バンガード社の米国生活必需品セクターETF【VDC】が、2021年6月21日に分配金を発表しました。1.0230ドルです。1年前の同期は1.2891ドルでしたので、1年前の同期との比較では20.6%減です。
分配金利回りを過去1年間の分配金額から算出すると、2021年7月2日の終値は182.15ドル、過去1年の分配金額は4.4265ドルなので、利回りは2.43%になります。
※このページでの利回りは過去1年間の分配金をもとに、計算します。
基本情報を確認しよう
【VDC】はGICS(Global Industry Classification Standard)による分類の生活必需品セクターが対象です。時価総額加重型によって組み込まれ、小型株もそれなりに含まれます。
下の表は日本で購入できるバンガード社のセクターETF10銘柄の基本情報です。利回りの高い順に並んでいます。いずれも経費率は0.1%、2004年に設定されました。生活必需品【VDC】は利回りが2.43%とセクターETFの中では3番目に高いです。
上の表のセクターの背景に色をつけました。このカラーは当サイト内で共通のものとして使用しております
※バンガード社には不動産(REIT)ETF【VNQ】というのもありますが、これは日本の証券会社では購入できません
【VDC】の上位組込銘柄はどんな会社か?
【VDC】の組込銘柄数は100銘柄です。それほど多くないですね。ベンチマークはMSCI USインベスタブル・マーケット・生活必需品25/50インデックス。組込順位や構成比は2021年5月末日、時価総額や配当利回りは7月2日のデータです。
最近の組込上位20銘柄の推移
2020年5月以降の組込比率上位20銘柄の推移です。上位20銘柄で約8割を占めており、結構集中投資です。安定感のある生活必需品セクターなので、組込順位が大幅に変化することはありません。
【VDC】組込上位銘柄は主要ETFには組み込まれているのか?
【VDC】の組込上位20銘柄は、他のETFにどのくらいの割合で組み込まれているのでしょうか? 高配当【VYM】【HDV】【SPYD】、市場全体系【VIG】【VOO】【VTI】【DIA】、ハイテク【QQQ】【VGT】への組込比率(%)をまとめました。
上位組込銘柄は高配当の【VYM】【HDV】、連続増配の【VIG】に比較的組み込まれています。
【VDC】との重複率は【VYM】が13%、【HDV】が15%、【SPYD】が5%、【VIG】が14%、【VOO】が6%、【VTI】が5%、【DIA】は7%、【QQQ】が5%、【VGT】が0%です。
※組込比率は、バンガード社のETFは2021年5月末、その他のETFは6月14日、【HDV】は6月18日のデータをもとにしています。【DIA】と【SPYD】の組込比率はそれほど重要ではありません
【VDC】の過去の分配金と増配率は?
【VDC】が設定されたのは2004年1月です。下の表は過去の分配金の一覧です。
今回の【VDC】の分配金が増配or減配なのかは、どのデータを比較するかによって異なります。もっともオーソドックスなのは、前年の同期との分配金額の比較です。今回が1.023ドル、前年の同期が1.2891ドルなので20.6%減配になります。また、前年同期との過去1年分配金額の比較では、今回が4.4265ドル、前年の同期が4.0596ドルなので、9.0%の増配となります。
※背景が赤になっているのが減配です
【VDC】の期別の分配金は?
期別の分配金です。昨年の同期(2020年6月)と比較すると減っています。これまでのところ、2021年は前年を上回るペースです。
【VDC】の年間分配金額と年間増配率は?
【VDC】の分配金を1年ごとにまとめてグラフ化しました。年によって結構ばらつきがありますが、長期で見ると伸びています。
【VDC】の分配金額を棒グラフで確認しよう
期ごとの分配金を株価と比較しました。期によって分配金の差が激しいです。ここ数年は横ばい傾向です。
【VDC】の過去1年分配金額を棒グラフで確認しよう
過去1年分配金額を棒グラフにして、【VDC】の株価と比較しました。過去1年分配金額は、株価とある程度は連動しています。基本的には右肩上がりです。
2020年以降の利回りは?
2020年以降の【VDC】の株価と利回りを見てみましょう。利回りは、過去1年の年間分配金額から算出しました。青線が株価(左軸)で、赤線が利回り(右軸)です。2020年の年初は利回りが2.5%弱でしたが、2月半ば以降は株価が下がったため、3月23日には3.1%まで上昇しました。現在は株価がコロナ・ショック前を上回り、利回りは2.43%です。
現在の【VDC】の株価と利回りの関係は?
年間分配金額が現在と同じく4.4265ドルで変わらなかったら、利回りはどのように変化するでしょうか。下のグラフは年間分配金額が現在と同じ4.4265ドルが続いた場合の、利回りと株価の相関図です。利回りを0.2%ごとに株価を出しました。今後、【VDC】を購入しようと考えている人は、目安にしてください。
【VDC】を過去に買っていた場合のYOCは?
過去に【VDC】を買った場合、現在の購入単価当たりの利回り(YOC)はどのくらいでしょうか? 現在から5年前までの株価、利回り、YOCを見ていきましょう。株価は月末のもので月1回なので、ややアバウトです。
2021年7月2日の終値は182.15ドル、過去1年の分配金金額は4.4265ドルなので、現在の利回りは2.43%です。過去5年の平均利回りは約2.5%です。過去5年の株価は一応右肩上がりで、長期で見ると増配傾向なので、早い時期に買った方がYOCは上がります。2018年5月に買っていたら、現在YOCは約3.4%になっていました。
ライバルETFとトータルリターンを比較する
バンガード社のセクターETFの中で利回りの高いものと比較します。生活必需品セクターETF【VDC】、エネルギー・セクターETF【VDE】、公益事業セクターETF【VPU】、そして全米S&P500【VOO】とトータルリターンを比較します。PORTFOLIO VISUALIZERを使って、2011年7月から2021年6月までの10年間を比べます。
2011年7月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合、2021年6月には【VOO】が3万9700ドル、【VDC】が2万9500ドル、【VPU】は2万6900ドル、【VDE】は9100ドルになっていました。
年次リターン
1年ごとでリターンを比較しました。【VDC】と【VPU】は堅調に推移していますが、【VOO】はその上を行ってますね。【VDE】はマイナスの年が多いです。
過去のトータルリターン
過去3カ月、1、3、5、10年の年平均トータルリターンは以下の通りです。過去3年以上の期間では【VDC】は【VOO】より劣っており、【VPU】をわずかに上回っています。過去10年のリターン(年平均)は、【VOO】が14.8%、【VDC】が11.5%、【VPU】は10.4%、【VDE】はマイナス0.9%でした。
過去の分配金はどのくらいか?
2011年7月に1万ドル投資して分配金を再投資した場合の年間でもらえる分配金の推移です。分配金は再投資します。税金は考慮しません。
【VPU】と【VDC】が優勢です。【VDE】は意外とすくないですね。10年間の分配金の合計は【VPU】が5900ドル、【VDC】が4800ドル、【VOO】が3800ドル、【VDE】は2500ドルでした。
【VDC】の今後の分配金予想は?
現在の過去1年分配金額(4.4265ドル)と1、2、3、5年前の同時期の過去1年分配金額(4.0596ドル、3.6519ドル、3.5898ドル、3.094ドル)を比較して年間増配率を計算し、それを使って将来の分配金とYOCを予想しました。YOC(Yield on Cost)とは、購入単価あたりの分配金利回りのことです。【VDC】株を2021年7月2日の終値182.15ドルで買った場合、将来の利回り(YOC)がいくらになるかという予測です。
購入金額は1万ドルにします。そうすると、年間分配金額から利回り(YOC)が一瞬で計算できます。たとえば、年間分配金額が300ドルなら利回り(YOC)は3.0%、年間分配金額777ドルなら利回り(YOC)は7.77%になります。
増配率は過去1年が9.0%、過去2年が10.1%、過去3年が7.2%、過去5年が7.4%でした。現在の分配金利回りは2.43%です。
分配金を再投資しない場合
まずは分配金を再投資しないケースを見てみましょう。税金は考慮しません。現在の利回りが2.43%なので、年間分配額は243ドルです。
もっとも増配率の低い過去3年のペースだと5年目の分配金額は321ドル、10年目の分配金額は456ドルになります。もっとも成績の良い過去2年の増配率を当てはめると5年目の分配金額は357ドル、10年目の分配金額は578ドルになりそうです。分配金額578ドルはYOC(購入額に対する利回り)5.78%です。
分配金を再投資する場合
つぎに分配金を再投資するケースを見てみましょう。税金は考慮しません。再投資する場合の分配金額は、現在と10年前の株価を比較して年平均騰落率を計算し、それを使って調整しています。
もっとも増配率の低い過去3年のペースだと5年目の分配金額は356ドル、10年目の分配金額は599ドルになります。もっとも成績の良い過去2年の増配率を当てはめると5年目の分配金額は397ドル、10年目の分配金額は786ドルになりそうです。分配金額786ドルはYOC(購入額に対する利回り)7.86%です。
分配金を再投資する場合(税引き後)
最後に分配金を再投資するケースで、税金を引いた額で計算してみましょう。分配金は28%の税金を引いた72%で計算します。1年目は243ドルではなく、税引き後の175ドルになります。
もっとも増配率の低い過去3年のペースだと5年目の分配金額は249ドル、10年目の分配金額は400ドルになります。もっとも成績の良い過去2年の増配率を当てはめると5年目の分配金額は277ドル、10年目の分配金額は520ドルになりそうです。分配金額520ドルはYOC(購入額に対する利回り)5.20%です。
まとめ
【VDC】の今回の分配金は今ひとつでした。前回(3月)と前々回(2020年12月)がかなり良かったので、その反動かもしれません。
年4回支払われるETFの分配金が、2回続けて前年同期比で絶好調なことは結構ありますが、3回連続というのはほとんど見たことがないです。なので、今回の少なさは気にする必要はないですね。
なお、次回は9月29日が権利落ちの予定なので、その前日までに購入すれば分配金が貰えると思います。