ヘルスケアセクターETF【VHT】の減配について考える

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少し前のことですが、バンガード社のバンガード・米国ヘルスケア・セクターETF【VHT】が、2020年6月18日に配当金を発表しました。0.7556ドルです。1年前の同時期は1.1638ドルでしたので、1年前の同時期との比較では35.1%の減配です。

配当利回りを過去1年間の配当金額から算出すると、2020年7月2日の終値は195.65ドル、過去1年の配当額は2.5501ドルなので、配当利回りは1.3%になります。

 

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【VHT】の過去の配当金と増配率は?

【VHT】が設定されたのは2004年1月です。下の表は過去の配当金の一覧です。

配当利回りの計算方法を説明します。年4回配当金を支払う個別銘柄の場合は、最新の配当金額を4倍した額が年間配当額となり、それを株価で割って配当利回りが算出されます。

ところがETFの場合は、組み込まれている銘柄によって配当金を払うタイミングが異なるため、期によってバラバラになります。そこで、最新の配当金と過去3回の配当金を足した数字、つまり過去1年分の配当額が年間配当額となり、それを元に配当利回りが算出されることが多いです。

よって今回の【VHT】の配当が減配かどうかを調べるには、四半期ごとに過去1年分の配当金のデータを作成する必要があります。下の表の右から3番目が過去1年配当額です。今期の【VHT】の過去1年配当額は2.5501ドルで、前期の過去1年配当額は2.9583ドルなので、13.8%の減配といえるでしょう。ただし、この計算方法だと、減配かどうかの判断は今期と1年前の同時期の配当の比較によって決まります。なぜなら、残り3つの期はデータが同じだからです。

ちなみに前年の同時期との配当額の比較では、今回が0.7556ドル、前年の同時期が1.1638ドルなので35.1%の減配になります。また、前年の同時期との過去1年配当額の比較では、今回が2.5501ドル、前年の同時期の過去1年配当額が3.4732ドルなので、26.6%の減配となります。

そんなわけで、個別銘柄の減配とETFの減配は、少し意味合いが異なります。ETFで多少減配されたとしても、それほど神経質にならなくてもいいかもしれません。ただし今回の【VHT】は、どのデータを比較しても減配になっていますね。

※背景がになっているのが減配です

【VHT】の年間増配額と年間増配率は?

【VHT】の配当金を1年ごとにまとめてグラフ化しました。2020年は3月と6月の配当額で、今後9月と12月分が加わる予定です。2011年以降、高い増配率が続いています。

2019年の増配率はすさまじいですね。それと比べると2020年は減配になりそうですが、2018年と比較すると順調に伸びているように見えます。2019年が例外だったと考えてもいいような気がします。

【VHT】の過去1年配当額を棒グラフで確認しよう

先ほどの表の過去1年配当額を棒グラフにして、【VHT】の株価と比較しました。過去1年配当額は、株価とある程度は連動しています。2019年の配当額が多かったので、2020年は減っています。

【VHT】の配当額を棒グラフで確認しよう

こちらは期ごとの配当額を株価と比較したものです。2019年の最初の2期が突き抜けています。2020年の3月の配当額はコロナ・ショックの影響か悪かったですが、今回は多少持ち直したように見えます。

 

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【VHT】の今後の配当予想は?

現在の年間配当金額(2.5501ドル)と1、3、4年前の同時期の年間配当金額(3.4732ドル、1.96ドル、1.682ドル)を比較して増配率を計算し、それを使って将来の配当金とYOCを予想しました。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの配当利回りのことです。【VHT】株を2020年7月2日の終値195.65ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。棒グラフが配当金予想、折れ線グラフがYOC予想です。

増配率は過去1年がマイナス26.6%、過去3年が9.2%、過去4年が11.0%でした。現在の配当利回りは1.30%です。もっとも成績の悪い過去1年のペースで減配が続くと10年後のYOCは0.06%、20年後のYOCは0.00%になってしまいます。もっとも成績がよかった過去4年の増配と同じだと10年後のYOCは3.69%、20年後のYOCは10.44%になります。過去3年のデータだと10年後のYOCは3.13%、20年後のYOCは7.54%になります。2019年の配当額が大きすぎたため、過去1年と比較すると散々な結果になりますが、それ以外ではYOCがまずまず伸びそうです。

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【VHT】を買うタイミングを考える

下のグラフは過去5年の【VHT】の株価、配当利回り、YOCです。過去5年の配当利回りの平均は1.45%です。配当利回りは1.0~2.0%の間で推移している期間がほとんどでした。

黄色の線はYOC(Yield on Cost)です。過去5年に購入した場合、現時点での購入単価当たりの利回りが何%になっているかを、過去に買ったタイミングごとに示しています。配当利回り(赤い線)と連動した動きになります。

YOCを上げるコツは(1)増配率の高い銘柄を買う、(2)連続増配年数の長い銘柄を買う、(3)株価が低迷しているときに買うなどがあります。いずれの場合もなるべく早い時期に買った方が、YOCは上がっていきますが、長期にわたって株価が右肩下がりの場合は最近購入した方が数値が上がります。

【VHT】の株価はコロナ・ショック時を除くと右肩上がりで、増配率もまずまずなので、早い時期に購入するとYOCは上がります。過去5年で最もYOCが高いのが2016年2月頃に買った場合で、現在約2.1%になっています。

今年に入ってからの【VHT】の株価と配当利回りは?

先ほどのグラフは少し大雑把なので、もう少し細かく1日ごとのデータで見ていきます。下のグラフは、2020年に入ってからの【VHT】の株価と配当利回りです。青線が株価(左軸)で、赤線が配当利回り(右軸)です。配当利回りは1.9%前後で推移していましたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月24日には配当利回りが2.1%まで上昇しました。現在は株価が回復して、配当金が減りましたので、配当利回りは1.3%まで下がりました。

 

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現在の【VHT】の株価と配当利回りの関係は?

年間配当額が現在と同じく2.5501ドルで変わらなかったら、配当利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間配当額が現在と同じ2.5501ドルが続いた場合の、配当利回りと株価の相関図です。配当利回りを0.1%ごとに株価を出しました。今後、【VHT】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。

 

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【VHT】にはどんな銘柄が組み込まれているのか?

【VHT】に組み込まれているのは334銘柄です。ファンド構成比は、ほぼ時価総額の大きい順になっています。上位20銘柄で全体の約71%を占めています。組込順位は2020年5月31日のものです。

 

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【VHT】の上位組込銘柄は、他のETFにも組み込まれているのか?

【VHT】の上位組込20銘柄は主要ETFに組み込まれているのでしょうか? 下の表の左から、S&P500【VOO】、米国全体【VTI】、ダウ30平均【DIA】、連続増配【VIG】、高配当【VYM】【HDV】【SPYD】、ナスダック【QQQ】です。表内の数字は組込順位一番上の行をクリックすると、その項目の順番に並び直します。同じ箇所を続けてクリックすると数値の大小が逆になります。試してください。

※「順位」はVHTへの組込順位、「Tik」はティッカー・コード、「配利」は配当利回りです。データは2020年7月2日頃のものです

順位 Tik 配利(%) VOO VTI DIA VIG VYM HDV SPYD QQQ
1 JNJ 2.9 7 7 10 3 1 3
2 UNH 1.7 11 11 2 5
3 PFE 4.7 20 19 30 7 6 13
4 MRK 3.2 21 21 21 8 7
5 ABT 1.6 33 33 12
6 ABBV 4.8 34 34 16 2
7 TMO 0.2 37 37
8 AMGN 2.7 39 39 19 11 16
9 BMY 3.1 38 38 15 18
10 MDT 2.5 41 42 16
11 LLY 1.8 42 41 20
12 DHR 0.4 54 56
13 GILD 3.5 59 60 28 12 1 23
14 CVS 3.1 66 67 33
15 VRTX 73 73 26
16 ANTM 1.4 72 72
17 CI 0.0 74 74
18 ISRG 84 83 29
19 BDX 1.3 77 84 29
20 ZTS 0.6 85 86

※【DIA】は株価の高いものが組込順位が上がるだけなので、順位は関係ありません。【SPYD】は1、7月にSP&500の配当利回り上位80社を均等に買って、そこから株価が上がった銘柄の順位が高くなるだけなので、こちらも順位はほとんど関係ありません。

最多の6ETFに組み込まれていたのはジョンソン・エンド・ジョンソン【JNJ】、ファイザー【PFE】、ギリアド・サイエンシズ【GILD】です。メルク【MRK】、アムジェン【AMGN】が5ETFに組み込まれています。

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【VHT】と他のETFのトータルリターンを比較する

それではヘルスケアETF【VHT】を他のETFと比較してみましょう。情報技術ETF【VGT】、生活必需品ETF【VDC】、S&P500と比べました。下のグラフは、2011年1月以降のトータルリターンです。情報技術ETF【VGT】が最も成績が良く、ヘルスケアETF【VHT】もなかなかのものです。

2011年1月に1万ドル投資して、配当を再投資した場合、2019年6月には【VGT】が5万500ドル、【VHT】が3万9200ドル、S&P500が2万9600ドル、【VDC】は2万5700ドルになっていました。

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2010年代前半の比較だとどうなる?

先ほどの比較では情報技術ETF【VGT】が最も優れていました。とくに2010年台の後半の伸びが素晴らしかったです。そこで今度は2010年台の前半で比較してみます。すると、ヘルスケアETF【VHT】が頭一つ抜ける結果となりました。

2011年1月に1万ドル投資して、配当を再投資した場合、2015年12月末には【VHT】が2万5200ドル、【VDC】が1万9800ドル、【VGT】が1万8500ドル、S&P500が1万7900ドルになりました。意外なことに【VGT】は3番目でした。このように、比較する期間によって結果は大きく異なります。最近5年はITが圧倒的ですが、今後5年もITが圧倒的かどうかはわかりません。1つのセクターの好調期間は10年ぐらい続くので、あと2、3年はITは安泰っぽい気もしますが。

 

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まとめ

【VHT】は今年に入っての配当金はあまりよくありませんが、昨年が良すぎただけという気がします。配当利回りはそれほど高くないですが、増配率が高いので、株価の値上がり益と配当の両方を狙えそうです。

現在、世界中の製薬会社が新型コロナ・ウイルスの治療薬やワクチンを開発していますが、決定的なものが出てきません。新型コロナ・ウイルスに関するもの以外でも、大病に効く治療薬をどの会社が作るかを予測するのは難しいです。そこで個別銘柄ではなく、ヘルスケアセクターETF【VHT】を保有するのもいいかもしれません。長期にわたって底堅い動きをする可能性が高そうです。

なお、例年通りだと、次回は9月24日頃に配当金額が決定し、その数日後に配当落ちになりそうです。

 

 

 

 

 

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