらいですかね。なお、6月30日のデータは抜けています。
【VPU】上位20銘柄は主要ETFには組み込まれているのか?
【VPU】の組込順位上位20銘柄は、他のETFには組み込まれているのでしょうか? その一覧が下の表です。左から公益事業【VPU】、高配当【VYM】【HDV】【SPYD】、連続増配【VIG】、S&P500【VOO】、米国全体【VTI】、ダウ30平均【DIA】、ナスダック100【QQQ】です。表内の数字は組込順位。一番上の行をクリックすると、その項目の順番に並び直します。同じ箇所を続けてクリックすると数値の大小が逆になります。試してください。
※「Tik」はティッカー・コード、「配利」は配当利回りです。配当利回りは2020年10月末の株価から算出しました。【SPYD】は7月の時点で均等に組込、【DIA】は株価の価格で組込比率が決まるので、この2つの組込順位はあまり重要ではありません。
Tik | 配利 | VPU | VYM | HDV | SPYD | VIG | VOO | VTI | DIA | QQQ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
NEE | 1.9 | 1 | 17 | – | – | 16 | 39 | 39 | – | – |
DUK | 4.2 | 2 | 41 | 15 | 45 | – | 85 | 86 | – | – |
D | 4.7 | 3 | 42 | 17 | 70 | – | 87 | 87 | – | – |
SO | 4.5 | 4 | 48 | 18 | 51 | – | 102 | 102 | – | – |
AEP | 3.3 | 5 | 57 | 25 | – | 47 | 133 | 135 | – | – |
EXC | 3.8 | 6 | 60 | – | 49 | – | 146 | 150 | – | 51 |
XEL | 2.5 | 7 | 62 | – | – | 52 | 150 | 157 | – | 64 |
SRE | 3.3 | 8 | 63 | – | – | – | 151 | 160 | – | – |
WEC | 2.5 | 9 | 68 | 44 | – | 56 | 170 | 183 | – | – |
PEG | 3.4 | 10 | 74 | 33 | – | – | 188 | 200 | – | – |
ES | 2.6 | 11 | 73 | – | – | 65 | 185 | 197 | – | – |
AWK | 1.5 | 12 | – | – | – | 69 | 205 | 219 | – | – |
ED | 3.9 | 13 | 82 | – | 64 | – | 242 | 264 | – | – |
DTE | 3.5 | 14 | 93 | 39 | – | – | 233 | 251 | – | – |
EIX | 4.6 | 15 | 103 | – | 44 | – | 250 | 274 | – | – |
PPL | 6.0 | 16 | 97 | 26 | 39 | – | 251 | 275 | – | – |
ETR | 3.7 | 17 | 101 | – | – | – | 259 | 282 | – | – |
AEE | 2.5 | 18 | 104 | – | – | – | 262 | 290 | – | – |
CMS | 2.6 | 19 | 111 | 48 | – | 89 | 283 | 313 | – | – |
FE | 5.9 | 20 | 117 | – | 78 | – | 301 | 335 | – | – |
【VDC】の上位20銘柄は【VYM】に19銘柄が組み込まれています。配当利回りが1%台のアメリカン・ウォーター・ワークス【AWK】以外すべて入っています。また、【HDV】に9銘柄、【SPYD】に8銘柄含まれており、高配当銘柄には多く組み込まれています。【VIG】にも7銘柄入っています。
ファンドオーバーラップで他のETFとの比較する
ファンドオーバーラップを使って、他のETFとの重複割合を調べてみましょう。【VPU】に組み込まれている銘柄は、78%も【VYM】に入っています。NYダウは公益を除く銘柄で構成されていますので、【DIA】の中には【VPU】組込銘柄は入っていません。
【VPU】の配当はどう変化したか?
【VPU】の配当は右肩上がりです。2020年の6月の配当は前年を上回りましたが、3月と9月は下回っています。現在のところ、2019年とほぼ同じです。
今年に入ってからの配当利回りは?
2020年に入ってからの【VPU】の株価と配当利回りを見てみましょう。配当利回りは、過去1年の年間配当額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。配当利回りは2.7%前後で推移していましたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月23日には配当利回りが約4.0%まで上昇しました。現在はコロナ・ショック以前に株価が近づきつつあり、配当利回りは2.9%です。
【VPU】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去に【VPU】を買った場合、現在の購入単価当たりの配当利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から5年前までの株価、配当利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、やや大雑把です。
2020年11月27日の終値は139.59ドル、過去1年の配当金額は4.0416ドルなので、現在の配当利回りは約2.90%です。過去5年の平均配当利回りは約3.10%です。過去5年の株価は一応右肩上がりで増配傾向だったので、早い時期に買った方がYOCは上がります。2015年12月に買っていたら、現在YOCは約4.30%になっていました。
【VPU】の今後の配当予想は?
現在の過去1年配当金額(4.0416)と1、3、5、10年前の同時期の過去1年配当金額(4.0329ドル、3.715ドル、3.36ドル、2.442ドル)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の配当金とYOCを予想しました。
YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの配当利回りのことです。【VPU】株を2020年11月27日の終値139.59ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。棒グラフが配当金予想、折れ線グラフがYOC予想です。
年間増配率は過去1年が0.2%、過去3年が2.8%、過去5年が3.8%、過去10年が5.2%でした。現在の配当利回りは2.90%です。もっとも増配率が低い過去1年のペースで増配が続くと10年後のYOCは3.0%、20年後のYOCは3.0%になります。もっとも増配率が高い過去10年の増配と同じだと10年後のYOCは4.8%、20年後のYOCは7.9%になります。ここ1年の増配率はほぼゼロですが、それ以外の期間と同じように増配していけば、まずまずの将来YOCになりそうです。
まとめ
いかがでしたか? 公益事業セクターは安定しています。連続増配年数は比較的長い銘柄が多く、株価、増配率、現在の配当利回りはどれもまずまずです。